西村賢太のレビュー一覧

  • 二度はゆけぬ町の地図

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    相変わらず、自分のことを明け透けに、読者を笑わせてくれる気前の良さ?を感じました。浮世とは、他人の堪えがたきものを耐えての、果てなき行路 という言葉(作者によるものではない)が印象に残りました。

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    2013年01月03日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    主人公はおそらく作者自身のことなのだろうが、こんなロクでもないやつがいるのか、というくらいロクでもない(笑)読んでいて、なんかはらはらさせられ、案の定、アチャーという気持ちにさせられる。
    でも、ここまで赤裸々に書かれると、かえってすがすがしいような気もするから不思議。

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    2012年12月29日
  • 寒灯

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    「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」待望の恋人との同棲生活の始まり。仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。

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    2012年12月26日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    貫太シリーズではないほうの私小説。貫太シリーズは腹かかえるほど笑えるんだけど、こっちは笑える部分はあまりなく、藤澤清造に対する思いや女への執着や暴力が淡々と描かれていてえぐみが強い。どっちも好きだけど。

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    2012年08月28日
  • 寒灯

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    北町貫多の念願の女性との同棲生活が中心の内容。
    これまでの作品の中でもかなり読みやすかった。

    それにしても彼ほど後悔がついてまわる人間もいないのではないか。
    後悔する様子を見事に描いていると思う。

    彼の女性に対する態度は相変わらずにひどいものであると思う。
    ただ「腐泥の果実」におけるプレゼント諸々の件は、その思考過程としてわからなくないところもある…
    しかし思うところはあっても彼のような行動は決してとらない。
    本作からその顚末を観て絶対に自分はそうならないと思った。

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    2012年08月22日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    ネタバレ

    新鮮な喜びに満ちた甘く温かい同棲生活が、いつの間にか他愛もない言い合いから思わず手をあげるような大喧嘩に転変。本作では肋骨が折れ救急車さえ呼ばなければならない緊急事態にまで陥っている。それでも藤澤清造の開眼式を第一とし、警察への連行を恐れ、骨のヒビは直に治るだとかロキソニンを服用すれば大丈夫だとか・・・。女の身より自分の保身を最優先とする身勝手を恥ずかしくもなくありのままそのままを語っている。惨めな性欲、女への見苦しい未練。ここまで書くか。人目憚らず見事に書き上げている。モチーフはいつものワンパターン。読ませられるのは私小説ならではの力か。西村氏のあとがきには「小説に関しては、ただ才にまかせた

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    2012年06月30日
  • 瘡瘢旅行

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    ネタバレ

    著者のあとがきによれば「興の乗りきらぬまま些か前のめり気味で仕上げた感は否めない」とのこと。確かに満腔から湧き上がってくる迫力が感じられなかった。身につまされるような一体感を覚えなかった。心を添わせることもできなかった。下品で野蛮、蔑みと憐れみの視線でもってしか眺められなかった。

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    2012年06月29日
  • 随筆集 一私小説書きの弁

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    ネタバレ

    草創の初期から現在に至るまでの随筆集。著者が私淑敬仰してやまない藤澤清造への思いの丈を余すことなく吐露。初期の作品が目を引いた。極めて真面目。新鮮な驚きがあった。悲惨だが滑稽、野暮なんだがスタイリスト。かたくななまでの正義感を己の貫く美学と心得、一歩も引かなかった男。巧みな抽象表現。独特の形容や言い回しなど地口にも通じる上質のギャグ。血と涙だけでなく、笑いのエレメントが全編を通じて横たわっている。著者の藤澤評だが、そのまんま西村賢太自身ではないか。藤澤清造。手にとってみたいと思った。

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    2012年06月29日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    自分を棚に上げまくってる主人公のクズっぷりがいいですね。
    文体と中身のミスマッチ感も面白い。
    ワキガの客との銭湯での話が個人的に一番面白かったです。
    このスケールの小ささは見習わなければ、と。

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    2012年06月16日
  • 人もいない春

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    ネタバレ

     今回は前向きな短編が多かったように思う。恋人を作ろうと躍起になっている話よりも、貫多と秋恵が同棲している話が印象的だった。恋人がいても、その性格故に様々なトラブルを起こしてしまうところなど、まさに貫多らしい。
     気に入った作品は、『二十三夜』、『悪夢』、『赤い脳漿』だ。特に『悪夢』は作者には珍しく私小説ではない作品だったために新鮮だった。西村賢太の私小説以外の作品は初めて読んだと思う。鼠の身に降り注ぐ不幸が、どう足掻いても止むことはない。あのレストランに勤めていた人間もそうだが、動物も動物で大変だと思う。最後は真っ暗闇の中に光がやっと射し込んだと思ったら、一気に暗転してしまった。

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    2012年04月27日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    同居していた女とのエピソード、他の作品でも度々扱われているので飽きが来ているのは事実。で、展開もほぼ同じ。だから読む前からある程度どんな話かわかってしまう。でも読んでしまい、それなりに面白いと思えてしまうのが西村賢太。

