あらすじ
“思い”のこもった諸国の菓子が、強張った心を解きほぐす――。
親子三代で営む菓子舗を舞台に、人の温もりを紡いだ傑作時代小説!
武家出身の職人・治兵衛を主に、出戻り娘のお永、孫娘のお君と三人で営む「南星屋」。
全国各地の銘菓を作り、味は絶品、値は手ごろと大繁盛だったが、治兵衛が手を痛め、
粉を捏ねるのもままならぬ事態に。不安と苛立ちが募る中、店の前に雲平という男が行き倒れていた。
聞けば京より来たらしいが、何か問題を抱えているようで――。
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シリーズ二作目。こんな和菓子屋が近所にあれば……とは思うけど、並んで買うのは苦手なので行列を見ただけで「並んで買うほどのものか!」と悪態をついて他の空いてるお店でお菓子を買ってそう。だから近所にあっても行かないんだろうな。
私もモノを作ってる人間として、治兵衛さんのようにいくつになっても、上を目指したいものだと改めて気持ちを整えました。いいお話でした。シリーズ三作目も出ているようなので、また続きを読みたいと思います。
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読み始めから、治兵衛一家に流れる空気を感じることができて溜め息が出た。懐かしさと安心感を覚える。
ストーリーに引き込まれつつも、いつもどこかに温かみと安心感が漂っていて、心が洗われていく。
自然と人々の表情や歩き方、お菓子の香りまで浮かんできてしまう。
治兵衛が作るお菓子のエピソードを通して、言葉を知ったり心意気に触れたりすることが楽しく、読み終わるのが惜しかった。
うさぎ玉ほろほろも楽しみである。
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こんな早くに読めるとは思いも寄らず、とにかく直木賞の後の梓ラッシュの凄い事。もう1番出てる売れてるのでは。治兵衛にお永にお君にとても思いやりのある家族ですね、そこに雲平が加わってとてもいいなおさらいいお店になるって事。名前も不思議な響きだしカッコいいし、亥之吉が出てきてお別れと思ったら、ので、次回予告ですね。しかし元亭主の焼き餅とか、お永さんは何に縛られてるの?雲平でええですよ、まあ雲平とお君でもええですよ。しかしお店に並ぶ町人のやりとりは粋だね〜返しが上手いわ。こういう時代に生まれてみたかった
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『まるまるの毬』の続編。
今度は南星屋に、新しい風が入ってくる。江戸麹町で評判の菓子舗『南星屋』で行き倒れた男を介抱した。男の名は雲平。旅の菓子職人で、人を探しに江戸に来たという。人探しを助けると申し出た南星屋治兵衛は、折悪しく怪我をして、菓子作りもままならぬ。治兵衛への礼に仕事を手伝う雲平であるが、これが滅法腕が良くて―。
とまあこんな導入。題名のもとになった亥の子餅は、雲平の尋ね人の名にちなんでいる。今回もまたおいしそうなお菓子の表紙。どう転ぶのか分からぬ展開で、つい先を読ませる。
雲平という人物はどういう男か。彼が探す友人の亥之吉は、どうも旗本のご隠居の死に絡んでいるらしいが、これまたどういう仔細なのか。そして、治兵衛一家の中で、雲平にこころを揺らす、治兵衛の娘お永。お永は夫婦別れして、夫との間も複雑で、ただ惚れた腫れたでは済まぬ微妙な状態。そして孫のお君も、前巻で、故あって恋に破れ、ようやく元気になりかけたところ。
こう並べて見ただけで、気になるところがいっぱいである。下世話と言われれば仕方がないが、読まずにいられない。幸いなことに、雲平という新たな登場人物は、実に気持ちのいい人で、彼を知らず知らず、こちらも好きになっていく。そんな人物なのが嬉しい。
治兵衛と雲平が、丁々発止、阿吽の呼吸で、見事なお菓子を作ってゆく。その職人魂をぜひお読み頂きたい。和菓子に興味のある方ならば、きっと楽しまれよう。治兵衛の菓子作りの知恵袋である菓子帖も、ふと思い出したが、実在の名店『とらや』のホームページにある『和菓子を知る』というコンテンツを見てみると、こうであったか、ああであったかと想像でき実に楽しい。
今回も、事件は収まるべきところに収まるが、人の心のありようだけは、すぐに決着を見せない。連作小説独特の上手い惹きだが、それだけではなくて、ただのめでたしでない、心のゆらぎや、真面目に生きるゆえの葛藤がそうすぐにケリのつくものでもない。そのリアルさがいい。
きっとシリーズラストは、この作者様なら、そうひどいことにはしないでくれるだろう、という信頼が、ちらっと去来する。まだ2冊読んだだけの、未知なる作者。実績は十分な作家さんだが、なにせ見知ったばかり。それでこんな気持ちを起こさせるなんて。すごいかも。うん。すごいかも。ふふふ。次の本も早く読みたいな。
昨日読み終わっていたのに、どうも心配事は降ってくるわ体調もすぐれないわ、よろしくない。だが、私には本がある。書くことがある。いいではないか。早く読みゃ偉いってもんでなし。落ち着いて次を待つのも乙粋というものだ。
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「 まるまるの毬 」に続くシリーズ第2弾!
