西條奈加のレビュー一覧

  • 隠居すごろく

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    商売ばかりで家族を顧みてこなかった糸問屋のご隠居が、隠居所に遊びに来る孫に振り回されているうちに家族愛と人間愛に目覚める。

    基本的に善人しか出てこないが、例外的に登場する敵役の憎々しいさまがアクセントとなって、その後の大団円を盛り上げる。

    一文の得にもならないのに子供たちの芝居の台本と演出、さらには手習いの師匠まで買って出る銀麓の存在がいい。

    趣味もなく、隠居所で暇を持て余していたご隠居が、一連の出来ごとのあとでは数十年の女子供に囲まれ、慕われるさまは、人生捨てたものではないと思わせる。
    「情けは人の為ならず」

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    2023年08月29日
  • 雨上がり月霞む夜

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    相手が物の怪だろうが真摯に会話し真摯に受け止める秋成。そんな秋成が雨月物語を書き上げます

    昔物語は物の怪が一杯。今より死は身近で、そんな身近な人への想いが沢山の物の怪を生み出していたんだろうなあ

    難しい文章は斜め読み。それでも秋成の雨月への想いも、別れの哀しみもしっかり胸に届く物語でした

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    2023年08月27日
  • 善人長屋

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    表紙の絵が、物語をいい感じに表している!
    こんな雰囲気の9つの連作短編。

    「善人長屋」と呼ばれている長屋に住むのは
    実は裏稼業を営んでいる連中ばかり。
    裏の顔を隠すため
    表ではなるべく模範的に生きているわけ。
    ところが、手違いでそこに
    本物の善人・加助が住み着いてしまい
    困った人を連れてきては
    「ここなら助けてくれる」とやるもんだから…。

    差配(大家)は盗品転売を生業とする儀右衛門。
    その娘のお縫ちゃんは、家業も長屋も嫌。
    けれど、もめごとをおさめるために力を貸す
    美人局の兄弟や詐欺師の夫婦など
    店子たちの姿を見ているうちに
    だんだん意識が変わっていくのです。

    持ち込まれるもめごとと解決

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    2023年08月20日
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)

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    待ってました。やっぱりゴメスは凄い。
    今回は、特に凄さが際立っている。緻密で豪快。運まかせの様で、しっかりバックアップも仕込んである。
    江戸国の住民のエネルギーは、江戸時代に成長した江戸の住民のエネルギーに 匹敵している様で、なんだか嬉しい。

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    2023年08月13日
  • うさぎ玉ほろほろ

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    表紙絵を見る限り、これは豆大福だと思うんですが…うさぎ玉って見たことも聞いたこともないので…実際に今もあるのかな?あったら食べてみたいなぁ。お君ちゃんも19ですか…そろそろいいひとが現れると良いわねぇ。
    〈追記〉うさぎ玉って仙台のお菓子なんですね、なるほど関西には無いわけだ。…ますます食べてみたいなぁ(^^;)

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    2023年08月13日
  • 曲亭の家

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    曲亭馬琴の息子に嫁いだお路。

    嫁としての苦労に加えて売れっ子作家が舅。お路さんはあまり苦労とは感じてないみたい?苦労を突き抜けてしまっているのかもしれない。やれるだけのことをして……?やりたいようにしてきたのかも……。だったら少しほっとする。

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    2023年08月13日
  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

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    Audibleにて。

    なんか軽いの聴きたいなーって時にぴったりだった。というより、思ってた以上に面白かった。

    足だけの幽霊の足子さんと、どうにかして足子さんと意志疎通を図り、犯人を探そうとしてくれる秋葉原のお巡りさんや、オタク達、メイドさん等コメディ要素満載なんだけど、後半は同じ話だっけと思う位切ないお話もあり、飽きずに楽しめた。

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    2023年08月12日
  • 銀杏手ならい

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    健気な子供たちの物語が泣かせる、とても良いお話でした
    教育の重要性はいつの時代にも共通しており、子を持つ親としていろいろ考えさせられました

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    2023年08月11日
  • 隠居おてだま

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    ・前作『隠居すごろく』で孫の千代太(ちよた)が拾ってきた、「手習にも行けない子供たち」それぞれの家族のドラマ
    ・徳兵衛が隠居後に始めた「五十六屋」の組紐の商い
    ・出戻りの末娘・お楽(おらく)の出来ちゃった騒動
    この三種類の糸が複雑に織り合わされてお話が進む。

    千代太が拾ってきた子供たちは程度の差こそあれ極めて貧困。
    学校に行けない、給食以外に食べるものがない、体の利かない年寄りや病気で働けない親を抱えている・・・あら、今の日本の福祉は江戸時代と変わらないのね。
    子供たちの中では千代太より一つ年嵩の勘七(かんしち)と瓢吉(ひょうきち)は、もうすぐ独り立ちを視野に入れている。
    苦労している子らは

