西村賢太のレビュー一覧

  • 蝙蝠か燕か

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    2022年2月5日に急逝した著者の、読者からの熱烈な要望によって実現した未刊行小説集。
    完結した小説としては著者最後の作品となった表題作をはじめ、著者の本領たる藤澤清造“歿後弟子”としての覚悟を扱った3篇を収録。

    三次文庫の件など、厳しい出版事情がうかがえる部分があり、興味深く読んだ。
    これが最後の作品なのか。

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    2023年03月19日
  • 小説にすがりつきたい夜もある

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    一周忌のニュースを見て、久しぶりに西村賢太作品を読んだ。随筆は初めて。

    芥川賞受賞前後の文章が大半。

    その割りに気負ったところはなく、露悪的ないつもの文章で、良くも悪くも安定感がある。ような。。

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    2023年02月08日
  • 小銭をかぞえる

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    ネタバレ

    筆者の作品を数冊読んでいるが、相変わらず非道い内容だなぁと思うがおもしろい。包み隠さずすべてをさらけ出して書いてる作品だと感じました。

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    2022年12月22日
  • 小銭をかぞえる

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    感想
    お金と愛情の両立。人格者でなければその両立は難しい。人格者であっても困難。お金に執心している者は愛情や信頼を失っていることに気がつかない。

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    2022年11月09日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    「また君か。今度は何?」
    と、口に出しそうになりそうになる。余計なお世話だと気が付いた。

    厳しい文体とは裏腹に、しょうもない事が書かれいる。しかし時折見せる、腐った患部を見せつけられるような、顔を背けたくなるような描写があり、そこに美化しきれないヒトの生態がある。

    下手なホラー小説より、ずっと怖いと思いました。

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    2022年10月08日
  • 東京者がたり

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    ネタバレ

      1967年江戸川区生まれ、西村賢太さん。その生きざまは、私小説で伺ってます。今回はエッセイの形で。「東京者がたり」、2015.10発行。巻末に、同年生まれの玉袋筋太郎さんとの対談があります。15歳で家を出て、最初に住んだ鶯谷の根岸の里、いい思い出だったみたいです。三畳の間、月8千円。上野~鶯谷~日暮里~十条~赤羽、いいところですものね(^-^)

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    2022年08月13日
  • 痴者の食卓

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    ネタバレ

     西村賢太さんの作品を読んだ方ならもうお馴染み(あまり馴染みになりたくないのですがw)、これでもかというDV癖の描写。「痴者の食卓」、2015.7発行。人工降雨、下水に流した感傷、夢魔去りぬ、痴者の食卓、畜生の反省、微笑崩壊の6話。気のいい女性、6歳下の同棲相手、秋恵への北町貫太の一方的な暴言と暴行。打擲(ちょうちゃく)、足蹴、髪を掴んでの引きずり廻し。そして、いつも、あとから反省。その繰り返し。話の展開はともあれ、微笑崩壊で鶯谷の「信濃屋」が舞台になっていて、これは嬉しかったですw。

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    2022年08月08日
  • 寒灯

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    ネタバレ

     匂いに過敏な北町貫多の物語。連作4話。西村賢太「寒灯」、2011.6発行。自分本位で、一緒にいる女性に対する思いやりがなく、些細なことで暴言を吐き怒声をあげる男。これでは共同生活はできません。

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    2022年07月22日
  • 根津権現裏

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    前回の読書会課題図書、
    苦役列車から寡聞にして未読だったこちらを。
    実は当の読書会でお借りしていたうちの1冊。
    校訂は西村賢太さん。

    とりあえずコチラを読んで、苦役列車の文体がなぜあんなにも古めかしく、難読漢字がたくさん出てくるのかがわかった。
    めちゃくちゃリスペクトしてるのね。

    読む前から、内容は陰鬱で救われない私小説であるらしいと聞いていたので、心して読みはじめたんだけど…

    …めっちゃ面白いと思ってしまった。

    確かに救われない。
    貧困と病気に生活を苛まれ、
    似たような境遇の友人が自ら縊死した原因についてああでもないこうでもないと模索するという、本当に陰鬱な内容。
    特に最後の方は著者の頭の中の言葉がダラダラと垂れ流されているような…、
    思考の行ったり来たりを追想しているような、
    なんとも重苦しく、正直、
    「ああ苦痛だ、長いなぁ」とも感じたものだった。しかも私小説だからたぶんどんでん返しとか劇的なカタルシスも期待できない状況で、ラスト10頁ほどを読み進めるのは結構しんどかった。

