西村賢太のレビュー一覧

  • 一私小説書きの日乗 野性の章

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    一見何のことは無い、西村賢太さんの日記。
    しかし、味わい深し。
    一日何もしていないような日も多く、
    買淫も手淫も、恥ずることなく晒す。
    そんな飾りのないところが大好きである。

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    2014年12月10日
  • 寒灯

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    著者お得意の「秋恵と貫多」シリーズが4話。空気を読めない秋恵のちょっとした無神経っぷりが空回りし、貫多の怒りは段階を経て沸点に達する。そして、爆発。しかし、すぐに後悔する貫多。そして土下座謝罪。

    基本的にどの短編もこの流れ。安定感のある西村作品の王道だ。マンネリなんだけど、純文学を思わせる芸術性のあるタイトルと中身のギャップ、そして、貫多が沸点にたどり着くプロセスが抜群におもしろい。

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    2013年07月26日
  • 寒灯

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    4つの短編からなる秋恵との日記。表題の「寒灯」は、初めて一緒に過ごす正月に秋恵が貫多に断りも無しに単独帰郷を決めていた事に対する憤りの話。男が嫌いな、女性のこうした無神経さを短編に上手く纏めてあり共感。巻末の「腐泥の果実」は秋恵と別れてから八年後に、当時を想起させる品と出会い、その心情を語る一編。
    巻頭の「陰雲晴れぬ」で始まる同棲の開始から巻末の一編までで、短いながらも充実していた初の素人女性との同棲生活が生々しく語られ、当初活き活きしていた二人が次第に淡泊な惰性の日々の果て別れてしまう様には、良く有る話とは言え、やはり刹那さを覚える。

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    2013年07月06日
  • 寒灯

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    ネタバレ

    とるに足らない痴話喧嘩。ありふれた睦言に由無し言が赤裸に綴られる。いつものように身勝手な爆発が始まり侘びしく哀しい悔恨慙愧に帰結する。4つの短編がいずれもこのワンパターンに終始しているにもかかわらず飽きさせないのは磨き上げられた秀逸な筆力のなせる技。見事というほかない。ただ淡々と流れる何気ない男女の日常風景に夫婦のあり方、他者を思う心を深く見つめ直すこともできた。得体の知れない力に圧倒された。

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    2012年06月30日
  • 瘡瘢旅行

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    っはー、今回もひどい、ひどくて最高。
    女をののしる言葉が、最高にえげつなくていい。
    放送禁止用語レベルなのでここには書けないが、とにかく、筆者でなければ思いつかないレベル。

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    2010年05月27日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    自身の存在意義を確立できていない人間にとっての、この社会での生きづらさや不安要素、感情の動きが事細かに表現されていて、いい意味で不快感がすごかった。だけども実際そんな人間が考える妬み嫉み他責は、全部自信の無さから派生している感情だろうから目に見える実績を求めるのだろうな〜という思考回路がよく分かるお話だった。
    私自身にも重なる部分が多々あって耳が痛いような気分になりました。ここまで赤裸々に人間臭さを表現してくれるなんて、仲間を見つけたようでなんだか嬉しい。それでも何もしなくても居心地のいいところなんて大体成長がないんだから長居するのは良くないね。

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    2025年11月30日
  • 瓦礫の死角

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    苦役列車は読んだはずだが、その内容はまったく頭に入っていないので状態で実質的に初めて読む西村賢太

    使われている漢字と語彙が独特だが、抜群に読みやすい文章力

    私小説なのでどの作品から読んでも問題ない点も評価

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    2025年11月28日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    YouTubeを見ていて、売れない若手芸人がこの本を好きでずっと読んでいたというのを聞いたので。

    自分とは真逆の人間です、この主人公は!だから感想としては、不器用だな〜この人、もっとこうすればいいのに。である。だけど、これも人間だし、ゼロイチじゃないから自分にも少なからずこういう部分はあったりして、それが誰しも多かれ少なかれ当てはまるんだろうな。だから読まれ続けるんだろうな。

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    2025年11月27日
  • 小銭をかぞえる

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    西村賢太氏は数年に一冊くらいのペースで読む
    それ以上はキツくてとても読めないから
    読むのに体力が要る作家さんだと思う

    これも相変わらず西村賢太氏だなぁ って本で特筆すべきことは挙げられないんだけど
    氏の著作は麻薬的な何かがあるよね
    死ぬまでに全著作を読んでみたいけど どうなるかなぁ

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    2025年11月09日
  • 雨滴は続く

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    「根は○○」が見開き2ページごとに出てくるから気になってたんだけど、調べてみたらtwitterでbotも作られてたのか

