西條奈加のレビュー一覧
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初読みの作家さんでした。
江戸の澱む川のほとりの長屋の住人たちを描いた六篇の物語。心に抱えたものを捨ててしまえば、忘れてしまえば楽になれるのに、と思ったけれど、それを抱きながら生きていくのも人生の深みを増すことになるのかな。
生きづらさもあるけれど、力強く生きる人たちと倹しい生活を送っているからこその人の優しさに胸が熱くなった。
世の中から弾き出されたからこそ、人の心の傷に寄り添えるのだな。
口は悪いのにどこか優しさのある4人の妾の物語がよかった。
生きにくいけれど居心地のいい場所、が彼らにとっての長屋なんだろうな。
※なんとなくChatGPTに「江戸の町人の優しさを描いた小説って?」 -
Posted by ブクログ
自身も離縁したい主人公が離縁の調停を得意とする公事宿「狸穴屋」(まみあなや)の手代見習いとなる話
公事とは、訴訟のこと
公事宿(くじやど)とは、訴訟のために地方から江戸に出てきた人が泊まる宿のこと
江戸時代、原則として離縁する権利は夫側にしか認められていなかった。妻が別れたいと思ったときは、夫から「三行半」(みくだりはん)と呼ばれる離縁状をもらうことが必要となる
主人公は、狸穴屋を訪れる人々の様々な離縁問題を解決しながら自身の離縁にも向き合っていく
主人公が、打ち込める仕事や、信頼できる仲間との交流を通して変わっていく様子が描かれていて、この時代の女性が自分の人生を決断することの大変さ -
Posted by ブクログ
表紙絵の和菓子。
名前いっぱいあるけど、この場合、御座候よなー。
あ、でも江戸が舞台なら違うのか。
とか、ちょっとウキウキしながら読み始めるも、すぐに雲行き怪しくなってしまった。
あまりに何も起こらない。
趣のある和菓子の表現にごまかされてる気がする。
このままじゃ脱落する。
と思い始めたら、中盤の「大鶉」で待ったがかかる。
ほっとするも、ありきたりではあるなぁ、と少し逆戻り。
そして最終話の「南天月」
人情に厚い話で見事逆転。
その後を知りたいと魅力に落ちました。
どうやら、謎解きや事件があって当たり前になってしまっている。
戦国の世じゃない平和な時代って事も考慮すべきだったな。
脱