    だったらどこが面白かったのか。

    たぶんこれはわたしの性格の悪さゆえなのかもしれない。
    とことん不幸で、不平不満を綴っているブログとか、某SNSとかを興味本位で読んでいる感覚に近い。
    西村賢太さんが惹かれたのは絶対そこじゃないと思うんだけど、わたしにとっては貧困や病気、絶望感を持った人間の思考を覗き見るのは罪悪感もあるけどどうにも興味深いな、と感じてしまうのだ。
    自分は絶対そうならないとは思わないけど、そうなった時に自分ならどう考えるかという予行演習をしているみたいな。
    いや、やっぱり興味本位な部分が大きいな。
    途中に出てくる極端なルッキズムにも嫌悪感というよりも新鮮さを感じた。

    それと多分この時代背景。
    大正時代くらいの小説が好きなので、この頃の東京の一端をライブ感ある文章で見られるのは単純に楽しい。

    それにしても、時々読みにくいと感じるところもあったけど、全体的に端正で直線的なわかりやすい文章は現代的な校訂があったとしてもかなり良く、そこに支えられて面白いと思わされる部分も大きかった。

    なんだかいろいろな感情がわいてくる味わい深い小説でした。読んで良かった。


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    2022年06月20日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    まあいつものお話だが、「苦役列車」の直後だけあって、まだまだ若い。19歳。ゆえに女に岡惚れする。
    《根は眠れるスケコマシ気質》にできてるだけに、《ウルフのポーズで孤狼アクション》をとれば《中卒タフ・ガイ》としての面目躍如。
    眼前の女の(呆れ)顔を見て、《(うむ。濡れたな……)との確信》を抱く。
    で、まあ結句周囲の面々にさんざほき捨てて逐電、てなわけだ。
    しかし今回は田中英光との出会いが描かれ、ここがいい。
    《何んだってこの私小説家は、己れの無様な姿を客観的に、こうも面白く、そしてこうも節度を保ちながらの奔放な文章で語れるのか。だが、それが貫多にとっては泣きたいほどうれしく、そして実際に落涙するまでに、ひどくありがたくってならぬ。》
    西村読者の多くが思っていたことでもある。

    ところで新潮社、何年も文庫化しなかった(関係を断っていた?)上に「苦役列車」の件で愛憎のある山下敦弘監督に書かせるって……そしてこの解説がまた、決して悪くない追悼文になっているって、いい仕返しができたということか。

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    2022年06月07日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    日乗シリーズ第二作。文庫化に伴い再読。
    本の雑誌6月号の特集を読むと、相当な方だったことがよく分かる。

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    2022年06月05日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    ネタバレ

    日記シリーズ第2弾を、はじめて読んでみた。
    なかなか面白い。
    テレビに引っ張りだこになった時期なんだろう。
    忙しい合間を縫って着実に執筆を続けているのは、さすが作家。
    そして編集者に対して、怒る、怒る、怒る。
    そして手打ちの飲み会も。
    厄介で可愛げのある困った人だ。

    思うところあって買淫を控えており、「苦役列車」映画を一緒に見に行った知人がスカートを履いているとか、嬉しいことあり、とか、恋人がいそうな雰囲気を邪推してしまう。
    そして買淫がしたい、という箇所に、会えなくて寂しいという誌上当てつけを読んでしまうのは、深読みしすぎだろうか。

    もはや文体芸の一部になっていると思ったのは、飲み食いの多さ。
    締めにマルちゃんとか、そりゃ早死にするわ。
    でも決して他人事ではなく、笑って肝が冷える。

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    2022年05月30日
  • 瓦礫の死角

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    ネタバレ

    2022年2月5日、西村賢太死去。享年54。
    文庫派の不肖な読者だが、残された仕事を、今後も読み続けていきたい。

    ■瓦礫の死角
    「魔太郎じみた性質」!
    ■病院裏に埋める
    「坊ちゃん坊ちゃんした至極誠実で真面目そうな見た目」!
    ■四冊目の「根津権現裏」
    落日堂新川さんの過去ワロタ。盟友なんだか被害者なんだか。
    ■崩折れるにはまだ早い
    !!!!! 西村賢太を読んで久々に驚いたわ。
    ◆あとがき

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    2022年05月24日
  • 瓦礫の死角

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    性犯罪による父親の逮捕を機に瓦解した家族。出所後の復讐に怯える母親。家出し、消息不明の姉。罪なき罰を背負わされた北町貫多は17歳、無職。犯罪加害者家族が一度解体し、瓦礫の中から再出発を始めていたとき、入所から7年の歳月を経てその罪の張本人である父親が刑期を終えようとしていた。──表題作と“不”連作の私小説「病院裏に埋める」、〈芝公園六角堂跡シリーズ〉の一篇「四冊目の『根津権現裏』」、“変化球的私小説”である「崩折れるにはまだ早い」の全四篇を収録。

    没後、初めて読む作品。変化球がよかった。

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    2022年05月15日
  • 痴者の食卓

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    西村賢太の私小説作品には秋恵の存在がとても重要である。彼の作品の大半に登場する彼女。罵詈雑言、常に殴られ蹴られて、貫多の凶暴性の引き立て役にある。悲しいけど。
    極論、秋恵無しでは多くの物語も生まれなかっただろうし、もしかしたら彼がこれ程まで世に知れ渡る作家になることもなかったかもしれない。秋恵に感謝せい!

