西村賢太のレビュー一覧

  • 痴者の食卓

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    余りにも黙り込み続けているので、目を開けたまま寝ているのではないかと疑った程の緘黙。西村賢太氏が母校で初めて課外授業に立つというのに、アイデアの方は全く出てこない。結局、児童自らのダメ体験を書くという陳腐な案が終着点となる。著者は謙遜するが実は大変イイ授業であった。私小説の素晴らしさを広く伝え、大きな意義があったと思う。授業後の感傷の確認作業も非常に良かった。二度は戻ることはないと捨て去った生育地の、長年心の奥に引っかかっていた残影を綺麗に押し流す。新たな小説のスタートに立ち決意を固める。果て無き挑戦の意気込みに頗る熱いものを感じた。

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    2015年09月19日
  • 人もいない春

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    『だめんずウォーカー』的面白さといえばよいか。仕事仲間に対する卑下する態度、秋恵に対する酷い態度、金銭に対する著しいルーズさなどなど、貫多の屑っぷりを味わう私小説である(脚色はあるだろうが著者の体験を基とすると、、、なかなか恐ろしい)。

    (登場人物の方々には申し訳ないが)貫多の小市民的破天荒さは娯楽作品としては面白いのだが、文学作品として見た場合『どうで死ぬ身の一踊り』と比べると言葉選びの推敲がやや稚拙な印象を受けてしまう。従って、十分に面白いが、少し辛めに4点に近い3点。

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    2015年06月18日
  • 一私小説書きの日乗 野性の章

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    週刊誌の女性記者二人現れ、自分を見て嬌声を上げる。やたらチヤホヤしてくれ、随分と思い切った性的挑発の言辞まで弄してくれ、内心舌舐めずりしつつ帰り際に二人の連絡先を聞く。色々と期待と股間が膨らむ一夜。ショートメールを送ってみる。返信はあったものの、かの夜の狂的に弾けた調子とは打って変わった事務的で素っ気ない文言。追ってご連絡させていただきます、とのやんわりとした拒絶の返答。結局、追っての連絡は来なかった。華やぎの中にもそこはかとないペーソスが漂う。買淫の記述が日を追うごとにバリエーションに富んでくる。辛うじて当たり、はずれと言えばはずれ。いろんな意味でややはずれ。あたりは久しぶりが幸いした感じ。

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    2015年01月25日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    自分のどうしようもなさをここまでさらけ出すのはすごいと思うのですが、どうしようもなさすぎてみていられませんでした。文学としてはすごいものなのかなあ。分からず。

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    2014年01月13日
  • 瘡瘢旅行

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    西村賢太の読み残しでした。
    私小説家はアーティストのように自分の内面を小説を通して表現するものだと感じました。

    そこには、フィクション小説とは違って、自らの思考をどれだけ包み隠さずに出せるかという自己に対する客観性と責任を持たなければならず、そういう意味では、西村氏は現在、他に見当たらない本物の私小説家だと感じます。

    本書は、いずれ貫多の元を去ることとなる秋恵との生活ですが、人称の使い分けにはどういう意味があるのかわかりませんでした。

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    2013年08月14日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    2chでスレ立てするレベルの内容

    笑えるところもあるし、実体験に基づくのかリアリティがある部分もあるんだけど、なぜか全体通して読むとあまり好きになれない

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    2013年07月27日
  • 人もいない春

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    私小説。
    貫多はどうしようもないクズだな!って思うけど、つい暴言が出てしまうだけで実はそんなに酷い人ではないのでは……とも。いや、まあ実際にいたら関わりあいたくはないですけど。遠巻きに見守っていたい。

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    2014年05月02日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    読み進めていると、なんだかとても哀れな気持ちになった。
    DVの表現はやけにリアルで落ち込んだ。
    西村賢太凄いな。無頼。

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    2013年05月18日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    ネタバレ

    「二度はゆけぬ町の地図」西村賢太
    読み終わりました

    二度はゆけぬ町の地図という一つの物語ではなくて、短編4つの構成になっていた。
    西村賢太といえば、テレビやネットで見た印象では、あまり清潔な作風ではないのかなという感じを受けたのだが、例に漏れず本題や短編のタイトルどおり、どこか気味の悪い作品だった。
    だからといって作品が面白くないわけではなく、薄気味悪さ、不気味さなどがある中でも、所々に笑える部分があったりなど、サクサク読み進めることができた。

    内容は、ふしだらな生活を続ける男の生活を描いたものである(西村賢太自身を投影している?)
    典型的なダメ人間である主人公が日雇いで稼いだお金をその日

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    2013年03月30日
  • 人もいない春

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    モデルがいるに違いない「秋恵」さんの心境を知りたいなと思った。
    レストランの話は、思わずのけぞってしまいました。

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    2013年03月09日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    「苦役列車」の世界につながる私小説集。
    「春は青いバスに乗って」のタイトルと内容のギャップがよい。

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    2013年03月09日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    作者の人並みならぬ藤澤清造という作家に対する熱意とパッションを書いた本です。
    小説というかエッセイ的な本でした。
    こういうのを『私小説』って言うのかしら~?

