西條奈加のレビュー一覧

  • 心淋し川

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    ネタバレ

    『首取物語』が面白かったので、こちらも読んでみた。やはり西條奈加作品はよい……!

    解説にもあったが、これも厳しさと優しさの物語。お気に入りは「はじめましょ」。希望に満ちたラストは見ているこちらも嬉しくなる。一方で怖かったのは「冬虫夏草」。親離れできない子どもの話かと思ったら、子どもなしには生きられない母親の話だった……。なるほど冬虫夏草。そして、物語全体を通してでてくる差配がいい味出していて、最終話でその人となりがあばかれるのだが、この心町で生き直した茂十の過去がまあ壮絶で……。でも、こういう町というか共同体の距離感は羨ましくもある。淀みを抱えて生きててもいいんだーって。

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    2025年05月14日
  • 無暁(むぎょう)の鈴(りん)

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    戸田家の庶子として生まれた垂水行之助は、あまりの利発さが災いしてか、義母と義兄から疎まれる。
    行之助は我慢ができず、義母と義兄に暴力を振るったため、小菅村の西菅寺に預けられた。
    住職から久斎と云う名を与えられ、小坊主として修行して13歳を迎えていた。
    武家の出ということから兄僧から辛く当たられていたが、早朝に出掛ける水汲みの先で、村の娘のしのに会うことが唯一の楽しみだった。
    しのの父親が亡くなり、葬儀代の代わりとしてしのは住職から陵辱され、それを苦に崖から身を投げて命を絶った。
    絶望感に苛まれた久斎は寺を飛び出し、目的のない放浪者となる。
    「もう自分の人生にもう朝は来ない」と考えた久斎は、無暁と名乗ることにする。
    そんな時に同じ歳の放浪者の兵吉と出会い、二人して江戸に向かう。

    二人は気が合い、運良く吉原でやくざ者として生計を立てることになる。
    自分たちの今後に何となく見通しを立てることができるようになったころ、敵対する組との諍いで兵吉が命を落とす。
    その意趣返しで無暁は人を殺め、八丈島へ島流しとなる。
    無暁は一生を八丈島で終える覚悟を持っていたのだが、反目していた父親の力で恩赦が与えられ20数年振で江戸へ戻ることができた。
    江戸に戻ってからの無暁は、世のため人の為になる僧を目指しての修行に入る。
    無暁が寺から逃げ出して以来、どれ程の人たちに救われてきたのかを常に心に抱いている無暁は、何が人を口から救うことができるのかとの答えを求めての修行の過酷さが綴られている。

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    2025年05月12日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    西條奈加作品には珍しいとも思った。読み終えてい、西條奈加作品に違いない。ただただ涙出る素晴らしい話でした。ぜひご一読をお勧めします。

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    2025年05月11日
  • 千両かざり―女細工師お凜―(新潮文庫)

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    善人長屋シリーズで西條さんの作品に出会い、続いて本作を手に取りました。天保の頃の世情も絡めつつ、職人の世界に生きる娘の奮闘ぶりを応援しながら読み進めました。収まりそうなところには収まらないドキドキ感で、物語の最後まで引っ張り込まれました。

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    2025年05月04日
  • ほろよい読書 おかわり

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    お酒をテーマにした5人の作家による短編集。
    青山美智子さんの「きのこルクテル」が好き。
    美人のバーテンダーとお酒の飲めない青年の思いをつなぐノンアルコールカクテル。
    彼女の趣味であるきのこ栽培を通して二人の距離が近づいていく。
    心が穏やかになる優しい作品。

    他の4作品も読み応えがあった。

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    2025年04月25日
  • よろずを引くもの

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    ネタバレ

    人生いろいろ。どんな人物も何かを抱えて生きている。
    そうした人の心にするりと入ってしまうお蔦さんは偉大。

    今回は表題作と『孤高の猫』が心に染み入りました。

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    2025年04月24日
  • まるまるの毬

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    お君ちゃん、
    今日のお菓子は何だい?

    頬が落ちて、心も温まる口福な時代小説。
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    西條さんはずっと気になっていた著者のお一人です。
    「心淋し川」も気になっていましたが、
    テーマ的に本作の方が読みやすそうで手に取りました。

    親子三代で営む菓子屋「南星屋」。
    お値段はお手頃で庶民味方だけど、味は天下一品。
    みんなから愛される菓子屋です。

    その南星屋を舞台に起こる様々な出来事。
    短編になっていて、それぞれにお菓子が登場します。

    時代版「和菓子のアン」という作品もこんな感じなのかな?と思いながら(読んだことないので違っていたらすみません。苦笑)

