【感想・ネタバレ】羅針盤は壊れてものレビュー

あらすじ

大丈夫だ、まだ、大丈夫なはずだ――。中卒、日雇いバイト暮しの北町貫多は、23歳を迎えて自身の人生の敗北を決定的に覚えるようになっていた。その彼の唯一の慰めは田中英光の私小説の復読であり、やがて冴えない日々の中で藤澤清造の著作にも出会う。そして貫多は、自らも私小説を書いてみるのだが――。生命力あふれる生活不能者の儚い希望とあえなき挫折を描く、最新の孤狼私小説集。表題作と「陋劣夜曲」、他二篇を再録。電子版に特別付録はつきません。

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Posted by ブクログ

後半の二作は再録なので既読だったが、二度目でも面白い 表題作の『羅針盤は壊れても』はいつもの労働ものだが、珍しく働き先の社長もなかなかうだつの上がらない男で貫多が少しマトモに見えそうになるのはこちらが少し麻痺してるんだろうな

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2024年11月05日

Posted by ブクログ

表題作は貫太が訪問販売のバイトを始める話。西村作品では珍しく(?)同年代の女性と普通の関わり方をしてる。西村氏は嫌な奴の書き方が本当に上手い。バイト先の社長夫婦の人当たりは良いがクズな感じとかリアル。
自分は私小説を知ってるから他の奴らとは違うんだ!あいつらは私小説を知る事も無く死んでいくんだ!という無意味なプライドと強がりは実に虚しいが最高に共感できる。こういうものに縋り付かなきゃ現実に耐えられない苦しみがヒシヒシと伝わってきた。読んで良かった。

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2024年05月10日

Posted by ブクログ

どうしようもないダメ男が主人公。
ものすごくリアリティを
もって書かれていて自分が体験しているような気分を
味わえる。これぞ小説の醍醐味。

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2019年12月21日

Posted by ブクログ

「陋劣夜曲」
連休のつなぎにありついたバイトはまったく勝手が分からずあげく労災に遭う、家賃を溜め込んでる大家とは気まずいところでやたらと会う。あげく酔っ払いのヤジに荒く返したら相手がキレてくる。
いくら貫太とはいえ、あまりに巡りが悪すぎてちょっと一緒にため息をついてやりたくなる作。
「羅針盤は壊れても」
貫太が港湾人足にうんざりした一時の「転職」で味噌の押し売りをやる話。
その味噌会社の面々がなんとも濃く、貫太は傍観者気味なのが新鮮だ。
「廃疾抱えて」
再読。冷酒を飲んで暴力に向けてギラつくラストはやはりいいな
「廃疾旅行」
再読。やはり地味な作。

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2025年07月30日

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