西村賢太のレビュー一覧

  • 人もいない春

    Posted by ブクログ

    貫太と秋恵の短編が5編、フィクションの短編が1編。
    『赤い脳漿』貫太の理不尽な怒りも解らなくもない。怒りと後悔とのせめぎあい。
    『悪夢』私小説以外の話を初めて読んだ。オチは読めたが諸々のえげつない描写は良かった。

    MVP:なし

    0
    2012年02月20日
  • 寒灯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    NHK週刊ブックレビューで紹介されていたので読んでみた。

    他の人のレビューを見たら、シリーズ物らしい。

    主人公は性格がクズな人間だけど、初めて同棲する相手を見つけた。
    そのことに浮かれていたが、だんだん本性がでて、相手が去っていくという話。

    主人公の性格はホント読んでいて理解出来ないレベルでダメだし、若干の不快感さえ覚えるのに、最後まで読むのは文章の上手さだと思う。

    ただ、短編の連作だと思うけど、一冊の本としてみると、これで終わり?って思ってしまった。
    最後まで書ききらず、読者に想像させる小説(教科書でいうと羅生門とか)はあんまり好きじゃないので・・・

    0
    2011年12月04日
  • 寒灯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    ようやく出来た彼女 秋恵と同棲を始めた貫多。
    その約1年の同棲生活を綴った短編集。
    秋恵の実家に借金をし、秋恵のレジ打ちのパート収入で生活。
    自身は固定収入にならない小説を書き、陶酔する作家の高額な古本を買う。
    言ってみれば、秋恵に食べさせてもらっているのだ。
    だからと言って彼女を大事にするかといえば、まったくその逆、自分の欲望通りに扱うのみ。
    引っ越したマンションの管理人に言いがかりをつけられたと怒り、
    それを丸く収めようとした秋恵の常識的な態度にキレる。
    帰宅した秋恵の肩先に付いていた香りから、彼女に疑いを抱き、
    後日、自分に付いた他人の整髪料の匂いに気付かぬ彼女にキレる。
    大晦日、年越し

    0
    2011年11月11日
  • 瘡瘢旅行

    Posted by ブクログ

    おなじみ西村賢太氏の秋恵シリーズ。
    芥川賞受賞前の初期に近い作品のせいか、やや泥臭い。
    同じ秋恵シリーズでも、「寒灯」はもう少しスタイリッシュな読後感があったなあ。
    貫多の祖母への思いを初めて読んだが(「膿汁の流れ」)、盲目的に可愛がられた体験が彼にもあったんだなあと、少し安堵の思いがした。

    0
    2011年10月22日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    西村作品を読む順番としては1番目にすると良さげな本。「墓前生活」は、ほのぼのとした美しい短編で、好感が持てたが、「どうで死ぬ身の一踊り」は、ちょっとDVがきつすぎて、女性としてはやや引いてしまった。「小銭をかぞえる」や「暗渠の宿」のほうが、悲惨が笑いにくるまれていて自分的に好み。

    0
    2011年08月15日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    自分でも何がどうよかったのかわからないが、面白かった。
    ほかの作品も読んでみたいと思えたということは、気に入ったんだと思う。
    一人の作家、一つのこと、思い入れというかここまで執着できる、いい意味での執念深さに、
    憧れたのかもしれない。

    0
    2011年08月15日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    女から言わせて貰えば、「なんだこの男は!」って感じかもしれない。正直、最低な男である。ぐちゃぐちゃだし。気持ちで行動してしまう。でも、藤澤清造に対する思いだけには、強い芯がある。そこへの執着心は気持ち悪いほどだ。そのギャップが面白い。
    三編とも藤澤に関連したことに加え、一人の女との生活を描いている。私は、この女との在り方がすごく興味深かった。

    レビューに上手い言葉があった。女は逃げる死者は逃げない(blockさん)。核心!

    0
    2011年08月01日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    目前に迫った諸々の締切からの現実逃避もあってか、一気読みした。
    西村賢太の作品は、「苦役列車」と「腐泥の果実」しか読んだことがなく、購読したのは今回が初めてであったため、わくわくして読んだが、これがなかなか面白かった。
    特に「一夜」が僕は好きだった。短編だということもあるのか、「腐泥の果実」に通ずるものがあるように思われた。どちらの作品も、彼の文体と屁理屈によって彼女との逼迫した状況がギャグめいて見えている気がした。女性との立場に立って見ると、全くもって不快な作品であるとは思うけれども、それでも、なんだか面白かった。
    「墓前生活」は、筆者も言うとおり、小説と言うよりも、赤の他人が読むことを想定

    0
    2011年06月05日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

     西村氏の小説4冊目。口の悪いところを見せたかと思えば腰を低くして謝ってみたり、正しいことを痛烈に指摘したかと思えば訳の分からない屁理屈をこねてみたりと、定まらないフラフラとした感じが面白い。p176「あんまりうまくないね」のシーンも、自分で狙っておいて「ギョッ」は無いだろう・・・と突っ込みたくなるところ。
     それでも話が(一旦は)丸く収まるところは、主人公(≒著者)に藤澤清造の全集刊行と言う土台があるからなのかな、と漠然とではあるが感じる。所々で垣間見られる謙虚なイメージからは、自分の土台を土台として意識しようとしていないようにも見えるのだけれど。古風な文体も。藤澤の影響と同時に彼の謙虚なと

    0
    2011年05月22日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    藤澤清造への愛情の深さに恐れ入る。女へは「非道い」の一言に尽きる。
    『墓前生活』『どうで死ぬ身の一踊り』は清造に関する内容が濃い短編。
    『一夜』で女がやっとこさ西村賢太から逃れたようでほっとする。

    MVP:なし

    0
    2011年04月20日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    あいかわらず、最低だけれども、坪内祐三さんの解説を呼んで、倣って学歴で人を判断してみると、彼は本物かもしれないと思った。つまり、オールドスタイルの無頼派の私小説作家ということ。ただ、藤沢清造と私小説。どっちを取るのだろう?いや、どっちもなのか?そこがいちばん興味深い。

    0
    2011年09月03日