西條奈加のレビュー一覧
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私は千駄木の生まれ。当時とは大きく様変わりしているとはいえ、根津権現周辺の描写が目に浮かんだ。心淋し川が淀んだ川で、そこに集まる人々も一物ある人だらけなので少し複雑な気持ちが所々湧いてくるのだが、物語に意外性もあり先へ先へと読み進められた。登場人物は皆、どこかしら陰があり深いところへ心理描写が届いていて、多少なりとも誰しもが抱える心の暗部に触れることがあると思う。後味悪い結末もあるが、そうしたことから不思議と自分の中に溜まった澱が抜けるような、清められるような不思議な体験ができた。10月に旧安田庭園にて本書のイベントがある。楽しみにしている。
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Posted by ブクログ
星4.5
巣鴨の老舗糸問屋の主人、徳兵衛は、還暦を機に隠居し、憧れていた隠居生活に入ったが、それまで遊びらしい遊びをしてこなかったため、釣り、俳句、舞や三味線などなど、何をやっても楽しめない。
吝嗇で、人との付き合いもほとんどしてこなかったため、話し相手もいない。
そこへ、孫の千代太が隠居家に来て、最初は徳兵衛の嫌いな犬猫、それを咎められると人間の仲間を引き入れ、思ってもみなかった賑やかな生活を送ることになる、というハートフルストーリー。
徐々に心を開いていく徳兵衛の心理描写もさすがだし、出入りするたくさんの人たちもついつい応援してしまう。ぜひ、NHKあたりでドラマ化してほしいなあ。