西條奈加のレビュー一覧
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とても良かった。
アイヌに魅せられた最上徳内の物語。
最初は、江戸時代が舞台の小説でやや堅く、読みづらい印象だったが、読んでいくうちにそれが気にならないくらい物語に引き込まれていった。
徳内の謙虚で内に情熱を秘めた人柄も、アイヌの人々の義理堅く温かい人柄もとても素敵で、幕府や藩の政治に虐げられながらも強く、真っ直ぐ生きようとする姿に胸を打たれた。
また、徳内と共にアイヌを旅してアイヌの人々と仲良くなる、そんな冒険ができてわくわくした。
アイヌへの情熱、アイヌの民との友愛や敬愛、師や仲間との絆、残酷な現実への憤り、それをどうにかしたいという優しさ、未知を探究する喜び、、とにかく心揺さぶら -
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江戸時代 尾張家御用の植木等を積んだ弁財船が三河沖で遭難し33日間の漂流を経てフィリピンのバタン島に漂着。その後 島で船員達が自力で船を造り約2年の後故郷に戻ってきたという実話に基づいた話。漂流したのは15名。3名が島で死亡。1名が島に残り戻ったのは11名だった。
船の構造や部位、船員の役割など聞き慣れない言葉に少々戸惑ったが 船とは1人で動かせるものではなく各々が各々の仕事をする事によって初めて動くものなのだと改めて理解した。だからそれを知る事は15名の人となりを知るうえでも意味があると思う。
嵐の中 波にもまれる恐ろしさ。漂流中 気力が萎え自死を考えてしまう恐怖。漂着した島での野蛮で耐 -
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ネタバレ廻船問屋『飛鷹屋』の末弟・鷺之介の夢は、日々を穏やかに暮らすこと。
傍若無人でかしましい三人の姉たちに日々付き合わされるのが嫌で仕方ないのだ。
しかし、姉たちと出かけた先々で、なぜかいつも事件が…
いやぁ、面白かった!
人情ものでも、しんみりではなく、テンポよく笑わせ泣かせて、ぽかぽか気持があたたかくなる。
やりたい放題の姉たちに振り回されながら色々と気を揉む鷺之介が愛らしく、三人の姉たちもそれぞれ強い思いを持っていて、ただのわがまま放題でもないのも良い。まさに、とりどりみどり。
最後は、五人兄弟を優しく育んだ亡き母との大きな秘密が明かされ、鷺之介を大切に思う家族にほろり。
駄目押しに、ひ -
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蝦夷地の研究者であったと思っていた。
最上徳内の話。
江戸時代、田沼意次が老中のころ。赤蝦夷風説考あたりは試験にも出たから知っている。ロシアの南下を危惧するのは昔も今も同じ。
江戸時代はまだ北海道にはアイヌの人々が多く暮らしていた。一応松前藩が蝦夷を管理していたが、それはもう奄美の島津家のごとく、隷属させ重労働を課していた。このやりくちは実に醜い。松前藩がひどい、和人がひどい。自然と共に精神性豊かに生きるアイヌを虐げた日本人が本当に情けない。
えどかを鎖国の時代、とは令和ではもう言わないかと。徳川が強い制限をかけ、オランダや清国を相手として貿易を独占していたというのが新しい見方かな?
日本 -
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隠居すごろくに続く第二弾は「隠居おてだま」
嶋屋の隠居・徳兵衛
第一弾のすごろくでは、人生隠居で上がりと思ったら…上がりどころか別のすごろくを始めてしまった
そんなお話。
今回は商いも孫や子供達もさらにパワーアップして
順調と思いきや?
世話している子供達の家、親子の話
そして徳兵衛の悩みの種の一人娘の話
親に振り回されてもたくましく元気な子供達に涙し
頑固で意固地、自分の性格をわかっていても変えられない徳兵衛がまさかのお登勢を離縁?
男にとって商い以外の厄介事は慣れぬお手玉を三つも四つも手にしているかのよう…
そんな第二弾も最高だった〜!!
さぁ次は何の遊びがタイトルになるのか?