西村賢太のレビュー一覧

  • 瘡瘢旅行

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    結局のところどれを読んでも私小説である以上は西村賢太であり、ほとんど金太郎飴にも近いものではあるが、それでいてこれだけ面白いのは言葉選びなのだろう。貫多と秋恵のいつもの同じようなやり取りなのに言葉が面白いので全く飽きず、丸裸の人間が描かれているのでうっかり共感してしまう。

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    2024年08月31日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    個人的には読み終えてとても安心するような感じだった。

    やはりかのような不慮の事態に陥るより先に、不覚の死に恥晒かすより先に、いっそ先手を打って自らの意思で自分に始末をつけてしまうのが結局は為だと、

    と上記の文章にはとても共感できる気持ちになるのでした。

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    2024年08月28日
  • 寒灯

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    秋恵モノ。貫多まじ最低最悪なんだけど、秋恵にタクシー乗っただろとか詰めておきながらじつは自分も乗ってたとかなんか笑ってしまう。

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    2024年08月15日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    ⚫︎感想
    私小説らしきものはあまり読んだことが無かったため、身に迫るものがあった。貫多の父は連続強姦犯として、彼が小学生のときに捕まった。可能性として誰もが被害者、加害者、またそれぞれの家族になり得る。そんな危うさをしみじみと考えるきっかけとなった一冊。

    ⚫︎あらすじ
    劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかか

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    2024年08月11日
  • 小銭をかぞえる

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     面白かった。でも何でこんな小説がこれほどまでに面白く感じられるのか、自分でも理由が能く分からない。

     はっきり言って何にも善いことは書かれていない。自堕落で自己中心的な男が周囲の全ての他人様に迷惑をかけながら生活する様が延々綴られるのみ。

     思い通りに行かないと直ぐに怒るし、時には手も出るようだ。真面目に労働に従事している様子は無く、性慾を制御出来ず、生活資金は女性に依存している。


     形が大きいだけの丸っきり子供大人である。唯一志と呼べそうな活動は私淑する作家の全集を自費出版しようとしていることくらいか。
     こんな正論を書いても仕方が無いが、志を持つのは結構なことではあるものの、それ

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    2024年05月11日
  • 羅針盤は壊れても

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    表題作は貫太が訪問販売のバイトを始める話。西村作品では珍しく(?)同年代の女性と普通の関わり方をしてる。西村氏は嫌な奴の書き方が本当に上手い。バイト先の社長夫婦の人当たりは良いがクズな感じとかリアル。
    自分は私小説を知ってるから他の奴らとは違うんだ!あいつらは私小説を知る事も無く死んでいくんだ!という無意味なプライドと強がりは実に虚しいが最高に共感できる。こういうものに縋り付かなきゃ現実に耐えられない苦しみがヒシヒシと伝わってきた。読んで良かった。

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    2024年05月10日
  • 根津権現裏

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    ネタバレ

      「ああ、何時までこうした生活を続けねばならないのか。」 

     これは、主人公が知人宅に着物を借りに行くも叶わず、帰りしな閉店間際の鮨屋に少し詰めてもらい食べながら吐露した言葉だ。とても他人事とは思えず身に沁みた。
     貧苦に加えて病苦にも囚われ抜け出せない主人公の不平不満、カネの渇望、富める者や健やかな者への羨望と嫉妬、貧乏や愚鈍への嫌悪と怨嗟、そして友人の自殺。陰鬱な繰り言・恨み言や出来事が落語か講談のような明るさと軽やかさのある文体で綴られている。持病に苦しみ、その日の食事どころか嗜好品の煙草1本すら儘ならぬ主人公の生活苦の生々しさに慄き、また本気で脱却改善を望んでいるのか判らぬ彼の中途

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    2024年03月22日
  • 人もいない春

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    「人もいない春」
    まだ10代の頃(17歳くらい?)の
    職場での失敗談から始まり
    生活を立て直そうとする物語。

    「二十三夜」
    失恋の失敗談の話し。

    「悪夢」
    珍しく、おそらく夢で見たものを書き起こした実験的な物語。

    「乞食の糧途」「赤い脳漿」「昼寝る」
    秋恵シリーズ。


    記憶のメモがわりにそれぞれの話しを記載しましたが、やっぱりこの時期の西村賢太は勢いと無駄の無い表現でとにかく面白い。

    表題作も良いけど、
    秋恵シリーズは自制の効かない自らの暴力性と
    自己反省との繰り返しの中で、常識的な秋恵と、異常な貫多の対比が浮き彫りになって面白い。



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    2024年03月13日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    「夜、買淫。帰路、喜多方ラーメンの大盛り」の描写がやけに少ないと訝しんでいたが、どうやら掲載媒体の検閲があった模様。「夜、連続手淫。たまには良し」は笑った。

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    2024年03月10日
  • 芝公園六角堂跡 狂える藤澤清造の残影

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    本人は「別格の作」と評しているということだが、その意味は、誰に読ませるでもなく自分のために、自分が清造の歿後弟子として恥ずかしくない人間であるために書いたという点で「別格」ということらしい。
    冒頭、稲垣潤一のコンサートのくだりが異常に長く、なんだこれはと思っていたところからグッと暗い調子になり、反省して、かなり自省的な調子で最後まで行く。読み終えてみればなるほど冒頭でコンサートの華やかさをしつこく描いておくことで後半との落差をつけているのだなとわかる。誰に読ませるためでもないと言いつつも、そういう意味ではちゃんとおもしろくしようとしているところがやはりかわいいと思う。

