西村賢太のレビュー一覧

  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    主人公は大正期の作家・藤澤清造に惚れ抜き、死後弟子を自称して、墓をうろつく。これが目が覚めるほどのダメ男で、読んでいてグツグツ腹ワタが煮えくり返ってくる。

    「わたくし」のダメさを徹底して描くということ。
    その意味で、この作品はほんとうに素晴らしい。
    アタマに来て、どうしようもなくなるから、もう一度読み返そうと思えないのが残念だ。

    0
    2011年07月16日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    そんなこと言うなよ、と思いながらも主人公の罵詈雑言を聞いていると、じぶんの”やっちまった”失言や行動を思い出す。

    0
    2025年12月03日
  • 瘡瘢旅行

    Posted by ブクログ

    俺と女と貫多と秋恵。いつもの内容なのだけど、面白い。

    著者あとがきにて「モデルのそれとは一層かけ離れたデフォルメが塗り重ねられている」
    なんだって!!

    0
    2025年12月01日
  • 二度はゆけぬ町の地図

    Posted by ブクログ

    10代若かりし頃の私小説集。
    もっともっと読みたくなる虜になってしまう人間性は何故なのだろう。人間の本質が描かれているのだろうか?

    0
    2025年11月22日
  • 一私小説書きの日乗 野性の章

    Posted by ブクログ

    西村賢太氏のこのシリーズを読み続けているので。正直どの巻を読んでも、小説を書き、酒を飲み、サウナに行き、買淫して…そんな日々の繰り返しだが、どうにも生きている生々しさを感じてしまい、頁を操る手が止まらない。玉袋筋太郎氏とのエピソードがあり、粋な男の友情を感じた。

    0
    2025年10月13日
  • 東京者がたり

    Posted by ブクログ

    東京の各土地ごとに作者の記憶や思っていることを綴っているエッセイ。
    「言問通り」では逮捕されて護送バスから見た花見をしている人々と桜の美しさが忘れられないと言っていたのが印象的だった。そしてこのお話が『二度は行けぬ町の地図』に入っているとのことなので読んでみたい。
    「日暮里②」での初ビジネスホテルのお話も好き。

    0
    2025年09月15日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    どこまでいっても卑屈で逆に清々しい。
    やはり人間どこか歪んだ部分、歪んだ思考はあるけどそれを隠して出来るだけ綺麗に見せようとするものだけど、こんなに卑屈さを隠さずにいると寧ろ卑屈さを貫くことに価値があるのではと思ってしまうほど。
    貫多がどんなに卑しい人間だろうとやはり、文字が読める、書籍が買える、著者の感情を拾う感性、文章で表現できるという強みがあって良かったなと思った。

    また本能的に気持ち悪く感じる描写がすごくリアルで読んでる途中で悪心がするほど。
    異臭立ち込める私小説という印象でした。

    0
    2025年09月06日
  • 瓦礫の死角

    Posted by ブクログ

    「崩折れるにはまだ早い」が好きです。
    書かれている内容は貫太のことなのかなと思いつつも、普段出てこないような単語(渠(かれ))や言葉遣い、そして性病持ちということからだんだん「これは貫太なのか・・・?」と変わっていく。終盤そういうことだったのか!となるのはすごかった。
    「瓦礫の死角」「病院裏に埋める」は17歳の貫太のお話。「四冊目の『根津権現裏』」では2018年の貫太なのだがこの年齢を重ねた貫太ももっと読んでみたいなと思った。
    読んでいない貫太作品まだまだあるので引き続き彼の人生を追いたいと思う。

    0
    2025年09月02日
  • 夢魔去りぬ

    Posted by ブクログ

    北町貫多は相変わらず酷いんだけど、なぜか北町貫多の人生を読み続けたくて読んでいます。前回読んだ『瘡瘢旅行』より良かった。
    個人的には表題作と「微小崩壊」が好きです。「微小崩壊」では居酒屋で自分と重なるモラハラDV男を目撃して自分の酷さを再認識し、秋恵に対し態度を寛容に、DVを行わないように気をつけるんだけど最後は盛大にブチ切れるというオチがお決まりな感じで面白かったです(面白いという表現が適切なのかどうかは分からないけど・・・)。

    0
    2025年08月03日
  • 羅針盤は壊れても

    Posted by ブクログ

    「陋劣夜曲」
    連休のつなぎにありついたバイトはまったく勝手が分からずあげく労災に遭う、家賃を溜め込んでる大家とは気まずいところでやたらと会う。あげく酔っ払いのヤジに荒く返したら相手がキレてくる。
    いくら貫太とはいえ、あまりに巡りが悪すぎてちょっと一緒にため息をついてやりたくなる作。
    「羅針盤は壊れても」
    貫太が港湾人足にうんざりした一時の「転職」で味噌の押し売りをやる話。
    その味噌会社の面々がなんとも濃く、貫太は傍観者気味なのが新鮮だ。
    「廃疾抱えて」
    再読。冷酒を飲んで暴力に向けてギラつくラストはやはりいいな
    「廃疾旅行」
    再読。やはり地味な作。

