西條奈加のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
一穂ミチさん目当てで読み始めた一冊。
序盤は、読んでいる間はそれなりに気分が高揚して、まさにタイトル通り「ほろよい気分」にはさせてくれる。だけど、いざ読み終わってみると、あとに残る余韻があまりにもサラリとしすぎていて、どこか物足りなさが残る読後感だった。
お目当ての一穂ミチさんの一編を読み終えたときは、思わず「やったね!」と心の中で思った。やっぱりこの作家の描くものは毒薬だ!「ほろよい」どころか悪酔いしそうな、人間の不穏な心理描写は健在で、この強烈な一杯は楽しめた。
他にも、下戸だと言い出せない青年の葛藤を描いた一編には、男だからこそ「飲めない」と言えないリアルな空気感を感じて、身につま -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかったです。
物語は全6話で構成された、連作短編です。
社会の底辺の貧しい環境にあっても、
主人公たちが小さな希望や幸せを願って、寄り添いながら生きていく姿が胸に……。
各短編に登場する人物たちが交錯し、最後には
長屋全体の連帯感へと収束していきます。
川のよどみに囚われていた人々が未来へ向けて動き出すのです。
孤独の「点」が、お互いを救う「線」になって行きます。
「澱み」から「流れ」へ
流れないドブ川(心淋し川)のほとりから、それぞれの人生の「流れ」を取り戻すラストへと進みます。
人は他者と関わることで、過去の傷を乗り越え、
生き直せることを……。
作品の完成度も -
Posted by ブクログ
大好きな南星屋シリーズの最新作を文庫で。久しぶりに読む。江戸は麹町にある和菓子屋の話で、短編が詰まった人情物。国中を旅して地方の菓子のレシピを書き留めて歩いていた主が、江戸に腰を落ち着け、出戻りの娘と孫娘と3人で人気の菓子店を営んでいる。
前作で雲平という中年の菓子職人を新たに店の仲間に加えて迎えた3作目。冒頭に登場する旅好き菓子好きの中間が、なにやら事件に巻き込まれて行方不明になるところから始まる。
その謎が物語を貫く縦のモチーフではあるが、後続の話はしばしこの事件から離れた日常に起こる事件や騒動とそれを粋に解決する南星屋のエピソードになる。毎度登場する菓子がなんともおいしそうで、人情話