    各話で登場するお菓子をネットで検索して見ながら、
    南星屋さんの家族愛と、
    美味しそうなお菓子に癒されました。

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    2025年04月22日
  • 隠居すごろく

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    最初は面白いのか?と思いながら読んだが、ページが進むにつれ話の展開に引き込まれた。
    幼い孫が隠居の祖父を引っ掻き回し、厳しいだけの人から温和な人に変えていく様子や、周りの人々とのやりとり、次々と起こる事件が面白い。
    最後の章は目頭が熱くなった。

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    2025年04月22日
  • 千年鬼

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    もうちょっと時代に沿った言葉遣いとかの方が良かったかな 後半2つの物語がまだ良かったかな。時代者は言葉ももっとちゃんと昔の方がいいな。

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    2026年03月14日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    川越さんの「熱源」と同じくアイヌのお話。
    江戸時代の幕府も絡んで読ませてくれました。
    徳内とアイヌのみんなとの強い絆が美しく、心地よい感動を与えていただきました❗

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    2025年04月15日
  • バタン島漂流記

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    江戸から尾張に帰る船が漂流し、何とかたどり着いたバタン島で奴隷の様な生活をしながらも帰郷の夢を抱き続けるその執念に感服。

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    2025年04月14日
  • 善人長屋

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    ネタバレ

    感想書くため再読完了。やっぱりいいです。
    長屋の住人が自分を悪党と認識しながら、困っている人を助ける様、知恵や技を駆使する様に、玄人仕事のかっこよさがあって、爽快感があります。源平爺様、カッコ良すぎる。
    魅力あるキャラたちの中で、異色なのが加助さん。いい人すぎて厄介ごとを持ち込んだり、みんなの「仕事」の邪魔をしたりと、ハラハラさせてくれますが、なんか憎めないお茶目なおっさん。
    でも、彼にも後悔を伴う辛い過去があり、そこから逃れようと善行を強行してしまう歪みがあったことに、世の中ってグレーだなと感じます。

    長屋のみんなが悪党ながら、明るく気持ちのいい人たちで、「善人長屋」の二つ名通りに、厄介事に手をだして巻き込まれながら、精一杯前向きに暮らす様に、ポジティブさが溢れ出しておりました。

    安心して読める作品で、今度は続きが読みたいですね。

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    2025年04月14日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    西條奈加ていう人は、一種の「豪傑」だ。何しろ、「寛政の改革」を成し遂げた松平定信を「頭の固い、わからず屋の青二才」と断じてしまうのだから。しかし、その青二才のせいで、というか、おかげで、蝦夷地開拓が進んだというのは、歴史というのは面白い。

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    2025年04月12日
  • 初瀬屋の客 狸穴屋お始末日記

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    江戸時代の人情物と言ったらいいのかな!素晴らしい話しが6割。当時公事宿という宿があったことを初めて知った各短編とも面白かった。これからも良き作品を著して下さい期待しています。

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    2025年04月03日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    江戸時代、蝦夷に渡りアイヌとの共存を模索した最上徳内の伝記的小説。
    非常に興味深く、また、各々の人柄の伝わってくる丁寧な作品でした。

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    2025年03月30日
  • まるまるの毬

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     知り合いの中学生が受けた高校入試で、この作品の一部が出題されました。

     「おばちゃん、現代文は誰の作品が出ると思う?」
     と尋ねられたので、過去問題集を見ながら、

     「そうねぇ、この人の小説とか、読んでおく?」
     と、したり顔で何人かの作家の名をあげておきました。去年の夏の話です。

    けど、、
     時代小説は、ノーマークでした!

        Yちゃん、ごめんよぉ。。。

     見事、空振りしました。
     フルスイングで空振りして、勢いあまってヘルメットを飛ばした上に、もんどりうって、地面にひざまずいてしまった気持ちです。バッターボックスの土が、ユニフォームの膝を汚します。あ~ぁ、お母さんに叱られる。。。w
    (こんな書き方をするのは、センバツ高校野球の影響です。)(今も、エンモユカリモナイ学校の試合を眺めながら、これを書いています。)

     ずっとバッターボックスにうずくまっていてもしかたがないので(邪魔なので)、出典の小説を読んでみることにしました。
     わたしの出題予想も甘かったですが、この作品も、甘い和菓子屋さんのお話です。書名は『まるまるの毬』。毬は(いが)と読みます。連作短編小説です。

     このお話の舞台は、お江戸麹町にある菓子屋「南星屋(なんぼしや)」です。
    半蔵門から西に向かって、ゆるい弧を描く蛇のように長く伸びている麹町。その中ほど、六丁目の裏通りにあります。

