西條奈加のレビュー一覧

  • 世直し小町りんりん
    穏やかな顔のもう一方で薙刀の達人、完璧そうな姉に方向音痴の欠点を持たせたり、ちゃきちゃきの長唄師匠の義妹が意外に酒に強くなかったり、といったところが魅力的。取り巻く男子たちの、時にライバル、時に同志のような関係も良い。
    一話一話の小さな事件と並行して動く大きな何か、誰が敵か味方か、最後まで退屈するこ...続きを読む
  • いつもが消えた日
    お蔦さんの神楽坂日記 は これが初めてです。

    3作目のようですね。

    お蔦さんとふたり 神楽坂にすむ望君が主人公

    望君の後輩が 家に帰ったら 両親もお姉さんもいなくて 血溜まりができている。

    という始まり

    このお蔦さんが素敵!

    商店街にも友だちがいっぱい!

    孫たちの学校の理事長 お巡りさ...続きを読む
  • 涅槃の雪
    今の時代にも通じる、世を動かす上の思惑で右往左往させられ、地獄の苦しみを耐える庶民。そんな庶民のために働いてくれる遠山の金さんと、その部下、高安門佑。鷹のように鋭い顔なので鷹門と呼ばれています。主役の鷹門が私のモロ好みで、読み終えてしまうのが寂しく、割に読むのが早い方なので前半面白すぎて読み進め、鷹...続きを読む
  • せき越えぬ(新潮文庫)
    武士が主人公のお話は堅苦しそうで、どうかなと思いながら読み始めたが、武一や彼の父親と道場の師匠など身分にこだわらない人々のおかげで楽しげな会話が多く、宿場町で気軽に呑む場面も良い。
    箱根の関という、有名だが実態を見聞きしたことがあまり無かった機関が細かく描かれて興味深い。関所での少し退屈な日常業務と...続きを読む
  • 紙魚の手帖Vol.01
    こちらは、創刊第1号に敬意を表して購入。
    今月は財布のひもがゆるゆる。
    なんといっても、ビストロ・パ・マルの最新作が読めるのが楽しみ♪
  • 烏金
    時代小説ではありますが、
    難しい表現や引っかかる人物描写もなく、
    サクッと気軽に読めました

    へー、烏金と呼ばれる職業があったのかぁ
    素直にそう感じ、どんな時代も庶民は様々な仕事で生きていたんだろうなぁと想像も膨らんだので、最高評価です

  • 千年鬼
    章途中とラストで涙がポロリとこぼれた。
    終始とても読みやすく、登場人物に感情移入もしやすかった。
    ラストは読者の捉え方によっては変わると思うが、私は良い終わり方だと思った。タイトルの意味を改めて考えるとまた違った視点で深いお話だと感じる。とにかくめくるページが止まらなく、1日で読み終えるほどには面白...続きを読む
  • 刑罰0号
    初西條奈加がこの作品でエエのか?すごく良くできた近未来SFだが、時代小説を読まずして、この本でエエのか?

    死刑に代わる贖罪システムとして開発される0号。被害者の記憶を加害者に追体験させるシステムなのだが、このシステム開発者の一人が、父親殺しの犯人に私的に使ったことから物語が動きはじめる。

    記憶を...続きを読む
  • 婿どの相逢席
    人の懐に入っていける力

    こんな力をかわれて おおだなの婿に

    姑しゅうとめ 小姑 女しか店の主人と認めないうちに

    入って 少しずつ周りの人の懐に入っていく。

    最後は 謎めいた兄弟の話しも

    一気に読めました。
  • 九十九藤


    とても良かったです…。


    登場人物が魅力的すぎて、映像化してもらいたいくらい。特にお藤、お品、百蔵を見てみたいなぁ。

    皆の、仕事への取り組み方、辛い過去があっても生き抜く強さ、成長に励まされ、前向きになります。
    ドキドキが止まらない危うい場面もたくさんあって、ページをめくる手が止まり...続きを読む
  • 婿どの相逢席
    初出 岩手日報ほか12紙

    主人公の楊枝屋の四男鈴之助は、仕出し屋逢見屋の美人の長女から望まれて婿に入ったが、そこは大女将、女将、若女将の女系が支配する家で、いきなり「凡庸だから婿にした。家業に口出しは無用。」と宣告される。
    鈴之助は、同じ立場の義父だけでなく、鬱屈を抱える義妹たち、奉公人に優しく誠...続きを読む
  • 婿どの相逢席
    殺伐としたミステリーが続いた後だけに、人情噺にホンワカ癒された。同じ問題抱えていても、心がささくれ立った現代では、成立しがたいのだろうか?「夫婦でも親子でも、気持ちの掛け違いは実に容易く起こり得る。誰よりも近くにいて、共に暮らすからこそ、諍いの種は、無尽蔵にそこら中に落ちて尽きることがない。それを毎...続きを読む
  • 九十九藤
    祖母に仕込まれた口入屋稼業を江戸で始めることになる藤。もちろんそう簡単にはいかないけれど、その才覚と仲間の助けで切れ抜けていくストーリーに、どんどん引き込まれて応援してしまっていました。
    困難な場面でも、増子屋のお品さんの浮世離れしたところに気持ちが救われるようで、そこもまた読んでいて楽しいポイン...続きを読む
  • 涅槃の雪
    あの遠山の金さんの元で働く、武骨な町与力「高安門佑」の物語。
    老中「水野忠邦」の改革に異を唱える北南町奉行の苦労と挫折、と共に門佑の妻となる卯乃との交流が同時進行で語られていく。
    短編からなるお話も、表題作「涅槃の雪」が沁みる。
  • 刑罰0号
    読んだ後に心にずしんと来る様な重いコンセプトのものを探していたので購入。0号の技術又はその応用について、話が飛躍しすぎていて現実味がないように思える場面もあったが、0号が本当に実現したらどんな世界になるのだろうかと考えてしまうほどに物語に没頭してしまった。原爆、刑罰、テロ、精神病治療…と様々な題材が...続きを読む
  • 婿どの相逢席
    人情味溢れるお話に心が洗われました。その時代に生きた人々の台詞が粋で、じんわり染みてきます。柔軟性のある鈴之助としっかり者のお千瀬、素敵な夫婦です。
  • 九十九藤
    大好き。江戸の話なのに、仕事の知恵、家族の温かさ、恋のときめきが詰まってる。男顔負けの強気なお藤は気持ちがいい。お藤を支える冬屋の面々も素敵です。素直じゃない島五郎が好きだし、危険人物・黒羽の百蔵も好きになってしまいそう。読んでいくうちに各人物の過去が明らかになっていくのも見逃せない。
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)
    人に支えられて育ち、島流しの経験も経て支える立場になってからは円満な終焉が読めるのかと思っていたけれど、最も厳しい事を自らに課す主人公。
    飽くことなく読んでしまいました。
  • 涅槃の雪
    悪名高い、天保の改革の中くらいで若き町与力の高安門佑
    苦悩しながら成長していく姿に感動。
    北町奉行の遠山影元や鳥居耀藏らの捉え方も面白かった
  • 曲亭の家
    しんみりとした読後感。お路が生きた時代に想いを馳せ、家族、夫婦、親子とは、を考えさせられた。昔とはいえ、お路の辛抱強さに唯々感服。