西村賢太のレビュー一覧

  • 随筆集 一私小説書きの独語

    Posted by ブクログ

    表題の『一私小説の独語』は私小説作品と重複した内容ともいえるが、北町貫多の話ではなく、西村賢太の話としてまた違った視点、文体で改めて読める面白さがある。それにしてもこの人の文章は内容に関わらず読んでいて楽しい。

    0
    2024年12月21日
  • 蝙蝠か燕か

    Posted by ブクログ

    2022年53歳、逝去。
    まだ若いが、著者らしいと言えば、著者らしい。

    藤澤清造に取り憑かれたように人生を捧げ、その一生を私小説のために生きた。ファン精神などと言えば、氏が墓場で憤怒するだろうか。氏のアイデンティティとして、藤澤清造は生活の一部となり、生き方の模範でもあり、そしてその破滅的な生き様は、どこまでも晴れはしない西村賢太の孤独な生涯における慰めであったに違いない。

    蝙蝠か燕か、何かの象徴を見たようなタイトル。想像されるのは日陰と日向の対比だが、氏の生き様にとって、それ自体はこだわるものでもない。拘泥するのは歿後弟子となった師匠のみ。飛び立つ黒い影。導かれたのも、その生き様だった。

    0
    2024年12月15日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    表紙、題字フォント、カバーからして陰鬱な印象を受けた。独特な文章だが、読み辛いとは思わないし、寧ろ引き込まれてしまう。
    妬み嫉みに塗れたその日暮らしの主人公がいて、それを俯瞰的(一般人に近い客観的)な視点で捉える作者がいて。子どもは親を選べない。11歳の時点で人生が決まったという単純かつ短い文の放つ哀しみが強烈で、貫多が合理的かつ器用に生きていくことの難しさを要所要所で突きつけられ、暗澹たる気持ちにさせられた。
    西村氏を一目見た時からなんだか纏っているものが尋常ではないと感じてはいたが…
    「落ちぶれて…」では何頁にもわたって、ギックリ腰で苦しむ様、それを1人で抱えながら孤独に生きていかなければ

    0
    2024年12月08日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    育った環境の不条理さや劣等感、恵まれた環境で育った周りの人間への怒り。この私小説では主人公の感情が痛いほど刺さる。
    西村先生の書く独特な文章も含め素晴らしい作品。

    0
    2024年12月06日
  • 蝙蝠か燕か

    Posted by ブクログ

    没後に単行本化されたこともあり、そういうつもりで読んでいると、文章が『芝公園六角堂跡』以前のような荒々しいものではなく、成熟を感じさせられるせいか、表題の『蝙蝠か燕か』を読んでいると、なんだかあの世から生涯を振り返っているように思えてくる。

    0
    2024年11月24日
  • 雨滴は続く

    Posted by ブクログ

    西村さんの名前を鶯谷のルポで知り読み始めた。
    私小説家が芥川賞を受賞するまでの物語。自分の才能に悩み、女に逃げ、卑怯な二股を掛ける。まあ酷い主人公なんだけど、そこが真理を抉っていて怖いもの見たさでついつい引き込まれていく。
    この本が絶筆となった由。残念

    0
    2024年11月24日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     こみ上げてくる恥辱感に、暫時顔を伏せて瞑目する貫多は、このときふと、自身の心に強固な支えとなるものの不備を感じた。
     こんな際に、その存在を思えば、その存在さえあれば、他のことはすべてがどうでもよい、と達観できるまでにのめり込み、すがりつける対象となる何かがあれば、どれだけ救われることだろう。

    このあとに貫多は田中英光や藤澤清造と出会っていくのだと思うと感慨深い。

    ただ、今回の作品は西村賢太の中でも最も笑った!
    ヒトを感情溢れるままにこき下ろす暴言には才能さえ感じる(笑)

    0
    2024年11月16日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    貧困の中でそれに抗いもしない若者の私小説。文体が古く一文が長いので読みにくいようで引き込まれる文章。心情や情景の表現力がそれまで読んだ本と違った。

    0
    2024年11月15日
  • 瓦礫の死角

    Posted by ブクログ

    『崩折れるにはまだ早い』はこれまでなかった趣向で新鮮味がある ほか三作も安定の北町貫多ではあるが、やや大人しい とはいえ、もはや彼の作品は何んでも面白い 一読み手としてそういうゾーンに入ってしまっているが、その理由、魅力が何んであるかはいまだに解らず、上手く説明がつかない

    0
    2024年11月11日
  • 羅針盤は壊れても

    Posted by ブクログ

    後半の二作は再録なので既読だったが、二度目でも面白い 表題作の『羅針盤は壊れても』はいつもの労働ものだが、珍しく働き先の社長もなかなかうだつの上がらない男で貫多が少しマトモに見えそうになるのはこちらが少し麻痺してるんだろうな

