あらすじ
善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主買(けいずか)い。髪結い床の半造は情報屋(ねたもと)。唐吉、文吉兄弟は美人局(つつもたせ)。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが……。人情時代小説の傑作!
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【あらすじ】
善人ばかりが暮らすと評判の長屋の住民として錠前職人の加助が加わることになった。
実はこの長屋で暮らす住民たちは、それぞれに裏稼業を持つ悪党ばかりだったのだが、人助けが生き甲斐の加助によって持ち込まれるいざこざの解決に手を貸すことになり・・・・・・。
【感想】
こういう話、大好きです。重過ぎず、かといって軽過ぎず、程よい長さの人情話が9篇収録されています。
登場人物たちの個性も豊かで、今後、この人たちの関係性がどうなっていくのかも楽しみですね。
続編も出ているようなので、読んでみたいと思います。
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江戸の町人物の小説を探していて、本作を手に取りました。短編を読み進めるごとに、登場人物の一人ひとりにどんどん感情移入していきます。私が本作を好きになったのは、集団の中に異物が入り込んでも、排除することなく温かい人間関係を育んでいるところ。これはもう善人長屋シリーズを読破しなくては!と思いました。
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西條奈加さんの本で初めて読んだ本でしたが、とても読みやすい文体で、国語の教科書に選ばれても遜色ないと思いました。
物語は人違いで現れた善人・加助を中心に、善人長屋と呼ばれる千七長屋に住まう人たちとのドタバタ活劇。
笑いあり、涙あり、差別問題の警鐘も?
続編の「閻魔の世直し」、「大川契り」も読まなきゃ損です。
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住人全員が小悪党、故に慎ましやかに生活に気を配っているというのに、何故か根っからの善人が問題ばっかり持ち込むようになるという( ^ω^ )
各話ハッピーエンドでダレそうな所を最後にちょっと苦々しい展開を持ってきてあって流石でした
善人が善人たる所以にもぞっとさせられたり
長屋の住人達同様、加助の幸せを願わずにはいられません
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西條奈加さんの人情ものは面白い!
逆転の視点というか、善人と呼ばれている人々が実は悪党だった。そして、そこへまっとうな善人が入ることで物語がとても面白くなる。
加助さんのあれは行きすぎだと思うけどね。
私、個人は『犀の子守歌』が一番好き。切なくて悲しい恋物語だったなぁ。
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″真面目で気のいい人ばかり″と噂の「善人長屋」。
しかし陰に回れば差配も店子も裏稼業の凄腕揃い。
そんな悪党の巣に、根っからの善人、加助が迷い込んだ。人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底なしのお人好し・・・。加助が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動、しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う!
心淋し川で注目した西條奈加さんの本を読んでみようと思いどんな作品があるかと探すと、上の7行の善人長屋の帯に書かれていた文言で今作に興味が沸いた。
まぁ1話完結しながら少しずつ話が進むんだろうなと思ったがその通り。
そして想像より面白かった。
読み進める毎に深まる登場人物のキャラクターが面白くて、微笑ましくもあったり目頭が熱くなったり
しながら楽しめた。
閻魔の世直しがシリーズの次巻らしく楽しみが増えました。
2021/06
Posted by ブクログ
感想書くため再読完了。やっぱりいいです。
長屋の住人が自分を悪党と認識しながら、困っている人を助ける様、知恵や技を駆使する様に、玄人仕事のかっこよさがあって、爽快感があります。源平爺様、カッコ良すぎる。
魅力あるキャラたちの中で、異色なのが加助さん。いい人すぎて厄介ごとを持ち込んだり、みんなの「仕事」の邪魔をしたりと、ハラハラさせてくれますが、なんか憎めないお茶目なおっさん。
でも、彼にも後悔を伴う辛い過去があり、そこから逃れようと善行を強行してしまう歪みがあったことに、世の中ってグレーだなと感じます。
長屋のみんなが悪党ながら、明るく気持ちのいい人たちで、「善人長屋」の二つ名通りに、厄介事に手をだして巻き込まれながら、精一杯前向きに暮らす様に、ポジティブさが溢れ出しておりました。
安心して読める作品で、今度は続きが読みたいですね。
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善人ばかりが住むと言われる長屋に、間違って本物の善人が住むことになり大騒動。差配も住人達も表の稼業と裏の稼業を持つもの達ばかりで、子供達でさえ自分の親の裏稼業に憧れる、という状況。本物の善人が人助けのために動くことで、嫌々ながら住人達も助けに入るサマがコミカルに描かれる。人助けなので人情的な内容が多くホロリとさせられる場面が次々と出てくる。
妻と子供を火事で失ったはずが、生きて出て来たのに最後の夫婦の別れが悲しい。ハッピーエンドにしなかったのはシリーズ化するためだろうか。4作目まであるようなので、いつか読もうと思う。
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善人ばかりだと言われる長屋の住人はみな裏稼業を持つ者ばかり。唯一の善人加助が持ち込む難題をみんなで解決する連作短編集。
面白かった。悪人なのに人情あふれる人達。それぞれの過去や江戸時代らしい設定とストーリー展開。素晴らしく良かった。
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母親がドラマを観ていたけれどわたしは観ていなかったので事前情報ほぼ無しで読み始めたけれど、相変わらず西條さんの時代物は素敵だなぁと。ちょっと加助さんが自分にはくどかったけど、そういった読者の気持ちを他の登場人物が代弁してくれるあたりよかったです。
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金春屋ゴメス以来の西條奈加 さん。
市井の人情モノ。
秋の夜長に 渋いお茶と ちょっと甘いものを
嗜みながら 一章ずつ 惜しみながら読みたい一冊
゛悪党゛たちが 繰り広げる゛善行゛の物語
一編一編のストーリーに破綻が全くないのは
ストーリーテラーとしての筆者の腕の見せ所
心ささぶられ
心ほっこりさせられます
Posted by ブクログ
「西條奈加」の連作時代小説『善人長屋』を読みました。
「柴田錬三郎」の作品に続き、時代小説です。
-----story-------------
善人ひとりに、凄腕の悪党たちが大わらわ!
