西條奈加のレビュー一覧

  • とりどりみどり

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    大店の末子、鷺之介は齢十一。悩みの種は姦しい3人の姉たちである。

    3人の姉たちのわがままっぷりがすごいんだけど、陰湿ではないのでさっぱりしている。
    この時代の女性達が、「女だから」と窮屈なところに押し込められる様はなかなかしんどい。
    ラストに突っ込んでくるネタも良かった。
    シリーズになるのかなあ。面白かった。

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    2023年05月16日
  • 善人長屋

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    善人長屋の差配と店子たちは、みんな裏稼業を持つ悪党たち。とはいえ、それなりの信条も情もあって、根っからの悪党というわけではない。むしろみんな良いキャラで好感が持てる。彼らが人助けをする羽目になるのだが、そのために裏稼業の特殊スキルを使うのが面白い。チームプレーも良い。
    テレビドラマ化もされたようだが、たしかにキャラが立っているのでドラマ化しやすそうだと思った。続編も出ているので読みたい。

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    2023年05月15日
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記

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    わかれ縁/二三四の諍い/双方離縁/
    錦町蔦/思案橋/ふたたびの縁

    繋いだ縁を解く仕事を、江戸の請負人が勤めます。
    新しい縺れが無いように、するりと解けたらスッキリしますねきっと

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    2023年05月12日
  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

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    いきなり足だけの幽霊が現れる。
    事情が飲み込めていない私は霊能力のあるイケメン警官向谷が殺害された女性の霊(見えるのは足だけ)をサポートして秋葉原先留交番までやってきたのだと理解するのに前のページを読み直したりしてしばらく時間がかかった。
    そしてそこにいる出世嫌いで秋葉原好きのオタクでダサい、けれど東大卒の切れ者警官権田は交番(実は駐在所)の自宅部分にはアイドルの写真やポスター、フィギュアで埋め尽くされている。
    こうなるとこの作は品軽妙でコミカルなお楽しみな内容なんだなと思っても仕方ない。

    けれども実はなかなかどうして、家庭、家族の中にある現代的な根深い問題を扱っていた。
    そして作品の中に流

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    2023年05月25日
  • とりどりみどり

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    久しぶりのほんわか小説。とりどりみどりでさっぱりした性格の姉たちに気持ちが「ふくふく」する。やっぱり読書は心地よくないと。

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    2023年04月26日
  • 亥子ころころ

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    若干ご都合主義に思える展開もありちょっとヒヤッとしましたが、それ以外は安定の読み応え
    3作目にも期待したいと思います

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    2023年04月25日
  • 隠居すごろく

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    ネタバレ

    とっても良かった。「ほっこりする」とはこのことだなぁ。
    最後数行がとっても暖かくて、じんわりと暖かい涙が滲む。

    散々働き尽くして、さあ隠居生活始めるぞ!と意気込む徳兵衛が千代太を筆頭にした子供達のドタバタに巻き込まれる姿にクスッとくる。
    何だかんだ文句言いつつ突き放せない徳兵衛が愛しい。

    商い一筋だった頭が固くて面倒臭い(!)おじいちゃんといった印象の徳兵衛だったけれど、
    子供達や出会う人々の「人情」に触れて徐々に変わっていく様子にとても優しい気持ちになる。
    同時に千代太が徳兵衛から「商い」を教わり成長していく姿も見ていてとても嬉しい。

    子供達のやり取りも可愛くて、時に頼もしくて読んでい

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    2023年04月17日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    江戸時代中期から後期にして、蝦夷地に9度渡り、蝦夷地のエキスパートとして人生を全うした最上徳内の半生記を描く。

    この時代に極寒の未開の地である蝦夷地とその地に住むアイヌの人達に真摯に向き合い、これほどまでに彼の地や彼らを愛した人物がいたのだなぁと深く感銘した。幕府や松前藩の身勝手な思惑に翻弄され、有らぬ仕打ちを受けつつも諦めずに蝦夷地に向かおうとする彼の不屈の精神は凄い。フルウをはじめ、彼を慕うアイヌの人たちも魅力的に描かれ、彼の蝦夷地行きを陰ながらに援助する周りの人たちも皆、魅力的で、ただ半生記を綴っているだけなのに、1冊丸ごと面白く読めた。本書では4度目の蝦夷地行きが決まるところで終わる

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    2023年04月04日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

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    最上徳内の半生を描いた歴史小説。

    最上徳内を知ったのは故みなもと太郎の「風雲児たち」でした。
    華々しい名声は得ないものの地道な蝦夷の活動は後の近藤重蔵、間宮林蔵につながれていきますが、本作としては徳内が普請下役に取り上げられたところまでがメインでした。
    しかし、みなもとさんの「風雲児たち」は枝葉まで詳細に描いたため未完になってしまったのは残念でした。

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    2023年03月24日
  • とりどりみどり

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    面白かった!
    鷺之介はクセは強いけど良い人達に囲まれて成長していくんだろうなー。
    テンポも良くてあっという間に読み終わってしまった…

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    2023年03月23日
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記

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    ちょうど出張中に読み終えた。わかれ縁、皮肉にも縁が有って一緒になった人を別れさせる内容だが、別れたくても事情が有って別れられない同僚の話を聞いたばかりだったのでこの小説に不思議な縁を感じた。主人公の絵乃を素敵な人達が取り囲むように物語は展開される。親子の繋がりも優しく強い表現で描写しており折れそうな心を支えてくれるような暖かい一冊でした。続編が出たらまた読みたい。

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    2023年03月15日
  • 猫の傀儡(くぐつ)

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    面白いなぁ。猫好きにはたまらないエピソードばかりなのでは!?と思います!!

