西村賢太のレビュー一覧

  • 二度はゆけぬ町の地図

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    買淫のことを公衆便所的な薄汚さと形容してた。

    小心者で逆恨み甚だしく、人を人として見ないサイコパスのような側面も、その後後悔してシュンとなる側面も全てがこの上なく「人間らしい」。

    これだけ自分のことを客観的に理解しているのにそれでも一般的に良いとはされていない行為を取るのは自分のダメ人間ぶりを責めてラクになりたいからだろうか。

    0
    2018年03月24日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

    Posted by ブクログ

    相変わらずの西村節、ほんとに楽しい。どうせいつかしょうもないことをやらかすんだろうなーいつそれが来るのかなー辛いなーと負のドキドキ感があるのがたまらなくいい。
    著者の作品では珍しい長編だけど、溜まって溜まってカタルシスが来るのがほんとにたまらなくスカッとする。負のスカッとだが。
    やっぱり女性に対する期待が毎回裏切られるが故のミソジニー的な記述が一番面白い。昔付き合った女の口が臭かっただとか、バイトの女子大生が臭そうな気がするだとか、新しく入ったバイトの女の子のキュロットを臭ったら卒倒しそうなほど臭かったとか、著者の中では女とにおいというものが不可分に結びついている感じがする、

    0
    2017年09月03日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

    Posted by ブクログ

    行状の身勝手さや浅ましさが突き抜け過ぎてて爆笑すら催す大傑作。清々しいまでのクズで嫌悪感すらない。あー俺もこう言う気持ちわかるよ、と思いながらも、ここまで酷くはないけどな!と読者を慰めてもくれる。

    0
    2017年05月28日
  • 痴者の食卓

    Posted by ブクログ

    西村氏の貫多シリーズは、秋恵との同棲以前以降とでその味わいが分かれるという私見。以前以降であれ、主人公の貫多の癇癪と自責の念の揺れ具合がなんとも味わい深いところではあるのだけど、伴侶的な存在の秋恵の存在により、それが絶妙に描かれる。その意味で秋恵が全編出てくる本作は当然五つ星。

    0
    2017年05月05日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

    Posted by ブクログ

    ジャンルは私小説なのだが、この「貫多」シリーズは水戸黄門やサザエさんとジャンルを同じくする「すばらしきマンネリもの」だ。目指すゴールは主人公、貫多の爆発。

    中卒、職なし、家賃滞納中である貫多がまず行動するのは職探し。この設定は本シリーズのお約束。ベストセラー「苦役列車」では倉庫管理に就いた貫多だが、今回の仕事は洋食店で弁当配達と調理場の片付け。

    この設定だけでただものならぬ不穏な空気が漂うのが本シリーズの特徴。その空気をさらにどす黒く染めるように、店主の奥さん、バイト仲間の女子大生が登場。その上、よせばいいのに、店主は店の屋根裏部屋を貫多に提供するという暴挙。

    これで燃料は揃い、後は貫多

    0
    2016年11月21日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    よくわかるなー。

    作家研究とコレクション精神というのは紙一重で、集められるものは集めなければ気が済まないし、生活の優先順位を狂わせる。
    それが自分の人生の矜持になれば、なおさらのこと。
    それが安易なヒロイズムであることも薄々感づいている。
    師をもつとは、しかしこういうことか。

    さらにいえば、編集活動→女といさかい→女と仲直り、というパターンがある。
    このパターンは想像するだに、他の作品でも同じなのでは……?

    そしてまた、女と暮らすことの難しさ。
    過去と未来の思い出と展望はいかにもきらきらと素晴らしいのに、現実に長く寄り添う女と対峙すると、どうしてあんなにむかむかとマグマみ

    0
    2016年07月14日
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

    Posted by ブクログ

    ずーっとなんかいまいちっていうか、軽い日記みたいな感じで読んでたけど、量ってやっぱ大事で、量があるがゆえに、軽い日記みたいな感じの文章でも、読み終わった時に読後の満足感がある。最後の数行を読んで、読み終わった後、あぁ、そういうことだったのかと、なんか気づく。

    0
    2016年01月21日
  • 寒灯

    Posted by ブクログ

    著者お得意の「秋恵と貫多」シリーズが4話。空気を読めない秋恵のちょっとした無神経っぷりが空回りし、貫多の怒りは段階を経て沸点に達する。そして、爆発。しかし、すぐに後悔する貫多。そして土下座謝罪。

    基本的にどの短編もこの流れ。安定感のある西村作品の王道だ。マンネリなんだけど、純文学を思わせる芸術性のあるタイトルと中身のギャップ、そして、貫多が沸点にたどり着くプロセスが抜群におもしろい。

    0
    2013年07月26日
  • 寒灯

    Posted by ブクログ

    4つの短編からなる秋恵との日記。表題の「寒灯」は、初めて一緒に過ごす正月に秋恵が貫多に断りも無しに単独帰郷を決めていた事に対する憤りの話。男が嫌いな、女性のこうした無神経さを短編に上手く纏めてあり共感。巻末の「腐泥の果実」は秋恵と別れてから八年後に、当時を想起させる品と出会い、その心情を語る一編。
    巻頭の「陰雲晴れぬ」で始まる同棲の開始から巻末の一編までで、短いながらも充実していた初の素人女性との同棲生活が生々しく語られ、当初活き活きしていた二人が次第に淡泊な惰性の日々の果て別れてしまう様には、良く有る話とは言え、やはり刹那さを覚える。

    0
    2013年07月06日
  • 二度はゆけぬ町の地図

    Posted by ブクログ

    かなり笑った。北町貫太シリーズ。「春は青いバスに乗って」はちょっと読んで内容が見えてきた頃に大笑いしてしまった。徹底してみじめでからっとしてるのがいいなぁ。よくある普通の仕事ができなかったり馴染めないから小説書きましたみたいななまっちょろい似非社会不適応者の書いたものほどはなについた下らないもんはないからな。

    0
    2012年07月30日
  • 二度はゆけぬ町の地図

    Posted by ブクログ

    主人公が「私」である時と「北町貫太」である時の違いは何だろう?