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    2024年02月14日
  • 小銭をかぞえる

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    安定の貫太シリーズ。名前は出てこないですが、秋恵との蜜月の日々を描く本作。二短編は共に貫太の癇癪で破綻に走る事毎度の結末ですが、どうしてこうも西村処作は分かっていても面白い読後感を味わえるのでしょうか。
    それは巻末に町田康氏が解説してるように、純文学定形の「苦悩する青年像」と全く異なる方法で物語が描かれ、それも見事な文章と描写を持って成されているからなのでしょう。町田氏の「酢を飲んだような悲しみと同時に愉快に感じる」読後感を西村さんの本作からも変わらず味わえるのです。

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    2024年02月11日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    藤澤清造愛に溢れている私小説。読んでいてあまりいい気分はしないDVの場面はあるけれども、なぜか読み進めてしまいたくなるほど不思議な小説だ。それを解説がわかりやすく書いてくれていた。
    『藤澤清造に少しでも近づけることを求めながら、自らは小説家になることを目指していなかった西村賢太の私小説にその種(作家になることを目指し私小説というジャンルを選び、自分を美化して描くこと)の美化はない。なるほど彼の小説に登場する「私」は常に愚者である。すれはすがすがしくも本当の愚者である。だから西村賢太の小説は不思議にあと味が悪くない。』

    それにしても、「根は◯◯なので~」が好きだ。
    この小説内では彼の根はわがま

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    2024年02月02日
  • 人もいない春

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    『やまいだれの歌』とかに比べるとちょっと弱い感じ。一編だけ寓話みたいな創作小説が収録されてて驚いた。私小説意外もあったんだ。

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    2023年10月25日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    まず冒頭申し上げたいのは、西村賢太作品を相部屋の病室で読んではいけないということです。
    思わず吹き出して、同室の患者に眉を顰められること必定。
    笑いを堪えようとして咽たり咳込んだりし、事態が悪化することもしばしばです。
    今回、大腸ポリープの摘出手術を受けるため1週間入院していますが、西村作品を持ち込んだことを軽く後悔しております。
    それはさておき、本作は言わずと知れた「北町貫多」シリーズ。
    貫多17歳、洋食屋でアルバイトをする青春の日々を描いています。
    「青春」と書きましたが、貫多の青春は、一般にイメージされているものとは真逆のものです。
    貫多は、小学5年のころに父が性犯罪で捕まり、母と姉と共

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    2023年09月03日
  • 小銭をかぞえる

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    いわば人間の屑とでもいうのだろうか。
    働きもせず金を無心し、すぐ激昂し、女に手を挙げ、の繰り返し。それも私小説とは。。
    現代の話をかようにまでも大正昭和の人が書いたような文体、計算ずくの内心描写を筆致に描き上げる力量は解説者をして天才と言わしめるだけのことがある。
    早逝が惜しまれる。

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    2023年09月02日
  • 蝙蝠か燕か

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    発売日に買ったものの読まずにしてた。
    これが最後か。
    手元にあってまだ読んでないのが雨滴は続くと、どうで死ぬ身のひと踊り

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    2023年08月23日
  • 根津権現前より 藤澤清造随筆集

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    藤澤清造の随筆。
    書評、劇評など。
    文体が古く読みづらいけど慣れてくると藤澤清造が持ってる面白さが見えてくる。
    自身の小説に対しての批評に対して反論してるの面白い。過去の小説また読みたくなった。

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    2023年08月03日
  • 蝙蝠か燕か

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    師たる藤澤清造の全集および書作文庫での復刊へ奔走する西村賢太氏の日々。自身も「何故それ迄に」と疑念を持つ程の執着。
    ですが作中の「だが彼我も、当人には当人なりの事情と目的があって、互いにそれを自信をもって行なっているのだ。」と言う氏としては珍しい他者共感の一文が一ファンとしても面映ゆかった。

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    2023年07月29日
  • 一私小説書きの日乗

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    ネタバレ

    日記の面白さに気づく一冊だった。
    書いてあることといえば、主に朝から晩までの行動についてだけ。何時に起床、入浴し、一日こういう仕事を行い、食べた物の記録があり、明け方に酒を呑み一日を終える。時々、尊敬する人物への熱い思いが綴ってあり、編集者との喧嘩や愚痴も書いてある。
    でも日記として気楽に楽しめる範囲の事しか書かれていない。3.11の時は平静でいられない日々が続いたと思うが、それについての記述がほぼ無いことから、何を書いて何を書かないかというのが徹底しているように感じた。この日記を読んでいて不思議と癒しを覚えるのは、その取捨選択が絶妙だからなのかもしれない。
    まだ『苦役列車』しか読んだことがな

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    2023年07月28日
  • 蝙蝠か燕か

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    ネタバレ

    逝去からちょうど一年後に発売された本。P148(まあ、あれだ。人それぞれってことだよな……)がとても良かった。著者は孤独の中で自分の支えを見つけ、人生を捧げている人だからこそ、そこに関わる他人の所作には非常に厳しい。皆同じ価値観ではないのに……。「これしかない!」と人生を棒に振り、お金も人間関係も自分都合で巻き込みながら突き進むのは破滅的だと思い読んでいたけれど、命懸けで真剣で純粋だからこそ、危険な生き方になってしまったのかもしれない。そう思った時の(まあ、あれだ。人それぞれってことだよな……)が良かった。

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    2023年05月11日