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    2025年10月22日
  • 蝙蝠か燕か

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    晩年の作品のため、以前読んだ『歪んだ忌日』などの答え合わせができて面白かった。
    「元より人を見ての暴行癖(自分より、確実に腕力が弱いと思える相手に対してだけの)が酷かった車劣の質である」と自身で評しているのも、やっぱり自覚はあるんだ?!なぜ?!という驚きがあってよかった。

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    2025年10月06日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ただただ貫太が最低で気持ちがいい。私小説と言っても、今まで読んできた太宰治屋三島由紀夫やドストエフスキーは、どれも文学少年のどこか上品な絶望を書き綴ったものだった。

    それに対して西村賢太は上品の欠片もなく、ただただ下品。下品なのと裏腹に難しく古風な言葉使いが対照的でおもしろい。これも貫太の見栄っ張りで衒学的なところと合ってる気がする。開けっぴろげにしてくれてありがとうまたよもう

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    2025年09月18日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    正直自分は、これに共感することは無かったんだけれども、人間の鬱屈とした感情を包み隠さず、そして何故か活き活きと描かれていて、ページを捲る手が止まらなかった。

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    2025年09月16日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

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    表題作「夜更けの川に落葉は流れて」が良かった。秋恵ものじゃなく若い頃付き合った佳穂という女性との交際話だったのは新鮮だった(ただ佳穂に対しても貫太は暴力をふるうという駄目さが出たのが)。佳穂と別れ、クリスマスイブで浮つく街の中を歩き芝公園内を歩き、何かを感じ取る貫太。ここの描写がとても良かった。
    「青痰麵」では50歳になった貫太が見れるのは珍しかった。TVに出るようになっても貫太は貫太だった。

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    2025年08月29日
  • 東京者がたり

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    西村賢太による東京各所に絡めた追憶エッセー。
    北町貫多ではなく、西村賢太の経験として北町貫多ものとダブるような話がされているのがなんとも面白い。
    というか、貫多ものを読んでからこちらを読まねば面白さは伝わりにくいだろう。

    普段は北町貫多を自身から突き放すような振る舞いが多い著者だが、今作では確かに自身の1バリエーションとして貫多を見ているのが感じられる。

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    2025年08月22日
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

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    自身の心情について醜くも赤裸々に綴られているところが私小説の面白さの一端を垣間見ることができたように思う

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    2025年08月13日
  • 夢魔去りぬ

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    「人工降雨」
    秋恵もの。DVの謝罪からはじまり、一瞬のハネムーンののちにあっという間に貫太がイライラして暴力が飛ぶ。
    もはやDVの様式美と言えるテンポの良さと流れの完成度はコントや落語の域である。
    ここまでオーソドックスでストロングなDVを描く西村賢太はもはやDVの大家と言える。
    「下水に流した感傷」
    これも秋恵。結句、貫太の短絡と暴力の話ではあるのだが、今作の本筋でもある観賞魚を飼おうとして四苦八苦しているくだりがなかなか面白い。
    「夢魔去りぬ」
    西村賢太にとっては歯を食いしばりながらのマイルストーンであるのだろうなと感じられる作だが、エンタメ的な私小説としてはケレンみが薄い。
    後世の西村賢

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    2025年07月30日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

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    「寿司乞食」
    念願の築地勤めのバイトをつかみ、場所柄の気風の良い歓待を受けて調子に乗りまくる北街貫太の話。
    いつも通りそんな理想環境もあっさりぶち壊すのだが、築地の人たちが良い人すぎて醜悪な破滅にはならないのがなんだか面白い。
    「夜更けの川に落葉は流れて」
    表題作。バイト先で出会った女性との甘い時間と貫太らしい身勝手さによるぶち壊し。
    今回は珍しく甘やかな時間もそれなりにあるので、年らしく青春している貫太への西村賢太の面映いような目線も感じる。
    しかし、ぶち壊しに行く顛末はひたすらに醜い自己完結でありさすが北街貫太といったところ。
    「青痰麺」
    病的な癇癪と奇行の話。作家となった今まで繋がる話で

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    2025年07月30日
  • 小銭をかぞえる

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    Twitter(X)で「焼却炉行き赤ん坊」を知り、読んだ。
    1人の男の思考回路をなぞるこの書き方、読みやすいし、読んだらいけない女性もいるんだろうな、など。

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    2025年05月17日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    なかなかに底辺の世界を描いているのだが、何故か貫多に親近感を覚えてしまう。酒癖が悪く全てを失う辺り、気が気でない。

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    2025年04月28日