西村賢太のレビュー一覧

  • 瓦礫の死角

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    はじめての西村賢太作品。私小説。
    はじめてと記録しておきたくなる。
    独特な言葉と漢字遣い。卑怯さや報われなさ、暴力性は随所に感じるのだが、真逆の魅力も見える。人としての幅が広い、悪い方よりに。
    余裕がないことが運命のような強さ。そしてこんな人が小説を書いてくれる有り難さ。面白いに決まってる。

    タイトルにもなっている、瓦礫の死角

    "いつかはこの母親のことを、いろいろと助けてやれる日が来るかもしれない。でも今は、結句は何もしてやれぬ。自分が逃げるだけで精一杯である。何がなし、克子の心労に眇めた目の奥に、会心めいた光りが宿っているようにも見受けられた。"

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    2026年03月02日
  • 雨滴は続く

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    芥川賞受賞前夜を描いた作品。

    その後現在に至るまで、唯一小説家風の気分をウットリ顔で味わっていた、幸福と云えばそうとも云える時期であったかもしれぬ。

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    2026年03月01日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    面白いか?と思って読んでいたら、私小説だったのかと驚いた。内容としては特段面白くはなかったが読みやすかった。

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    2026年03月01日
  • 一私小説書きの日乗 新起の章 堅忍の章 這進の章

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    一私小説書きの日乗シリーズ1作目(無印) 未読
    シリーズ2作目(憤怒) 既読
    シリーズ3~5作目(野性、遥道、不屈) 先日読んだ、本作の姉妹本
    シリーズ6~8作目(新起、堅忍、這進) 本書
    で、wikipediaには、
    「一私小説書きの日乗 這進の章(『本の雑誌』2020年9月号 - 2022年3月号 作者逝去により全19回で未完)」
    とある。
    このファットな姉妹本を出してくだすった、角川文庫のご担当者様に感謝を捧げつつ、
    この日乗に限らず、途絶した文筆の、のたうちまわり加減を、残してくださすった作者様に、最大限の敬意と哀悼を。
    ご本人の寂しさや、苦しみや、無念、志半ば、不慮等々、重々思いは及

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    2026年02月16日
  • 一私小説書きの日乗 野性の章 遥道の章 不屈の章

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    ネタバレ

    シリーズ1冊目未読、2冊目が面白かった。
    それ以後はさすがに手を出すべきかどうかと迷っていたら、まさかファットな文庫2冊になって出るとは。
    食欲と性欲と「小説欲」とで駆動された、馬力のあるエンジンが、小説を生み出していく。
    しかしいかんせんエンジンにガタがきているのが、面白いし、愛嬌があるし。
    読んでいて腹が減る。
    死後、編集者たちの声や、恋人の本(未読)が出ているのだが、照らし合わせればさぞかし面白かろう。

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    2026年02月10日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    育った環境も、思考も性格も恵まれず、体たらくな生活を送る主人公。
    読後に私小説だと知って少し驚いた。
    人生の理不尽さというよりも、自分が悪いと分かっていながらどうにかする気も起きない主人公の性や、自己嫌悪、他人を妬み蔑むような人間の醜さが強く印象に残る。
    普通に憧れるなら、それなりの努力をすればいいのに、それをせずに勝手に卑屈になっていくところが痛々しい。

    そんな主人公が人間的な成長はなくとも小説家になれるのは、ある意味サクセスストーリーだと思った。

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    2026年02月04日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    主人公の気持ちに共感までは持てなかったが、人間味ってこういうことなのかも。大なり小なり人間くずな部分もあるし、卑屈な部分もあると思ってる。どんな人生でも生きてる限り苦役列車なんだと思ってしまった。

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    2026年01月05日
  • 寒灯

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    貫多と秋恵の短編集。
    別れた8年後に生活を思い出している話しは哀愁感もあり斬新。やっぱりかというオチもバッチリ。

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    2025年12月13日
  • 一私小説書きの日乗

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    西村賢太は全て読むつもりなので前情報もなく購入

    日記ということで多少ガッカリしたもののほぼ同じ内容にも関わらず飽きずに読める文章力はさすが

    日常ではなく日乗とは師匠の影響なのか

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    2025年12月11日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    そんなこと言うなよ、と思いながらも主人公の罵詈雑言を聞いていると、じぶんの”やっちまった”失言や行動を思い出す。

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    2025年12月03日
  • 瘡瘢旅行

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    俺と女と貫多と秋恵。いつもの内容なのだけど、面白い。

    著者あとがきにて「モデルのそれとは一層かけ離れたデフォルメが塗り重ねられている」
    なんだって!!

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    2025年12月01日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    10代若かりし頃の私小説集。
    もっともっと読みたくなる虜になってしまう人間性は何故なのだろう。人間の本質が描かれているのだろうか?

