西條奈加のレビュー一覧

  • 善人長屋

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    西條奈加さんの本で初めて読んだ本でしたが、とても読みやすい文体で、国語の教科書に選ばれても遜色ないと思いました。

    物語は人違いで現れた善人・加助を中心に、善人長屋と呼ばれる千七長屋に住まう人たちとのドタバタ活劇。

    笑いあり、涙あり、差別問題の警鐘も?

    続編の「閻魔の世直し」、「大川契り」も読まなきゃ損です。

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    2024年09月27日
  • 三途の川で落しもの

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    最後の天国の話,なんだかグッときたし,そうだと良いなって思う。
    番外編とかで続いてほしい。
    この3人のやりとり,もっと見ていたい

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    2024年09月12日
  • バタン島漂流記

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    17世紀中頃、江戸時代。尾張から漂流した颯天丸。黒潮とその循環流に乗り、遠くフィリピンのバタン島に漂着する。言葉も通じぬ異国で絶望する15名の運命。史実に基づく小説、漂流譚。
    江戸時代の船にまつわる専門的な用語にも注目。普通に会社で使う「すり合わせ」という言葉の語源を本書で知る。
    鎖国下での船乗りの生命力には感嘆する。

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    2024年09月04日
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)

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    ひっさびさのゴメスです!前作から結構経ってて、登場人物がなかなか思い出せませんでしたが…いやぁ面白かった~!にしても、ゴメス親分の経歴がスゴすぎて…いったい何歳なんだ?!本編はもちろん面白いんですが、おまけ劇場もなかなか…ほぅ、そんなエピソードが!って感じで良かったです。

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    2024年09月01日
  • バタン島漂流記

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    ★5 史実に基づいた江戸時代の漂流記、海の男たちの生き様を堪能できる歴史冒険小説 #バタン島漂流記

    ■あらすじ
    徳川四代目家綱の時代、尾張と江戸を航路を結び、物品の輸送を行っていた。船には船頭をはじめ、十五名の船乗りたちが乗船していた。しかしある航海の途中、突然の荒波に船が難破してしまい、彼らは太平洋で漂流することに… もはや生還は絶望的であった。

    ■きっと読みたくなるレビュー
    ★5 こりゃまた素晴らしい歴史冒険小説。海の男たちの生き様をガッツリ堪能できる傑作です。当時の船乗りの仕事を体験できる、海洋冒険小説でもありますね。

    そして本作はなんと史実に基づいた物語、いやはや読書というのは勉

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    2024年09月01日
  • まるまるの毬

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    おもしろかった。
    治兵衛と石海の兄弟の絆に心が温まり涙が...
    ラスト最高です。

    治兵衛の「大きな欲を出さず、無闇に敵を作らずに、ただ良い仕事をして人生を程良く送る」という生き方は、私の価値観とフィットしました。
    しかし、治兵衛ほど人間ができていないので、為右衛門に対しては謝罪の一言も無しか!?と腹が立ちましたが笑

    唐津銘菓という若みどりが気になって調べてみたところ、ネット販売でそれらしいものはなく、佐賀県まで行かないと食べられなそうでショック。食べたい。

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    2024年08月31日
  • 心淋し川

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    心をうらと読んで、心淋し川(うらさびしがわ)
    なんと吸引力のある名前だろう。
    その川の元へ流れ着いてきたのは、苦みや渋み、酸っぱさを体の深いところに染みつかせてきたような人たち。
    清らかとはいえない淀みのある川。けれどその周囲には、人の体温のようなものがあった。
    人の業(ごう)やわびしさを含めて、しんみりと静かに沁みこんでくる作品だった。

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    2024年08月30日
  • バタン島漂流記

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    ネタバレ

    西條奈加さんはまたしても全く予想もしなかったすごい話を書き上げましたな。大人の冒険譚というべきか,ワクワク・ドキドキが止まらない,そして最後はちょっと切ないお話。
    内容は,江戸時代に荷を運ぶ船が嵐に遭い,舵も帆も壊れて漂流することになるというもの。そして幾多の危機を乗り越え,乗員が奇跡的に全員無事でたどり着いたところは...。彼らは果たして故郷に戻ってこられるのか。江戸幕府の鎖国政策がどういうものかということも今まで知っていた知識とは別の観点で理解できた気がする。

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    2024年08月26日
  • バタン島漂流記

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    ネタバレ

    私の大好きなジャンルである漂流記。これも掛け値なしに面白かった。言葉の通じない異国にたどり着くというところが、どこか旅をしている気にさせるからだろうか。荒くれ者の船乗りたちが、色々ぶつかり合いながらも、力を合わせて、生き延びるというシチュエーションが好きというのもある。
    他の漂流記と違うところは、自分たちで作った船で日本に帰り着いたところ。はじめから船の構造がとても細かく描写されていたが、後半造船する場面に繋げる意味もあったのかも。

    西條奈加さんの文章も素直で読みやすく、ひさびさに心躍る読書だった。

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    2024年08月23日
  • 隠居すごろく

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    いやー、もう大好き!
    ご隠居の徳兵衛も千代太も、みんなみんな優しくてかわいい。手習も組紐も、子供芝居も全部全部かわいい。ほっこり。
    何度も読み返したいほっこり具合だった。