南星屋で味わえる日本各地のお菓子が楽しみで早々に手に取りました。
手首を負傷した治兵衛と人探しで行き倒れ南星屋でお世話になることになった雲平。
成り行きでお店を手伝うことになり、お永とお君も加わり4人で相談しながらお菓子を考える様子が微笑ましい。
そんな何気ない日常にすごく幸せを感じました。
雲平が探している失踪した弟分・亥之吉の行方とその理由。
お店の周りをうろつくお武家らしき子ども。
いったい何がどうなっているのか。
登場人物それぞれが歩む人生。
お菓子も人間模様もますます楽しみな展開!
美味しくて人情味あふれる時代小説の世界観にすっかり魅せられております。
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2冊一気読みしてしまった。
面白かった、、、!!
全国津々浦々の和菓子たちと、
南星屋のみんなが愛おしくなる。
いつのまにか時代小説やお菓子の話が好きになりました。歳かなあ。
前作がけっこう胸にくる悲しみのところで終わっていたので、明るい未来が見える終わり方でとてもよかったです。
次回作もたのしみ〜!!
美味しそうなお菓子とお話
まるまるの毬の続編。
美味しいお菓子と優しい登場人物達が絶品。
少しハラハラするけれど ゆっくりじっくりお茶を飲みながら味わうお話。
まだまだ 続編が続きそうで 楽しみ楽しみ。
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前作「まるまるの毬」で江戸の菓子職人の人情話に心を温められ、引き続き本作を手に取りました。
人は人と出会うことによって、人として成長していくものなのだとあらためて実感しました。
特に、渡り職人の雲平の登場が、南星屋の人々の心を解きほぐし、前に進む力を与えていました。そして全話を通じて、南星屋のお菓子がいいタイミングで人々の五感に優しく染み込んで、心を癒していくのでした。
それを読んでいるこちらも言葉でお菓子を味わうことかできて、またまた心温まるのでした。
それから、自分の地元のお菓子が登場するとやはり嬉しくなるものですね。これは、三作目も読み味わわなくては…。
ところで、南星屋のお菓子に使われる餅米や砂糖や栗などの原材料はいつ仕入れに行っているのかな?と野暮なことが気になってしまいました(^^;;
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行き倒れた菓子職人雲平を怪我をした治兵衛の助っ人として雇う南星屋。雲平の弟弟子が出奔した謎を追う。お茶て優雅な趣味だけどとにかくお金がかかるからね。この時代の旗本は物価が値上がりしたのに幕府からの禄は変わらず懐具合が厳しかったから値札も確かめず買ってくる趣味人は頭痛の種だね。どんなに素晴らしい茶道具でも家を潰してまで集めるものじゃないだろ。
雲平が南星屋に残ったことでこの先お栄と、と言うこともあるのかな。
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2017年に読んだ「まるまるの毬」の続編。
7年も間が開いているが、前作の説明が所々に挟まれていることもあって、細かいところは別として大まかなところは思い出せた。
親子三代、主の治兵衛に出戻りのお永と孫娘のお君の三人で営む「南星屋」。
今回は、治兵衛が手を痛め粉を捏ねるのもままならぬところに、店の前に行き倒れていた男を助けたところから始まる物語。
その男・雲平は京から出てきた菓子職人で南星屋を手伝うことになるが、かつての自分に似た境遇の雲平に職人として刺激を受ける治兵衛の姿にまず好感。
かつての旦那とよりを戻しつつあったお永も何やら気もそぞろで、そんな母を見て気を揉むお君。
三人三様の気持ちの揺れに加え、雲平の弟分・亥之吉の行方捜しが絡んで進む話は、人情噺としては前作のほうが深かったように思うが、こちらはシリーズ物としての面白さがたっぷり。
勿論、季節にあわせて作られる和菓子はどれもおいしそう。