痛快! 人情滴る本格時代小説。
善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の「加助」が住み始めた。
実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。
差配の「儀右衛門」は盗品を捌く窩主買(けいずか)い。
髪結い床の「半造」は情報屋(ねたもと)。
「唐吉」、「文吉」兄弟は美人局(つつもたせ)。
根っからの善人で人助けが生き甲斐の「加助」が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが……。
人情時代小説の傑作!
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今年、時代小説『心淋し川(うらさびしがわ)』で第164回直木三十五賞を受賞した「西條奈加」の作品を読んでみたくなり本書を選択、、、
『善人長屋』シリーズの第1作にあたり、2010年(平成22年)に刊行された作品です。
■善人長屋
■泥棒簪
■抜けずの刀
■嘘つき紅
■源平蛍
■犀の子守歌
■冬の蝉
■夜叉坊主の代之吉
■野州屋の蔵
■解説 末國善己
真面目で気のいい人ばかりと噂の善人長屋… しかし陰に回れば、大家も店子も裏稼業の凄腕揃い、、、
そんな悪党の巣に、根っからの善人「加助」が迷い込んだ… 人助けが生き甲斐で、他人の面倒を買って出る底な しのお人好し……。
「加助」が持ち込む厄介ごとで長屋はいつも大騒動… しぶしぶ店子たちは闇の稼業で鳴らした腕を揮う!
江戸下町を舞台にした人情味たっぷりの時代小説… 根っからの善人「加助」が親切心から持ち込んでくる厄介事を、差配の「儀右衛門」を始めとする善人長屋の小悪党たちが、裏稼業で鍛えた知恵と経験、スキルを活用して解決するという痛快な展開、、、
もちろん、「加助」には裏稼業のことを知られないようにしなくちゃいけないので、いつもの裏稼業よりも苦労しながら… 悪党とは名ばかりの善人たちの奮闘が微笑ましいし、ミステリ要素もあって愉しめました。
何が善で、何が悪なのか… 改めて考えさせられましたね、、、
火事で亡くなったと思っていた「加助」の妻子の消息が明らかになる『夜叉坊主の代之吉』と『野州屋の蔵』は切なかったですねー ドラマ化しても良いと思いますね… 面白かったので、次も『善人長屋』シリーズを読もうと思います。
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表紙の絵が、物語をいい感じに表している!
こんな雰囲気の9つの連作短編。
「善人長屋」と呼ばれている長屋に住むのは
実は裏稼業を営んでいる連中ばかり。
裏の顔を隠すため
表ではなるべく模範的に生きているわけ。
ところが、手違いでそこに
本物の善人・加助が住み着いてしまい
困った人を連れてきては
「ここなら助けてくれる」とやるもんだから…。
差配(大家)は盗品転売を生業とする儀右衛門。
その娘のお縫ちゃんは、家業も長屋も嫌。
けれど、もめごとをおさめるために力を貸す
美人局の兄弟や詐欺師の夫婦など
店子たちの姿を見ているうちに
だんだん意識が変わっていくのです。
持ち込まれるもめごとと解決のしかたに
ちょっとミステリ要素があって
そこもおもしろかった!
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設定が絶妙。
本棚のカテゴリを「時代もの」としたが、ミステリーとしても面白く、人情ものだけれど、起こっていることは案外と社会派な題材だったりして、さらっと読めるけれどなかなか深い一冊だった。
特に、最後に「善人」加助の物語を知ることで、作品全体の深みが一層増す構成は秀逸。
続編を読みたい。
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善人長屋の差配と店子たちは、みんな裏稼業を持つ悪党たち。とはいえ、それなりの信条も情もあって、根っからの悪党というわけではない。むしろみんな良いキャラで好感が持てる。彼らが人助けをする羽目になるのだが、そのために裏稼業の特殊スキルを使うのが面白い。チームプレーも良い。
テレビドラマ化もされたようだが、たしかにキャラが立っているのでドラマ化しやすそうだと思った。続編も出ているので読みたい。
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気のいい悪党たちが、根っからの善人に振り回されながら,持ち込まれた面倒ごとを解決していく、人情味あふれるドタバタ喜劇。加助が「なぜ根っからの善人になったのか」も最後に明かされる。
連作短編なので、読みやすいが、途中で少し飽きがくる。シリーズものなので、次は長編を期待する。
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悪党が住む善人長屋に、超お人好しの本物の善人が住んだことから厄介事の嵐!