     少し引用しますね。
    『間口一間(いっけん)のささやかな構えの店は、屋号の珍しさより他は、とりたてて目立つところもない。この辺りは北に番町、南に外桜田と、武家屋敷ばかりが軒をつらね、自ずと武家相手の店が多い。』

     五七調に似たキレの良い文体。眼前に見ているような江戸の町の描写。きっと、作者の西條奈加(さいじょう なか)さんの頭の中には、VRのように江戸の町並みがあって、そこを歩きながら小説を描いているのでしょうね。

     南星屋の店主は、治兵衛(じへえ)。十歳で五百石の旗本家の身分を捨てて、上野の菓子職人に弟子入りして修行を積み、その後は渡り職人として各地の菓子を学んだ人です。
     今日も、昼の鐘とともに、中から板戸が外されて南星屋が開店します。表には、多くのお客が、滅多に江戸では食べられないお目当ての菓子を待っています。

     さて、
     知り合いの子の高校入試問題は、2作目の「若みどり」から出題されました。
     ある日、武家の嫡男 十歳の、稲川翠之介(いながわ すいのすけ)が、治兵衛を訪ねてきて「弟子にしてください!」と頼みます。
     治兵衛は弟子入り許可はしませんが、次の日から翠之介は、毎日、南星屋の菓子作りを見に来るようになりました。
     半月ほどした頃の夕刻、翠之介の父親 崎十郎(さきじゅうろう)が南星屋に怒鳴り込んできます。
     
     入試問題文は、「治兵衛を前にして、崎十郎が翠之介に対して、弟子入りをやめるよう説得する場面」をもとに作られていました。

     祖父の頃は羽振りが良かった稲川家は、崎十郎の代になって窮乏しています。
     崎十郎は、翠之介が貧乏暮らしを嫌がって、菓子屋に弟子入りしたいのだと思っています。
     ところが、翠之介は、崎十郎が毎日、愚痴ばかり言っている姿が嫌で南星屋に逃れたのでした。
     二人の話を聞いていた治兵衛は、翠之介が本当は崎十郎を強く慕い心配していることを見抜き、翠之介に遠国への修業を命じて動揺させ、弟子入りを思いとどまらせます。
     
     説得の最後に、治兵衛は翠之介対し、「己のすべきことを修めて、それでも菓子屋になりてえなら、相談に乗りやしょう。それまでは、決してここへ来てはなりやせん。」と言います。

     「それまでは、決してここへ来てはなりやせん。」と述べたのは、なぜか? 八十字以内で書きなさい。
    が、問題でした。みなさんも原作を読んで、解答を試みてはいかがでしょうか。

     「みどり」というお菓子の作り方(砂糖を幾度もかけて縁取る)を例えに、翠之介に身を縁取ることを説く治兵衛。素敵なお話でした。読みやすい表現に、美しいリズムの名文でもあります。15歳の受験生に読んでもらうのにぴったりな文章だと思いました。

     ま、この出題ならイイかな(負け惜しみ)、と心のいがを収めて、まるまるの心を取り戻したわたし(みのり)なのでした。

     よぉし、来年こそは、出題予想をジャストミートするぞぉ!
    と、思ってみたものの、来年はもう予想する必要はないんだった。。。
     あぁ、見逃し三振の気持ち。。。

     でも、Yちゃんは、合格ホームランでした!⭐︎
     良かった良かった♡
      カキーン!⭐︎

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    2025年03月23日
  • まるまるの毬

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    上様のご落胤の事実をベースに、様々な季節のお菓子(お下賜)が絡む話が、楽しい。お菓子にまつわる、うんちくが面白いです。

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    2025年03月21日
  • 金春屋ゴメス(新潮文庫nex)

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    西条さんに、はまって
    デビュー作品を読んでなかったので
    読みました。
    歴史のなかで、流行り病は
    繰り返されてきました。
    病気との闘いは、生きている以上
    永遠のテーマ。
    何を守るのか、、、。
    人間の欲。自然との共存。
    色々、考えさせられました。

    今回の推し人物は、十助。
    だけど、辰次郎と、松吉の友情も良かった。

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    2025年03月21日
  • 亥子ころころ

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    このほっこりと心温まる感じがとてもいい。登場人物はみなそれぞれ味があって人間臭くて。こんな和菓子屋が近くにあるといいなぁ。

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    2025年03月20日
  • 大川契り―善人長屋―(新潮文庫)

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    「善人長屋」「閻魔の世直し」と読み進めてきて本作を手に取りました。お縫を取り巻く人々の悲喜交々のエピソードに心惹かれます。特にお縫の父と母の出会いを描く、「エピソード0」的な表題作の一編が一番印象に残りました。江戸の町人たちを描く人情ものをもっと読みたくなりました。

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    2025年03月20日