【感想・ネタバレ】どうで死ぬ身の一踊りのレビュー

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Posted by ブクログ 2016年07月14日

よくわかるなー。

作家研究とコレクション精神というのは紙一重で、集められるものは集めなければ気が済まないし、生活の優先順位を狂わせる。
それが自分の人生の矜持になれば、なおさらのこと。
それが安易なヒロイズムであることも薄々感づいている。
師をもつとは、しかしこういうことか。

さらにい...続きを読むえば、編集活動→女といさかい→女と仲直り、というパターンがある。
このパターンは想像するだに、他の作品でも同じなのでは……?

そしてまた、女と暮らすことの難しさ。
過去と未来の思い出と展望はいかにもきらきらと素晴らしいのに、現実に長く寄り添う女と対峙すると、どうしてあんなにむかむかとマグマみたいなものが込み上げてくるのかね。数時間前の愛おしさがそのままじとっと湿った感情に変質する。まったく不思議。
いろいろな場面で駆け引きや損得勘定をしてしまうところとか(かなり客観的に描写されている)。
いったん怒りを収めたあとの、「便座上げとけって言ってんだろがっ!」とか。
どんなときも「ぼく」って言ってしまうところとか。
「がんばって」買った蟹の剥き身や鯖寿司にケチをつけられて激昂・激怒してしまうところとか。
喧嘩している最中にかつての「グルーミング」を思い出して後悔してしまうところとか。
「おまえ」といえず、「そっち」という変な呼び方をしてしまうところとか。
この主人公は相違なくダメ男だが、一歩踏み外せば同種の人間。だからこんなに惹かれるのか。

またカタカナの使い方が面白い。これは文体全体にもかかわることだが。

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Posted by ブクログ 2011年04月12日

藤澤晴造氏への愛よりも恋人との同棲生活のぐちゃぐちゃくず具合が面白い。本当に外道すぎるが、人間が出てる。

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Posted by ブクログ 2020年03月09日

再読。芥川賞を受賞した『苦役列車』よりこの『どうで死ぬ身の一踊り』のほうが文学性は高いように思う。美しく端正な日本語を操り純文学の香りを持ちながらも、内容はお下劣極まりない。東大卒のサラブレット作家には醸し出せない、余所行きの一張羅を誰よりも綺麗に着こなす下民といったところか。(すべて誉め言葉)

...続きを読む主人公寛多は、所謂無敵の人で、無職のくせに借金を重ね大酒飲みで恋人に暴力を振るう最低な人物だ。不快な設定なのに面白おかしく読めるのは寛多が徹底して屑で、そのくせ文章に品があり且つ藤澤清造への熱意は物凄く純粋だからであろう。

好き嫌いが相当別れる作家だが中毒性ある作家だ。

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Posted by ブクログ 2016年11月15日

一度読んでみたかった西賢作品。ってかこれ、私小説だったんですね。ここで対象となっている作家のことは、愚昧な自分は存じ上げなかったけど、彼に書ける情熱の高さはひしひし伝わってきた。私生活の何を置いても、ってくらいのめり込める対象、存在自体が素敵ですね。私生活そのものは、ちょっと褒められたものじゃないけ...続きを読むど、文章そのものには惹かれるものがありました。機会があれば他作品も是非。

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Posted by ブクログ 2016年06月12日

一連の作品は、みな同じ話なんだが、何故かひきこまれ、読んでしまわないといけないような作品だ。「嫌になるんだけれど、読まずにいられない・・的な」

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Posted by ブクログ 2014年10月15日

相変わらずのDVや内弁慶っぷりや粘着質な性格には閉口だけど、こと藤澤清造に関することの行動力や執念たるや見習ううべきところ多し。反面教師にしても良し、過去の失敗や後悔から、どうせなら開き直って!と勇気を得てもよし。

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Posted by ブクログ 2014年07月31日

中卒・酒飲み・貧乏でDVばかりの文学愛好家、西村賢太の私小説。
もうこの人の小説の凄さは『暗渠の宿』を読んですっかりあてられてしまって、もう少しこの人の人生を覗きたくなって手にとった。
彼の藤澤淸造への信仰が伺える「墓前生活」とこれでもかと西村賢太節が味わえる「どうで死ぬ身の一踊り」。

『暗渠の宿...続きを読む』でも書いたが、こんな人物を紙面を通じて知り、彼の立場に立つというのは、本当に面白い体験だと思う。
虚栄心、偏執狂、即物主義、傲慢・・・男の持つ欠点をとことんデフォルメしたような著者の私小説を読むことは、不思議とスカっとするし、でもやっぱり身につまされる。

