西村賢太のレビュー一覧

  • 瓦礫の死角

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    『崩折れるにはまだ早い』はこれまでなかった趣向で新鮮味がある ほか三作も安定の北町貫多ではあるが、やや大人しい とはいえ、もはや彼の作品は何んでも面白い 一読み手としてそういうゾーンに入ってしまっているが、その理由、魅力が何んであるかはいまだに解らず、上手く説明がつかない

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    2024年11月11日
  • 羅針盤は壊れても

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    後半の二作は再録なので既読だったが、二度目でも面白い 表題作の『羅針盤は壊れても』はいつもの労働ものだが、珍しく働き先の社長もなかなかうだつの上がらない男で貫多が少しマトモに見えそうになるのはこちらが少し麻痺してるんだろうな

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    2024年11月05日
  • 人もいない春

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    ネタバレ

    人もいない春 60
    製本所での短期アルバイトを追われるように辞めて、夜の街を彷徨う。タクシーを乗り捨てるあたりから郷愁漂う。

    二十三夜 60
    まるで非モテ男の濃縮。叶わぬ恋と分かっていながらどう決着するのか興味が湧く。秋恵前夜としたら興味深い。

    悪夢─或いは「閉鎖されたレストランの話」55
    私小説ではない(創作)小説。ネズミ目線は特に面白くはないが、オチが西村賢太っぽくておもしろい。

    乞食の糧途 40
    運送会社のアルバイト先に嫌なヤツがいた。
    貫多はヒモ選手権があるとしたら、ランキングは最下位だと思う。

    赤い脳漿 65
    逆恨みもいいところ。それもかなり歪んだ逆恨みです。私小説でなければ

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    2024年11月09日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    この手の新たな職に就く話はいつも最初はうまくいくけど些細なことでいつもの「慊い」がはじまり、結局は後足で砂をかけるように罵詈雑言を並べて途方に暮れるという一言にすれば自業自得の話だけど、これは歯切れのいい言葉と勝手に岡惚れして傷ついて旅に出るというほぼワンパターンの『男はつらいよ』好きの自分には共通点が感じられるし、だからこそこれだけのめり込んでしまっているのだろう

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    2024年10月22日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    ネタバレ

    貧窶の沼 60
    北町貫多は17歳。初めての素人彼女ができて、酒屋配達のアルバイトとなり貧窶の沼から脱しようとするが。。。
    気風のいい悪態付きが面白い

    春は青いバスに乗って 60
    アルバイト先の社員を殴って留置所へ。北町貫多版の「塀の中の懲りない面々」みたい。

    潰走 50
    北町貫多は16歳。家賃滞納常習犯 VS 取り立て屋老家主
    小説としてはちょっと物足りない。

    腋臭風呂 70
    時を超えてよみがえる腋臭の思い出。なんちゅう設定やねん!
    汚下ネタで書き上げる胆力に笑ってしまう。

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    2024年11月09日
  • 寒灯

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    「苦役列車」未読だが大いに楽しめた。オール「秋恵」短編集。全話期待を裏切らぬ貫多と秋恵の同棲事件簿(てか喧嘩録)。笑った喧嘩は三話目、切ないテイストの四話目も良。

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    2024年09月30日
  • 小銭をかぞえる

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    相変わらずだが、とくに本作に収録の二作はいずれもダメなところが強すぎて共感がしづらい。なのにこの面白さはなんだろう。なんだか見ず知らずの人の口論に興味を持ってしまい、面白がって見る野次馬根性みたいなものを刺激されるのかもしれない。

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    2024年09月23日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    普通にしてればかなり親切にしてくれそうな人たちに出会ってるのに自分でぜんぶ台無しにしてしまう。どれも面白いが『腋臭風呂』は後半下ネタだけど文章がうまくて笑える。

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    2024年09月18日
  • 寒灯

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    『腐泥の果実』は破局間際なのでともかく、この本に収められてる話の秋恵はいずれもこれまで読んできた数冊に比べてやや強い感じがする。不思議なもので秋恵が強いほど貫多が余計に理不尽におもえてくる。それにしてもいまさらながら西村賢太の私小説にすっかりハマってしまった。

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    2024年09月12日
  • 人もいない春

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    『昼寝る』での北町貫多の献身的な性格がほかの作品でも見え隠れしているからこんな奔放な人間に感情移入してしまうんだろうな。『悪夢─或いは「閉鎖されたレストランの話」』は珍しく創作でこういうのも書いてるんですね。これはこれでおもしろい。

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    2024年09月10日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

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    「寿司乞食」の二十代前半から「青痰麺」での五十ヅラを下げるようになった北町貫多まで相変わらずなのがいい。いいと言ってもかっこいいだとか憧れるだとかそういうことではなく、まったく関わりのない赤の他人を読みものとして知る対象としていい。そしてまた自分の中のいる北町貫多を発見させられる。

