西條奈加のレビュー一覧
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ついに「時代小説」から「歴史小説」に。しかも満を持してアイヌと北方開拓。それでも西條さんらしい心温まる登場人物たち。たまたまだけどロシアのウクライナ侵攻が重なり、セリフが深く突き刺さる。「国というものは厄介なもの。内乱も外乱も戦が起きるのは必ず国境だ」「優劣の軛をつけることでしか人は安堵を得られないのか。人の業の深さ」「御上の代が替わるだけで手のひらを返すように言質を翻す」「信じようとしない者には、真実も嘘に化ける」「言葉とは本来、気持ちを伝えるもの。意味が分からずとも発することで互いの感情のありようが分かる」しかしアイヌの人たちからすれば、日本はロシアだよ…。
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Posted by ブクログ
ネタバレ江戸時代における人材派遣業、および人事コンサルタント業界で辣腕を振るう女性差配・お藤さんの半生記。
非常にからりとした気風の良い展開が快い冒頭パート・増子屋奮闘編。
お藤の過去パートでの出逢いに端を発する百蔵恋慕編。
口入屋の女主人としてもいち女性としても円熟を迎え、次世代へ継がれる志・明るい前途を感じさせるような、満月を浮かべすっきりとしたラストシーン。
まさに人生は山あり谷あり・紆余曲折・九十九折りの如く。なかなか真っ直ぐ最短距離では行けないけども歩みを止めなければやがては頂に到達する。
一貫して爽やかな印象の作品で、特に序盤の店の切り盛りの場面は人物がみんな活き活きとエネルギーに満ち溢れていてすごく面白い。
が、八部会との対立〜百蔵の決行というシリアス展開に差し掛かると物語が熱を帯びる一方、それまでの勢いが減じられ、お藤も葛藤に絡め取られる。それは百蔵においても同様で、小網町での二人のやり取りは第三者(読者)立場としても苦渋が伝わってくるかのよう。
いや、このシーンについてはもっと分かりやすく後押しする描写の方がスカッとするのだろうけど、言外に漂う生々しい駆け引きのようなものが作品に良い味付けをしているような。
書きながら気付いたが’葛藤’ってまさにこの小説を表した言葉だなあ。
悩み悶え傷を負いながらも絡まった蔓を振り解き前へ進む、たくましい上質な大人のラブストーリーだと感じた。
9刷
2022.1.19 -
購入済み
一気読み
実に良いです。それしか言いようがありません
あえて言うなら、お家でお読みください。
くれぐれも電車の中やカフェでお読みにならないようにご注意をうっかり泣きます。笑笑 -
Posted by ブクログ
今の時代にも通じる、世を動かす上の思惑で右往左往させられ、地獄の苦しみを耐える庶民。そんな庶民のために働いてくれる遠山の金さんと、その部下、高安門佑。鷹のように鋭い顔なので鷹門と呼ばれています。主役の鷹門が私のモロ好みで、読み終えてしまうのが寂しく、割に読むのが早い方なので前半面白すぎて読み進め、鷹門に魅せられると、別れるのが寂しく。少しずつ噛み締めるように読み、しかしとうとう読み終えてしまいました。
今や鷹門のような男はそうはいません。男性もムダ毛まで処理し、パックし、美を追及する時代。
鷹のように鋭い顔の男など淘汰されてしまいました。怖がられる容貌の人はことさら優しい人になります。生まれた時から、人から恐れられるという苦しみを耐えねばならないので。
そして水野忠邦の改革の急先鋒であった鳥居輝蔵もまた、おもてには見えない深い考えの持ち主。このお話に出てくる人たちは男も女もウカウカ生きてはいません。覚悟して、己の貫くものを大事に、いかに苦しくても折れることなく幸せになります。
涅槃の雪の意味が途中でわかりますが、私はその場面で大泣きしました。ぜひぜひ読んでください。 -
Posted by ブクログ
武士が主人公のお話は堅苦しそうで、どうかなと思いながら読み始めたが、武一や彼の父親と道場の師匠など身分にこだわらない人々のおかげで楽しげな会話が多く、宿場町で気軽に呑む場面も良い。
箱根の関という、有名だが実態を見聞きしたことがあまり無かった機関が細かく描かれて興味深い。関所での少し退屈な日常業務と時々起こる小さな事件、現代のサラリーマンにもありそうな人間関係など、バランスがよく読みやすかった。
出産を迎えた夫婦を救う「相撲始末」に心温まる。赤子だろうと女には女手形が必要とは驚き呆れた。
友人たちも上司もそれぞれ個性的でとても魅力的。足軽の衛吉君は表彰ものだ。
終盤の大事件に迫っていくにつれ益々目が離せなくなる。フィクションと史実の混ざり具合が絶妙なのだろうなと思う。