西條奈加のレビュー一覧

  • とりどりみどり

    Posted by ブクログ

    主人公の鷺の介(さぎのすけ)は11歳。
    日本橋の廻船問屋『飛鷹屋(ひだかや)』の末っ子である。
    父親の鳶右衛門(とびえもん)は行商人から成り上がり、一代で身代を築いた。
    うなるほど金がある。

    さて、鷺之介は三人の姉たちに振り回される毎日にうんざりし、早々に三人とも嫁に出して、静かな生活を送りたいと望んでいる。
    彼が尊敬するのは、「実るほど頭(こうべ)を垂れる稲穂かな」を商人の心得と教えてくれた、長兄の鵜之介(うのすけ)だ。
    姉たちに反感を抱くのは、11歳という年齢になって、鷺之介が自分の頭で考えることに目覚めたためかもしれない。

    たとえば、金持ちの家に生まれた自分と比べ、そうでない同年代の少年たちが働いていることへの申し訳ないような思い。
    十把一絡げに同じ名前で呼ばれる奉公人たちにもそれぞれ1個人として名があるということへの気付き。
    姉たちへの反発は自我の目覚めである。
    しかし、まだまだ青いなあ〜と感じる。

    姉たちは金にあかせてやりたい放題、というふうに鷺之介の目には映るかもしれないが・・・
    金で買えないものの一つに男女の性別がある。
    彼女らは自分たちが女であるゆえに、思い通りにならないことへの不満を抱えているのだ。
    そして抗おうとしている。
    時々伝法口調になる、人情に篤い長姉のお瀬己(せき)
    おっとりと毒舌を吐く、次姉のお日和(ひわ)
    頭の回転が早い三姉のお喜路(きじ)
    鷺之介は彼女たちの言動に心の中でいちいちツッコミを入れているが、三人の姉たちは、個性的で魅力的である。
    特に、お日和とお喜路が探偵のように事件を解決に導くのが面白い。

    驚くべきは、母・お七の行動だった。
    女は怖い、と鷺之介が実感するのは何年後のことだろうか。

    0
    2023年06月16日
  • 亥子ころころ

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    相変わらずお菓子が美味しそうで和菓子食べたくなってしまった。
    お君ちゃんの縁談とか色々気になるところがあるけど続くって感じなのがたまらんー。続きが楽しみ。
    後継者問題(?)は私も気にしてたので(←何様?)最後に雲平さんがお店にとどまってくれて良かった!

    還暦近くなっても甘いものをバクバク食べられる五郎おじさんがすごいよ(笑)

    しばらくはおやつに和菓子を選ぶ日が続きそう(笑)

    0
    2023年06月16日
  • 涅槃の雪

    Posted by ブクログ

    わずか2年の短命に終わった天保の改革を背景に、その時代を生きる幕閣から女郎に至る人々の生き様が描かれています。信念を貫くとはどういう事か、個性豊かな登場人物を通じて問いかけられているように思います。
    物語はとても面白く読みやすい。エンディングなんて最高です。頭からゆっくり読んでください。桜吹雪でお馴染みのお奉行様も出てきます。

    0
    2023年06月14日
  • 大川契り―善人長屋―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    最初は言葉遣いが慣れないな〜と思いながら読んでいたけど、ストーリーが面白くて引き込まれていってむしろハマってしまった。

    0
    2023年06月13日
  • 善人長屋

    Posted by ブクログ

    設定が絶妙。
    本棚のカテゴリを「時代もの」としたが、ミステリーとしても面白く、人情ものだけれど、起こっていることは案外と社会派な題材だったりして、さらっと読めるけれどなかなか深い一冊だった。
    特に、最後に「善人」加助の物語を知ることで、作品全体の深みが一層増す構成は秀逸。
    続編を読みたい。

    0
    2023年06月13日
  • 千両かざり―女細工師お凜―(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    時は江戸時代、天保の改革のころ。主人公は女錺職人・お凛。錺職の老舗・椋屋の四代目だった義兄が若くして亡くなり、五代目選びに巻き込まれる。四代目の指示に従い雇い入れた職人・時蔵への恋心。その恋は実らず、予想外の事態となるが、最後はほのぼの。読後感はとても良かった。

    0
    2023年06月11日
  • 閻魔の世直し―善人長屋―

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    前作同様、善人長屋の差配と店子たちのキャラクターが良くて楽しい。今作は長編ということもあって、事件も江戸を騒がす大きなもので、ハラハラする場面もあった。お縫ちゃんの恋心もちょっと唐突だった感じはあるものの、うまくストーリーに盛り込まれていた。前作から読んでいると、お縫ちゃんは文吉とお似合いだと思うんだけど、この二人は進展するんだろうか。次の「大川契り」も読みたい。

