あらすじ
善い人ばかりが住むと評判の長屋に、ひょんなことから錠前職人の加助が住み始めた。実は長屋の住人は、裏稼業を持つ“悪党”たち。差配の儀右衛門は盗品を捌く窩主買(けいずか)い。髪結い床の半造は情報屋(ねたもと)。唐吉、文吉兄弟は美人局(つつもたせ)。根っからの善人で人助けが生き甲斐の加助が面倒を持ち込むたびに、悪党たちは裏稼業の凄腕を活かし、しぶしぶ事の解決に手を貸すが……。人情時代小説の傑作!
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Posted by ブクログ
西條奈加さんの人情ものは面白い!
逆転の視点というか、善人と呼ばれている人々が実は悪党だった。そして、そこへまっとうな善人が入ることで物語がとても面白くなる。
加助さんのあれは行きすぎだと思うけどね。
私、個人は『犀の子守歌』が一番好き。切なくて悲しい恋物語だったなぁ。
Posted by ブクログ
宮部みゆきさんの江戸ものを一通り読み終わり、また江戸ものが読みたいと思って色々探し、西條奈加さんの『善人長屋』をシリーズ3作まで購入。
善人長屋と近所で評判の長屋だけれど、実は住んでいるのは裏稼業を持つ“悪党”たちという設定。でも、そこに手違いで本当の善人・加助が住むことになり、そこから起こる騒動を描いている。
一口に悪党といっても、その稼業は美人局や情報屋、窩主(けいず)買いなど様々。善人の加助が困っている人に同情して連れ帰ってくるたびに、みんなで知恵を絞って助けてあげる。率先して手伝う人もいれば、厄介ごとを持ちこむ加助を疎んでいる人もいる。その塩梅がまた面白い。水戸黄門のようにパターンが決まっていて、加助が厄介ごとを持ちこみ、みんなで相談し、それぞれの技を生かして悪人を成敗する。加助が連れてくるのが本当に弱者で、相手が本当の悪党だからこそ成り立つ流れだとは思うけれど、毎回うまくまとまっていて面白かった。
先が気になって読むのをやめられないほど夢中になれる、というほどではないけど、一話が短めなので隙間時間で一話分一気読み可能。なので★は4つかな。次はシリーズ2作目を読む。
Posted by ブクログ
感想書くため再読完了。やっぱりいいです。
長屋の住人が自分を悪党と認識しながら、困っている人を助ける様、知恵や技を駆使する様に、玄人仕事のかっこよさがあって、爽快感があります。源平爺様、カッコ良すぎる。
魅力あるキャラたちの中で、異色なのが加助さん。いい人すぎて厄介ごとを持ち込んだり、みんなの「仕事」の邪魔をしたりと、ハラハラさせてくれますが、なんか憎めないお茶目なおっさん。
でも、彼にも後悔を伴う辛い過去があり、そこから逃れようと善行を強行してしまう歪みがあったことに、世の中ってグレーだなと感じます。
長屋のみんなが悪党ながら、明るく気持ちのいい人たちで、「善人長屋」の二つ名通りに、厄介事に手をだして巻き込まれながら、精一杯前向きに暮らす様に、ポジティブさが溢れ出しておりました。
安心して読める作品で、今度は続きが読みたいですね。
Posted by ブクログ
表の顔と裏の顔。二つの顔を巧い具合に使い分ける江戸は長屋の人情もの。
すりに泥棒に美人局に文書偽造、と揃いも揃って裏稼業持ちの住人たちの中に、ひょんなことからお人好しの正真正銘"善人"が紛れ込んだことから様々な騒動を巻き起こす。
唯一の"善人"加助は長屋にとって福の神なのか、はたまた貧乏神なのか、悪事を止めるストッパーなのか。
根っからの"善人"ってのはほんと始末に負えない。タイミングも容量も悪く、真面目で思い込んだら一直線。巻き込まれた方は溜まったもんじゃない。また間違ってないだけに文句も言いにくい。
悪人ぶってる住人たちも、ナンダカンダ文句を言いつつもすっかり加助のペースに振り回され、いつの間にやら善いことをする羽目に…というより、やっぱりみんな根は善人。表の人以上にしがらみや義理人情に厚い。だからこその"善人"長屋なのだ。
江戸っ子らしいテンポの良さと胸アツの人情もの。やっぱり江戸の長屋物語は面白い。