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    2024年08月19日
  • 隠居すごろく

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    巣鴨で老舗の糸問屋を営む6代目の徳兵衛だが、還暦を機に突然の引退宣言。慌てる長男と番頭達。歴代の偶数店主が店を傾かせたことから、金に皺く、口煩い頑固爺いとなっていた。妻を店に残し、隠居所へ一人で入ったものの、趣味も持たなかったことからやる事が無い。手習所に馴染め無いことから、孫が隠居所へ入り浸るようになる。この孫が強情な孫で、犬を拾ってきたり、汚い子供達を拾ってきたり、何度注意しても拾って来る。最初の方は祖父と孫がひど過ぎて読みづらいが、徐々に徳兵衛が変わってくる。拾ってきた子供達やその親達も巻き込んで、皆んなの生活が成り立つように商売を考え始める。最後は隠居所が20名ぐらいの人達を毎日受け入

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    2024年08月08日
  • 姥玉みっつ

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    幼なじみで、歳を経てから同じ長屋で暮らし始めた3人。
    ほんの少し煩わしく、賑やかなくらしに飛び込んできた少女。
    うーんさすが西條さん。おもしろい。
    3人ともよく喋って実に賑やか。笑。

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    2024年07月30日
  • 婿どの相逢席

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    ネタバレ

    仕出し屋に婿入りした、楊枝屋の四男坊、鈴之介と、婿入した逢見屋の人たちのお話。
    主人公の鈴之助は、逆玉で逢見屋に婿入りしたのはいいけれど、そこは女性が代々主を務め、男性はおまけみたいな存在。
    一瞬だけその境遇に腐った鈴之助たったけど、持ち前の素直さとコミュ力で?周りと打ち解けて困りごとなんか解決していき、人と人とを結びつけていく、そんなお話。

    主人公の鈴之助は、平凡で人の良い性格ではあるんだけど、嫉妬もするし余計なことも言っちゃうし、すぐもらい泣きなんかしちゃう。身近にいそうなキャラクターだからかとても好感がもてる。
    同じく西條奈加さんの「善人長屋」の時は、そこに出てきたのはホンマモンのぜん

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    2024年07月17日
  • 婿どの相逢席

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     この時代には珍しい女系の家に婿入りした鈴之助、色々と不甲斐なさを自覚しつつも、いつの間にか大活躍。
     婚家の女たちはそれぞれ癖強いがだんだん可愛さが見えてくる。夫婦仲の良さは微笑ましい。
     全てが解決した後、泰介がすぐに板前に再昇格できたのか少し気になっている。

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    2024年06月11日
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)

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    ゴメス、やっぱり無敵だw
    久々すぎて、ゴメスは女性だったよね?というところに自信がなくなってたけどw
    豪快すぎるその姿に言動。なのにお名前が「寿々」というのも愉快。
    江戸国という特殊な設定がうまくいかされていて最初から最後まで目がそらせない展開。
    ゴメスの部下たちも個性的で好き。
    黒幕のあの執念は恐ろしい。
    それにもましてタイトルにもなっている「因果の刃」の意味が凄まじい。そんなことを思いつくゴメスって。
    作中に「トコジラミ」が登場して、まさか、作者様何か先読みした?!とびっくりしたし。
    なんにしても、この続きを、今度はこんなに間があかないうちに読ませてほしい。

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    2024年05月26日
  • 涅槃の雪

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    すっかりフアンとなった西條奈加さんの作品。
    北町奉行所与力が主人公となれば、きったはったの捕物話かと思いきや、「お役所」に勤める不器用で真面目な「中年平社員」の日々が描かれていて、いつの時代も変わらない仕事の上での理不尽さやままならない日常に、共感するからこそ鬱々してしまう感はあった。ただ、登場人物それぞれが自分自身の想いや信念に従って行動していることは伝わってくるので、その矜持は気持ち良く理解でき、救われる思いがした。性格や立場や考え方の違いを善悪で決めつけない著者の姿勢が素晴らしい。
    ああ良かったなあと思わせる終わり方もさすが。だからまた、西條奈加さんの作品を読みたくなってしまう。

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    2024年05月15日
  • 心淋し川

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    ネタバレ

    本当に、本当に素晴らしい物語でした
    全ての短編であっ、と驚きがあり、がらりと見えていた景色が変わり涙が溢れていました
    心に沁み入る切なさと温かさが共存していました

    本書は、江戸の淀んだ心(うら)淋し川の辺りにできた、吹き溜まりのような心町に住み着く、いろいろなことから逸れて行き場を失ったような貧しい人々が織りなす暮らしを描いた連作短編集、時代小説です

    最近ぼくが手にとる本が、壮絶に苦しい現実を突きつけられるような話が多くて、もちろん学びもあるのだけど、現実もしんどいのに、フィクションまで苦しいの読むのしんど、とか思ってました(自分で勝手に選んでるだけやん!ってツッコミも甘んじて受け入れます

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    2024年05月12日
  • 涅槃の雪

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    胸が、ぎゅーっと、締め付けられ
    涙が止まりませんでした。
    今は、豊になり、
    食べ物に困らない時代。
    江戸時代の飢饉は、今後も
    後世に残していかなければならない。
    今だから、読む必要がある。

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    2024年11月14日
  • 歴屍物語集成 畏怖

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    面白かった!
    怒涛の一気読みでした。

    天野先生の『死霊の山』がお気に入りです。信長が仏閣を焼け打ち、撫で斬りにしているのは有名ですが、この物語のラストシーンが胸に染み入ります。

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    2024年04月25日
  • 心淋し川

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    こころさびし、ではなく、うらさびし、と読む。
    根津近くの小川を心淋し川というらしい。
    遊郭の界隈と裏腹に寂れたボロ裏長屋の人情もの。連作短編。
    一作一作、独立しているが、一本通る柱があり、最後にさりげなく収束。
    哀歓とちょっと背筋が冷える話と、バリエーション豊か。
    直木賞受賞もさすがです。
    しみじみした。

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    2024年04月04日