    こんなこと考えてる?のかも!?
    と、思えるような猫たちのやりとりはたまらんな。

    わたしはどちらかというと犬派だけど、猫ってこんな感じってのがよくわかる!!!!

    西條さんの時代ものは、読みやすい!なにより読みやすい!

    ストーリーのテンポがよくて、すぐに入り込める。先が気になるとか、どんでん返しとかなくとも、その生活の中のほんの少しのほっこりとかそういうのがすでに読んでて楽しい!!!!!

    やっぱり好きだなぁー西條ナカさん。

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    2023年02月28日
  • みやこさわぎ

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    シリーズ第三段、望君は中学生から高校生となりました。
    周囲では何かと問題が続きます。
    7節の短編物、今回感じた事は女性側の気持ち、望君と友達で解決していく様が多くなって成長ぶりが感じました。

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    2023年02月27日
  • 金春屋ゴメス 芥子の花(新潮文庫nex)

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    前作に引き続きとても面白い。
    日本の一部を江戸化するという発想は、時代小説を読んで素朴な当時の暮らしを思い描く自分にとって、謂わば夢の世界のよう。
    怖すぎるゴメスなのに部下たちが親分の個性を正しく理解し、信頼して愛する雰囲気が良い。
    こんなに魅力的な作品なのに、続編が書かれてないのか寂しいな。

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    2023年02月16日
  • ごんたくれ

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    西條奈加さんの小説は、どれも面白くて一気に読んでしまう。
    ごんたくれは、絵師の物語。まるで本当に居た人のよう。
    職人として求められる絵を描くか、自分の描きたい物を描くか。という視点で、モデルになった絵師の絵を見てみたくなりました。

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    2023年02月15日
  • 猫の傀儡(くぐつ)

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    面白かった!江戸の猫町で起きる事件を解決する、傀儡子のミスジ、めちゃめちゃかっこいい。そして、傀儡の阿次郎がとってもいいキャラで、非常に違和感なくするりと物語に入り込める。西條本はあまり読んでないが、上手いねぇ。いくつかの事件や出来事がうまく絡んで、しかも、ちょい役のカラスの三日月や医犬のタロ先生がとても良い。子猫もたんまり、猫雑学も存分にナチュラルに盛り込まれてて、なんといっても悪役が猫嫌いで、良い人は全員猫好きってところが猫好きすぎてしんどい感じ。牢に近づいても、張り番が猫でご機嫌になってお咎めなしとか、おもろすぎる。
    順松のバトルシーンには号泣した。

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    2023年02月13日
  • 四色の藍

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    紺屋の主人が殺害された事件の裏には、藩の有力者が糸を引く真相が隠されていた。
    全く個性が異なる4人の女性の関係性が非常に好ましく、悲惨な事件が重なる割に雰囲気が暗くならず、むしろ微笑ましいのは作者のバランス感覚の為せる技か。

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    2023年02月12日
  • 大川契り―善人長屋―(新潮文庫)

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    ネタバレ

    目次
    ・泥つき大根
    ・弥生鳶
    ・兎にも角にも
    ・子供質
    ・雁金貸し
    ・侘梅
    ・鴛鴦の櫛
    ・大川契り

    裏稼業を持つ悪党ばかりが住む善人長屋のはなし、これにて幕なんだなと思った。
    理由は後に回すとして。

    善人長屋に住む唯一の善人・加助が連れて来て世話をしている怪我人が実は悪党で、長屋で空き巣を行い逃げた。
    これには加助もショックを受け、長屋を去る決意をしたのだが、加助の知らないところで加助から人の情けを教わり救われた人もいるという、ちょっといい話。(兎にも角にも)
    卯年の御隠居さんの話は、まるで今年のための話のようでほっこり。

    痛みというものを知らずに生まれてきた子ども。
    人の痛みを知らずに

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    2023年01月22日
  • 閻魔の世直し―善人長屋―

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    ネタバレ

    巷では善人ばかりが住む『善人長屋』と呼ばれる千七長屋の住人は、表の顔とは別に裏稼業を生業にしている者ばかり。
    善人でいるのは、お上に目をつけられないためだ。
    だが、唯一本物の善人である加助が、行方知れずになった父親を探して路頭に迷った6人の子供たちを保護したことから、血なまぐさい事件に巻き込まれていくことになる。

    千七長屋の差配である儀右衛門のように、極力罪のない庶民に迷惑が掛からないように裏組織を牛耳っている親分たちが次々と惨殺される事件が起こる。
    『江戸の悪党どもは、すべて閻魔組が始末する。首を洗って待っていろ』と言う投げ文に、儀右衛門たちは、この事件の裏を探る。

    悪人はもちろん悪い。

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    2023年01月13日
  • 千年鬼

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    地名や時代などの漢字が乱立せず、物語の本筋がとてもわかりやすく書かれており、読みやすく引き込まれました。とても切なくてじんわり温かくなるお話でした。自分の中に鬼が芽生えそうになったら、この本を思い出して戒めたいと思いました。

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    2023年01月12日