西村賢太のレビュー一覧

  • 瘡瘢旅行

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    待ちに待った西村賢太最新作。
    この作家は、もっと評価されていいはずと、本気で思う。古い純文学の体をなしながら、これほど素晴らしいパロディーを描ける方が他にいるだろうか?
    物語展開の巧さ・会話の妙・そしてなにより、文語体を笑いに昇華させる文章力!
    とにかく頭のいい作家さんだなと感心します。

    物語は、貫太と秋恵のちょっと悲しくてほろ苦い、終わりのない男女の戦いを描く。
    男女二人の密室劇といってもいい設定だが、このふたりの日常の密度の濃さは異空間ともいえる。
    21世紀の小津安二郎か!
    デフレ時代には彼のような作品こそが求められるのではないかと思いました。
    今・これからの小説のトレンドになる西村賢太

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    2012年01月17日
  • 寒灯

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     いつも通りの短編集。芥川賞受賞後初の短編集らしいが、受賞前と何が違うのか、あるいは何かが違っているのかは知らない。

     個人的にもっとも面白かったのは「腐泥の果実」。木枯しの吹く寒い日、主人公北町貫多は文具店で以前交際していた女性が誕生日にプレゼントしてくれたものと同じペン皿が売られているのを見つける。自身が犯した過ちを悔いるとともに思い出の世界に没入するが・・・そんな話。

     秋恵に未練は無いと前半で言っておきながら終盤で「今もただ一人の女性」と認めてしまうところは安定の面白さ。しかもどうしょもないオチまで付いている。

     ただ、大切な恋人を失ったと言うより、心の寂しさを埋めてくれるピース

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    2011年10月24日
  • 寒灯

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    「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」

    待望の恋人との同棲生活の始まり。
    仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。

    二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。



    これは"秋恵シリーズ"というんでしょうか。

    新潮文庫から出ている「廃疾かかえて」(読みた〜い)にも"秋恵"が出てくるそうなので。

    本書は連作短編集になります。

    収録内容は、

    「陰雲晴れぬ」
    「肩先に花の香りを残す人」
    「寒灯」
    「腐泥の果実」



    主人公はお馴染み

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    2011年10月08日
  • 寒灯

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    西村賢太氏の最新単行本。
    おなじみ北町貫多が、恋人秋恵と同棲し、やがて去られてしまうまでの物語。数篇の短編小説が連作の形で収録されている。
    秋恵のことを書いた小説は、秋恵シリーズというらしい。今回の小説の中で、同じテーマ(秋恵)ばかり書いているようなことを貫多が言っている。秋恵は西村氏にとって永遠のテーマのひとつであるようだ。
    あいかわらず筆が冴え、これ以上ない自虐的なエピソードにしばしばうんざりする思いになりながらも、やっぱりクスクス笑ってしまう。自分を落としこんでユーモアをもたせる腕が達者である。
    秋恵は実在するのだと思うが、こんなにあからさまに書かれてしまうと、本人としてはたまったもので

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    2011年08月11日
  • 寒灯

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    北町寛太シリーズで貫太にようやく秋恵という恋人が出来て一緒に暮らし始める「隠雲晴れぬ」から秋恵と別れたあとの話しの「腐泥の果実」まで貫太と秋恵の話しが4編収録されている。
    相変わらずの賢太節で仔細な事に腹を立てて自分の事は棚に上げて秋恵に怒り出す。最後の作品では出て行った秋絵に未練たらたら・・・
    マンネリで少しパワーも落ちたかなっと思うこともないんだけどこれはこれで面白く読むことが出来ました。

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    2011年08月08日
  • 寒灯

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    読めば読むほど不思議な小説である。
    書いてあること自体は何の変哲もなく、別して感動も驚きもない。
    でも、なんつうかジワッとくるんだよね。
    新作が楽しみな作家であります。はい。

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    2011年07月27日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    主人公は大正期の作家・藤澤清造に惚れ抜き、死後弟子を自称して、墓をうろつく。これが目が覚めるほどのダメ男で、読んでいてグツグツ腹ワタが煮えくり返ってくる。

    「わたくし」のダメさを徹底して描くということ。
    その意味で、この作品はほんとうに素晴らしい。
    アタマに来て、どうしようもなくなるから、もう一度読み返そうと思えないのが残念だ。

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    2011年07月16日
  • 寒灯

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    貫多と秋恵の短編集。
    別れた8年後に生活を思い出している話しは哀愁感もあり斬新。やっぱりかというオチもバッチリ。

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    2025年12月13日
  • 一私小説書きの日乗

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    西村賢太は全て読むつもりなので前情報もなく購入

    日記ということで多少ガッカリしたもののほぼ同じ内容にも関わらず飽きずに読める文章力はさすが

    日常ではなく日乗とは師匠の影響なのか

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    2025年12月11日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    そんなこと言うなよ、と思いながらも主人公の罵詈雑言を聞いていると、じぶんの”やっちまった”失言や行動を思い出す。

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    2025年12月03日
  • 瘡瘢旅行

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    俺と女と貫多と秋恵。いつもの内容なのだけど、面白い。

    著者あとがきにて「モデルのそれとは一層かけ離れたデフォルメが塗り重ねられている」
    なんだって!!

