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Posted by ブクログ
よくわかるなー。
作家研究とコレクション精神というのは紙一重で、集められるものは集めなければ気が済まないし、生活の優先順位を狂わせる。
それが自分の人生の矜持になれば、なおさらのこと。
それが安易なヒロイズムであることも薄々感づいている。
師をもつとは、しかしこういうことか。
さらにいえば、編集活動→女といさかい→女と仲直り、というパターンがある。
このパターンは想像するだに、他の作品でも同じなのでは……?
そしてまた、女と暮らすことの難しさ。
過去と未来の思い出と展望はいかにもきらきらと素晴らしいのに、現実に長く寄り添う女と対峙すると、どうしてあんなにむかむかとマグマみたいなものが込み上げてくるのかね。数時間前の愛おしさがそのままじとっと湿った感情に変質する。まったく不思議。
いろいろな場面で駆け引きや損得勘定をしてしまうところとか(かなり客観的に描写されている)。
いったん怒りを収めたあとの、「便座上げとけって言ってんだろがっ!」とか。
どんなときも「ぼく」って言ってしまうところとか。
「がんばって」買った蟹の剥き身や鯖寿司にケチをつけられて激昂・激怒してしまうところとか。
喧嘩している最中にかつての「グルーミング」を思い出して後悔してしまうところとか。
「おまえ」といえず、「そっち」という変な呼び方をしてしまうところとか。
この主人公は相違なくダメ男だが、一歩踏み外せば同種の人間。だからこんなに惹かれるのか。
またカタカナの使い方が面白い。これは文体全体にもかかわることだが。
Posted by ブクログ
再読。芥川賞を受賞した『苦役列車』よりこの『どうで死ぬ身の一踊り』のほうが文学性は高いように思う。美しく端正な日本語を操り純文学の香りを持ちながらも、内容はお下劣極まりない。東大卒のサラブレット作家には醸し出せない、余所行きの一張羅を誰よりも綺麗に着こなす下民といったところか。(すべて誉め言葉)
主人公寛多は、所謂無敵の人で、無職のくせに借金を重ね大酒飲みで恋人に暴力を振るう最低な人物だ。不快な設定なのに面白おかしく読めるのは寛多が徹底して屑で、そのくせ文章に品があり且つ藤澤清造への熱意は物凄く純粋だからであろう。
好き嫌いが相当別れる作家だが中毒性ある作家だ。
Posted by ブクログ
中卒・酒飲み・貧乏でDVばかりの文学愛好家、西村賢太の私小説。
もうこの人の小説の凄さは『暗渠の宿』を読んですっかりあてられてしまって、もう少しこの人の人生を覗きたくなって手にとった。
彼の藤澤淸造への信仰が伺える「墓前生活」とこれでもかと西村賢太節が味わえる「どうで死ぬ身の一踊り」。
『暗渠の宿』でも書いたが、こんな人物を紙面を通じて知り、彼の立場に立つというのは、本当に面白い体験だと思う。
虚栄心、偏執狂、即物主義、傲慢・・・男の持つ欠点をとことんデフォルメしたような著者の私小説を読むことは、不思議とスカっとするし、でもやっぱり身につまされる。
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