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    2012年02月29日
  • 人もいない春

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    初西村賢太。
    なかなかおもしろかった!
    自分のことを「ぼく」っていうのが、アンバランスでよろし。
    乱暴な感じとか、バイト先での話とか、気持ち分からんでもないな〜ってなります。いやいや、それにしても、分からんでもないって変な言葉ですね。

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    2012年02月26日
  • 寒灯

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    やっぱり
    西村賢太はいいなぁ…。

    読みながら
    おいおい!とか
    分かるぜ!とか
    ヒド過ぎ!とか
    ツッコミながら読める。

    素晴らしい作家さんです。

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    2012年02月10日
  • 人もいない春

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    西村賢太の私小説。クズっぷりが面白い。「見栄っ張りで短気で」という枕詞を使って自分の気持ちのいらだたしさを弁解するあたり小物な感じがするが、気持ちわからんでもない。途中のねずみの短編は小休止みたいなもので更に良かった気がした。

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    2012年01月27日
  • 瘡瘢旅行

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    待ちに待った西村賢太最新作。
    この作家は、もっと評価されていいはずと、本気で思う。古い純文学の体をなしながら、これほど素晴らしいパロディーを描ける方が他にいるだろうか?
    物語展開の巧さ・会話の妙・そしてなにより、文語体を笑いに昇華させる文章力!
    とにかく頭のいい作家さんだなと感心します。

    物語は、貫太と秋恵のちょっと悲しくてほろ苦い、終わりのない男女の戦いを描く。
    男女二人の密室劇といってもいい設定だが、このふたりの日常の密度の濃さは異空間ともいえる。
    21世紀の小津安二郎か!
    デフレ時代には彼のような作品こそが求められるのではないかと思いました。
    今・これからの小説のトレンドになる西村賢太

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    2012年01月17日
  • 寒灯

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     いつも通りの短編集。芥川賞受賞後初の短編集らしいが、受賞前と何が違うのか、あるいは何かが違っているのかは知らない。

     個人的にもっとも面白かったのは「腐泥の果実」。木枯しの吹く寒い日、主人公北町貫多は文具店で以前交際していた女性が誕生日にプレゼントしてくれたものと同じペン皿が売られているのを見つける。自身が犯した過ちを悔いるとともに思い出の世界に没入するが・・・そんな話。

     秋恵に未練は無いと前半で言っておきながら終盤で「今もただ一人の女性」と認めてしまうところは安定の面白さ。しかもどうしょもないオチまで付いている。

     ただ、大切な恋人を失ったと言うより、心の寂しさを埋めてくれるピース

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    2011年10月24日
  • 寒灯

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    「ぼく、おまえをずっと大切にするから、今後ともひとつよろしく頼むよ」

    待望の恋人との同棲生活の始まり。
    仲睦まじく二人で迎える初めての正月に貫多の期待は高まるが、些細な事柄に癇の虫を刺激され、ついには暴言を吐いてしまう。

    二人の新生活にあやうく垂れ込める暗雲の行方は―。



    これは"秋恵シリーズ"というんでしょうか。

    新潮文庫から出ている「廃疾かかえて」(読みた〜い)にも"秋恵"が出てくるそうなので。

    本書は連作短編集になります。

    収録内容は、

    「陰雲晴れぬ」
    「肩先に花の香りを残す人」
    「寒灯」
    「腐泥の果実」



    主人公はお馴染み

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    2011年10月08日
  • 寒灯

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    西村賢太氏の最新単行本。
    おなじみ北町貫多が、恋人秋恵と同棲し、やがて去られてしまうまでの物語。数篇の短編小説が連作の形で収録されている。
    秋恵のことを書いた小説は、秋恵シリーズというらしい。今回の小説の中で、同じテーマ(秋恵)ばかり書いているようなことを貫多が言っている。秋恵は西村氏にとって永遠のテーマのひとつであるようだ。
    あいかわらず筆が冴え、これ以上ない自虐的なエピソードにしばしばうんざりする思いになりながらも、やっぱりクスクス笑ってしまう。自分を落としこんでユーモアをもたせる腕が達者である。
    秋恵は実在するのだと思うが、こんなにあからさまに書かれてしまうと、本人としてはたまったもので

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    2011年08月11日
  • 寒灯

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    北町寛太シリーズで貫太にようやく秋恵という恋人が出来て一緒に暮らし始める「隠雲晴れぬ」から秋恵と別れたあとの話しの「腐泥の果実」まで貫太と秋恵の話しが4編収録されている。
    相変わらずの賢太節で仔細な事に腹を立てて自分の事は棚に上げて秋恵に怒り出す。最後の作品では出て行った秋絵に未練たらたら・・・
    マンネリで少しパワーも落ちたかなっと思うこともないんだけどこれはこれで面白く読むことが出来ました。

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    2011年08月08日
  • 寒灯

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    読めば読むほど不思議な小説である。
    書いてあること自体は何の変哲もなく、別して感動も驚きもない。
    でも、なんつうかジワッとくるんだよね。
    新作が楽しみな作家であります。はい。

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    2011年07月27日