「シェーン」みたいだと思って読んでいたので、最後はちょっと意外だった。
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シリーズものとは知らずに手に取ったが、前作を読んでいなくても面白かった。
いろんな場所のお菓子が沢山出てきて、自分の知ってる場所のお菓子もあってワクワクした。
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江戸菓子屋シリーズ二作目。親しかった菓子職人亥之吉を探して倒れていた男雲平を助けた。人探しを通底したテーマにしつつ和菓子と江戸を語る連作短編集。
これも面白かった。江戸時代を描く小説には心温まるものが多いのはなぜなのだろう。
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シリーズ第2弾のため、登場人物を把握しての読み進めになりました。安定の心温まる人情作品で、和菓子の魅力満載に物語が進み、読み終えた時には、この和菓子屋一家の中に、まるで自分も溶け込んでしまったかのような幸せな錯覚をおこしてしまいます。
淡々とした日常生活に降り掛かる心配な出来事ですら、物事への向き合い方次第で、幸せへと繋がる切符として描かれているこの小説は、人と人との繋がりを信じたい人には宝物のように感じる作品であると感じます。
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毎回減量中の自分には中々厳しい内容であったが、止まらない。どのお菓子も甘そうで、後で画像で調べてしまう。
中でも私の地元銘菓が二作もあり益々親しみが湧いてきた。
(永餅と関の戸)
今作では雲平という、良い男が登場するのだか年の頃がやはりお永さんと釣り合いが取れているのでどうなんだかなあと思っていたら、悪くない感じ。
そうしていたら元亭主も辛いところ。どうしても駄目男の修蔵に肩入れしてしまう。
万事揉め事も丸く収まった後、雲平は店に残ることになるのだけど、この後の三角関係はどうなってしまうんだろう。
続きが楽しみ。
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相変わらずお菓子が美味しそうで和菓子食べたくなってしまった。
お君ちゃんの縁談とか色々気になるところがあるけど続くって感じなのがたまらんー。続きが楽しみ。
後継者問題(?)は私も気にしてたので(←何様?)最後に雲平さんがお店にとどまってくれて良かった!
還暦近くなっても甘いものをバクバク食べられる五郎おじさんがすごいよ(笑)
しばらくはおやつに和菓子を選ぶ日が続きそう(笑)
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前作がおもしろくて引き続き。
雲平が登場することにより、南星屋の模様に変化が。
その変わりようがうまく描写されており非常におもしろい。
欲を言えば親子三代の日常のやり取りをもっと見たかった
ようにも思うが、、、
まあこれはこれで良し。
最新作ももうすぐ出るらしい。
そちらもぜひ読んでみたい。
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シリーズ2作目。前作は主人の治兵衛の出自で大騒動があったが、今作ではお菓子中心に書かれつつ娘の恋愛も出てくる。
手首を痛めた治兵衛の店の前に、行き倒れの男・雲平が現れる。これが治兵衛と同じように諸国を修行してきた菓子職人。行き倒れの原因の人探しは、サスペンスのような様相。これも菓子で解決。
雲平の来し方が治兵衛と似通っているため、治兵衛と全国を経巡った娘のお永は憧れのような恋のような感情で元夫も含めて騒動が起きる。
職人同士が切磋琢磨し、色々な全国の菓子を職人同士の感性でチャレンジする姿が良い。写真や絵があったらもっと美味しそう、と思うのは私自身の想像力の欠如か?