    そして先日、作者である西村賢太氏が急逝した。とても残念でならない。ご冥福をお祈りする。秋恵はきっと清々しているだろうけど。

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    2022年05月06日
  • 藤澤清造短篇集 一夜/刈入れ時/母を殺す 他

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    東京にはどこに行ってもなかった西村賢太ものが神戸ジュンク堂にはありました。

    田中栄光と並び西村賢太さんが敬愛してやまなかった「藤澤清造」氏の短編集を思わず購めました。

    内容としてはどちらかというと私小説ではなかったので少し、肩透かしな感じがしたけれども、苛烈にどこまでも「貧困」にこだわり、突き詰めた結句、またしも貧さの砂に埋もれてゆく、そんな姿が浮き立つような作品が多く、西村賢太に通底するものがあると感じた。

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    2022年04月29日
  • 人もいない春

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    主に秋恵以外の作品。「23夜」はなかなかにゲス度が高く満足。純情なブスへの仕打ちが笑える。だが、本作品集での注目は初めてのフィクションとなる「悪夢」。良い出来栄え。不遇な境遇のものが主人公であるのはフィクションも変わらないが、不思議なことにネズミ同志の会話などはフランス文学のような趣がある。心理を描くことを極力控え、圧縮された悲劇となっている。秋恵シリーズは物足りない。「赤い脳漿」がまあまあ。

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    2022年03月19日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    12人の作家による秋冬の歳時記にあわせた短編集。はじめましての作家も数人。好みはそれぞれあるけれど、こんな編集でなければ出会わなかったと思う。
    春夏編が先だったと知る。

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    2022年03月06日
  • 芝公園六角堂跡 狂える藤澤清造の残影

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    「芝公園六角堂跡」
    ミュージシャン J・I のライブに招待されて
    舞い上がってしまう北町貫多
    ところがそのライブ会場が
    藤澤清造の死去地に近かったもので
    虚栄に浮かれ、初心を見失った自分自身を
    まじめに見つめなおすきっかけにもなった
    その機会を与えてくれた J・I には心のなかで感謝せざるをえない
    自虐に満ち満ちたようでいて
    かなり自己愛的な筆者の考え方が現れている

    「終われなかった夜の彼方で」
    前の作品では、J・I さんに気を使う面もあって
    なんかいい話っぽくまとめてしまったが
    本当はぜんぜんいい話なんかじゃない
    藤澤清造の没後弟子を名乗っておきながら
    自分もいい歳になるというのに
    全集の完成に向けて、具体的なことはなんにも進んでいないのだ
    そのような現状を招いている最大の原因は
    藤澤の肉筆が古書市場に現れるたび
    高いカネを払っているからなんだけど
    金欠の問題というより
    その完璧主義が足踏みを余儀なくさせているのだった
    完璧主義は「根津権現裏」の登場人物を縛るものでもあった

    「深更の巡礼」
    藤澤清造にハマる前は田中英光を研究していた
    それで、文学賞をとったのち
    田中英光の新しい作品集を編纂する流れにもなったが
    出版社の事情に阻まれてあまり上手くいかない
    しかし結局、商売がやりたいわけではないし
    ましてタレントとしてチヤホヤされたいわけでもない
    文学に触れていたいのである
    それを、刹那的な情熱といわないこともないけど

    「十二月に泣く」
    田中英光は太宰治の墓前で自殺した
    それはたぶん最終的に、太宰治との向き合いにおいて
    自分の世界を完結させてしまったのだと思う
    そういう生き方が西村賢太の琴線を
    どう刺激したかはわからんが
    彼は藤澤清造の墓というものに強い執着を持っていた
    藤澤の墓を勝手に作り直し
    その隣に自分の墓をたてた彼は
    そこから逆算して自分の世界を構築していったのだろう

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    2022年03月01日
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

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    西村賢太さんが好きだという作家なので読んでみました。
    率直に面白いです。
    そして、かなり西村賢太さんが影響を受けたことがわかりました。
    太宰治の描写がとても興味深い

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    2022年02月24日