西村賢太のレビュー一覧

  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

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    自身の心情について醜くも赤裸々に綴られているところが私小説の面白さの一端を垣間見ることができたように思う

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    2025年08月13日
  • 夢魔去りぬ

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    「人工降雨」
    秋恵もの。DVの謝罪からはじまり、一瞬のハネムーンののちにあっという間に貫太がイライラして暴力が飛ぶ。
    もはやDVの様式美と言えるテンポの良さと流れの完成度はコントや落語の域である。
    ここまでオーソドックスでストロングなDVを描く西村賢太はもはやDVの大家と言える。
    「下水に流した感傷」
    これも秋恵。結句、貫太の短絡と暴力の話ではあるのだが、今作の本筋でもある観賞魚を飼おうとして四苦八苦しているくだりがなかなか面白い。
    「夢魔去りぬ」
    西村賢太にとっては歯を食いしばりながらのマイルストーンであるのだろうなと感じられる作だが、エンタメ的な私小説としてはケレンみが薄い。
    後世の西村賢

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    2025年07月30日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

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    「寿司乞食」
    念願の築地勤めのバイトをつかみ、場所柄の気風の良い歓待を受けて調子に乗りまくる北街貫太の話。
    いつも通りそんな理想環境もあっさりぶち壊すのだが、築地の人たちが良い人すぎて醜悪な破滅にはならないのがなんだか面白い。
    「夜更けの川に落葉は流れて」
    表題作。バイト先で出会った女性との甘い時間と貫太らしい身勝手さによるぶち壊し。
    今回は珍しく甘やかな時間もそれなりにあるので、年らしく青春している貫太への西村賢太の面映いような目線も感じる。
    しかし、ぶち壊しに行く顛末はひたすらに醜い自己完結でありさすが北街貫太といったところ。
    「青痰麺」
    病的な癇癪と奇行の話。作家となった今まで繋がる話で

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    2025年07月30日
  • 小銭をかぞえる

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    Twitter(X)で「焼却炉行き赤ん坊」を知り、読んだ。
    1人の男の思考回路をなぞるこの書き方、読みやすいし、読んだらいけない女性もいるんだろうな、など。

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    2025年05月17日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    なかなかに底辺の世界を描いているのだが、何故か貫多に親近感を覚えてしまう。酒癖が悪く全てを失う辺り、気が気でない。

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    2025年04月28日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    寛多もの。しかしその寛多が随分と若く、17才の頃の話だ。だからか、いつも通りに悪態をついたり過大な自尊心を持つ姿も、初々しさとも感じられ他の寛多ものより醜悪さが低い。

    とはいっても、結局は寛多であり、自分の可能性を癇癪と僻み根性で台無しにしているのはいつも通りなのだが。

    古書道楽はすでにやっているものの、まだ藤澤清造に出会っておらず、生々しい傷跡を見せるような寛多の衝動めいた感情も今作ならでは。

    西村賢太自身も17才の寛多に関しては、回想録というよりは出来の悪い子供を苦く眺めているような態度なのがなんだか面白い。

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    2025年02月22日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    女々しく且つだらしない貫多の行動と洞察、思考に共感する所がある。具体的には貫多の他責思考で嫉妬深く自分本位な性格なところや、坊主憎けりゃ袈裟まで憎しで嫌いになった友人とその彼女までもを卑劣な目に合わせたくなるその攻撃的な衝動と言動。

    それらは読者である自分にも見出せる共通点でもありつつも長らく蓋してきた醜悪な部分でもあり、ページをめくるごとに眼前に取り出して見せられ眺められているようだった。辱めを受けたかのような錯覚を受け、同時にその反応すら見られているような。そんな私小説の醍醐味を久しぶりに味わえた。

    視点を変えると、私はここまで自分を曝け出すことはできるだろうかと考える。恐らくできない

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    2025年02月23日
  • 東京者がたり

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    書かれた場所を地図で調べたくなり、実際に行って見てみたくなり、関連する小説を読み返したくなる。結局、西村賢太に興味があり、彼の文章のファンになってしまえば、もはや何でも面白いのだが、それにしても脚色はあるだろうが、昔のことをよくこれだけ覚えているものだと感心する。

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    2025年01月09日
  • 瓦礫の死角

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    母克子のとの具体的なやりとりを初めて読めたと思う。その後実家を追い出され駅構内の飲食店でのアルバイトの話も初めてだった。そのほんの数ヶ月の出来事の中の、しかもほんの些細な題材を丁寧に面白く書かれていた。普通に楽しかった。同じ世代の17歳よりははるかに精神年齢が上になってしまうのは環境から仕方ないとはいえ、逆にまだ17歳。不安定な部分があって当たり前だと思うし普通に一人暮らしは無理だろう。まあでも克子と同居するのは無理だろう。
    終わりの2章はとたんに中年になっている貫多。そんな大金をはたいてまで古書をそろえるのは自分の金銭感覚とかなり違っている。ホント人と比べない、「普通」がない、どこまでも自分

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    2025年01月02日
  • 随筆集 一私小説書きの独語

