西村賢太のレビュー一覧
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相変わらずの西村節、ほんとに楽しい。どうせいつかしょうもないことをやらかすんだろうなーいつそれが来るのかなー辛いなーと負のドキドキ感があるのがたまらなくいい。
著者の作品では珍しい長編だけど、溜まって溜まってカタルシスが来るのがほんとにたまらなくスカッとする。負のスカッとだが。
やっぱり女性に対する期待が毎回裏切られるが故のミソジニー的な記述が一番面白い。昔付き合った女の口が臭かっただとか、バイトの女子大生が臭そうな気がするだとか、新しく入ったバイトの女の子のキュロットを臭ったら卒倒しそうなほど臭かったとか、著者の中では女とにおいというものが不可分に結びついている感じがする、 -
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ジャンルは私小説なのだが、この「貫多」シリーズは水戸黄門やサザエさんとジャンルを同じくする「すばらしきマンネリもの」だ。目指すゴールは主人公、貫多の爆発。
中卒、職なし、家賃滞納中である貫多がまず行動するのは職探し。この設定は本シリーズのお約束。ベストセラー「苦役列車」では倉庫管理に就いた貫多だが、今回の仕事は洋食店で弁当配達と調理場の片付け。
この設定だけでただものならぬ不穏な空気が漂うのが本シリーズの特徴。その空気をさらにどす黒く染めるように、店主の奥さん、バイト仲間の女子大生が登場。その上、よせばいいのに、店主は店の屋根裏部屋を貫多に提供するという暴挙。
これで燃料は揃い、後は貫多 -
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よくわかるなー。
作家研究とコレクション精神というのは紙一重で、集められるものは集めなければ気が済まないし、生活の優先順位を狂わせる。
それが自分の人生の矜持になれば、なおさらのこと。
それが安易なヒロイズムであることも薄々感づいている。
師をもつとは、しかしこういうことか。
さらにいえば、編集活動→女といさかい→女と仲直り、というパターンがある。
このパターンは想像するだに、他の作品でも同じなのでは……?
そしてまた、女と暮らすことの難しさ。
過去と未来の思い出と展望はいかにもきらきらと素晴らしいのに、現実に長く寄り添う女と対峙すると、どうしてあんなにむかむかとマグマみ -
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4つの短編からなる秋恵との日記。表題の「寒灯」は、初めて一緒に過ごす正月に秋恵が貫多に断りも無しに単独帰郷を決めていた事に対する憤りの話。男が嫌いな、女性のこうした無神経さを短編に上手く纏めてあり共感。巻末の「腐泥の果実」は秋恵と別れてから八年後に、当時を想起させる品と出会い、その心情を語る一編。
巻頭の「陰雲晴れぬ」で始まる同棲の開始から巻末の一編までで、短いながらも充実していた初の素人女性との同棲生活が生々しく語られ、当初活き活きしていた二人が次第に淡泊な惰性の日々の果て別れてしまう様には、良く有る話とは言え、やはり刹那さを覚える。 -
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私小説?
いや、もはや
娯楽小説!
全身エンターテイナー
西村賢太、ここに極まれり!
ーー真梨幸子氏
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私が以前勤めていた会社で仲良かった人が、
西村賢太をよく読むと言っていて
ずっと気になっていました。
本屋でたまたま見つけて、
薄めの本だったので、
これなら挑戦できるかもと!
結構重たそうなイメージがありましたが。
なんか…面白い。
なにこれ、不思議な感覚です。
すごく暗いし、すごく嫌な感じなのに、
なんか面白い空気というか、
開き直っている感じ -
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著者が芥川賞受賞後に連載を開始した「一私小説書きの日乗」が「本の雑誌」で連載されるようになった時、初めて著者の文章に触れました。そして、今この時代にこんな無頼な作家がいることに驚くとともに、なんだか嬉しくなりました。
その彼が急逝した時、さもありなんと思ったのはその通りです。苦役列車の主人公、北町貫多は多分そうなるはずの生き方をしています。劣等感に苛まれ、人間関係もうまく作れず、日雇い仕事の日給は酒とタバコと風俗に消費され、月1万円の家賃さえも毎度毎度踏み倒して、最後は母親に無心する、というより強奪していきます。
私小説ですが、昭和の時代までの青年たちは、多かれ少なかれ北町貫多のような -
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とんでもねえゴミカスだと思ったらまさかの私小説とは…
描写も細かく、繊細な文体と難しい単語が目立つ。
それであって喋りとのギャップがまた面白い。
あまりにも底の底すぎるが、
自分もまたこうなる可能性があったと思うと、
戦後日本の平和を享受できるのも、
限られた人間にのみ許されたもので、
全ての人間がそうではないんだと思わされたり。
性格があまりにも自分の暗い部分に似ていた。
こういう側面って誰にでもあって、
環境によってそれが主になってしまう、
ということもあるのだと思う。
しかしあっこから小説家になるとは…
いやはや何が起こるか人生とは分かったもんじゃあないな。