西條奈加のレビュー一覧
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初出2021〜22「小説野生時代」
『隠居すごろく』の続編。 あれ、徳兵衛さん死んでなかった?
糸問屋の商売一筋だったが頑固者の徳兵衛は、主人を隠居した後何もしないではいられず、隠居所に組紐の作業所を作り、職人3人と見習いを置いて新たな事業を興したほか、近所の子供たちを集めて手習塾も開いていた。もっとも孫の千代太が塾の師匠と合わずに辞めたのをフォローしたらしく、師匠は徳兵衛の妻でまだ糸問屋の大女将を勤めているお登勢が通ってきて、子供達に給食も与えていた。
孫の千代太が友達になった子どもたちは、徳兵衛の世話で王子権現の境内で参詣案内の仕事で駄賃稼ぎができるようになったが、問題のある親がいて -
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油断してた~~~~!!
めちゃくちゃ面白かった!
前作を読んだ記憶はあるけど、わりとさーっと読んじゃったので、今回もまあ、軽い感じで楽しめたらいいなと思いつつ(棚に差してあったので)借りたんやけど、なんやろう、今回は食い入るようにむさぼり読んだ。
前作と同じくアルコールをテーマにしたアンソロジーなんやけど、ほろよいになるのはアルコールじゃなくて恋愛やった。
恋愛やった。(二度言う)
まさかこんな恋愛短編ばかりとは思わず、いやいや、案外アルコールと恋愛は近しいものなのかもしれない。
恋愛小説が好きというわけではないけど、そうと思って読んでいなかったので毎回この「甘酸っぱさ」に「ワーッ」 -
Posted by ブクログ
読むのを楽しみにしてた。好きな書き手の人が私が好きな料理をつくることをテーマにアンソロジーって…!
いやー、どれもおもしろかった。ほんとに。さすがでございます…
西條奈加さんの『向日葵の少女』は舞台設定で上品が雰囲気が漂いながらもミステリーっぽい話の進み具合で、大きなテーマを複数かけあわせてまとまったひとつの話にできるのすごすぎるし結末には心があたたかくなった
千早茜さんの『白い食卓』は主人公がいけ好かないやつすぎるのだけど話が進んでいくごとに料理の恐ろしさというか、食事を他者に委ねることってそういうことだよなあ…生きるための手段のひとつを他者へ委ねるというのは尊いとされたり愛情の証左とされた -
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ネタバレ「善人長屋」「閻魔の世直し」の続編。
表題作回は、お縫の父・儀右衛門と、母・お瞬の馴れ初めの話。
なぜ、母はこんなにも父を慕うのか。こんなにも信じているのか。
儀右衛門がお瞬にプロポーズをした日、大川は嵐に見舞われ、氾濫寸前だった。身投げをしようとしたお瞬の下に、ずぶ濡れの儀右衛門が現れる。
お瞬は限界だった。水仕事で調子に乗って、男たちを手のひらの上で弄んでいたと思っていたら、仕返しとばかりに拉致監禁の上、手籠にされてしまった。
一命は取り留めたものの、残していた財産は強盗に奪われ、一文無しになった。江戸から離れようと決心したその日、嵐がやってきた。
嵐の中、病に臥した祖母を背負い、深川 -
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ネタバレ「善人長屋」の続編。
前作でお縫たちと知り合った盗人頭・月天の丁兵衛が、野党に襲われるところから、物語は始まる。そこから存在があらわになる『閻魔組』。世直しを大義名分に掲げ、悪党全員皆殺しと言わんばかりの暴虐の限りを尽くす彼らを疎う善人長屋の悪党たち。その中にどこ吹く風の正真正銘の善人・加助。
ある日、千七長屋に訪れた一人の侍・白坂長門。千七長屋で質屋を営む儀右衛門の娘・お縫は、憮然とした侍に、まさかの慕情を抱いてしまう。
しかし、その白坂に「閻魔組の一味ではないか」という疑念が、長屋の衆でうそぶかれる。
混乱するお縫の下に、びしょ濡れの加助に背負われた白坂の姿が現れる。さらに混乱する