西村賢太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2011年第144回芥川龍之介賞
2012年 映画化 公開時のキャッチは
「友ナシ、金ナシ、女ナシ
この愛すべき、ろくでナシ」
そして西村賢太さんは、2022年2月心停止、54歳で亡くなりました
主人公の名前は、北町貫多
西村賢太のもじりだとも
私小説部分が多いらしい
父親の性犯罪により 両親は離婚
引越しを繰り返しながら 中学卒業と同時に
家を飛び出し 東京の片隅で苦役のその日暮らし
酒と女が大好きで
仕事は金が底をついたら仕方なく
卑屈であさましく、自分の現状に怒りを持ちながら 自堕落
プライドは 山のごとく
劣等感は 海のごとく
読みながらダメっぷりに辟易し -
Posted by ブクログ
この人は、
私小説家として生きる道しかなかったのだろう。
根っからの臆病者が恐れていたように、
たった一人で死んで、
腐乱した体で発見されるということが、
避けられた現時点から読むと、
良かったねとすら思う。
私小説家というものは、
限りない自己批判性と客観性を持ち合わせて、
幾ばくかの真実と、幾ばくかの誇張と、
大いなる主観を言語化する能力を研ぎ澄ませているのだろう。
この貧困の中を生き抜いた貫多。
心身がむさ苦しく、臭い、貫多。
おそらく憐れみなど全力で拒むだろう。
でも思うのだ。
芥川賞を取れて、よかったね。
生きていて、よかったね。
ただ一方で西村賢太に物足りなさを感じたのは、
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Posted by ブクログ
クズ沼
ってな事で、西村賢太の『寒灯』
陰雲晴れぬ
肩先に花の香りを残す人
寒灯
腐泥の果実
の連続短編集。
じゅんこに貰った『暗渠の宿』の続編になるんかな…
北町貫多と名を変えた著者の自伝となる内容じゃが、暗渠の宿より更にクズっぷりな歪んだ性格に、己に辟易しながらもどうにも直せない性格とセルフコントロール。
こんなにも自分の恥部を晒す小説を世に出せる、度胸と言うのか…
感動の念すら覚えて西村賢太クズ沼にズブズブとハマっていっている自分…
貫多の怒りの沸点が、何故そんなことでっ⁉️や、喧嘩の言い返しの我儘で鬼の様 -
Posted by ブクログ
ネタバレ10年ぶりにできた恋人との生活を書いた二篇。
傍から見ると健気で可愛い彼女なのだけれど、とことん酷い扱いをされる。
前半の「焼却炉行き赤ん坊」はタイトルはギョッとするものの、まだ惚気話にも解釈できて微笑ましい場面もいくらかあった。
でも後半の「小銭をかぞえる」は本当にどうしようもない話で、彼女側からしたら金を搾り取られているのと同じだった。
人間のクズと言っていいような主人公が、どこまでも独りよがりに周囲の人間と付き合っているさまが読める。
これが冷静に書かれた私小説であり、癖があるのにとても読みやすい文章で構成されていることが、二重に複雑な気持ちにさせる。
思い切り怒りをぶちまけたあと必ず不