西條奈加のレビュー一覧
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江戸時代中期、出羽の貧農に生まれながら和算、天文学、測量を習得し、アイヌ語、ロシア語にも通じ幕臣にまでなった最上徳内。
幾度となく蝦夷地を踏破し、クナシリ、エトロフ、カラフト(作中では意図的にカタカナ表記)まで探検した徳内の前半生記。
田沼意次政権下に企画された調査団に加わり初めて蝦夷地に赴いた徳内は、アイヌたちと交流しながら蝦夷の各地を巡るうち、北の大地やアイヌたちの魅力に取り憑かれ、松前藩の横暴に苦しめられるアイヌたちの境遇に胸を痛める。
時代人情物を得意とする作者らしく、主人公とアイヌたち、探検団員、和算塾の師や同輩、嶋屋の人たちとの交流は温かく、お互いへの思いやりに満ちていて、松前 -
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初読みの作家さんでした。
江戸の澱む川のほとりの長屋の住人たちを描いた六篇の物語。心に抱えたものを捨ててしまえば、忘れてしまえば楽になれるのに、と思ったけれど、それを抱きながら生きていくのも人生の深みを増すことになるのかな。
生きづらさもあるけれど、力強く生きる人たちと倹しい生活を送っているからこその人の優しさに胸が熱くなった。
世の中から弾き出されたからこそ、人の心の傷に寄り添えるのだな。
口は悪いのにどこか優しさのある4人の妾の物語がよかった。
生きにくいけれど居心地のいい場所、が彼らにとっての長屋なんだろうな。
※なんとなくChatGPTに「江戸の町人の優しさを描いた小説って?」 -
Posted by ブクログ
自身も離縁したい主人公が離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」(まみあなや)の手代見習いとなる話
公事とは、訴訟のこと
公事宿(くじやど)とは、訴訟のために地方から江戸に出てきた人が泊まる宿のこと
江戸時代、原則として離縁する権利は夫側にしか認められていなかった。妻が別れたいと思ったときは、夫から「三行半」(みくだりはん)と呼ばれる離縁状をもらうことが必要となる
主人公は、狸穴屋を訪れる人々の様々な離縁問題を解決しながら自身の離縁にも向き合っていく
主人公が、打ち込める仕事や、信頼できる仲間との交流を通して変わっていく様子が描かれていて、この時代の女性が自分の人生を決断することの大変さ