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Posted by ブクログ 2014年07月01日

酒、女への執着と暴力そして藤澤という作家への思い。大体感情を爆発させて失敗するオチ。
結末が読めても頁をめくってしまう暗黒の魅力がある。

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Posted by ブクログ 2013年03月22日

初めての作家さん。
ずいぶん話題になった方ですね。

賛否両論あるとは思いますが、私は好きですね。
私小説と言う事で、他の作品もこんな感じなのかな?
気になるところです。

実際に関わるには嫌なんだけど、遠目で見てる分には嫌いじゃない。

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Posted by ブクログ 2013年02月18日

タイトルは「何んのそのどうで死ぬ身の一踊り」との一句から。
私小説らしいが、DVあり、オナニーあり、買春ありで、情けない男を描いた秀作。本当に下らないことで女と喧嘩になるシーンなど職人芸を見ているようだ。藤澤清造は読んだこともないし、どうでも良いが、それ抜きに十分楽しめた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年02月05日

何だか凄い...なんとも言い知れぬ尊崇の念と言うか妄執と言うか...人はここまで他の誰かを追いかける事ができるんですね。感心しきりです。それとは別にこの文章とその卑屈な性格とのギャップたるや...西村賢太、恐るべし…他のも読んでみよ~

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Posted by ブクログ 2012年08月28日

貫太シリーズではないほうの私小説。貫太シリーズは腹かかえるほど笑えるんだけど、こっちは笑える部分はあまりなく、藤澤清造に対する思いや女への執着や暴力が淡々と描かれていてえぐみが強い。どっちも好きだけど。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年06月30日

新鮮な喜びに満ちた甘く温かい同棲生活が、いつの間にか他愛もない言い合いから思わず手をあげるような大喧嘩に転変。本作では肋骨が折れ救急車さえ呼ばなければならない緊急事態にまで陥っている。それでも藤澤清造の開眼式を第一とし、警察への連行を恐れ、骨のヒビは直に治るだとかロキソニンを服用すれば大丈夫だとか・...続きを読む・・。女の身より自分の保身を最優先とする身勝手を恥ずかしくもなくありのままそのままを語っている。惨めな性欲、女への見苦しい未練。ここまで書くか。人目憚らず見事に書き上げている。モチーフはいつものワンパターン。読ませられるのは私小説ならではの力か。西村氏のあとがきには「小説に関しては、ただ才にまかせただけの観念の産物よりも、その作者自身の血と涙とでもって描いたものでなければまるで読む気は起こらない」とある。むべなるかな。同時収録の墓前生活には藤澤清造の墓との邂逅、そして今も続く月参り、自室が清造の墓地となっている経緯が綴られており、表題作の導入の役割を演じている。

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Posted by ブクログ 2012年02月29日

同居していた女とのエピソード、他の作品でも度々扱われているので飽きが来ているのは事実。で、展開もほぼ同じ。だから読む前からある程度どんな話かわかってしまう。でも読んでしまい、それなりに面白いと思えてしまうのが西村賢太。

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Posted by ブクログ 2011年07月16日

主人公は大正期の作家・藤澤清造に惚れ抜き、死後弟子を自称して、墓をうろつく。これが目が覚めるほどのダメ男で、読んでいてグツグツ腹ワタが煮えくり返ってくる。

「わたくし」のダメさを徹底して描くということ。
その意味で、この作品はほんとうに素晴らしい。
アタマに来て、どうしようもなくなるから、もう一度...続きを読む読み返そうと思えないのが残念だ。

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Posted by ブクログ 2020年08月06日

「墓前生活」
藤澤清造の墓参りをする話。筋金入りのマニアで東京から能登の寺へ通い詰めて自費で法要まで行ってしまう。古くなった墓標を譲ってもらう場面は笑った。西村さんの氏への執念が伝わってきてとてもよかった。星5

「どうで死ぬ身の一踊り」
前半は藤澤清造に関わる話で良かったけど、後半はDV話で微妙だ...続きを読むった。近代文学の蒐集者で研究家である一方で、同棲する女の気まぐれにはどうにも我慢がならない主人公。その対比が面白いところなのかもしれないが、DVということもあって少し冷めて読んでしまう。星3

「一夜」
これは短すぎるし、ただのDⅤ小説に成り下がっているのが残念。キレっぷりは凄いが、DVの話はやっぱり読んでいて楽しいものじゃないな… 星2

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Posted by ブクログ 2018年08月25日

彼の著書を買ったのは、これが初めてだったか。
著者と大正時代の私小説家の藤澤清造を重ねあわせて、無頼ぶりを発揮する結局が弱い男なんだが、なんだか気になるんだな。

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Posted by ブクログ 2014年01月13日

自分のどうしようもなさをここまでさらけ出すのはすごいと思うのですが、どうしようもなさすぎてみていられませんでした。文学としてはすごいものなのかなあ。分からず。

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Posted by ブクログ 2013年05月18日

読み進めていると、なんだかとても哀れな気持ちになった。
DVの表現はやけにリアルで落ち込んだ。
西村賢太凄いな。無頼。

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Posted by ブクログ 2012年11月27日

作者の人並みならぬ藤澤清造という作家に対する熱意とパッションを書いた本です。
小説というかエッセイ的な本でした。
こういうのを『私小説』って言うのかしら~?

