西村賢太のレビュー一覧

  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    昨年から夢中になって読んでいる西村賢太の作品。
    長編は初めて読みました。
    主人公は、ご存知、北町貫太。
    中卒で、日雇い仕事をしています。
    十代も終わりに近づいたある日、貫太は一大決心をします。
    長年、住んでいた東京都内を離れ、横浜桜木町に居を移すのです。
    日雇い仕事も辞め、造園会社に就職します。
    そこへ、事務のアルバイトとして、貫太と同い年の女の子がやってきて物語が展開します。
    彼女に恋焦がれる貫太。
    一方通行の恋は、痛々しくも滑稽で、貫太には申し訳ないですが、何度も吹き出しました。
    ただ、既視感もあるのです。
    私もモテないという点においては、貫太に引けを取らなかったわけですから。
    彼女の一挙

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    2023年05月04日
  • 人もいない春

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    秋恵もの多め。同棲生活に忿懣を募らせながらも寸前でDVを思い止まる「乞食の糧途」や風邪をひいた秋恵を貫多が意気揚々と看病する「昼寝る」など貫多が時折見せる思いやりにはっとさせられる作品も。もうこの時点で読者も彼の術中にハマっているわけですね笑
    不器用なやり方で彼女を思いやる貫多の姿は微笑ましくもあるが、破局という結末を知っているだけになんとも心苦しい。

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    2023年04月06日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    『苦役列車』『小銭を数える』に続いて。北町貫太セブンティーン、洋食屋での奮闘の日々。今回は長編ということもあり序盤はいささかかったるくもあった。読者としてはやはり貫太が暴虐の限りを尽くすのがオモロイわけで。洋食屋の仕事に慣れるにつれ、彼の本性が顕になり小狡いちょろまかしや淫行を重ねていくのはなんとも生々しい嫌らしさがある。バイトの小娘のスカートの匂いをこっそり嗅いで悪態を吐きまくる場面は大いに笑わせてもらった。

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    2023年03月18日
  • 狼の吐息/愛憎一念 藤澤清造 負の小説集

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    ・一夜
    ・けた違いの事
    ・秋風往来
    ・狼の吐息
    ・刈入れ時
    ・母を殺す
    ・愛憎一念
    ・予定の狼狽
    ・赤恥を買う
    ・雪空
    ・此処にも皮肉がある 或は「魂冷ゆる談話」
    ・土産物の九官鳥
    ・乳首を見る
    ・嘘
    ・愚劣な挿絵
    ・生地獄図抄
    ・われ地獄路をめぐる
    ・焦熱地獄を巡る
    ・めしいたる浅草

    めーちゃくちゃ良かった。
    確かに言い回しなとが難しいが藤澤清造作品は回数を重ねると慣れてきてその面白さが見えてくる。

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    2023年04月13日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    中卒タフ・ガイ、自意識過剰な北町貫多は人生蒔き直しを試みて横浜へ。造園会社へ勤務しますが暴走して自爆。心の支えは田中英光の私小説。読んでいると憂さを忘れるという感覚には恥を逆手に取るというある種の技の示唆を得る効能が含まれているといいます。

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    2023年02月18日
  • 藤澤清造短篇集 一夜/刈入れ時/母を殺す 他

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    一夜
    ウィスキーの味
    刈入れ時
    女地獄
    母を殺す
    犬の出産
    殖える癌腫
    ペンキの塗立
    豚の悲鳴
    槍とピストル
    敵の取れるまで

    (戯曲)



    なかなか入り込めないものもあったけど藤澤清造の世界は味わい深かった
    そして戯曲はかなり楽しめた

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    2022年12月15日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    どうしても生きにくい人間っている。
    私もかなり生きにくい人間だけど
    北町貫多(というか西村賢太さん)は、私とはまた違う、かなりの生きにくさ、厄介さを抱えて生まれ育ち、不器用にしか生きられず、その業ゆえに早死にしたと感じた。
    男尊女卑的価値観が強くて悪口も多くて今出したら時代錯誤と非難されるに違いなく、汚いと感じるシーンも多いし、誰にでも愛されてヒットする作風でもないから、正直このような小説を一生書き続けるのはかなり大変だったはず。現代ではデビューもできるかどうか。
    しかし、生きにくい人間にしかわからない、書きえない苦しみややるせなさ、つらい体験、そこからふと芽生える生きがいやかすかな希望など、

