西條奈加のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
表紙の絵が、物語をいい感じに表している!
こんな雰囲気の9つの連作短編。
「善人長屋」と呼ばれている長屋に住むのは
実は裏稼業を営んでいる連中ばかり。
裏の顔を隠すため
表ではなるべく模範的に生きているわけ。
ところが、手違いでそこに
本物の善人・加助が住み着いてしまい
困った人を連れてきては
「ここなら助けてくれる」とやるもんだから…。
差配(大家)は盗品転売を生業とする儀右衛門。
その娘のお縫ちゃんは、家業も長屋も嫌。
けれど、もめごとをおさめるために力を貸す
美人局の兄弟や詐欺師の夫婦など
店子たちの姿を見ているうちに
だんだん意識が変わっていくのです。
持ち込まれるもめごとと解決 -
Posted by ブクログ
・前作『隠居すごろく』で孫の千代太(ちよた)が拾ってきた、「手習にも行けない子供たち」それぞれの家族のドラマ
・徳兵衛が隠居後に始めた「五十六屋」の組紐の商い
・出戻りの末娘・お楽(おらく)の出来ちゃった騒動
この三種類の糸が複雑に織り合わされてお話が進む。
千代太が拾ってきた子供たちは程度の差こそあれ極めて貧困。
学校に行けない、給食以外に食べるものがない、体の利かない年寄りや病気で働けない親を抱えている・・・あら、今の日本の福祉は江戸時代と変わらないのね。
子供たちの中では千代太より一つ年嵩の勘七(かんしち)と瓢吉(ひょうきち)は、もうすぐ独り立ちを視野に入れている。
苦労している子らは