    0
    2025年07月30日
  • 瘡瘢旅行

    Posted by ブクログ

    三篇収録。どれも同棲していた秋恵とのお話。以前読んだ『どうで死ぬ身のひと踊り』で秋恵に「便座上げとけ!!」って言ってDVしたりと理不尽を超えに超える理不尽さが現実離れ?してるんだけど、今回はもう単純に貫太の酷さがただ滲み出てるだけで読むのが辛かった。好きな「根が◯◯」もややキレがなかった。それもそのはずで西村賢太はあとがきで「興の乗りきらぬまま些か前のめり気味で仕上げた」と言ってるのだからそういう作品になってしまったのかもしれない。

    0
    2025年07月23日
  • 下手(したて)に居丈高

    Posted by ブクログ

    アサ芸に連載していたエッセーをまとめたもの。
    紙幅があまりない連載だったからか、西村賢太によくある偽悪的な言葉遊びが少なく、率直に素朴に氏の生活が描かれているのがちょっと珍しくて面白い。

    相変わらず悪態の多い内容なのだが、それでもなんだか親しみやすく感じる不思議なエッセー。

    0
    2025年07月13日
  • 下手(したて)に居丈高

    Posted by ブクログ

    エッセイ集。1つが4ページくらいなのでスキマ時間に軽く面白く読める。面白かったのは彼の執筆環境や、お気に入りのボールペンや、下書きするときのこだわりや、寝るときは常に尿瓶を側に置くとかなど。根がロマンチストで駄々っ子で寂しがり屋の西村賢太の素が垣間見える。
    西村賢太作品は絶版状態になっているものも多く、物理本で入手しようにもプレミア値になってるものも多くなかなか手が出ない(こんなことを言うと、そんな読者は読まなくて結構と西村氏が言いそうだけど)。反面、その絶版の多くが電子書籍化しているのはとても助かる。

    0
    2025年06月28日
  • 瓦礫の死角

    Posted by ブクログ

    3.8/5.0

    自分の好きな文学には、その作家の実生活や主張が作品に介入しているものが多く、それでこそ文学の魅力だとも考えているが、作品のほぼ全てが自分自身の実体験である私小説という文学のジャンルのそのナルシシズムに少し距離を感じるというのが今の自分の正直な感想。でもこれは今後変わっていくかもしれない。

    0
    2025年05月31日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    西村賢太の代表作にして、芥川賞受賞作。

    北町貫多は、中学を卒業後、高校もいかずに実家を飛び出し、当面の生活費をまかなうために港湾での日雇い人足として働いていた。

    日当5,500円で過酷な労働に勤しんでは、その金を安酒と安風俗に使い込んでしまう。
    貫多は、そんな何も積み上がらない日常に危機感を持ちながら、自分の不運を嘆き、社会の不公平さを呪い、自らの自堕落さを嫌うのだが、相も変わらず同じ日常を繰り返すのだった。

    そんなある日の港湾での勤務で、大学生の日下部に出会う。
    日下部は貫多と同じ歳ながら、スポーツで鍛えた身体と端麗な容姿を持つ青年だった。
    貫多は日下部に好意を寄せ、親交を深める。日下

    0
    2025年04月09日
  • 棺に跨がる

    Posted by ブクログ

    最後の「秋恵」モノ。別れちまったわけだから。藤澤清造の墓に額づいているうちに。サヨナラ。一切は彼の傍若無人な打擲による、恋人の当然の報い。相反する形容が彼の顔には並ぶ。「誇り高い」↔「甘ったれ」。ここに私小説としての、書き手としての西村賢太がある。エッセイではない。すきま風が吹き込む。僕が彼の新しい小説を手に取ることは、もうないのだとおもうと、秋恵との別れであり、西村賢太、私小説の主人公である北町貫多との別れでもあると思うと感慨深い。

    0
    2025年03月24日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    卑屈を絵に描いたような男の話であるが、憎めないところもあり、どこかシンパシーも感じる。
    この男が底辺から抜け出せない境遇は、自ら招いた所が大きいと思う。

    0
    2025年03月19日
  • 一私小説書きの日乗 新起の章

    Posted by ブクログ

    過去五作に比べ、社交的に飲みに出かける頻度は高く、心情を書かれることも増えている印象。前から思っていたが、度々の微熱時にはサウナでの強制発汗で治していて、荒療治に感じるが、その一方で案外効果的にも見え、真似てみたくなる。

    0
    2025年02月16日
  • 人もいない春

    Posted by ブクログ

    時代の異なる、いくつかの短編集。相変わらずの北町貫多だが、『東京者がたり』の新宿での暮らしなどを知った上で読んだので、繋がりが見えて楽しめた。

    0
    2025年02月09日
  • 人もいない春

    Posted by ブクログ

    最初から最後まで、北町貫多の自己中かつ自堕落なキャラが際立っていた。
    こういう人物は個人的に大嫌いだから、現実にいれば間違いなく初見で遠ざけてしまうが、幸いにもそれらが物語の中だから粘り強く付き合い続けられる。
    それに、一見ダメ男でしかない彼だけど、好いてくれる女がいたり、中卒という学歴を容認し雇ってくれる会社があったりと、内面に負を抱えながらもどうにかこうにか生きていけるところも、物語として大変面白く見所だと思った。
    しかもこれが実体験を元にした私小説というのだから、著者は若い頃から刺激的な世界で生きてきたのかが分かる。

    0
    2025年02月07日