西條奈加のレビュー一覧

  • ビッグコミックオリジナル 2021年7号(2021年3月19日発売)
  • 銀杏手ならい
    初めてこの作家に巡り合えました。
    ややこしい大人の世界が描かれず、若くして離縁させられてしまった主人公、萌が教える手習所に通う子供達との温かいお話。
    一番良かったのが「五十の手習い」、無口な親方の描き方もよいけれど、高田郁「あきない世傳」の話の柱になっている伊勢型紙職人が描かれている。
    西條さん、高...続きを読む
  • 心淋し川

    続編出してほしいです

    裏ぶれた場末の町で生きるのに精一杯という感じが、なんとも閉塞感を感じさせますが、最後には救いがあって、大手をふってハピーエンドではないけど、絶望のまま終わらない所が後味良く、全話読めました。
    著者の西條奈加さんは時代小説以外も書かれているようですが、本作が素敵だったので、次も時代小説を読んでみたい...続きを読む
  • 閻魔の世直し―善人長屋―
    主人公のお縫が 心を寄せる白坂長門は 世の中を騒がせ 江戸の裏家業の親分たちをころしている閻魔組なのか? 最後まで はらはらさせられました。
    お縫の住む善人長屋の人たちが 温かい。
    シリーズになっているようなので 他のも読んでみたいです。
  • 九十九藤
    女性ながらに口入屋の差配をすることになったお藤。

    武家に中元を送り出すような口入屋の仕事は荒っぽい男相手で、女が務まるような仕事ではないのだ。

    だが、彼女は武家相手ではなく、商家相手の商売を考え、まず仕事を求めてきた人間に仕事を仕込むことから始める。

    だが、それは店のものの反発を招き、また他の...続きを読む
  • はむ・はたる
    掏摸やかっぱらいでなんとか生きてきた十五人の孤児たち。

    捕まったことをきっかけにまっとうな仕事を始めた兄貴分の勝平と子供たち。

    彼らの周囲には悪意や偏見に満ちた目がある。それをはねのけて生きていく彼らの元に届く小さな謎。

    それを解きながら成長する彼ら。そして彼らの身元引受をしてくれている武家の...続きを読む
  • 三途の川で落しもの
    後味が気持ちのいい話しです。
    ああ 天国や地獄は 本当はこんな所なのかもしれないなあ!とか思いました。
    三途の川と現実の世界とを 行ったり来たりしながら
    魂のこだわりを見つけて 開放する。
    なるほどなあ!と納得!
    若い人より還暦過ぎて読むと 納得できるなかもしれません。
  • 大川契り―善人長屋―(新潮文庫)
    2021/2/5
    儀右衛門さんかっこいい!
    人間が大きいわ。
    これもっと読みたいのにここまでしかないんよな。残念。
    髪結い伊佐次ばりに出て欲しい。
  • 心淋し川

    さすが直木賞!

    時代小説はあまり読まない。なぜなら歴史が苦手だから。でも、この小説は非常に読みやすく、先に先にどんどん読んですぐ読み切った。
    登場人物が多いわりに、話はややこしくなく、かと言って退屈ではない。最後の章が特に読み応えがあり、感動した。
  • 猫の傀儡(くぐつ)
    祝・直木賞ノミネート!

    猫飼いさん(猫好きさん)はもれなく、自分のことを猫の下僕だと思ってると思うんだけど。
    この作品は、そう思ってる人にピッタリのお話!
    猫に操られる「猫の傀儡」。
    私たちはやっぱり猫に操られていたんだと、納得した 笑

    猫好きさんは是非読んでみて〜!
    他の動物も出てくるから猫だ...続きを読む
  • 猫の傀儡(くぐつ)
    人を遣い、人を操り、猫のために働かせる猫の傀儡師「ミスジ」。
    面白かった!
    失踪した先代の傀儡師「頼松」、三日月烏、ユキ、赤爺…どのキャラクターも魅力的だ。ミスジの傀儡の阿次郎も好奇心旺盛で猫好きの好人物。その反面、人の闇も描かれていて、ミステリーとしても成立している。
    ぜひともシリーズ化して欲しい...続きを読む
  • 銀杏手ならい
    手習所の新米師匠、萌の物語。
    筆子たちとともに成長していく姿に元気づけられます。子どもたちを町の皆で見守る江戸の社会が今でも当たり前であって欲しい。年齢や家業、子供たちの得手不得手それぞれに合わせた教育が、現代でも普通であって欲しい。
    さらにそこでもうまく導かれずにいた子どもたちを受け入れる「椎塾」...続きを読む
  • 猫の傀儡(くぐつ)
    猫が人間を使って事件を解決する話。
    表紙に惹かれて読んでみたが、面白かった。
    猫の傀儡師の先代がいなくなって後を継いだ猫が、猫にまつわる事件だけでなく、先代の仇を討つとは。
    猫の生態を踏まえながら、その蘊蓄とともに書かれているので、思わずうんうんと思ってしまう。
    いろんな事件が繋がっていき、面白く読...続きを読む
  • 世直し小町りんりん
    最近、時代小説にハマってます。今回はまさに一気読み。心温まる短編かと思いきや、後半で加速し、全ての伏線が回収される最高のエンターテイメントでした。ストーリー構成とスピード感、美味いですねー。文章も好みです。NHKのBS時代劇か映画にでもなりそう。その時に2人の姉妹の配役は誰になるのか楽しみ。
  • 世直し小町りんりん
    与力の娘ながら長唄の師匠であるお蝶と、しっかり者のようで抜けているところもある兄嫁 沙十のコンビが気の良い男たちを従えて江戸の町で起こったトラブルを解決する物語。と思いきや、予想を遥かに超える大ネタが仕込まれていました。
    とことん真っ直ぐなお蝶以外の全員が単純に見た目通りではなく意外な過去や内面や能...続きを読む
  • 千年鬼
    人の心に生ずる「鬼の芽」を集める小鬼が主人公。小鬼がとても可愛い。黒鬼のキャラも良い。意外と黒鬼と天女はいいコンビな気がするw
    最初は小鬼の可愛さにほっこりしていたが、話が進むにつれて切なくなる。でも暗い話ではなく、読後感は良い。とても良かった。
    西條奈加さんの本は「御師弥五郎」に続いて2作目。好み...続きを読む
  • 千年鬼
    数年ぶりに再読。

    小鬼と民の無垢な心に改めて号泣。
    いつの日か、再び共に過ごせる日がくることを希望したい。
  • 亥子ころころ
    前作「まるまるの毬」に続く待望の二作目。前作の良さを損なわず、暖かな心配りで美味しいお菓子を作ってくれる南星屋の人々の姿に元気をもらえる。

    ひょんなことから雇うことになった若い菓子職人の雲平に刺激を受けより一層の精進を目指す治兵衛の姿に、成長と学習に年齢は関係ない、こういう歳の重ね方をしたいと...続きを読む
  • まるまるの毬
    こんなお店が近所にあったら、足繁く通ってしまいます!

    悪意にさらされても、危機に瀕しても、娘や孫娘、弟と力を合わせて乗り越えていく清々しさが気持ちのよい作品でした。
    何よりお菓子が美味しそう!
  • 刑罰0号
    被害者の記憶を加害者に追体験させることが、死刑に代わる贖罪のシステムになるのだろうか。記憶の共有が実体験の共有に繋がるのだろうか。
    何とかしたいと思う気持ちが一つの方向性を持った時事は進み始める。その意思が続く限り目標は近づくだろう。