藤澤清造なんて作家、ちょっとマイナーなので初めて聞いたけど、この本の作者は自分に似た清造にほれ込んでたみたいね~。すっごい情熱。
それには頭...続きを読むが下がるけど、作者も清造も一筋縄じゃいかない暴れん坊。
女に金せびって暴力ふるうのは最低。

でも、その女とのやりとりの場面は、かなり面白く読ませてもらいました~。

しかし、作者の西村賢太は中卒で作家として活躍し、それが芥川賞候補になったんだから、ほんとタダもんじゃないわ。JapaneseDreamだね。

賞を取れなかったのは、ちょっとした『これ!』っていうのがなかったからかな?
単なる自分の自慢と自分の女に対する馬鹿さ加減を書きたかっただけなのか?って思われても仕方ないかな~?
読者にうったえかけるものがなかった気がします。

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Posted by ブクログ 2012年09月09日

あるフォロアーさんが言うには「中学生くらいまでは偉い人とか真面目に努力して成功した人の人生を学んだほうがいい。高校生ぐらいからは、全然ダメダメなんだけど、何故か楽しそうに生きてる人がこの世にいるってことを知っておくべきだ」とのこと。これには「そうかも」と共感している。
それで言えば西村さんは完全に後...続きを読む者。変態DV文学青年なんだけど、こんな生き方で生きれちゃってる人もちゃんといて、こんなに心にズシンとくる小説も書ける。楽しそうかどうかは別として。

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Posted by ブクログ 2012年03月18日

僕が読んだ西村賢太の小説は、『苦役列車』『二度はゆけぬ町の地図』『暗渠の宿』であり、さらに今回これが加わる。同棲していた女性の話すなわち「秋恵モノ」は『暗渠の宿』しか読んでいないのであるが、それなのにこの『どうで~』における秋恵話のごり押しに、読者としての失速、ありていに言えば食傷を感じてしまったこ...続きを読むとをまず記しておきたい。

表題作においては藤澤清造の逸話と秋恵の話がふんだんに盛り込まれている。著者は上手く女性と藤澤清造についての話を絡ませているが、もともとその二つは相いれないというのか、やはりどうしてもバランスの悪さが目立ってしまうように思う。

著者の手腕は短編集『二度はゆけぬ町の地図』の高クオリティの出来によって既に知るところではあるのだが、その腕をもってしてもこれら二つの滑らかな混交は難しいようだと言わざるを得ない。日常から離れたやや高い位置にある藤澤清造、そしてそこにごく普通の女性である秋恵を混ぜることがいかに難しいのか、素人目にも判るところだ。あるいはこれら二つを違和感なく結びつけることが著者の課題なのだろうか、そうだとすればまだしばらくこの秋恵モノは続くかもしれない。

著者はこの『どうで~』では芥川賞を逃すのだが、それはおそらく僕と同じことを選考委員も感じたからではないだろうか。

酷評してしまったが、最初の短編『墓前生活』は藤澤清造とその周辺のことのみに話が絞られており、面白みはあまりないがきれいに纏められている。僕個人としては表題作や、『苦役列車』のような比較的長い作品よりも、精々40~50ページぐらいの短編の方にむしろ切れ味の良さを感じる。

三つ目の短編『一夜』は、『どうで~』の後日譚のような短編であり、同じく藤澤清造と秋恵がちゃんぽんになっている。しかしこれは極めて短い作品であり、これら二者の混淆はその表題作よりも上手くいっていると思う。

藤澤清造について語られる場面が極めて多く、全体としてまるでお香の匂いが漂っているような作品集になっている。またこれは『二度は~』の変更前の表紙についても述べたところだが、この作品集も表紙が残念だ。この人の本の表紙は人間のいない荒漠とした風景または抽象画が似合う。

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Posted by ブクログ 2012年03月05日

藤澤清造関連のやや文体が堅いものと、いつもの秋恵ものの2部構成的な内容。インパクトの強いタイトルと装丁に惹かれて読むのを楽しみにしてました。

西村賢太の芥川賞授賞式ニコ生中継では「何というおれたち」「なかま!」的なコメが大量に流れてましたが、、、、、これはひどい\(^o^)/もちろん文章じゃなくて...続きを読む賢太のキレっぷりがひどい(笑)今回はいつもにも増してひでえので★みっつ!

