【感想・ネタバレ】瘡瘢旅行のレビュー

あらすじ

何故その私小説家のみ尊しであるのかと云う質問を、誰かから気まぐれに投げつけられたとしても、彼には、「知るか」と答えるより他はない。(中略)当事者が本気で行ない、身銭を切り、人生を棒に振るつもりでやっているのならば、たとえそんな理由なぞ皆目分からなくとも、自身では一向にかまわぬことである。――<本文より>

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

っはー、今回もひどい、ひどくて最高。
女をののしる言葉が、最高にえげつなくていい。
放送禁止用語レベルなのでここには書けないが、とにかく、筆者でなければ思いつかないレベル。

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2010年05月27日

Posted by ブクログ

結局のところどれを読んでも私小説である以上は西村賢太であり、ほとんど金太郎飴にも近いものではあるが、それでいてこれだけ面白いのは言葉選びなのだろう。貫多と秋恵のいつもの同じようなやり取りなのに言葉が面白いので全く飽きず、丸裸の人間が描かれているのでうっかり共感してしまう。

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2024年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者のあとがきによれば「興の乗りきらぬまま些か前のめり気味で仕上げた感は否めない」とのこと。確かに満腔から湧き上がってくる迫力が感じられなかった。身につまされるような一体感を覚えなかった。心を添わせることもできなかった。下品で野蛮、蔑みと憐れみの視線でもってしか眺められなかった。

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2012年06月29日

Posted by ブクログ

待ちに待った西村賢太最新作。
この作家は、もっと評価されていいはずと、本気で思う。古い純文学の体をなしながら、これほど素晴らしいパロディーを描ける方が他にいるだろうか?
物語展開の巧さ・会話の妙・そしてなにより、文語体を笑いに昇華させる文章力!
とにかく頭のいい作家さんだなと感心します。

物語は、貫太と秋恵のちょっと悲しくてほろ苦い、終わりのない男女の戦いを描く。
男女二人の密室劇といってもいい設定だが、このふたりの日常の密度の濃さは異空間ともいえる。
21世紀の小津安二郎か!
デフレ時代には彼のような作品こそが求められるのではないかと思いました。
今・これからの小説のトレンドになる西村賢太はどれもオススメです。

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2012年01月17日

Posted by ブクログ

俺と女と貫多と秋恵。いつもの内容なのだけど、面白い。

著者あとがきにて「モデルのそれとは一層かけ離れたデフォルメが塗り重ねられている」
なんだって!!

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2025年12月01日

Posted by ブクログ

三篇収録。どれも同棲していた秋恵とのお話。以前読んだ『どうで死ぬ身のひと踊り』で秋恵に「便座上げとけ!!」って言ってDVしたりと理不尽を超えに超える理不尽さが現実離れ?してるんだけど、今回はもう単純に貫太の酷さがただ滲み出てるだけで読むのが辛かった。好きな「根が◯◯」もややキレがなかった。それもそのはずで西村賢太はあとがきで「興の乗りきらぬまま些か前のめり気味で仕上げた」と言ってるのだからそういう作品になってしまったのかもしれない。

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2025年07月23日

Posted by ブクログ

西村賢太の読み残しでした。
私小説家はアーティストのように自分の内面を小説を通して表現するものだと感じました。

そこには、フィクション小説とは違って、自らの思考をどれだけ包み隠さずに出せるかという自己に対する客観性と責任を持たなければならず、そういう意味では、西村氏は現在、他に見当たらない本物の私小説家だと感じます。

本書は、いずれ貫多の元を去ることとなる秋恵との生活ですが、人称の使い分けにはどういう意味があるのかわかりませんでした。

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2013年08月14日

Posted by ブクログ

おなじみ西村賢太氏の秋恵シリーズ。
芥川賞受賞前の初期に近い作品のせいか、やや泥臭い。
同じ秋恵シリーズでも、「寒灯」はもう少しスタイリッシュな読後感があったなあ。
貫多の祖母への思いを初めて読んだが(「膿汁の流れ」)、盲目的に可愛がられた体験が彼にもあったんだなあと、少し安堵の思いがした。

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2011年10月22日

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