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    2024年09月07日
  • 痴者の食卓

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    相変わらずフェミニストが読んだら激昂しそうな内容。貫多がキレて御託を並べて結局は手を出すところが、歌舞伎の大見得じゃないけど、そこが読みたくてとにかく読んでしまう。とくに屁理屈が面白い。読んでいると、流石に手を出したことはないけど、自分の中にもソフトな北町貫多がいる気がする。

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    2024年09月01日
  • 瘡瘢旅行

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    結局のところどれを読んでも私小説である以上は西村賢太であり、ほとんど金太郎飴にも近いものではあるが、それでいてこれだけ面白いのは言葉選びなのだろう。貫多と秋恵のいつもの同じようなやり取りなのに言葉が面白いので全く飽きず、丸裸の人間が描かれているのでうっかり共感してしまう。

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    2024年08月31日
  • 寒灯

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    秋恵モノ。貫多まじ最低最悪なんだけど、秋恵にタクシー乗っただろとか詰めておきながらじつは自分も乗ってたとかなんか笑ってしまう。

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    2024年08月15日
  • 小銭をかぞえる

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     面白かった。でも何でこんな小説がこれほどまでに面白く感じられるのか、自分でも理由が能く分からない。

     はっきり言って何にも善いことは書かれていない。自堕落で自己中心的な男が周囲の全ての他人様に迷惑をかけながら生活する様が延々綴られるのみ。

     思い通りに行かないと直ぐに怒るし、時には手も出るようだ。真面目に労働に従事している様子は無く、性慾を制御出来ず、生活資金は女性に依存している。


     形が大きいだけの丸っきり子供大人である。唯一志と呼べそうな活動は私淑する作家の全集を自費出版しようとしていることくらいか。
     こんな正論を書いても仕方が無いが、志を持つのは結構なことではあるものの、それ

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    2024年05月11日
  • 羅針盤は壊れても

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    表題作は貫太が訪問販売のバイトを始める話。西村作品では珍しく(?)同年代の女性と普通の関わり方をしてる。西村氏は嫌な奴の書き方が本当に上手い。バイト先の社長夫婦の人当たりは良いがクズな感じとかリアル。
    自分は私小説を知ってるから他の奴らとは違うんだ!あいつらは私小説を知る事も無く死んでいくんだ!という無意味なプライドと強がりは実に虚しいが最高に共感できる。こういうものに縋り付かなきゃ現実に耐えられない苦しみがヒシヒシと伝わってきた。読んで良かった。

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    2024年05月10日
  • 根津権現裏

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    ネタバレ

      「ああ、何時までこうした生活を続けねばならないのか。」 

     これは、主人公が知人宅に着物を借りに行くも叶わず、帰りしな閉店間際の鮨屋に少し詰めてもらい食べながら吐露した言葉だ。とても他人事とは思えず身に沁みた。
     貧苦に加えて病苦にも囚われ抜け出せない主人公の不平不満、カネの渇望、富める者や健やかな者への羨望と嫉妬、貧乏や愚鈍への嫌悪と怨嗟、そして友人の自殺。陰鬱な繰り言・恨み言や出来事が落語か講談のような明るさと軽やかさのある文体で綴られている。持病に苦しみ、その日の食事どころか嗜好品の煙草1本すら儘ならぬ主人公の生活苦の生々しさに慄き、また本気で脱却改善を望んでいるのか判らぬ彼の中途

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    2024年03月22日
  • 人もいない春

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    「人もいない春」
    まだ10代の頃(17歳くらい?)の
    職場での失敗談から始まり
    生活を立て直そうとする物語。

    「二十三夜」
    失恋の失敗談の話し。

    「悪夢」
    珍しく、おそらく夢で見たものを書き起こした実験的な物語。

    「乞食の糧途」「赤い脳漿」「昼寝る」
    秋恵シリーズ。


    記憶のメモがわりにそれぞれの話しを記載しましたが、やっぱりこの時期の西村賢太は勢いと無駄の無い表現でとにかく面白い。

    表題作も良いけど、
    秋恵シリーズは自制の効かない自らの暴力性と
    自己反省との繰り返しの中で、常識的な秋恵と、異常な貫多の対比が浮き彫りになって面白い。



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    2024年03月13日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    「夜、買淫。帰路、喜多方ラーメンの大盛り」の描写がやけに少ないと訝しんでいたが、どうやら掲載媒体の検閲があった模様。「夜、連続手淫。たまには良し」は笑った。

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    2024年03月10日
  • 芝公園六角堂跡 狂える藤澤清造の残影

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    本人は「別格の作」と評しているということだが、その意味は、誰に読ませるでもなく自分のために、自分が清造の歿後弟子として恥ずかしくない人間であるために書いたという点で「別格」ということらしい。
    冒頭、稲垣潤一のコンサートのくだりが異常に長く、なんだこれはと思っていたところからグッと暗い調子になり、反省して、かなり自省的な調子で最後まで行く。読み終えてみればなるほど冒頭でコンサートの華やかさをしつこく描いておくことで後半との落差をつけているのだなとわかる。誰に読ませるためでもないと言いつつも、そういう意味ではちゃんとおもしろくしようとしているところがやはりかわいいと思う。

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    2024年02月14日