西村賢太のレビュー一覧

  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ◼︎総括
    ・主人公の行動と発言を丹念に追うことで、人間が抱える怠惰性や僻み、自己特別視といった感情を浮かび上がらせる一冊。
    ・物語としての起伏は小さく、内面描写そのものを読む対象として据えた作品。

    ◼︎良かった点
    1. 人間の負の側面を精緻に描出する
    ・怠惰さ、他者への僻み、自分は特別だという思い込みといった感情が、行動と発言の積み重ねによって具体化されている。
    ・説明ではなく描写によって提示されるため、読者が自ら感じ取る構造になっている。

    ◼︎気になった点
    1. 物語的な起伏の乏しさ
    ・良かった点の反面、展開の大きな転換や劇的な場面は用意されていない。
    ・ストーリーの推進力を期待して読むと、単調に映る可能性あり。

    ◼︎向いている読者
    ・人間の内面、とりわけ負の感情の描写を読み込みたい人。
    ・筋書きの面白さよりも、人物造形の解像度を重視する人。

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    2026年08月30日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    西村先生のことを調べず読み始め、読んでいてあまりにも描写が生々しいので調べると、実は自伝的私小説だということを知った。短い小説だか、全く光が見えず、最初から最後まで灰色。終わりなく続く苦しい人生から解放されるためには、この列車から飛び降りるしかないのでしょうか。感受性の強すぎる方、厳禁。

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    2026年08月22日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    夜に眠れなくて、読み始めて、結局最後まで読んだ。どんな話だろうと楽しみだった。人に好かれない言動が多いけど、どこか冷静で素直な印象を受ける。物語の最初から自分の生い立ちを説明しているし、なぜこのようなひどい現状にあるかについて淡々と理由を書いて説明してくれている。仲良くなったものへの甘さ、現状への甘さ、貧困などを背負ってひどい言動を言おうとしていることの甘さ、など主人公がいかにダメかということを素直に書いている。激しい表現、私小説なのにこんな内面を書いていいのかなというおどろおどろしさがある。私小説って難しそう。注目されればもっと難易度があがる。もしかすると先達から学んだかもしれないし、この小説のままの本人なら現状に甘んじてそのままだったかもしれないし。

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    2026年07月18日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    おもしろいなあ!!
    「北町貫多って俺じゃん」って思いながら読んだ
    しかし、誰の心の中にも北町貫多はいるのかもしれない

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    2026年07月08日
  • 一私小説書きの日乗 新起の章 堅忍の章 這進の章

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    書き物、飯、酒、読書、打ち合わせ
    たまに風俗
    の繰り返し
    ファンには堪んないんだろな。

    飽き性なわたしは

    新起の章でギブ

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    2026年06月24日
  • 根津権現裏

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    ネタバレ

    初清造。これは一体誰が主人公なんだ?最初は"私"かと思っていたが、途中から雲行きが怪しくなってきたぞと。そしてある人物がまるで自分を見ているようで、辛いと同時に嫌気(恐らくというか、間違いなく同族嫌悪だと思われる)が差す…。"私"もそして《自殺》した岡田も、どちらも本当にどうしようもない男で、西村氏が著者を心酔してしまう気持ちが痛いほどよくわかる。
    出だしはあまり面白くなかったものの、ある事件が起きてからは面白く読めた。どうしようもない人間の「弱さ」を描ききった私小説。星三つ半。

    貧困は人間を殺す。それは昔も今も変わらない…。

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    2026年06月23日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    終始、貫多のだらしない部分が描かれており、読んでいて印象に残った。読み終えた後に私小説だと知り、作品の見方が少し変わった。また、読めない漢字や意味の分からない言葉が多く、その都度調べながら読んだ。

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    2026年06月07日
  • 蝙蝠か燕か

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    奇しくも死ぬ少し前に書いた「蝙蝠か燕か」
    原点回帰、作家としてのモチベーションの源流が見えた気がする。

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    2026年06月06日
  • 小銭をかぞえる

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    『蠕動で捗れ〜』に続き、西村作品三作目。二篇収録。
    まずは「焼却炉行き赤ん坊」。女との同棲生活に"たのすけ"という闖入者が現れ——あちゃー、またやってるよと笑いながら読みました。笑。ただ日々の貫多の生活を描いているだけなのに、こんなに面白いのはやはり彼の文才あってこそ。普通の人が書いたんじゃここまで面白く読めない。ただ「表題作」の貫多はちょっとやりすぎかなぁ…。苦笑。星三つ半。
    亡くなってしまったのは本当に残念。合掌。

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    2026年05月17日
  • 一私小説書きの日乗 新起の章

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    OLEDICKFOGGY伊藤氏と頻繁に飲み歩く日々。突然飲んだ帰りに「芝公園六角堂跡」を思い、伊藤氏と飲むのも今夜が最後か。などという回想。以降、名前出ず。
    ストイックというか葛藤と闘って書いてるんだろうな。

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    2026年05月10日
  • 小説にすがりつきたい夜もある

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    西村賢太があちこちへ発表したエッセイなどを集めたもの。
    私小説よりもさらにリアルな氏の姿が見える。
    ファン向けとは思うが。

