西條奈加のレビュー一覧

  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)
    生きることの苦しさ、死ぬ事の辛さ、どちらも地獄だとしたら、人間はそこから何を選ぶのだろう。重い内容だった。読み続けるのも苦しかったが、読まずには居れなかった。作者の無暁との道行を想像しながら、自分もいつか死を前にして抗うのかと思ったりする。無為に生き続ける事は出来ないと思った。
  • 曲亭の家
    西條さんの時代小説に登場する主人公の女性たちは皆、その時代の当たり前の女の幸せとは異なるものを求め、男たちに理不尽な仕打ちを受けても言い返せる強さがあって好きだ。
    お路が舅姑と夫と、腹を立てながらもうまくやっていき、自分がいなければ回らないことは時に生き甲斐にもなっている。
    代筆が行き詰まって舅に鬱...続きを読む
  • 刑罰0号
    読書、物語こそが0号技術であり、記憶追体験装置なのである。

    6つほどの短編が、少しずつ重なり合って全体像が見えてくる小説。
    最初は暗い話なのかなと読み進めるのに時間がかかったが
    後半になると0号技術に興味が出てきて、応用されていく使い方に読むのが止まらなくなった。

    私はこの本を読んで、0号体験を...続きを読む
  • 千年鬼
    「鬼の芽は、鬼ではなく人に宿る」
    過去世を見せて、鬼の芽を集める小鬼と黒鬼の話が短編集のように綴られていく。
    ファンタジーのような、昔話のような、可愛らしさと恐ろしさが混在して胸の中に流れ込んでくる。
    その旅の元となった悲しい出来事と、その最後が分かった時に、静かに乳色の霧が立ち込めて幕を下ろしたよ...続きを読む
  • 曲亭の家
    江戸時代、町人文化の花開いた時代につづく、粛清の時代を経て、曲亭馬琴の里見八犬伝を通じての、馬琴の長男の嫁、お路の一生を描く作品。

    西條奈加さんの本は、私にとってハズレはない。

    今回の本の内容も、すばらしい。

    蘭学粛清、華美厳禁で多数の文化人が手鎖、没収、板木の焼却など幕府からの圧力を与えられ...続きを読む
  • 善人長屋
    ″真面目で気のいい人ばかり″と噂の「善人長屋」。
    しかし陰に回れば差配も店子も裏稼業の凄腕揃い。
    そんな悪党の巣に、根っからの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底なしのお人好し・・・。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を...続きを読む
  • 猫の傀儡(くぐつ)
    猫好きで、時代小説好きなので楽しめる一冊でした。