    0
    2023年06月05日
  • とりどりみどり

    Posted by ブクログ

    廻船問屋「飛鷹屋」の末っ子、鷺之介は、齢11。
    クセが強過ぎる三人の姉たちに振り回される日々を過ごす。
    万両店での事情、身分の違い、男女の事情、そして謎解き。
    ・螺鈿の櫛・・・お瀬己の嫁ぎ先で大事な櫛が行方不明に。
          知るのは家の事情と男女の心の行き違い。      
    ・ふういんきり・・・芝居小屋で仲良くなった五百吉は、怪しい
          男たちに狙われていた。事件の原因は、封印切!
    ・箍の災難・・・箍回しを小僧の根津松に教わるが、侍に難癖を
         付けられてしまう。根津松の決心とお日和の心情。
    ・とりかえばや・・・戯作者に弟子入りしたい、お喜路に付き添う。
       が、訪ねた一刻蔵は怪我を。誰が?彼の師匠の戯作者は?
    ・五両の手拭・・・お瀬己が無理矢理五両で買った手拭を、返して
       欲しいと懇願された。手拭の注文主の正体を謎解きで暴く。
    ・鷺と赤い実・・・母の墓前に置かれた櫛は、姉たちのと似ている。
      置いた男を探していたが、姉たちの内緒話に衝撃を受け・・・。
    ・とりどりみどり・・・天地がひっくり返るような自分の秘密。
      解き明かされる事実は深い愛に包まれていた。それは今も。

    万両店廻船問屋「飛鷹屋」の家族は、豪胆な父、
    実直で穏やかな長兄、末っ子の鷺之介。
    そして鳥の名の如く囀り、自由に羽搏く三姉妹。
    我が世とばかりに振舞う長姉、
    おっとりとして毒を吐く次姉、理屈っぽい三姉。
    金持ちで自己中な姉たちに連れ回されるのを悩む鷺之介だが、
    実は、家族の優しさとたっぷりの愛が注がれている存在です。
    話が進行するに、彼女たちの想いや気遣いが分かってきて、
    見方が変化してゆきました。
    ざわめき飛び回る、鶺鴒、鶸と雉。それを眺める鵜と鷺。
    遠く高みから見守るのは鳶。家族自体も、とりどりみどり。

    0
    2023年06月03日
  • せき越えぬ(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    「箱根の関所破り」である。
    タイトルからして派手な冒険話になりそうだが、そうではなかった。逆に、そうではないからこそ、リアルなのかもしれない。
    キャラ立てが良く、続編が出たら読みたい。

    0
    2023年06月01日
  • とりどりみどり

    Posted by ブクログ

    大店の末子、鷺之介は齢十一。悩みの種は姦しい3人の姉たちである。

    3人の姉たちのわがままっぷりがすごいんだけど、陰湿ではないのでさっぱりしている。
    この時代の女性達が、「女だから」と窮屈なところに押し込められる様はなかなかしんどい。
    ラストに突っ込んでくるネタも良かった。
    シリーズになるのかなあ。面白かった。

    0
    2023年05月16日
  • 善人長屋

    Posted by ブクログ

    善人長屋の差配と店子たちは、みんな裏稼業を持つ悪党たち。とはいえ、それなりの信条も情もあって、根っからの悪党というわけではない。むしろみんな良いキャラで好感が持てる。彼らが人助けをする羽目になるのだが、そのために裏稼業の特殊スキルを使うのが面白い。チームプレーも良い。
    テレビドラマ化もされたようだが、たしかにキャラが立っているのでドラマ化しやすそうだと思った。続編も出ているので読みたい。

    0
    2023年05月15日
  • とりどりみどり

    Posted by ブクログ

    廻船問屋「飛鷹屋」の末弟、鷺之介が主役の人情物語  江戸の豪商「飛鷹屋」のお侠な3人姉妹に悩まされながら成長していく鷺之介。
     殺人事件などは起こらないが、謎解きをしていくのが面白い。最後は、鷺之介の出生の謎が明かされる。
     読みやすく、あっという間に読んでしまった。
     次の本が待ち遠しい。

    0
    2026年01月18日
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記

    Posted by ブクログ

    わかれ縁/二三四の諍い/双方離縁/
    錦町蔦/思案橋/ふたたびの縁

    繋いだ縁を解く仕事を、江戸の請負人が勤めます。
    新しい縺れが無いように、するりと解けたらスッキリしますねきっと

    0
    2023年05月12日
  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

    Posted by ブクログ

    いきなり足だけの幽霊が現れる。
    事情が飲み込めていない私は霊能力のあるイケメン警官向谷が殺害された女性の霊(見えるのは足だけ)をサポートして秋葉原先留交番までやってきたのだと理解するのに前のページを読み直したりしてしばらく時間がかかった。
    そしてそこにいる出世嫌いで秋葉原好きのオタクでダサい、けれど東大卒の切れ者警官権田は交番(実は駐在所)の自宅部分にはアイドルの写真やポスター、フィギュアで埋め尽くされている。
    こうなるとこの作は品軽妙でコミカルなお楽しみな内容なんだなと思っても仕方ない。

