西條奈加のレビュー一覧

  • 婿どの相逢席
     この時代には珍しい女系の家に婿入りした鈴之助、色々と不甲斐なさを自覚しつつも、いつの間にか大活躍。
     婚家の女たちはそれぞれ癖強いがだんだん可愛さが見えてくる。夫婦仲の良さは微笑ましい。
     全てが解決した後、泰介がすぐに板前に再昇格できたのか少し気になっている。
  • 首取物語
    和風ファンタジー。善とは悪とは何か考えさせられる。いろんな国で人々と関わっていき、それぞれのエピソードもよかったし、少しずつ謎が明らかになっていく様子もよかった。登場人物の特徴をよく捉えた挿し絵も素敵。おじさんと少年の遠慮ない会話がいきいきとしてよかった。
    最終章が説明っぽかったのがちょっと残念。
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)
    ゴメス、やっぱり無敵だw
    久々すぎて、ゴメスは女性だったよね?というところに自信がなくなってたけどw
    豪快すぎるその姿に言動。なのにお名前が「寿々」というのも愉快。
    江戸国という特殊な設定がうまくいかされていて最初から最後まで目がそらせない展開。
    ゴメスの部下たちも個性的で好き。
    黒幕のあの執念は恐...続きを読む
  • ほろよい読書 おかわり
    300ページ
    690円
    5月15日〜5月16日

    人気作家たちの短編集だけあって、おもしろかった。読み終わえた後、スッキリとした気持ちになっており、お酒が飲めない私でも、お酒を飲んでみたくなる話ばかりだった。
  • 涅槃の雪
    すっかりフアンとなった西條奈加さんの作品。
    北町奉行所与力が主人公となれば、きったはったの捕物話かと思いきや、「お役所」に勤める不器用で真面目な「中年平社員」の日々が描かれていて、いつの時代も変わらない仕事の上での理不尽さやままならない日常に、共感するからこそ鬱々してしまう感はあった。ただ、登場人物...続きを読む
  • 首取物語
    西條奈加さんが好きです。
    この本棚には、この本以前に登録してないのですけど。

    ジャケ借りしたので、内容は知らずに読む。
    記憶のないトサとオビトの二人旅。
    不思議な国を巡りながら、いつしか二人の間には親子のような情が生まれるが、やがて自分たちの深い因果につながれた過去を思い出す。

    二人にはそれぞれ...続きを読む
  • 心淋し川
    本当に、本当に素晴らしい物語でした
    全ての短編であっ、と驚きがあり、がらりと見えていた景色が変わり涙が溢れていました
    心に沁み入る切なさと温かさが共存していました

    本書は、江戸の淀んだ心(うら)淋し川の辺りにできた、吹き溜まりのような心町に住み着く、いろいろなことから逸れて行き場を失ったような貧し...続きを読む
  • 歴屍物語集成 畏怖
    面白かった!
    怒涛の一気読みでした。

    天野先生の『死霊の山』がお気に入りです。信長が仏閣を焼け打ち、撫で斬りにしているのは有名ですが、この物語のラストシーンが胸に染み入ります。
  • ほろよい読書 おかわり
    前作の「ほろよい読書」よりもこちらの方が私好みの話が多かった
    どのストーリーも主人公の心情に私の心情が乗っかる感じで共感できるところが多かったからかもしれない
    5作目のストーリーに出てくるお店があったら私も常連になりたいなーと思う
    美味しいご飯とお酒 居心地のいいお店
    私にとってのそんなお店を見つけ...続きを読む
  • ほろよい読書 おかわり
    美味しいお酒をゆっくり飲みたくなる。
    オイスターバーにも行きたいし、荒川線沿いの料亭のような提灯居酒屋にも行きたいな〜
    オイスター•ウォーズに描かれていた社会はリアルに近いのかな。20代の若者たちは、気づかないうちに、仕事への向き合い方とか、会社に対する考え方とか、自分のあり方とか、理想像やら、
    ...続きを読む
  • 心淋し川
    こころさびし、ではなく、うらさびし、と読む。
    根津近くの小川を心淋し川というらしい。
    遊郭の界隈と裏腹に寂れたボロ裏長屋の人情もの。連作短編。
    一作一作、独立しているが、一本通る柱があり、最後にさりげなく収束。
    哀歓とちょっと背筋が冷える話と、バリエーション豊か。
    直木賞受賞もさすがです。
    しみじみ...続きを読む
  • 隠居すごろく
    定年退職して、4年。旅行に出かけたり、ジムや料理教室に通ったり。そんな日々を過ごしながら、かつての教員の仕事に関わる仕事も週の半分してきた。別の仕事に就く仲間もいたが、自分にはこれしかできないと思って時間を使ってきた。この本、迷いを吹っ飛ばし、自信を持ってこれから過ごしていける、覚悟をもらった。
  • うさぎ玉ほろほろ
    江戸の菓子屋、南星屋シリーズ3作目。安定の面白さだった。

