西條奈加のレビュー一覧

  • 涅槃の雪

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    今の時代にも通じる、世を動かす上の思惑で右往左往させられ、地獄の苦しみを耐える庶民。そんな庶民のために働いてくれる遠山の金さんと、その部下、高安門佑。鷹のように鋭い顔なので鷹門と呼ばれています。主役の鷹門が私のモロ好みで、読み終えてしまうのが寂しく、割に読むのが早い方なので前半面白すぎて読み進め、鷹門に魅せられると、別れるのが寂しく。少しずつ噛み締めるように読み、しかしとうとう読み終えてしまいました。
    今や鷹門のような男はそうはいません。男性もムダ毛まで処理し、パックし、美を追及する時代。
    鷹のように鋭い顔の男など淘汰されてしまいました。怖がられる容貌の人はことさら優しい人になります。生まれた

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    2021年10月31日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

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    武士が主人公のお話は堅苦しそうで、どうかなと思いながら読み始めたが、武一や彼の父親と道場の師匠など身分にこだわらない人々のおかげで楽しげな会話が多く、宿場町で気軽に呑む場面も良い。
    箱根の関という、有名だが実態を見聞きしたことがあまり無かった機関が細かく描かれて興味深い。関所での少し退屈な日常業務と時々起こる小さな事件、現代のサラリーマンにもありそうな人間関係など、バランスがよく読みやすかった。
    出産を迎えた夫婦を救う「相撲始末」に心温まる。赤子だろうと女には女手形が必要とは驚き呆れた。

    友人たちも上司もそれぞれ個性的でとても魅力的。足軽の衛吉君は表彰ものだ。
    終盤の大事件に迫っていくにつれ

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    2021年10月22日
  • 烏金

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    時代小説ではありますが、
    難しい表現や引っかかる人物描写もなく、
    サクッと気軽に読めました

    へー、烏金と呼ばれる職業があったのかぁ
    素直にそう感じ、どんな時代も庶民は様々な仕事で生きていたんだろうなぁと想像も膨らんだので、最高評価です

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    2021年10月18日
  • 千年鬼

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    章途中とラストで涙がポロリとこぼれた。
    終始とても読みやすく、登場人物に感情移入もしやすかった。
    ラストは読者の捉え方によっては変わると思うが、私は良い終わり方だと思った。タイトルの意味を改めて考えるとまた違った視点で深いお話だと感じる。とにかくめくるページが止まらなく、1日で読み終えるほどには面白かった。
    ずっと読んでいたくなる文章!
    後日談的なのは、自分で想像して楽しみます(´˘`)

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    2021年10月01日
  • 刑罰0号

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    ネタバレ

    初西條奈加がこの作品でエエのか?すごく良くできた近未来SFだが、時代小説を読まずして、この本でエエのか?

    死刑に代わる贖罪システムとして開発される0号。被害者の記憶を加害者に追体験させるシステムなのだが、このシステム開発者の一人が、父親殺しの犯人に私的に使ったことから物語が動きはじめる。

    記憶をいじること、他人の意識を埋め込まれること、これらが頭脳にどう影響を及ぼし、それが人類にとってどういう変化をもたらすのか?個人の生活への影響から最終章ではテロリストの兵器として全世界に影響をもたらす様まで描かれており、非常に興味深い。風呂敷をたたみつつ広げつつ物語を収束させるという高等テクニックはさす

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    2021年09月27日
  • 九十九藤

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    とても良かったです…。


    登場人物が魅力的すぎて、映像化してもらいたいくらい。特にお藤、お品、百蔵を見てみたいなぁ。

    皆の、仕事への取り組み方、辛い過去があっても生き抜く強さ、成長に励まされ、前向きになります。
    ドキドキが止まらない危うい場面もたくさんあって、ページをめくる手が止まりませんでした。
    最後は胸に込み上げるものもあり、、ロマンチックで最高でした。

    総じて、江戸時代の人々のたくましさに、心を打たれました。自分のダラダラ具合に喝を入れなくなります。

    この本に出会えた自分を褒めたいです!


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    2021年09月16日
  • 九十九藤

    購入済み

    祖母に仕込まれた口入屋稼業を江戸で始めることになる藤。もちろんそう簡単にはいかないけれど、その才覚と仲間の助けで切れ抜けていくストーリーに、どんどん引き込まれて応援してしまっていました。
    困難な場面でも、増子屋のお品さんの浮世離れしたところに気持ちが救われるようで、そこもまた読んでいて楽しいポイントでした。

    #アツい #エモい #カッコいい

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    2021年08月29日
  • 涅槃の雪

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    あの遠山の金さんの元で働く、武骨な町与力「高安門佑」の物語。
    老中「水野忠邦」の改革に異を唱える北南町奉行の苦労と挫折、と共に門佑の妻となる卯乃との交流が同時進行で語られていく。
    短編からなるお話も、表題作「涅槃の雪」が沁みる。

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    2021年08月09日
  • 刑罰0号

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    読んだ後に心にずしんと来る様な重いコンセプトのものを探していたので購入。0号の技術又はその応用について、話が飛躍しすぎていて現実味がないように思える場面もあったが、0号が本当に実現したらどんな世界になるのだろうかと考えてしまうほどに物語に没頭してしまった。原爆、刑罰、テロ、精神病治療…と様々な題材が詰め込まれていて、それぞれの在り方について考えさせられる作品だった。作者さんのSFものをもっと読みたくなった。

