西條奈加のレビュー一覧
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ネタバレ江戸の菓子屋、南星屋シリーズ3作目。安定の面白さだった。
この物語の魅力は、なんといっても登場人物達にあると思う。武家出身ながら、菓子屋を営む治兵衛、出戻り娘で、治兵衛の菓子帳を絵本がわりに育ったお永、元気いっぱいの看板娘である孫のお君、治兵衛の弟で、甘いものに目がない高名な僧侶、石海。そして、前作から、南星屋の職人に加わった雲平。みんな、懸命に働き、日々を楽しみ、困っている人がいれば寄り添って力になる。
こういう生き方幸せだなあ、と思わせてくれる。
もう一つの魅力は、もちろん和菓子!諸国を旅して様々な土地の菓子を覚え、試行錯誤して作る治兵衛。現代ではいくらでもできるお取り寄せを、江戸の町 -
Posted by ブクログ
西條さんの書き振りには不安がありません。読みながら、厳しさ、不安、緊張を強いられる作品が多いものの、優しさや温かさがどんどん増幅して、幸せな読後感を味わえるのを知っているので。時代物の難解な背景、人物の絡みについては、毎作品、冒頭で「説明」とも思えるほど詳細に、ストーリーに練り込まれているので、歴史に疎い私でも楽しめます。心を射抜く人生訓、処世術の数々にも唸らせられます。私にとって、2023ラストの一冊になったので、2024に生きる一節を…。
p382 「状況の良し悪しは重要ではない。前を向く明るさと、容易に潰されね気概さえあれば、たいていの苦難は凌げるものだ。」
徳兵衛同様、吝嗇な私は、続