    けれども実はなかなかどうして、家庭、家族の中にある現代的な根深い問題を扱っていた。
    そして作品の中に流れるのは
    「そこに自分がいると、他者に認識してもらう。自分のいる場所があること。それは何より大事なことだ」
    本作品に一貫して流れているのがこの考えなのかもしれない。
    家庭に居場所を失った季穂は秋葉原に逃げるようにしてやってきて不幸にして殺害されたが彼女は霊感のある警官向谷とキテレツな霊界通信装置を介して権田にも自分の存在を認めてもらえることになった。
    私はラッキーな幽霊!
    現世で辛い人生を送った女性の幸せの一つの形だった。


    p116
    「〜コンビニに吸い込まれる、ふたりの後をおった。」
    エッ?このカンマ要りますか。
    p131
    「すみませんでした、DAICHIさん。ケロ、バッタ、ごめんな。」
    コレ誰の発言?

    p160
    「いまの季帆にお帰りと行ってくれる世界でただひとつの場所だった。」
    自分の居場所がある事、自分の存在を認めてもらえる事の喜び。
    少し前の文章で若い父親が季穂の存在に気がついたのかと勘違いしたが、その時も自分をわかってくれる人がいる、と一瞬嬉しかったはずだ。

    p197〜
    霊となった輝の父親も思っている。
    「そこに自分がいると、他者に認識してもらう。それは何より大事なことだ」

    本作品に一貫して流れているのがこの考えなのかもしれない。

    p205〜だがそれは、強者の言い分だ。

    0
    2023年05月25日
  • とりどりみどり

    Posted by ブクログ

    久しぶりのほんわか小説。とりどりみどりでさっぱりした性格の姉たちに気持ちが「ふくふく」する。やっぱり読書は心地よくないと。

    0
    2023年04月26日
  • 亥子ころころ

    Posted by ブクログ

    若干ご都合主義に思える展開もありちょっとヒヤッとしましたが、それ以外は安定の読み応え
    3作目にも期待したいと思います

    0
    2023年04月25日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

    Posted by ブクログ

    江戸時代中期から後期にして、蝦夷地に9度渡り、蝦夷地のエキスパートとして人生を全うした最上徳内の半生記を描く。

    この時代に極寒の未開の地である蝦夷地とその地に住むアイヌの人達に真摯に向き合い、これほどまでに彼の地や彼らを愛した人物がいたのだなぁと深く感銘した。幕府や松前藩の身勝手な思惑に翻弄され、有らぬ仕打ちを受けつつも諦めずに蝦夷地に向かおうとする彼の不屈の精神は凄い。フルウをはじめ、彼を慕うアイヌの人たちも魅力的に描かれ、彼の蝦夷地行きを陰ながらに援助する周りの人たちも皆、魅力的で、ただ半生記を綴っているだけなのに、1冊丸ごと面白く読めた。本書では4度目の蝦夷地行きが決まるところで終わるが、wikiによればこの後もなかなかの波乱万丈な様子(何たって9度も渡っているから)。晩年、シーボルト事件にかかわったり、82歳で生涯を閉じているところからして、彼が無事に長寿人生を終えているのが素直に嬉しく思った。

    0
    2023年04月04日
  • 六つの村を越えて髭をなびかせる者

    Posted by ブクログ

    最上徳内の半生を描いた歴史小説。

    最上徳内を知ったのは故みなもと太郎の「風雲児たち」でした。
    華々しい名声は得ないものの地道な蝦夷の活動は後の近藤重蔵、間宮林蔵につながれていきますが、本作としては徳内が普請下役に取り上げられたところまでがメインでした。
    しかし、みなもとさんの「風雲児たち」は枝葉まで詳細に描いたため未完になってしまったのは残念でした。

    0
    2023年03月24日
  • わかれ縁 狸穴屋お始末日記

    Posted by ブクログ

    ちょうど出張中に読み終えた。わかれ縁、皮肉にも縁が有って一緒になった人を別れさせる内容だが、別れたくても事情が有って別れられない同僚の話を聞いたばかりだったのでこの小説に不思議な縁を感じた。主人公の絵乃を素敵な人達が取り囲むように物語は展開される。親子の繋がりも優しく強い表現で描写しており折れそうな心を支えてくれるような暖かい一冊でした。続編が出たらまた読みたい。

    0
    2023年03月15日
  • 猫の傀儡(くぐつ)

    Posted by ブクログ

    面白いなぁ。猫好きにはたまらないエピソードばかりなのでは!?と思います!!

    こんなこと考えてる?のかも!?
    と、思えるような猫たちのやりとりはたまらんな。

    わたしはどちらかというと犬派だけど、猫ってこんな感じってのがよくわかる!!!!

    西條さんの時代ものは、読みやすい!なにより読みやすい!

    ストーリーのテンポがよくて、すぐに入り込める。先が気になるとか、どんでん返しとかなくとも、その生活の中のほんの少しのほっこりとかそういうのがすでに読んでて楽しい!!!!!

    やっぱり好きだなぁー西條ナカさん。

    0
    2023年02月28日