    1話ごと別々の話かと思いきや、一番の謎であった
    前の傀儡師の順松の失踪が絡んでいて
    ミステリーとしても楽しめました。

    続きがあれば読んでみたいです。
  • 永田町小町バトル
    一気読み‼️

    法知識も増えて、今の日本の問題も分かる、優れた作品でした。

    何より、日本はここまで落ちてしまったのか、と言うことが実感出来ると同時にまだ間に合うかもしれないと希望を抱くことができる。

    傑作です‼️
  • はむ・はたる
    作品紹介・あらすじ
    掏摸やかっぱらいで食いつなぐ暮らしを改めて、まっとうな商売を始めた、勝平をはじめとする十五人の孤児たち。彼らは周囲の小さな事件を解決しながら、自分たちの居場所を拓こうとする。厳しくも温かい長谷部家の人々や、口の悪い金貸しお吟らの助けも借りながら、子供たちは事件解決に奮闘する。笑い...続きを読む
  • 曲亭の家
    読み進めているうち、北斎を扱った朝井さんの作品「眩」と重なる。歴史に名が残った陰には当然支えた人たちがいたこと、改めて思い知る。直木賞作品より読み応えあった。「それまでの世間の常識が、人為でくるりとひっくり返る。それが政治というものだった」「必要だけの会話は角が立つ。女はそれを本能で察し、笑いや愚痴...続きを読む
  • 烏金
    内容(「BOOK」データベースより)
    因業な金貸し婆・お吟のもとへ押しかけ、金貸し業の手伝いをする浅吉。新しい発想で次々と借金をきれいにし、貧乏人たちを助ける彼には、実は秘密があった。大金を得るべく浅吉が仕掛ける真の目的はいったい…。日本ファンタジーノベル大賞作家が江戸を舞台に描いた痛快時代エンター...続きを読む
  • 千年鬼
    ご都合主義でもいい、もう少し救いがほしかった。 出産のシーンは本当にやるせなくて泣くに泣けなかった。 ただ、物語を通して流れる穏やかで優しい雰囲気がとても好きで、知らないうちにどっぷりハマっていたらしく、読み終わってしばらく呆けてしまった。
  • 曲亭の家
    「南総里見八犬伝」を著したことで有名な、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の息子に嫁いだ、お路(みち)の生涯。
    人気戯作者の息子と、我が娘との縁談!とややミーハーな両親は舞い上がり、馬琴のせっかち(実は占いに従ったともいう)も手伝って、見合いから約半月で結婚した。

    しかし、夫・宗伯(そうはく)は病的な癇癪持ち(...続きを読む
  • 上野池之端 鱗や繁盛記
    貧しい女の子が 田舎から江戸に奉公に出される。
    それも あやしい商売の料理屋
    賢い女の子が ハンサムな若旦那とともに店を盛り立てていく話し。
    と思うと ミステリー
    昔 死んだ女将さん 幽霊のふりで現れた店を追い出された従姉妹
    水戸の本店で 本当は あった殺人事件
    次々に暴かれていく。
    面白くて一気に...続きを読む
  • いつもが消えた日
    内容(「BOOK」データベースより)
    中学三年生の滝本望は祖母と神楽坂でふたり暮らしをしている。芸者時代の名前でお蔦さんと呼ばれる祖母は、粋で気が強く、ご近所衆から頼られる人気者だ。後輩の有斗が望の幼なじみとともに滝本家へ遊びに訪れた夜、息子ひとり残して有斗の家族は姿を消していた―。神楽坂で起きた事...続きを読む
  • 曲亭の家
    曲亭馬琴とその息子の宗伯、そして息子の嫁さんの路の生涯、路の苦難の人生、なかなか含蓄のある物語、その他知った人物も出て読み易かった。最後に"人の幸不幸はおしなべて帳尻が合うようになっている"は名言だ。感動した!
  • 九十九藤
    好みの話しです。不幸に負けない 自分の才覚で運命を切り開いていく若い女性が主人公
    助けてくれる周りの人たち
    お品という天女のような女主人は 気持ちをわかってくれる親友のよう
    昔助けられた黒羽の百蔵とのロマンス
    最後がハッピーエンドなのもいいですね!
    読み終わって気持ちのいいお話しでした。
  • 銀杏手ならい
    最後の書評にもありましたが、ITが発達して、匿名性の中で荒んだ振る舞いが目立つ世の中で、心温まる小説を読みたい時にぴったりでした。
    学習障害のある子たちも、物語の中で包み込み、江戸時代はこんな感じで生きてこれたのかしら、とも。
    他の作品も読みたいです。
  • まるまるの毬
    心淋し川が良かったのでこちらも読んでみました。大鶉と南天月、食べてみたいなぁ。
    人情話に初めて取り組んだのがこの作品だったそうですが、本当、この世界にずっといたいなあと思う作品でした。読み終わるのが名残惜しかった。
    こちら続編があるんですね。続編も読みます!
  • 猫の傀儡(くぐつ)
    猫×人間の江戸ミステリー!
    猫好きには堪らない1冊。笑えて癒されて、ホロっとして…面白すぎて一気読み。
    登場人(猫)物も素敵な方たちばかりなので続編に期待したい♡

    西條さんの本は初めて読んだが、他の作品も読んでみたい。