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    2021年08月06日
  • 九十九藤

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    大好き。江戸の話なのに、仕事の知恵、家族の温かさ、恋のときめきが詰まってる。男顔負けの強気なお藤は気持ちがいい。お藤を支える冬屋の面々も素敵です。素直じゃない島五郎が好きだし、危険人物・黒羽の百蔵も好きになってしまいそう。読んでいくうちに各人物の過去が明らかになっていくのも見逃せない。

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    2021年08月01日
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)

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    人に支えられて育ち、島流しの経験も経て支える立場になってからは円満な終焉が読めるのかと思っていたけれど、最も厳しい事を自らに課す主人公。
    飽くことなく読んでしまいました。

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    2021年07月31日
  • 涅槃の雪

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    悪名高い、天保の改革の中くらいで若き町与力の高安門佑
    苦悩しながら成長していく姿に感動。
    北町奉行の遠山影元や鳥居耀藏らの捉え方も面白かった

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    2021年07月25日
  • 曲亭の家

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    しんみりとした読後感。お路が生きた時代に想いを馳せ、家族、夫婦、親子とは、を考えさせられた。昔とはいえ、お路の辛抱強さに唯々感服。

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    2021年07月10日
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)

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    生きることの苦しさ、死ぬ事の辛さ、どちらも地獄だとしたら、人間はそこから何を選ぶのだろう。重い内容だった。読み続けるのも苦しかったが、読まずには居れなかった。作者の無暁との道行を想像しながら、自分もいつか死を前にして抗うのかと思ったりする。無為に生き続ける事は出来ないと思った。

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    2021年07月08日
  • 曲亭の家

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    西條さんの時代小説に登場する主人公の女性たちは皆、その時代の当たり前の女の幸せとは異なるものを求め、男たちに理不尽な仕打ちを受けても言い返せる強さがあって好きだ。
    お路が舅姑と夫と、腹を立てながらもうまくやっていき、自分がいなければ回らないことは時に生き甲斐にもなっている。
    代筆が行き詰まって舅に鬱憤をぶちまけた後飛び出して行った街なかで、著作を待ち焦がれる読者たちの声を耳にし覚醒する場面が清々しい。
    『読物、絵画、詩歌、芝居、舞踊、音曲…… 衣食住に関わりないこれらを、何故、人は求めるのか?』
    感染症対策において「不要不急」と自粛を求められる今の世にも通ずる問いのようで、強く心に残る場面だっ

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    2021年06月19日
  • 刑罰0号

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    ネタバレ

    読書、物語こそが0号技術であり、記憶追体験装置なのである。

    6つほどの短編が、少しずつ重なり合って全体像が見えてくる小説。
    最初は暗い話なのかなと読み進めるのに時間がかかったが
    後半になると0号技術に興味が出てきて、応用されていく使い方に読むのが止まらなくなった。

    私はこの本を読んで、0号体験をしていたと思うと、本当に面白い。
    ますます読書が好きになった。
    もう一度読みたいので★5つ。

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    2021年06月22日
  • 千年鬼

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    「鬼の芽は、鬼ではなく人に宿る」
    過去世を見せて、鬼の芽を集める小鬼と黒鬼の話が短編集のように綴られていく。
    ファンタジーのような、昔話のような、可愛らしさと恐ろしさが混在して胸の中に流れ込んでくる。
    その旅の元となった悲しい出来事と、その最後が分かった時に、静かに乳色の霧が立ち込めて幕を下ろしたように感じました。
    各章の初めに語られる、言い伝えのような不思議な言葉が、重苦しいのだがとても良い。
    購入して何年かごとに再読したい作品。

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    2021年06月15日
  • 曲亭の家

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    江戸時代、町人文化の花開いた時代につづく、粛清の時代を経て、曲亭馬琴の里見八犬伝を通じての、馬琴の長男の嫁、お路の一生を描く作品。

    西條奈加さんの本は、私にとってハズレはない。

    今回の本の内容も、すばらしい。

    蘭学粛清、華美厳禁で多数の文化人が手鎖、没収、板木の焼却など幕府からの圧力を与えられ、あるものは筆を折り、あるものは投獄され、あるものは自死。
    そんな時代の中でも、時代考証を始め、細部にまでこだわりを貫く馬琴の強情でしつこい性格で、幕府の付け入る隙を与えなかった。

    馬琴以外の妻や子は体が弱く、嫁入りしたお路が一家の運営することになる。

    一度離縁を申し出家出するが、馬琴の病で、戻

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    2021年06月12日
  • 善人長屋

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    ″真面目で気のいい人ばかり″と噂の「善人長屋」。
    しかし陰に回れば差配も店子も裏稼業の凄腕揃い。
    そんな悪党の巣に、根っからの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底なしのお人好し・・・。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う!

    心淋し川で注目した西條奈加さんの本を読んでみようと思いどんな作品があるかと探すと、上の7行の善人長屋の帯に書かれていた文言で今作に興味が沸いた。

    まぁ1話完結しながら少しずつ話が進むんだろうなと思ったがその通り。
    そして想像より面白かった。
    読み進める毎に深まる登場人物のキャラクターが面

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    2022年07月10日
  • 猫の傀儡(くぐつ)

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    猫好きで、時代小説好きなので楽しめる一冊でした。

    1話ごと別々の話かと思いきや、一番の謎であった
    前の傀儡師の順松の失踪が絡んでいて
    ミステリーとしても楽しめました。

    続きがあれば読んでみたいです。

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    2021年06月05日