それにしてもお永の記憶力は凄い。治兵衛の70冊以上の菓子帳から僅かの断片を元に、あっという間に該当のお菓子を捜し当てる。
当面、雲平は店に残るようなので、次々と新しいお菓子が出てきそうだし、恋愛騒動も続きそうで次作が楽しみ。
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美味しそうな諸国の和菓子が次々に出てきて、それだけで口の中が甘くなる。人情話も、職人も一人加わって、話が膨らむ。「まるまるの毬」と同じテイストで楽しめます。
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菓子の店・南星屋の店主、治兵衛と娘のお永、孫のお君が行き倒れの雲平を助けたことから繰り広げられるストーリー。
お菓子の描写がどれも美味しそう。
シリーズものと知らずにこちらを先に読んでしまったので「まるまるの毬」も読んでみたい。
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コーヒーではなく、緑茶を飲みながら読みたい本。
前作に続くシリーズとは知らずに借りましたが、治兵衛の出生の謎は気になるものの、本作からでも楽しめます。
物語に激しい展開ではないですが、少しずつ色々変わっていく感じ。
丁寧な和菓子の描写に癒され、店を営む家族が互いに思いやっている様子が温かい、ホッとするような時代小説です。
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『まるまるの毬』の続編。治兵衛が手首を痛めてしまい和菓子を思うように作れない。そんな時、店の前に倒れていた男を介抱する。その男・雲平は音信不通になった仲間・亥之吉を訪ねて京から来た和菓子職人だと、亥之吉が見つかるまで南星屋で治兵衛を手伝う事になる。治兵衛の弟で僧侶の石海も活躍し、亥之吉が姿を消した訳を解いていく。最後に雲平が出した答えには驚いたけど、という事はまだまだ続くってことですよね。3作目も期待して待とう。
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ほんのり甘い和菓子の様に、
とても温かみのあるほんわかしたお話で、
西條さんは、その人の背後にあるもの、その人の情、そういったものを描かれるのが本当に上手だなと、尊敬します。
とっても美味しそうな和菓子と共に展開していくお話が、いつまででも読めてしまいます。
もう続きが読みたくてたまりません。
今日はおやつにお萩を食べたいと思います(笑)
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二巻目と知らずに先に読んでしまった亥子ころころ。一巻は「まるまるの毬」。物語としては楽しめるが、一巻を読んでいたらもっと楽しめた。これから読む方は先に「まるまるの毬」をぜひ。時代小説で、人情モノで、ミステリ要素もある。一日二品の和菓子を売り切る。親子3代肩を寄せ合って、欲張らずつましく商いをする。その姿にはっとする。吹き寄せられた流しの菓子職人と仕事場で肩を並べるうちに治兵衛の中で湧き上がる想い。お客さんの笑顔も嬉しいが、仲間と切磋琢磨して作り上げる面白さも仕事の楽しみだ。
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これ…シリーズかな?
前刊があるっぽい気がする。。
割と淡々としているけど
出てくるお菓子も美味しそうだし
登場人物がみんな…なんか良い
地に足をつけて前を見て生活してる感じ
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「南星屋」シリーズ第2弾。
腕を痛め困っていたところに、雲平が店前で倒れていたことから話が展開していく。
治兵衛と同じように諸国を巡り、菓子を作っていた雲平が店を手伝うことにより、雲平の弟弟子の行方探し。
父を見ていたお永が雲平に惹かれていくも、別れた夫の気持ちなど、次巻以降もなかなか気になる。
前作では辛い思いをしたお君にも幸せになって欲しい。
旅に出ずとも、諸国の美味しいお菓子が食べられるこんな店が近くにあったら、通ってしまうだろうな。
次巻はどんなお菓子が出てくるだろう。