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    2023年08月09日
  • とりどりみどり

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    ある大店の兄弟姉妹。
    みんな父親が一緒だけれど母が違う。
    が育ててくれたのは正妻のお七。
    お七は溢れる愛情で実子と同じ様に愛情深く育てた。

    それぞれに性格が違う。
    色々な事件に出くわしながら、最後は末っ子の鷺の介が出征の秘密を知ることに。

    この作家の本はいつも優しさに包まれている。
    心がほっこり豊かに彩られる。

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    2023年08月06日
  • ごんたくれ

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    実在した二人の絵師については全く知らず、他に登場した円山応挙も、名前を聞いたことがある程度…
    でも、読みながら、応挙の描く絵、豊蔵の描く絵、彦太郎の描く絵、勝手にイメージできてしまう。
    作家さんって、すごいなぁ。

    絵師として厳しい芸術の道を生きる二人のごんたくれ。
    「あらゆる難に蝕まれ、嫉妬や恨みや欲にまみれて、それでも人は生き続ける。すべてひっくるめての人間だ
    」と作品の中で表現されているが、そんなごんたくれが、とても愛すべき存在に思えた。

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    2023年08月06日
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)

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    ゴメス怖いけど、格好良い!
    辰次郎も朱緒さまと良い感じ。
    江戸はどう復活するのか?
    次も出るのかな?楽しみ。

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    2023年08月03日
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)

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    今回もスラスラ〜っとラストまで!
    実写で映画とかになってもいいのでは、と思っております。

    前回にも繋がる話ですが、これ一冊で読んでも十分に楽しめると思います。

    江戸国の人の生活、きっと現代人の私たちには不便だって思うことがいっぱいあるんだろうけど、今の便利すぎる世の中よりもそっちの生活で暮らしてみたい。
    人々の心意気もいい。
    もちろんどの世界でも時代でも合わない価値観に生きる人々はいるけれど…

    一作目にもあったけれど、辰次郎が感じる感覚が目覚めていく感じ、表現が好き。
    また続きがあるといいな。

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    2023年08月03日
  • 隠居すごろく

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    老舗の主、嶋屋徳兵衛の隠居話。仕事一筋の生活に終止符を打ったは良いけれど待っていたのは味わったことのない孤独感。その時が来れば誰もが感じる孤独感
    優しい孫の登場で色々ありながらだけれども、第二のすごろくに生き甲斐を見つけた徳兵衛は幸せ者です

    勘七、おはち親子と徳兵衛の話や、36年ぶりに「おまえさま」と呼ばれた徳兵衛と妻登勢との話やら目頭がたびたび熱くなりました

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    2023年07月29日
  • うさぎ玉ほろほろ

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    南星屋シリーズ第三弾。今回も期待を裏切りませんでした。江戸の人情がじんわり心に沁みます。諸国のお菓子も今度は何が出てくるかなと毎回の楽しみです。和菓子のお口になってしまいました。

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    2023年07月29日
  • 金春屋ゴメス 因果の刀(新潮文庫nex)

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    やっと続きが出た~!

    ゴメス、やっぱり悪どく豪快でしたね~。
    ちょっと最後がまとまりない感じがしましたが、おもしろかったです。
    檻の中のゴメス…(((*≧艸≦)ププッ

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    2023年08月30日
  • とりどりみどり

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    廻船問屋・飛鷹屋の5人兄妹弟のお話し。父の鳶右衛門、長兄の鵜之介、長女お瀬己に次女お日和、三女お喜路に二男・鷺之介と…母のお七以外全員が鳥にちなんだ名前という非常に凝った一家です(笑)おまけに全員母親が違うとか、まぁ大店にはありがちな話しなのかもな…と思いつつ読んでいくと、思わぬ展開にびっくり。でも登場人物それぞれが自分の立場を弁えていて、八方丸く収まるというほっこりするお話しです。ただまぁ、あの三姉妹…特にお瀬己は嫁の貰い手に事欠くだろうなぁ(^^;)

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    2023年07月27日
  • 秋葉原先留交番ゆうれい付き

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    幽霊と一緒に事件を解決!

    秋葉原にある交番に勤める警官
    オタクでトドのような見た目の権田
    イケメン長身なのに中身がバカな向谷
    元メイドカフェ店員で脚だけしかない足子さん

    この3人がいろんな事件に挑みます!

    設定やパッケージだけだとアニメ感溢れる感じですが、意外と中身はしっかりしてる
    ユーモアなシーンもあってキャラクターもおもしろいので飽きずに一気に読めます

    ギャンブラーで距離のつめ方が下手くそな子供に優しいお父さんの話はウルッとした

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    2023年07月27日
  • とりどりみどり

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    7話で構成された時代小説。三人の姉たちに振り回され、穏やかに暮らすのが夢だという鷺之介の気持ち、わかる。その姦しさに愛情が詰まっているのも確かで、ほっこりした。

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    2023年07月21日
  • 無花果の実のなるころに

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    読む順番が間違っても面白く読める。望はどんな大人になるのだろう。成長を見守る私は、すでに
    神楽坂の「心の住人」

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    2023年07月14日