西條奈加のレビュー一覧
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隠居こそ、人生の上がりだと思って仕事してきていざ仕事を止めて隠居してみたもののする事がない。
そんな徳兵衛がなし崩し的に巻き込まれて巻き込んで隠居暮らしを楽しんでいく話。
『仕事を楽しむ心がある。楽しいうちは投げ出すこともなく苦労を苦労とも思わぬもの。
…
楽しいだけでは済みませんがなんといいますかやり甲斐といった方がよいのかもしれませんね。
…仕事なのだから、つらくともあたりまえ。堪えるよりほかにならろう。』
仕事だからこそ、ちゃんとやる。だけど同じくやるんでも楽しんでできたらいいね。
私にはそこがいちばんぐさっときた。
西加奈子、他のも読んでみたくなりました。 -
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ネタバレ最上徳内という人がどんな人物であったのか、この作品で初めて知ることができた。創作ではあるけれど、魅力的に描かれていた。徳内はいろいろな人との縁を得るが、善人ゆえの運がついて回ったようだ。
そして、徳内が出会うアイヌたちの、なんと魅力的なことだろう。この小説を読んで一番に感じたのは、じつはそのことだった。松前で出会うイタクニップ、アッケシで出会う少年フルウとその家族。古老のムシウカ。厚岸アイヌの惣乙名イコトイ。勇ましいツキノエ。
徳内が果てしない景色の広がる蝦夷地に足を踏み入れてまず感じたのも、自然の厳しさと、そこに暮らすアイヌたちの素晴らしさだった。彼らは家族を大切にし、礼儀を重んじ、知恵もユ -
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あなたは、『三途の川』を見たことがありますか?
さてさてさん、最近調子に乗ってないですかー?という声が聞こえてきそうですね。『三途の川』は、死んだ人が渡るところでしょ。生き返りました!とか、でまかせ言ってお金を稼いでいる人じゃないんだから、そんなもの見れるはずがない!まあ、当たり前ですね。
でも、そういうあなたは、『三途の川』の何をご存知なのでしょうか?”見たことない”と言い切れるのに、”そんなものはない”と言い切らないのはどうしてでしょうか?なんだか、ちょっとおかしいですよね。『三途の川』というのは『あの世とこの世、現世と冥界のあいだに横たわる川』とされています。このイメージはおおよそ -
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西條奈加の連作ミステリ作品『秋葉原先留交番ゆうれい付き』を読みました。
西條奈加の作品は、昨年7月に読んだ『はむ・はたる』以来… 時代小説じゃない作品は初めて読みますね。
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著者新境地の人情ミステリ!
電気とオタクの街――秋葉原。
その交番に勤める権田は、筋金入りのオタク警官。
対してコンビを組む長身イケメン警官・向谷は頭はからっぽだが、類い稀なコミュニケーション能力の持ち主。
ひいては美脚の「足だけの幽霊」を連れてきてしまった。
2人は「足子」さんと呼び、彼女の死の理由を探し始める。
フィギア盗難、抱きつき魔、迷子、メイド喫茶のいさかい……ご当 -
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「 まるまるの毬 」に続くシリーズ第2弾!
南星屋で味わえる日本各地のお菓子が楽しみで早々に手に取りました。
手首を負傷した治兵衛と人探しで行き倒れ南星屋でお世話になることになった雲平。
成り行きでお店を手伝うことになり、お永とお君も加わり4人で相談しながらお菓子を考える様子が微笑ましい。
そんな何気ない日常にすごく幸せを感じました。
雲平が探している失踪した弟分・亥之吉の行方とその理由。
お店の周りをうろつくお武家らしき子ども。
いったい何がどうなっているのか。
登場人物それぞれが歩む人生。
お菓子も人間模様もますます楽しみな展開!
美味しくて人情味あふれる時代小説の世界観にすっかり魅せ