【備考】
ベンチでスーパーのおにぎりを食べる賢太はセコ可愛い。

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Posted by ブクログ 2011年08月15日

西村作品を読む順番としては1番目にすると良さげな本。「墓前生活」は、ほのぼのとした美しい短編で、好感が持てたが、「どうで死ぬ身の一踊り」は、ちょっとDVがきつすぎて、女性としてはやや引いてしまった。「小銭をかぞえる」や「暗渠の宿」のほうが、悲惨が笑いにくるまれていて自分的に好み。

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Posted by ブクログ 2011年08月15日

自分でも何がどうよかったのかわからないが、面白かった。
ほかの作品も読んでみたいと思えたということは、気に入ったんだと思う。
一人の作家、一つのこと、思い入れというかここまで執着できる、いい意味での執念深さに、
憧れたのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2011年08月01日

女から言わせて貰えば、「なんだこの男は!」って感じかもしれない。正直、最低な男である。ぐちゃぐちゃだし。気持ちで行動してしまう。でも、藤澤清造に対する思いだけには、強い芯がある。そこへの執着心は気持ち悪いほどだ。そのギャップが面白い。
三編とも藤澤に関連したことに加え、一人の女との生活を描いている。...続きを読む私は、この女との在り方がすごく興味深かった。

レビューに上手い言葉があった。女は逃げる死者は逃げない(blockさん)。核心!

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Posted by ブクログ 2011年06月05日

目前に迫った諸々の締切からの現実逃避もあってか、一気読みした。
西村賢太の作品は、「苦役列車」と「腐泥の果実」しか読んだことがなく、購読したのは今回が初めてであったため、わくわくして読んだが、これがなかなか面白かった。
特に「一夜」が僕は好きだった。短編だということもあるのか、「腐泥の果実」に通ずる...続きを読むものがあるように思われた。どちらの作品も、彼の文体と屁理屈によって彼女との逼迫した状況がギャグめいて見えている気がした。女性との立場に立って見ると、全くもって不快な作品であるとは思うけれども、それでも、なんだか面白かった。
「墓前生活」は、筆者も言うとおり、小説と言うよりも、赤の他人が読むことを想定して書かれた日記のように感じた。なんとなく事実が淡々と時系列順に書いてあるように感じたからだ。そのため少しだけ退屈にも感じた。けれども、挫折することも、読書を中断することもなかったので、やはり彼の作品は面白いし、その文体と感性には何処か引きつけられるものがあるということなのかもしれないと思った。
「どうで死ぬ身の一踊り」は最後に読んだのだが、これを読み終える頃には、彼女に対して同情の気持ちしか湧いてこなかった。なのに! どうして! 面白いと感じたのか! わから! ない!

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Posted by ブクログ 2011年05月22日

 西村氏の小説4冊目。口の悪いところを見せたかと思えば腰を低くして謝ってみたり、正しいことを痛烈に指摘したかと思えば訳の分からない屁理屈をこねてみたりと、定まらないフラフラとした感じが面白い。p176「あんまりうまくないね」のシーンも、自分で狙っておいて「ギョッ」は無いだろう・・・と突っ込みたくなる...続きを読むところ。
 それでも話が(一旦は)丸く収まるところは、主人公(≒著者)に藤澤清造の全集刊行と言う土台があるからなのかな、と漠然とではあるが感じる。所々で垣間見られる謙虚なイメージからは、自分の土台を土台として意識しようとしていないようにも見えるのだけれど。古風な文体も。藤澤の影響と同時に彼の謙虚なところが表れたものなのかも。

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Posted by ブクログ 2011年04月20日

藤澤清造への愛情の深さに恐れ入る。女へは「非道い」の一言に尽きる。
『墓前生活』『どうで死ぬ身の一踊り』は清造に関する内容が濃い短編。
『一夜』で女がやっとこさ西村賢太から逃れたようでほっとする。

MVP:なし

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Posted by ブクログ 2011年09月03日

あいかわらず、最低だけれども、坪内祐三さんの解説を呼んで、倣って学歴で人を判断してみると、彼は本物かもしれないと思った。つまり、オールドスタイルの無頼派の私小説作家ということ。ただ、藤沢清造と私小説。どっちを取るのだろう?いや、どっちもなのか?そこがいちばん興味深い。

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