    この物語の魅力は、なんといっても登場人物達にあると思う。武家出身ながら、菓子屋を営む治兵衛、出戻り娘で、治兵衛の菓子帳を絵本がわりに育ったお永、元気いっぱいの看板娘である孫のお君、治兵衛の弟で、甘いものに目がない高名な僧侶、石海。そして、前...続きを読む
  • 隠居すごろく
    心暖まる人情時代小説、まさに!主人公のご隠居さんが、融通の利かない素直でもない奥さまに優しくもないじいさまなんだけど、変わっていく、というか本来の人のよさが表に出始めるというか、ぶつぶつ言いながら楽しみを見出だしてしまうあたりがニヤッとしてしまう。卑怯な相手に大声できる啖呵とか最高。他の登場人物もと...続きを読む
  • まるまるの毬
    とても良かった。
    誰かを想う気持ちに溢れた優しい一冊だった。

    菓子店“南星屋”を舞台に元武家の店主、その娘と孫、僧侶である店主の弟の日常を描く。
    日々持ち込まれる厄介ごとを家族で支え合いながら乗り越えていく、その姿に心揺さぶられた。

    ☆4.8
  • 江戸に花咲く 時代小説アンソロジー
    <江戸の祭り>をテーマにした時代小説アンソロジー。
    祭りぎらい西條 奈加/狸穴屋お始末日記シリーズより    
    天下祭諸田 玲子/武道の達人だった初老の男の所に押しかけてきた娘 
    関羽の頭頂三本 雅彦/運び屋円十郎シリーズより 
    往来絵巻高瀬 乃一/貸本屋おせんシリーズより 
    氏子冥利宮部 みゆき/...続きを読む
  • 千年鬼
    可愛らしい赤鬼と子供の表紙からは想像できない切なくなるお話。でも読み終わった後に温かな気持ちになれる。今は苦しくても前を向いて生きていこうと思えるいい本。小鬼と民が愛おしい。
    いつか2人がまた会えますように。
  • はむ・はたる
    「烏金」の続編。
    浅吉が勝平とその仲間たちに悪行をせずに生きていく術を教えて暫くが経ち、今度は
    勝平の仲間に焦点をあてた本作。
    貧乏長屋に住んでいて贅沢も出来ないけれど、平穏に暮らせる事が幸せと感じられる子供達、ささやかでも大事な事がと改めて思わせる作品。
    西條さんには、是非シリーズ化して頂きたいと...続きを読む
  • 心淋し川
    直木賞受賞に相応しい作品と思います。
    訳ありの人々が集い暮らす吹き溜まりのような町の日常を住人の生き様を通じて描かれています。事情は違えど心に空いていまった「淋しさ」という穴の始末を抱えながら日々を送る面々。善悪、幸不幸など関係なく己の価値観のみを拠り所に心の穴を埋めるためにもがく姿を思い浮かべなが...続きを読む
  • 千両かざり―女細工師お凜―(新潮文庫)
    ひとに疎まれてばかりの時蔵と女錺師として生きたい凛との出会い。悲しくもあり素晴らしくもあり、切なくもありといろいろなおもいを噛みしめながら読み勧めました。周りの人々との軋轢や気遣いも、凄く丁寧に描かれた素敵な作品でした。