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    表題の『一私小説の独語』は私小説作品と重複した内容ともいえるが、北町貫多の話ではなく、西村賢太の話としてまた違った視点、文体で改めて読める面白さがある。それにしてもこの人の文章は内容に関わらず読んでいて楽しい。

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    2024年12月21日
  • 蝙蝠か燕か

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    没後に単行本化されたこともあり、そういうつもりで読んでいると、文章が『芝公園六角堂跡』以前のような荒々しいものではなく、成熟を感じさせられるせいか、表題の『蝙蝠か燕か』を読んでいると、なんだかあの世から生涯を振り返っているように思えてくる。

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    2024年11月24日
  • 雨滴は続く

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    西村さんの名前を鶯谷のルポで知り読み始めた。
    私小説家が芥川賞を受賞するまでの物語。自分の才能に悩み、女に逃げ、卑怯な二股を掛ける。まあ酷い主人公なんだけど、そこが真理を抉っていて怖いもの見たさでついつい引き込まれていく。
    この本が絶筆となった由。残念

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    2024年11月24日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    ネタバレ

     こみ上げてくる恥辱感に、暫時顔を伏せて瞑目する貫多は、このときふと、自身の心に強固な支えとなるものの不備を感じた。
     こんな際に、その存在を思えば、その存在さえあれば、他のことはすべてがどうでもよい、と達観できるまでにのめり込み、すがりつける対象となる何かがあれば、どれだけ救われることだろう。

    このあとに貫多は田中英光や藤澤清造と出会っていくのだと思うと感慨深い。

    ただ、今回の作品は西村賢太の中でも最も笑った!
    ヒトを感情溢れるままにこき下ろす暴言には才能さえ感じる(笑)

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    2024年11月16日
  • 瓦礫の死角

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    『崩折れるにはまだ早い』はこれまでなかった趣向で新鮮味がある ほか三作も安定の北町貫多ではあるが、やや大人しい とはいえ、もはや彼の作品は何んでも面白い 一読み手としてそういうゾーンに入ってしまっているが、その理由、魅力が何んであるかはいまだに解らず、上手く説明がつかない

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    2024年11月11日
  • 羅針盤は壊れても

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    後半の二作は再録なので既読だったが、二度目でも面白い 表題作の『羅針盤は壊れても』はいつもの労働ものだが、珍しく働き先の社長もなかなかうだつの上がらない男で貫多が少しマトモに見えそうになるのはこちらが少し麻痺してるんだろうな

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    2024年11月05日
  • 人もいない春

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    ネタバレ

    人もいない春 60
    製本所での短期アルバイトを追われるように辞めて、夜の街を彷徨う。タクシーを乗り捨てるあたりから郷愁漂う。

    二十三夜 60
    まるで非モテ男の濃縮。叶わぬ恋と分かっていながらどう決着するのか興味が湧く。秋恵前夜としたら興味深い。

    悪夢─或いは「閉鎖されたレストランの話」55
    私小説ではない(創作)小説。ネズミ目線は特に面白くはないが、オチが西村賢太っぽくておもしろい。

    乞食の糧途 40
    運送会社のアルバイト先に嫌なヤツがいた。
    貫多はヒモ選手権があるとしたら、ランキングは最下位だと思う。

    赤い脳漿 65
    逆恨みもいいところ。それもかなり歪んだ逆恨みです。私小説でなければ

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    2024年11月09日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    この手の新たな職に就く話はいつも最初はうまくいくけど些細なことでいつもの「慊い」がはじまり、結局は後足で砂をかけるように罵詈雑言を並べて途方に暮れるという一言にすれば自業自得の話だけど、これは歯切れのいい言葉と勝手に岡惚れして傷ついて旅に出るというほぼワンパターンの『男はつらいよ』好きの自分には共通点が感じられるし、だからこそこれだけのめり込んでしまっているのだろう

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    2024年10月22日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    ネタバレ

    貧窶の沼 60
    北町貫多は17歳。初めての素人彼女ができて、酒屋配達のアルバイトとなり貧窶の沼から脱しようとするが。。。
    気風のいい悪態付きが面白い

    春は青いバスに乗って 60
    アルバイト先の社員を殴って留置所へ。北町貫多版の「塀の中の懲りない面々」みたい。

    潰走 50
    北町貫多は16歳。家賃滞納常習犯 VS 取り立て屋老家主
    小説としてはちょっと物足りない。

    腋臭風呂 70
    時を超えてよみがえる腋臭の思い出。なんちゅう設定やねん!
    汚下ネタで書き上げる胆力に笑ってしまう。

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    2024年11月09日
  • 寒灯

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    「苦役列車」未読だが大いに楽しめた。オール「秋恵」短編集。全話期待を裏切らぬ貫多と秋恵の同棲事件簿(てか喧嘩録)。笑った喧嘩は三話目、切ないテイストの四話目も良。

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    2024年09月30日
  • 小銭をかぞえる

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    相変わらずだが、とくに本作に収録の二作はいずれもダメなところが強すぎて共感がしづらい。なのにこの面白さはなんだろう。なんだか見ず知らずの人の口論に興味を持ってしまい、面白がって見る野次馬根性みたいなものを刺激されるのかもしれない。

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    2024年09月23日