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    2025年12月01日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    10代若かりし頃の私小説集。
    もっともっと読みたくなる虜になってしまう人間性は何故なのだろう。人間の本質が描かれているのだろうか?

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    2025年11月22日
  • 一私小説書きの日乗 野性の章

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    西村賢太氏のこのシリーズを読み続けているので。正直どの巻を読んでも、小説を書き、酒を飲み、サウナに行き、買淫して…そんな日々の繰り返しだが、どうにも生きている生々しさを感じてしまい、頁を操る手が止まらない。玉袋筋太郎氏とのエピソードがあり、粋な男の友情を感じた。

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    2025年10月13日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ただただ貫太が最低で気持ちがいい。私小説と言っても、今まで読んできた太宰治屋三島由紀夫やドストエフスキーは、どれも文学少年のどこか上品な絶望を書き綴ったものだった。

    それに対して西村賢太は上品の欠片もなく、ただただ下品。下品なのと裏腹に難しく古風な言葉使いが対照的でおもしろい。これも貫太の見栄っ張りで衒学的なところと合ってる気がする。開けっぴろげにしてくれてありがとうまたよもう

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    2025年09月18日
  • 東京者がたり

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    東京の各土地ごとに作者の記憶や思っていることを綴っているエッセイ。
    「言問通り」では逮捕されて護送バスから見た花見をしている人々と桜の美しさが忘れられないと言っていたのが印象的だった。そしてこのお話が『二度は行けぬ町の地図』に入っているとのことなので読んでみたい。
    「日暮里②」での初ビジネスホテルのお話も好き。

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    2025年09月15日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    どこまでいっても卑屈で逆に清々しい。
    やはり人間どこか歪んだ部分、歪んだ思考はあるけどそれを隠して出来るだけ綺麗に見せようとするものだけど、こんなに卑屈さを隠さずにいると寧ろ卑屈さを貫くことに価値があるのではと思ってしまうほど。
    貫多がどんなに卑しい人間だろうとやはり、文字が読める、書籍が買える、著者の感情を拾う感性、文章で表現できるという強みがあって良かったなと思った。

    また本能的に気持ち悪く感じる描写がすごくリアルで読んでる途中で悪心がするほど。
    異臭立ち込める私小説という印象でした。

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    2025年09月06日
  • 瓦礫の死角

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    「崩折れるにはまだ早い」が好きです。
    書かれている内容は貫太のことなのかなと思いつつも、普段出てこないような単語(渠(かれ))や言葉遣い、そして性病持ちということからだんだん「これは貫太なのか・・・?」と変わっていく。終盤そういうことだったのか!となるのはすごかった。
    「瓦礫の死角」「病院裏に埋める」は17歳の貫太のお話。「四冊目の『根津権現裏』」では2018年の貫太なのだがこの年齢を重ねた貫太ももっと読んでみたいなと思った。
    読んでいない貫太作品まだまだあるので引き続き彼の人生を追いたいと思う。

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    2025年09月02日
  • 夢魔去りぬ

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    北町貫多は相変わらず酷いんだけど、なぜか北町貫多の人生を読み続けたくて読んでいます。前回読んだ『瘡瘢旅行』より良かった。
    個人的には表題作と「微小崩壊」が好きです。「微小崩壊」では居酒屋で自分と重なるモラハラDV男を目撃して自分の酷さを再認識し、秋恵に対し態度を寛容に、DVを行わないように気をつけるんだけど最後は盛大にブチ切れるというオチがお決まりな感じで面白かったです(面白いという表現が適切なのかどうかは分からないけど・・・)。

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    2025年08月03日
  • 羅針盤は壊れても

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    「陋劣夜曲」
    連休のつなぎにありついたバイトはまったく勝手が分からずあげく労災に遭う、家賃を溜め込んでる大家とは気まずいところでやたらと会う。あげく酔っ払いのヤジに荒く返したら相手がキレてくる。
    いくら貫太とはいえ、あまりに巡りが悪すぎてちょっと一緒にため息をついてやりたくなる作。
    「羅針盤は壊れても」
    貫太が港湾人足にうんざりした一時の「転職」で味噌の押し売りをやる話。
    その味噌会社の面々がなんとも濃く、貫太は傍観者気味なのが新鮮だ。
    「廃疾抱えて」
    再読。冷酒を飲んで暴力に向けてギラつくラストはやはりいいな
    「廃疾旅行」
    再読。やはり地味な作。

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    2025年07月30日
  • 瘡瘢旅行

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    三篇収録。どれも同棲していた秋恵とのお話。以前読んだ『どうで死ぬ身のひと踊り』で秋恵に「便座上げとけ!!」って言ってDVしたりと理不尽を超えに超える理不尽さが現実離れ?してるんだけど、今回はもう単純に貫太の酷さがただ滲み出てるだけで読むのが辛かった。好きな「根が◯◯」もややキレがなかった。それもそのはずで西村賢太はあとがきで「興の乗りきらぬまま些か前のめり気味で仕上げた」と言ってるのだからそういう作品になってしまったのかもしれない。

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    2025年07月23日