一つ一つのエピソードは短くて読みやすい。
それに悪党と言っても悪人じゃないのがいい。
それぞれの事情があり、長屋全体で助け合って暮らしてるのが優しい気持ちになる。
本物の善人、加助さんのお話もまた苦渋も入った納得の結末だった。
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表の顔と裏の顔。二つの顔を巧い具合に使い分ける江戸は長屋の人情もの。
すりに泥棒に美人局に文書偽造、と揃いも揃って裏稼業持ちの住人たちの中に、ひょんなことからお人好しの正真正銘"善人"が紛れ込んだことから様々な騒動を巻き起こす。
唯一の"善人"加助は長屋にとって福の神なのか、はたまた貧乏神なのか、悪事を止めるストッパーなのか。
根っからの"善人"ってのはほんと始末に負えない。タイミングも容量も悪く、真面目で思い込んだら一直線。巻き込まれた方は溜まったもんじゃない。また間違ってないだけに文句も言いにくい。
悪人ぶってる住人たちも、ナンダカンダ文句を言いつつもすっかり加助のペースに振り回され、いつの間にやら善いことをする羽目に…というより、やっぱりみんな根は善人。表の人以上にしがらみや義理人情に厚い。だからこその"善人"長屋なのだ。
江戸っ子らしいテンポの良さと胸アツの人情もの。やっぱり江戸の長屋物語は面白い。
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善人長屋/泥棒簪/抜けずの刀/嘘つき紅/源平蛍/
犀の子守歌/冬の蝉/夜叉坊主の代之吉/野州屋の蔵
親や店子の裏の仕事に心から納得はできない お縫 のイライラとする気持ちはわかる気がする。でも、まっとうに育てられているとも思う。表しかない加助にこそ違和感を感じる私は変かしら?
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来月(2022年7月)からNHK BSプレミアムで連ドラ化されると云うことで読む。西條さん、直木賞受賞作は私にはイマイチだったが、これはなかなかいい。だんだんメンバーが分かって来ると読んでて楽しくなった
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「善人長屋」と呼ばれる、裏稼業を持つ住人たちが住む所へ、本当の善人加助がやってきて、あれこれ起こる騒動。
一番の闇を抱えてるのは、加助だったなぁ。
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最初は加助の善人ぶりと、お縫いの幼い正義感がうざったかったけど、最後に加助の事情が分かりストンと落ちた。
ハッピーエンドにしてほしかったけど、そうならなかったのがこの作者さんらしさかなー。
シリーズ化してて嬉しい。
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この作品は、NHKの再放送ドラマを見たけど、読んでいて、その場面が、頭に浮かんだ。結末が、違っていたけれど、小説の方が、よりリアルだと感じた。続編も読みたい。
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二つ名とは反対にそれぞれ裏の稼業を持つ店子と差配一家。
差配の娘、お縫と新たに店子になった加助を中心に様々なエピソードが描かれ、江戸時代の庶民の暮らしや価値観にふむふむとなる筆致。
シリーズも読んでみたい。
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軽快、爽快、江戸人情長屋。
事前の情報なしで、読み始めて、善人の集合住宅と思っていたら、最初の数ページで、裏切って(まあ、そうでもないんだけど)NICEタイトル。
裏稼業を持っている(表もちゃんとある)、住民達の長屋。そこに、正真正銘の善人が紛れ込んでしまう。設定だけでも、面白そうな感じでしょ。ドラマの時代物を見ているような気楽さとテンポの良さ。
「犀の子守歌」は、性同一性障害について扱うのだけれど、なるほど、どんな時代にもどんなお家柄でも、現実的に起こりえた話だなって。今まで、あまり考えた事がなかったので、新鮮でちょっと衝撃を受けてしまった。
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最初から半分ほどまでは、至極軽い世話物だったが、半分過ぎて人の心理のゆくたてが描かれ始めたら、面白い世話物になった。のんびり読むのにちょうど良いくらいの良作
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読みやすい。
少しお節介な町娘と底抜けにお人好しな長屋の新人と、裏家業を持つ長屋の面々、というキャラがわかりやすい物語
2022.7.21
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人情で動くか「善と悪」への選択
人情で働く長屋の住人の裏仕事が盗人、だが「善人長屋」としての噂が。火事で妻子を亡くしたと善人の錠前の男が「他人のお世話好き」で話が展開する面白さがある。最後は生きていた妻子と会うが悪に巻き込みたくないと妻子は惜しみながら別れる。人の生き方は自分で決めてこそ後悔しない、人生様々、だが悪への道は早めに引いたほうが無難ということだ。