    性欲が強くて、器が本当に小さく、すぐにキレる人の物語。「自分のことを棚にあげる」主人公が、「自分のことを棚に上げる他人」を口汚く罵るシーンに期待してしまう。

    0
    2012年07月16日
  • 人もいない春

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    醜い容姿、短気で酒好き、並はずれの性欲、突如飛び出す暴言・暴力。コンプレックスに苛まれ煩悶懊悩する主人公にいつものように自らを投影していた。他者との衝突にはらはらさせられながらも時折垣間見える相手を思いやる優しい心配りにもぐっと心惹かれた。以前にもまして磨き上げられた文章は陶酔ものであり、ストーリー自体は相変わらずのワンパターンでありながら些かのマンネリを感じさせない。加えて、6編の短編の中の「悪夢」などは、これまでとは全く趣を異にする作品であり、著者の新たな世界への挑戦も感じられ今後にますます期待は膨らんだ。

    0
    2012年06月30日
  • 寒灯

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    とるに足らない痴話喧嘩。ありふれた睦言に由無し言が赤裸に綴られる。いつものように身勝手な爆発が始まり侘びしく哀しい悔恨慙愧に帰結する。4つの短編がいずれもこのワンパターンに終始しているにもかかわらず飽きさせないのは磨き上げられた秀逸な筆力のなせる技。見事というほかない。ただ淡々と流れる何気ない男女の日常風景に夫婦のあり方、他者を思う心を深く見つめ直すこともできた。得体の知れない力に圧倒された。

    0
    2012年06月30日
  • 瘡瘢旅行

    Posted by ブクログ

    っはー、今回もひどい、ひどくて最高。
    女をののしる言葉が、最高にえげつなくていい。
    放送禁止用語レベルなのでここには書けないが、とにかく、筆者でなければ思いつかないレベル。

    0
    2010年05月27日
  • 痴者の食卓

    Posted by ブクログ

    畜生の反省が好きすぎる。
    「ちなみに、三人のご豚児のことは?」
    「えっ、ごとんじ?」
    めっちゃ笑った。
    全編好き。

    0
    2026年02月26日
  • 瓦礫の死角

    Posted by ブクログ

    ----------------------------------
    私小説?
    いや、もはや
    娯楽小説!

    全身エンターテイナー
    西村賢太、ここに極まれり!
    ーー真梨幸子氏
    ----------------------------------
    私が以前勤めていた会社で仲良かった人が、
    西村賢太をよく読むと言っていて
    ずっと気になっていました。

    本屋でたまたま見つけて、
    薄めの本だったので、
    これなら挑戦できるかもと!

    結構重たそうなイメージがありましたが。

    なんか…面白い。
    なにこれ、不思議な感覚です。
    すごく暗いし、すごく嫌な感じなのに、
    なんか面白い空気というか、
    開き直っている感じ

    0
    2026年02月23日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

     著者が芥川賞受賞後に連載を開始した「一私小説書きの日乗」が「本の雑誌」で連載されるようになった時、初めて著者の文章に触れました。そして、今この時代にこんな無頼な作家がいることに驚くとともに、なんだか嬉しくなりました。
     その彼が急逝した時、さもありなんと思ったのはその通りです。苦役列車の主人公、北町貫多は多分そうなるはずの生き方をしています。劣等感に苛まれ、人間関係もうまく作れず、日雇い仕事の日給は酒とタバコと風俗に消費され、月1万円の家賃さえも毎度毎度踏み倒して、最後は母親に無心する、というより強奪していきます。

     私小説ですが、昭和の時代までの青年たちは、多かれ少なかれ北町貫多のような

    0
    2026年02月17日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    とんでもねえゴミカスだと思ったらまさかの私小説とは…
    描写も細かく、繊細な文体と難しい単語が目立つ。
    それであって喋りとのギャップがまた面白い。
    あまりにも底の底すぎるが、
    自分もまたこうなる可能性があったと思うと、
    戦後日本の平和を享受できるのも、
    限られた人間にのみ許されたもので、
    全ての人間がそうではないんだと思わされたり。

    性格があまりにも自分の暗い部分に似ていた。
    こういう側面って誰にでもあって、
    環境によってそれが主になってしまう、
    ということもあるのだと思う。

    しかしあっこから小説家になるとは…
    いやはや何が起こるか人生とは分かったもんじゃあないな。

    0
    2026年02月16日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    私小説。正直にいうと私小説というものがわからない。最初に随筆のように読んでしまって、違うなと気づいた。自身の体験や感情をもとに書いているのだろうけど、客観視してるというか分裂してる視線を感じる。
    主人公のように、劣等感に振り回され感情にまかせその時のみを生きているだけなら、この文章は書けないんだろう。シニカルなユーモアや主人公の愛嬌を巧みにふりかけていて、上手いなぁと思う。
    ご本人はどんな人だったんだろうか。興味がでて、会ってみたかったと思った。

    0
    2026年02月15日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

    Posted by ブクログ

    他人の私生活を覗き見た感覚。

    連夜の暴飲暴食(カルピスサワーは意外)。
    描けぬ原稿。
    仲違いと仲直りを繰り返す編集者。
    思わぬ出会い。

    そんな「日常」が淡々と綴られているだけなのに面白い

    0
    2026年02月09日