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    2025年11月22日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ただただ貫太が最低で気持ちがいい。私小説と言っても、今まで読んできた太宰治屋三島由紀夫やドストエフスキーは、どれも文学少年のどこか上品な絶望を書き綴ったものだった。

    それに対して西村賢太は上品の欠片もなく、ただただ下品。下品なのと裏腹に難しく古風な言葉使いが対照的でおもしろい。これも貫太の見栄っ張りで衒学的なところと合ってる気がする。開けっぴろげにしてくれてありがとうまたよもう

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    2025年12月14日
  • 東京者がたり

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    東京の各土地ごとに作者の記憶や思っていることを綴っているエッセイ。
    「言問通り」では逮捕されて護送バスから見た花見をしている人々と桜の美しさが忘れられないと言っていたのが印象的だった。そしてこのお話が『二度は行けぬ町の地図』に入っているとのことなので読んでみたい。
    「日暮里②」での初ビジネスホテルのお話も好き。

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    2025年09月15日
  • 瓦礫の死角

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    「崩折れるにはまだ早い」が好きです。
    書かれている内容は貫太のことなのかなと思いつつも、普段出てこないような単語(渠(かれ))や言葉遣い、そして性病持ちということからだんだん「これは貫太なのか・・・?」と変わっていく。終盤そういうことだったのか!となるのはすごかった。
    「瓦礫の死角」「病院裏に埋める」は17歳の貫太のお話。「四冊目の『根津権現裏』」では2018年の貫太なのだがこの年齢を重ねた貫太ももっと読んでみたいなと思った。
    読んでいない貫太作品まだまだあるので引き続き彼の人生を追いたいと思う。

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    2025年09月02日
  • 夢魔去りぬ

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    北町貫多は相変わらず酷いんだけど、なぜか北町貫多の人生を読み続けたくて読んでいます。前回読んだ『瘡瘢旅行』より良かった。
    個人的には表題作と「微小崩壊」が好きです。「微小崩壊」では居酒屋で自分と重なるモラハラDV男を目撃して自分の酷さを再認識し、秋恵に対し態度を寛容に、DVを行わないように気をつけるんだけど最後は盛大にブチ切れるというオチがお決まりな感じで面白かったです(面白いという表現が適切なのかどうかは分からないけど・・・)。

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    2025年08月03日
  • 羅針盤は壊れても

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    「陋劣夜曲」
    連休のつなぎにありついたバイトはまったく勝手が分からずあげく労災に遭う、家賃を溜め込んでる大家とは気まずいところでやたらと会う。あげく酔っ払いのヤジに荒く返したら相手がキレてくる。
    いくら貫太とはいえ、あまりに巡りが悪すぎてちょっと一緒にため息をついてやりたくなる作。
    「羅針盤は壊れても」
    貫太が港湾人足にうんざりした一時の「転職」で味噌の押し売りをやる話。
    その味噌会社の面々がなんとも濃く、貫太は傍観者気味なのが新鮮だ。
    「廃疾抱えて」
    再読。冷酒を飲んで暴力に向けてギラつくラストはやはりいいな
    「廃疾旅行」
    再読。やはり地味な作。

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    2025年07月30日
  • 瘡瘢旅行

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    三篇収録。どれも同棲していた秋恵とのお話。以前読んだ『どうで死ぬ身のひと踊り』で秋恵に「便座上げとけ!!」って言ってDVしたりと理不尽を超えに超える理不尽さが現実離れ?してるんだけど、今回はもう単純に貫太の酷さがただ滲み出てるだけで読むのが辛かった。好きな「根が◯◯」もややキレがなかった。それもそのはずで西村賢太はあとがきで「興の乗りきらぬまま些か前のめり気味で仕上げた」と言ってるのだからそういう作品になってしまったのかもしれない。

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    2025年07月23日
  • 下手(したて)に居丈高

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    アサ芸に連載していたエッセーをまとめたもの。
    紙幅があまりない連載だったからか、西村賢太によくある偽悪的な言葉遊びが少なく、率直に素朴に氏の生活が描かれているのがちょっと珍しくて面白い。

    相変わらず悪態の多い内容なのだが、それでもなんだか親しみやすく感じる不思議なエッセー。

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    2025年07月13日
  • 下手(したて)に居丈高

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    エッセイ集。1つが4ページくらいなのでスキマ時間に軽く面白く読める。面白かったのは彼の執筆環境や、お気に入りのボールペンや、下書きするときのこだわりや、寝るときは常に尿瓶を側に置くとかなど。根がロマンチストで駄々っ子で寂しがり屋の西村賢太の素が垣間見える。
    西村賢太作品は絶版状態になっているものも多く、物理本で入手しようにもプレミア値になってるものも多くなかなか手が出ない(こんなことを言うと、そんな読者は読まなくて結構と西村氏が言いそうだけど)。反面、その絶版の多くが電子書籍化しているのはとても助かる。

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    2025年06月28日