【感想・ネタバレ】痴者の食卓のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2017年05月05日

西村氏の貫多シリーズは、秋恵との同棲以前以降とでその味わいが分かれるという私見。以前以降であれ、主人公の貫多の癇癪と自責の念の揺れ具合がなんとも味わい深いところではあるのだけど、伴侶的な存在の秋恵の存在により、それが絶妙に描かれる。その意味で秋恵が全編出てくる本作は当然五つ星。

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Posted by ブクログ 2016年05月17日

相変わらずの西村節炸裂。
自分が人格者だとか、聖人君子だとか思ったことはないが、こんな酷い男よりはましだよなあ、と冴えない自分を庇護するには最高な作品。
これって、TVバラエティーで見かける汚いオカマとかと同じで、自分より蔑める存在を見ると安心するというわけだ。

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Posted by ブクログ 2024年02月18日

秋恵に対して爆発するまでの貫太の心の動きがよく分かる。秋恵からしたら貫太の怒りは理不尽でしかないということを、貫太自身理解したうえで、なお感情を抑えられない、そのこと自体を仕方のない事と諦めているところに、秋恵との破局の時がそう遠くないことを予感させる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年08月08日

 西村賢太さんの作品を読んだ方ならもうお馴染み(あまり馴染みになりたくないのですがw)、これでもかというDV癖の描写。「痴者の食卓」、2015.7発行。人工降雨、下水に流した感傷、夢魔去りぬ、痴者の食卓、畜生の反省、微笑崩壊の6話。気のいい女性、6歳下の同棲相手、秋恵への北町貫太の一方的な暴言と暴行...続きを読む。打擲(ちょうちゃく)、足蹴、髪を掴んでの引きずり廻し。そして、いつも、あとから反省。その繰り返し。話の展開はともあれ、微笑崩壊で鶯谷の「信濃屋」が舞台になっていて、これは嬉しかったですw。

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Posted by ブクログ 2022年05月06日

西村賢太の私小説作品には秋恵の存在がとても重要である。彼の作品の大半に登場する彼女。罵詈雑言、常に殴られ蹴られて、貫多の凶暴性の引き立て役にある。悲しいけど。
極論、秋恵無しでは多くの物語も生まれなかっただろうし、もしかしたら彼がこれ程まで世に知れ渡る作家になることもなかったかもしれない。秋恵に感謝...続きを読むせい!

そして先日、作者である西村賢太氏が急逝した。とても残念でならない。ご冥福をお祈りする。秋恵はきっと清々しているだろうけど。

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Posted by ブクログ 2019年03月21日

相変わらずの素晴らしきマンネリ、北町貫多&秋恵シリーズ。2人のかみ合わない同居生活の中、寛多が自分勝手に憤怒して幕を引く短編集。内1作は小説家として成功した寛多、つまり現在の著者の身辺報告。

寛多の爆発を誘発する起爆剤としては、金魚の飼育、古本店主との会話、居酒屋での外食などなど。毎回、これだけの...続きを読むネタを用意できる作者に感心。

で、これらをきっかけに発生する理不尽な怒りを秋恵へのDVで発散させる寛多。フェミニストが読んだら卒倒しそうな展開ばかり。特にタイトル名の短編は非道すぎるが、それらを笑えるかが西村賢太作品を読み続けることができるかの登竜門だ。

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Posted by ブクログ 2015年09月19日

余りにも黙り込み続けているので、目を開けたまま寝ているのではないかと疑った程の緘黙。西村賢太氏が母校で初めて課外授業に立つというのに、アイデアの方は全く出てこない。結局、児童自らのダメ体験を書くという陳腐な案が終着点となる。著者は謙遜するが実は大変イイ授業であった。私小説の素晴らしさを広く伝え、大き...続きを読むな意義があったと思う。授業後の感傷の確認作業も非常に良かった。二度は戻ることはないと捨て去った生育地の、長年心の奥に引っかかっていた残影を綺麗に押し流す。新たな小説のスタートに立ち決意を固める。果て無き挑戦の意気込みに頗る熱いものを感じた。

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