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    2022年12月04日
  • 瓦礫の死角

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    本の題名になっている「瓦礫の死」も面白かったが、僕としては西村賢太さんが師と仰いでいる藤澤清造氏の事を小説にした「四冊目の『根津権現裏』」や「崩折れるにはまだ早い」、そして西村賢太さん自身で書かれた「あとがき』が優作だとおもった。
    今回もやはり西村賢太ワールドに引き込まれてしまった。

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    2022年11月26日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    短編4部作。この本もやっぱり面白い。
    主人公の貫多イコール西村賢太さん。
    きっと自身の経験を踏まえつつは作品に落とし込んだのだろう。
    全作とも大変面白い!

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    2022年11月08日
  • 小銭をかぞえる

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    やっぱり西村賢太さんの作品は面白い!
    「焼却炉行き赤ん坊」と「小銭をかぞえて」のに作品が収録されているが、どちらも甲乙付けられずに面白い作品である。

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    2022年11月08日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    やっぱり西村賢太さんの作品は生々しく、悶々と生きている!って感じに仕上がっている。
    これだけ暴飲暴食を続けていれば残念だけど短い人生だったのだろうと安易に想像出来てしまう。
    それ程までに日常(日乗)を飾らずに生々しく書き綴った作品は他にないと思われる。
    西村賢太ワールドが炸裂している。

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    2022年11月08日
  • 一私小説書きの日乗

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    日記形式の作品で、本当にその日のあった事を淡々と書き連ねている。
    短い日はほんの数行。
    短い文章の中に色々な出来事が上手く書き込まれていて、いつのまにか引き込まれてしまった。
    ほぼ、一気読みして、西村賢太さんの作品を色々と読んでみたくなった貴重な作品であった。

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    2022年11月08日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    苦役列車を読んで二作目。
    私小説なので主人公は変わらず、過去の出来事が物語になっている。
    彼の考え方や物事の捉え方自体がコンテンツであり、なるほど彼のような「怠惰」な人格が出来上がる過程や行動の理由がよくわかるのが、西村さんの私小説の良さだと思う。
    苦役列車に比べ⭐︎一つ減らしたのは、苦役列車に出てくる短大生と彼の対比がとても素晴らしく、彼のキャラクターや生き様を際立たせていたのでむしろ向こうに感動したことが大きな理由です。
    なので、この小説もとても面白かったし、定期的にいろんな作品を読んで彼の言葉や思考に触れたいと思ってしまう不思議な魅力があると思う。

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    2022年08月09日
  • 一私小説書きの日乗 不屈の章

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    エッセイとかではなくただの日記である。
    他人の日記を読むと言うことは人の生活を覗き見しているかのような若干の後ろめたさと、少しの興奮があるとはおもうが、彼に関しては奔放すぎてそんなことはどうでもよい。ただ、喧嘩を売って、文句を垂れ、手製のなにかを作り、宝を呑んで、小説を書く。それだけだ。それを淡々と書いているだけだ。なぜだ、なぜこんなものを最初から最後まで楽しんで読んでしまうのだ。不思議だ。

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    2022年07月30日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    相も変わらず屑だ。だがそれがいい。人間はかくしてこうあるべきなのではないか?そう考えずにはいられない。そんなわけはないんだけれども。