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    2026年05月06日
  • 蝙蝠か燕か

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    「芝公園六角堂跡」の後日譚のような作品でした。

    以前、西村賢太さんは自身の連作的な私小説を、大河ドラマみたいに楽しめるかもしれませんね、みたいなことを言っていました。

    この「蝙蝠か燕か」はその大河ドラマのエピローグナレーション、あとがき、のようなもので捉えるとおもしろいかもしれません。

    小説として成熟感がありましたが、この作風なら「芝公園六角堂跡」が断然におもしろかったと個人的には思ってしまいました。

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    2026年04月19日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    著者の西村賢太の自伝的な私小説。
    ストーリーに劇的な展開はないですが、描写が生々しく特に罵詈雑言に満ちた文体は印象的でした。

    父親が性犯罪を犯し、それが原因で家庭は崩壊し人目を避けながら暮らさざるを得なくなり、この体験によって大きなコンプレックスを抱えることとなってしまった青年の物語。

    日雇い労働で稼いだ金もその日のうちに酒や風俗で使い込んでしまう事も多く、家賃は当然のように滞納し、強制退去を命じられる、など破天荒で荒れた生活が罵詈雑言に満ちた独特の文体で描かれる。

    「小説の出来事は9割以上が本当」らしく、主人公の泥臭い内面と破天荒な生活に圧倒される。
    劇的な展開はほとんどないが、その生々しさとリアリティが胸に刺さる。

    この生い立ちから芥川賞作家にまでなれたことには驚くばかり。

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    2026年04月03日
  • 一私小説書きの日乗 新起の章 堅忍の章 這進の章

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    ネタバレ

    結句、合本文庫を購ってしまう。

    私小説家の日常を覗き見るってなんだか不思議な感覚でした。
    西村賢太と北町貫多の共通点や相違点を感じながら読んでいました。
    (探しながらではなく、あくまでも感じながら)

    西村賢太氏はタクシー乗車中に急逝してしまいますが、たしかに最後の年は「ひどく疲れたのでタクシーで帰宅」との記述が多くなっていましたよね。

    叶わない事だけど、そのあと奇跡的に蘇生していれば、
    金曜日のビバリー昼ズに出演していただいて、
    高田センセイ、
    松村邦洋さん
    西村賢太さんの3人で
    「私のハートはストップモーション」のネタで盛り上がってほしかった。

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    2026年03月31日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    拗らせクズの話。
    普段見ない難しい言葉や漢字使ってるのにすらすら読めたのは作者自身の経験を元にしたリアリティさと僻みや欲まみれのどうしようもない貫多に共感する部分があったからかも。
    日下部の彼女に女紹介してもらおうとするくだりがカスすぎてオスすぎて笑えた。

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    2026年03月28日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    第144回芥川賞受賞作。表題作と短編の二編を収めた作品集。

    いずれも作者自身を色濃く反映した私小説であり、貧困や孤独といった現実の中で生きる人物の内面が赤裸々に描かれている。そこにあるのは美化された苦労ではなく、妬みや僻みといった感情を隠すことなくさらけ出す姿であり、その率直さが強く印象に残る。

    一見すると閉塞的で救いのない状況にも思えるが、その中で描かれるのは、何も持たないがゆえの自由や、社会に縛られない生き方の一側面でもある。決して前向きとは言えないが、どこか突き抜けたような軽さも感じられた。

    また、『芥川賞選考委員の乞食根性の老人』といった表現に象徴されるように、言いにくいことをあえて言ってしまう姿勢には、破天荒さと同時に一種の覚悟のようなものも感じられる。その危うさも含めて、この作品の魅力の一つだろう。

    粗削りでありながらも強烈な個性を放つ作品であり、好き嫌いは分かれるが、一度読めば印象に残る一冊だった。今となっては、もう少し長くこの作家の作品を読みたかったと思わせる存在でもある。

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    2026年03月18日
  • 一私小説書きの日乗 新起の章

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    初めての日乗シリーズです。

    毎日のように飲酒
    毎日のようにサウナ
    ほとんど外食
    しばしば買淫

    こういう生活もある意味では男の夢ではあるかもしれません。
    まだ未読の「雨滴は続く」をはやく読んでみたくなる。

    合本があるのを知ったのでそっちをもとめようかな。

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    2026年03月15日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    これは最早かかえきれなくなっている不安を、散財によって有り金もろとも手放そうとするかのような感覚ーその感覚をいっときでもいいから得たいと云う、愚かな希求に突き動かされたものでもあったのだろう。

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    2026年03月04日
  • 瓦礫の死角

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    はじめての西村賢太作品。私小説。
    はじめてと記録しておきたくなる。
    独特な言葉と漢字遣い。卑怯さや報われなさ、暴力性は随所に感じるのだが、真逆の魅力も見える。人としての幅が広い、悪い方よりに。
    余裕がないことが運命のような強さ。そしてこんな人が小説を書いてくれる有り難さ。面白いに決まってる。

    タイトルにもなっている、瓦礫の死角

    "いつかはこの母親のことを、いろいろと助けてやれる日が来るかもしれない。でも今は、結句は何もしてやれぬ。自分が逃げるだけで精一杯である。何がなし、克子の心労に眇めた目の奥に、会心めいた光りが宿っているようにも見受けられた。"

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    2026年03月02日
  • 雨滴は続く

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    芥川賞受賞前夜を描いた作品。

    その後現在に至るまで、唯一小説家風の気分をウットリ顔で味わっていた、幸福と云えばそうとも云える時期であったかもしれぬ。

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    2026年03月01日