西條奈加のレビュー一覧
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いきなり足だけの幽霊が現れる。
事情が飲み込めていない私は霊能力のあるイケメン警官向谷が殺害された女性の霊(見えるのは足だけ)をサポートして秋葉原先留交番までやってきたのだと理解するのに前のページを読み直したりしてしばらく時間がかかった。
そしてそこにいる出世嫌いで秋葉原好きのオタクでダサい、けれど東大卒の切れ者警官権田は交番(実は駐在所)の自宅部分にはアイドルの写真やポスター、フィギュアで埋め尽くされている。
こうなるとこの作は品軽妙でコミカルなお楽しみな内容なんだなと思っても仕方ない。
けれども実はなかなかどうして、家庭、家族の中にある現代的な根深い問題を扱っていた。
そして作品の中に流 -
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ネタバレとっても良かった。「ほっこりする」とはこのことだなぁ。
最後数行がとっても暖かくて、じんわりと暖かい涙が滲む。
散々働き尽くして、さあ隠居生活始めるぞ!と意気込む徳兵衛が千代太を筆頭にした子供達のドタバタに巻き込まれる姿にクスッとくる。
何だかんだ文句言いつつ突き放せない徳兵衛が愛しい。
商い一筋だった頭が固くて面倒臭い(!)おじいちゃんといった印象の徳兵衛だったけれど、
子供達や出会う人々の「人情」に触れて徐々に変わっていく様子にとても優しい気持ちになる。
同時に千代太が徳兵衛から「商い」を教わり成長していく姿も見ていてとても嬉しい。
子供達のやり取りも可愛くて、時に頼もしくて読んでい -
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江戸時代中期から後期にして、蝦夷地に9度渡り、蝦夷地のエキスパートとして人生を全うした最上徳内の半生記を描く。
この時代に極寒の未開の地である蝦夷地とその地に住むアイヌの人達に真摯に向き合い、これほどまでに彼の地や彼らを愛した人物がいたのだなぁと深く感銘した。幕府や松前藩の身勝手な思惑に翻弄され、有らぬ仕打ちを受けつつも諦めずに蝦夷地に向かおうとする彼の不屈の精神は凄い。フルウをはじめ、彼を慕うアイヌの人たちも魅力的に描かれ、彼の蝦夷地行きを陰ながらに援助する周りの人たちも皆、魅力的で、ただ半生記を綴っているだけなのに、1冊丸ごと面白く読めた。本書では4度目の蝦夷地行きが決まるところで終わる -
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面白かった!江戸の猫町で起きる事件を解決する、傀儡子のミスジ、めちゃめちゃかっこいい。そして、傀儡の阿次郎がとってもいいキャラで、非常に違和感なくするりと物語に入り込める。西條本はあまり読んでないが、上手いねぇ。いくつかの事件や出来事がうまく絡んで、しかも、ちょい役のカラスの三日月や医犬のタロ先生がとても良い。子猫もたんまり、猫雑学も存分にナチュラルに盛り込まれてて、なんといっても悪役が猫嫌いで、良い人は全員猫好きってところが猫好きすぎてしんどい感じ。牢に近づいても、張り番が猫でご機嫌になってお咎めなしとか、おもろすぎる。
順松のバトルシーンには号泣した。 -
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ネタバレ目次
・泥つき大根
・弥生鳶
・兎にも角にも
・子供質
・雁金貸し
・侘梅
・鴛鴦の櫛
・大川契り
裏稼業を持つ悪党ばかりが住む善人長屋のはなし、これにて幕なんだなと思った。
理由は後に回すとして。
善人長屋に住む唯一の善人・加助が連れて来て世話をしている怪我人が実は悪党で、長屋で空き巣を行い逃げた。
これには加助もショックを受け、長屋を去る決意をしたのだが、加助の知らないところで加助から人の情けを教わり救われた人もいるという、ちょっといい話。(兎にも角にも)
卯年の御隠居さんの話は、まるで今年のための話のようでほっこり。
痛みというものを知らずに生まれてきた子ども。
人の痛みを知らずに -
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ネタバレ巷では善人ばかりが住む『善人長屋』と呼ばれる千七長屋の住人は、表の顔とは別に裏稼業を生業にしている者ばかり。
善人でいるのは、お上に目をつけられないためだ。
だが、唯一本物の善人である加助が、行方知れずになった父親を探して路頭に迷った6人の子供たちを保護したことから、血なまぐさい事件に巻き込まれていくことになる。
千七長屋の差配である儀右衛門のように、極力罪のない庶民に迷惑が掛からないように裏組織を牛耳っている親分たちが次々と惨殺される事件が起こる。
『江戸の悪党どもは、すべて閻魔組が始末する。首を洗って待っていろ』と言う投げ文に、儀右衛門たちは、この事件の裏を探る。
悪人はもちろん悪い。