    0
    2024年11月05日
  • 人もいない春

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    人もいない春 60
    製本所での短期アルバイトを追われるように辞めて、夜の街を彷徨う。タクシーを乗り捨てるあたりから郷愁漂う。

    二十三夜 60
    まるで非モテ男の濃縮。叶わぬ恋と分かっていながらどう決着するのか興味が湧く。秋恵前夜としたら興味深い。

    悪夢─或いは「閉鎖されたレストランの話」55
    私小説ではない(創作)小説。ネズミ目線は特に面白くはないが、オチが西村賢太っぽくておもしろい。

    乞食の糧途 40
    運送会社のアルバイト先に嫌なヤツがいた。
    貫多はヒモ選手権があるとしたら、ランキングは最下位だと思う。

    赤い脳漿 65
    逆恨みもいいところ。それもかなり歪んだ逆恨みです。私小説でなければ

    0
    2024年11月09日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

    Posted by ブクログ

    この手の新たな職に就く話はいつも最初はうまくいくけど些細なことでいつもの「慊い」がはじまり、結局は後足で砂をかけるように罵詈雑言を並べて途方に暮れるという一言にすれば自業自得の話だけど、これは歯切れのいい言葉と勝手に岡惚れして傷ついて旅に出るというほぼワンパターンの『男はつらいよ』好きの自分には共通点が感じられるし、だからこそこれだけのめり込んでしまっているのだろう

    0
    2024年10月22日
  • 二度はゆけぬ町の地図

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    貧窶の沼 60
    北町貫多は17歳。初めての素人彼女ができて、酒屋配達のアルバイトとなり貧窶の沼から脱しようとするが。。。
    気風のいい悪態付きが面白い

    春は青いバスに乗って 60
    アルバイト先の社員を殴って留置所へ。北町貫多版の「塀の中の懲りない面々」みたい。

    潰走 50
    北町貫多は16歳。家賃滞納常習犯 VS 取り立て屋老家主
    小説としてはちょっと物足りない。

    腋臭風呂 70
    時を超えてよみがえる腋臭の思い出。なんちゅう設定やねん!
    汚下ネタで書き上げる胆力に笑ってしまう。

    0
    2024年11月09日
  • 寒灯

    Posted by ブクログ

    「苦役列車」未読だが大いに楽しめた。オール「秋恵」短編集。全話期待を裏切らぬ貫多と秋恵の同棲事件簿(てか喧嘩録)。笑った喧嘩は三話目、切ないテイストの四話目も良。

    0
    2024年09月30日
  • 小銭をかぞえる

    Posted by ブクログ

    相変わらずだが、とくに本作に収録の二作はいずれもダメなところが強すぎて共感がしづらい。なのにこの面白さはなんだろう。なんだか見ず知らずの人の口論に興味を持ってしまい、面白がって見る野次馬根性みたいなものを刺激されるのかもしれない。

    0
    2024年09月23日
  • 二度はゆけぬ町の地図

    Posted by ブクログ

    普通にしてればかなり親切にしてくれそうな人たちに出会ってるのに自分でぜんぶ台無しにしてしまう。どれも面白いが『腋臭風呂』は後半下ネタだけど文章がうまくて笑える。

    0
    2024年09月18日
  • 寒灯

    Posted by ブクログ

    『腐泥の果実』は破局間際なのでともかく、この本に収められてる話の秋恵はいずれもこれまで読んできた数冊に比べてやや強い感じがする。不思議なもので秋恵が強いほど貫多が余計に理不尽におもえてくる。それにしてもいまさらながら西村賢太の私小説にすっかりハマってしまった。

    0
    2024年09月12日
  • 人もいない春

    Posted by ブクログ

    『昼寝る』での北町貫多の献身的な性格がほかの作品でも見え隠れしているからこんな奔放な人間に感情移入してしまうんだろうな。『悪夢─或いは「閉鎖されたレストランの話」』は珍しく創作でこういうのも書いてるんですね。これはこれでおもしろい。

    0
    2024年09月10日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

    Posted by ブクログ

    「寿司乞食」の二十代前半から「青痰麺」での五十ヅラを下げるようになった北町貫多まで相変わらずなのがいい。いいと言ってもかっこいいだとか憧れるだとかそういうことではなく、まったく関わりのない赤の他人を読みものとして知る対象としていい。そしてまた自分の中のいる北町貫多を発見させられる。

    0
    2024年09月07日
  • 痴者の食卓

    Posted by ブクログ

    相変わらずフェミニストが読んだら激昂しそうな内容。貫多がキレて御託を並べて結局は手を出すところが、歌舞伎の大見得じゃないけど、そこが読みたくてとにかく読んでしまう。とくに屁理屈が面白い。読んでいると、流石に手を出したことはないけど、自分の中にもソフトな北町貫多がいる気がする。

    0
    2024年09月01日