    藤澤清造なんて作家、ちょっとマイナーなので初めて聞いたけど、この本の作者は自分に似た清造にほれ込んでたみたいね~。すっごい情熱。
    それには頭が下がるけど、作者も清造も一筋縄じゃいかない暴れん坊。
    女に金せびって暴力ふるうのは最低。

    でも、その女とのやりとりの場面は、かなり面白く読ませてもらいました~。

    しかし、作者の西村賢太は中卒で作家として活躍し、それが芥川賞候補になったんだから、ほんとタダもんじゃないわ。JapaneseDrea

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    2012年11月27日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    あるフォロアーさんが言うには「中学生くらいまでは偉い人とか真面目に努力して成功した人の人生を学んだほうがいい。高校生ぐらいからは、全然ダメダメなんだけど、何故か楽しそうに生きてる人がこの世にいるってことを知っておくべきだ」とのこと。これには「そうかも」と共感している。
    それで言えば西村さんは完全に後者。変態DV文学青年なんだけど、こんな生き方で生きれちゃってる人もちゃんといて、こんなに心にズシンとくる小説も書ける。楽しそうかどうかは別として。

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    2012年09月09日
  • 寒灯

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    西村賢太作品5冊目を読み終えた。芥川賞受賞作『苦役列車』よりも後に出版されたものなので、話題も比較的新しい。
    以前読んだ作品にもちょくちょく登場していた恋人秋恵との同棲生活が話のメインになる。相変わらずの貫多の性癖、嫌いだわ。秋恵もよくこんな奴と付き合って、1年半以上も辛抱したなと思う。でも、男って未練タラタラなんですよ。好きな女が離れていけば、どんな愚か者でもなかなか立ち直れない未練の生き物なんですよ。そんな俺も未練タラタラなタラ男です。「腐泥の果実」では離れていった秋恵への未練タラタラ感が、情けなさと共に何故か共感できてしまう男の性が表現されていて、タラ男の私、読んでいて切なかったですわ。

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    2014年03月29日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    人は歳を重ねるたびに,いくつもの荒波を切り抜け,多くの人と交わるうちに常識を身につけ,60歳,70歳になるころには精神的な余裕をもっていくものだと思っていましたが,そうではないようです。ここ数年,怒る老人を幾人も見てきました。キレる老人ともいわれます。
    貫多の大家もまさにそれです。元中学の校長という肩書きに近所の人たちは立派な人と思い込み,その人のなすことに間違いはないと思い込んでいますが,実は僅かなお金のために人を侮辱する人でした。
    あいかわらず貫多の自堕落な生活にはあきれますが,キレる老人には幻滅します。

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    2013年03月19日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    北町貫太17歳。青春時代の生き様です。
    「春は青いバスに乗って」題名はさわやかなのにという点、いつもと違う場面ということもあり、おもしろかったです。

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    2012年07月02日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    僕が読んだ西村賢太の小説は、『苦役列車』『二度はゆけぬ町の地図』『暗渠の宿』であり、さらに今回これが加わる。同棲していた女性の話すなわち「秋恵モノ」は『暗渠の宿』しか読んでいないのであるが、それなのにこの『どうで~』における秋恵話のごり押しに、読者としての失速、ありていに言えば食傷を感じてしまったことをまず記しておきたい。

    表題作においては藤澤清造の逸話と秋恵の話がふんだんに盛り込まれている。著者は上手く女性と藤澤清造についての話を絡ませているが、もともとその二つは相いれないというのか、やはりどうしてもバランスの悪さが目立ってしまうように思う。

    著者の手腕は短編集『二度はゆけぬ町の地図』の

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    2012年03月18日
  • 人もいない春

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    「とりあえず、あすこで二週間ばかし働いて生活を安定させる第一歩としよう。で、少し金を貯めたら、まともな仕事先を探してみよう。ぼくの人生はそこからだ。」という北町貫多のセリフが気に入りました。

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    2013年03月19日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    藤澤清造関連のやや文体が堅いものと、いつもの秋恵ものの2部構成的な内容。インパクトの強いタイトルと装丁に惹かれて読むのを楽しみにしてました。

    西村賢太の芥川賞授賞式ニコ生中継では「何というおれたち」「なかま!」的なコメが大量に流れてましたが、、、、、これはひどい\(^o^)/もちろん文章じゃなくて賢太のキレっぷりがひどい(笑)今回はいつもにも増してひでえので★みっつ!

    【備考】
    ベンチでスーパーのおにぎりを食べる賢太はセコ可愛い。

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    2012年03月05日
  • 人もいない春

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    6編の短編が収められている。どの話も短く、小綺麗にまとめられている。その分だけ、西村賢太ならではの、破壊的な感じや陰湿な感じは薄まったが、サクサクと読みやすいので、これはこれで良いと思う。「悪夢」という、西村賢太には珍しい私小説ではない作品も、ダークでオモロかった。

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    2012年03月03日