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    2022年07月30日
  • 瓦礫の死角

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     相も変わらず露悪的な短篇集。いい歳した高齢フリーターを蔑む若者といった視点は悪いなぁと思いつつ、大学時代の自分がバイト先で抱いた薄汚い気持ちそのものであり、自分が綺麗な人間ではないことをまざまざと感じさせてくれる。
     自分を一般化するわけではないが、コンプライアンスだ何だとどんどん煩くなっている世の中で、人間の本当の姿を垣間見させてくれる短編なのかもしれないな·····と感じた。自分の矮小さを存分に味わうこともできずに、何ができるというのだろう。
     同著者が芥川賞を取ったばかりに読んでいた頃には、そんな感想を抱くことはなかった。自分が変わったのか世の中が変わったのかは分からない。

     最後の

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    2022年07月09日
  • 一私小説書きの日乗

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    最近は西村賢太ばかり読んでいます。
    もう、西村賢太にあらずんば作家にあらず―というくらい。
    今年になってから小説を4冊読んで、手元にはまだ2冊あります。
    いずれ全著作を読破するつもり。
    密やかな愉しみです。
    ただ、新作が出ることは、もう二度とありません。
    云うまでもなく、西村賢太は今年2月に亡くなったから。
    読み切ったら繰り返し読むしかないでしょう。
    ところで、小説だけでなく、随筆も読んでみたい―と、取り寄せたのが本書。
    ファンの間で「日乗シリーズ」と呼ばれる作品群の第1弾です。
    西村賢太の日記。
    毎日、どこへ行き、何を見て、誰と会い、何をどれだけ食べて飲んだのかが記されています。
    まず、興味

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    2022年06月24日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    日記文学を読むと無性に日記を付けたくなり、万年筆を握る。

    これまで読んできたものを列挙すると…
    永井荷風「断腸亭日乗」・古川ロッパ「昭和日記」・山田風太郎「戦中派不戦日記」・武田百合子「富士日記」・神坂次郎「元禄御畳奉行日記」・佐藤昭子「私の田中角栄日記」・筒井康隆「偽文士日碌」・田中康夫「ペログリ日記」・坪内祐三「三茶日記」「昼夜日記」・板尾創路「板尾日記」・モンスターエンジン 西森伸一「声に出して笑っていただきたい」

    そして突然、充電が切れたみたいに日記に背を向け書棚の一隅にある〈日記の墓場〉に葬られ、深い眠りにつく。

    日記文学の多くは読まれることを前提に書かれている。ゆえに虚実が入

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    2022年06月09日
  • 瓦礫の死角

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    惜しい人を亡くして損失大だと思う、日本の純文学の世界。
    相変わらず枯れた純文学調の文体の中に罵声を混ぜたり「アイテム」「ノーサンキュー」みたいなカタカナ言葉を入れて敢えて浮かせて笑いを取るのがうまいなーと思う。今を生きる現代人の感覚と文豪チックな明示大正昭和の感覚がないとあの面白さは出せないと思う。懐古調の文体に著者自身が溺れてしまうような作家もある中、現代に軸足を置きつつ過去の文体を力技で引き摺り出してくるような特異な筆致、これは著者の唯一無二の芸だと思う。
    内容はお母さんをいじめる短編と男色家に狙われる短編はDVシリーズほどのインパクトがない。古本屋の風俗のエピソードはユーモアとペーソスが

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    2022年06月01日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    西村賢太にどハマりしています。
    3月から「人もいない春」「小銭を数える」と立て続けに読み、本作が3冊目。
    手に入れられる著作は全て集め、年内には読破したいところです。
    ただ、西村さんの著作は絶版になっているものも多く、それが心配。
    再出版してほしいものです。
    さて、本作も西村賢太の分身である「北町貫多」が主人公。
    西村さんは、「貫多」シリーズを50作以上書いています。
    短編4編を収めた本作は、貫多が16~25歳の話です。
    なぜ、年齢がそんなに正確に分かるのかというと、「本の雑誌」(6月号)が西村賢太特集を組み、その中に「北町貫多クロニクル」と題して、貫多の年表が収録されているのです。
    これはフ

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    2022年05月23日