西條奈加のレビュー一覧
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江戸中期から後期にかけての北方探検家 最上徳内 が主人公。
出羽の貧しい百姓の長男でありながら勉学において優れた才覚を見せ、蝦夷や千島列島、樺太などの調査を数多く行った。後に江戸幕府普請役となる。
ちなみに私は勉強不足で 最上徳内 という人物を知りませんでした(^_^;)
江戸に出た徳内は生涯の師となる本多利明の音羽塾に入門し 算術、天文学、測量、航海術などを学ぶ。
天明五年二月、時の老中 田沼意次の肝煎で起ち上げられた蝦夷地見分隊に師の推薦を受け 竿取(測量の為の竿を扱う者)として これに加わり蝦夷をめざして江戸を立った。
拠点となった松前藩では見分隊への監視の目がうるさかった。夷人 -
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感動で胸が震える作品。
この本に出会えて良かった。
微妙だと思っていたタイトルも、後半で効果的に深い感慨を抱かせた。
最上徳内は、江戸時代に蝦夷地を見分した実在の人物。
見分隊や算学塾の恩師たちなど、理解がある仲間に支えられていることに温かい気持ちになるし、徳内の強い探究心と敬愛の心が必然的に彼らとの出会いへ導いたのだと思う。
松平定信の寛政の改革により直面した苦労や、容赦ない自然の脅威など、何度も降りかかる困難はあんまりで胸が痛んだ。
しかし、思いがけないところで報われることもあり、何度も読みながら一喜一憂して没入した。
悔しくて仕方ないこともあるけど、仲間の志を背負って何度も蝦夷地へ渡り -
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最上徳内は貧しい農民の出ながら、9回もの蝦夷地探索の成果を以て幕臣に取り立てられた、江戸時代中期の探検家である。その頑健な足腰はもちろん、算術や測量、天文学に通じ、アイヌ語やロシア語まで習得し異民族との交流をしたスーパーマンでもある。千島列島を択捉島からウルップ島まで渡って北方領土の確定に尽力し、樺太も複数回渡って探検している。
その名の通り出羽国最上地方の貧農の家に生まれた徳内は、幼い頃から書物に親しみ江戸に出る機会を得て本多利明の音羽塾に入門する。そこで田沼意次肝いりの蝦夷地探検隊に抜擢され、松前から東の蝦夷地を踏破していく。蝦夷地の利権を独占しようとする松前藩の嫌がらせや、北の地の寒さ -
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読み始めて これはいつか読んだアンソロジーの中の一作だと気がついた。
あの時は誰の作かもあまり気にせず読んでいたけれど…
アンソロジーは宝の山ですねぇ。
この作品は武家の出でありながら菓子職人となった すでに還暦を迎えた菓子屋 南星屋の主 治兵衛が主人公。そして治兵衛には人に言えない出生の秘密があった。
今回は筋違いの恨みからヒドイことになってしまったけれど 文章にあったように 治兵衛は何ひとつ失くしてなどいない。本当に良かった。
次作を読むのが楽しみだ。「善人長屋」「狸穴屋」に続きまた一つ西條さんのシリーズものを読む楽しみが増えた。
個人的に石海が好きだ。五郎の時の彼も好きだ。
作中の銘 -
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旗本の奥勤めを引退して、町長屋でのんびり暮らしを楽しもうとしていたお麓のもとに、幼馴染の婆が二人、同じ長屋に引っ越してきた。
静かな余生が、三人集まるとカシマシイこと!
そこへ、夫の暴力に耐えかねて逃げてきたという大けがを負った女と美しいその娘をかくまうことに。
結局大けがを負った女は命を落とすが、娘は言葉を失っており、どこの誰かも知れない。でも、妙に育ちが良い雰囲気が見て取れる。
しかたなく娘を“お萩”と名付けて世話をすることに。
お萩は一体何者なのか?
金持ち商家や、お旗本がお萩を手に入れようとあの手この手を使ってくる。
カシマシイ3婆と、長屋の面々が大活躍する。
身分が低くても、数