西村賢太のレビュー一覧

  • 瓦礫の死角

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    「崩折れるにはまだ早い」が好きです。
    書かれている内容は貫太のことなのかなと思いつつも、普段出てこないような単語(渠(かれ))や言葉遣い、そして性病持ちということからだんだん「これは貫太なのか・・・?」と変わっていく。終盤そういうことだったのか!となるのはすごかった。
    「瓦礫の死角」「病院裏に埋める」は17歳の貫太のお話。「四冊目の『根津権現裏』」では2018年の貫太なのだがこの年齢を重ねた貫太ももっと読んでみたいなと思った。
    読んでいない貫太作品まだまだあるので引き続き彼の人生を追いたいと思う。

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    2025年09月02日
  • 夢魔去りぬ

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    北町貫多は相変わらず酷いんだけど、なぜか北町貫多の人生を読み続けたくて読んでいます。前回読んだ『瘡瘢旅行』より良かった。
    個人的には表題作と「微小崩壊」が好きです。「微小崩壊」では居酒屋で自分と重なるモラハラDV男を目撃して自分の酷さを再認識し、秋恵に対し態度を寛容に、DVを行わないように気をつけるんだけど最後は盛大にブチ切れるというオチがお決まりな感じで面白かったです(面白いという表現が適切なのかどうかは分からないけど・・・)。

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    2025年08月03日
  • 羅針盤は壊れても

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    「陋劣夜曲」
    連休のつなぎにありついたバイトはまったく勝手が分からずあげく労災に遭う、家賃を溜め込んでる大家とは気まずいところでやたらと会う。あげく酔っ払いのヤジに荒く返したら相手がキレてくる。
    いくら貫太とはいえ、あまりに巡りが悪すぎてちょっと一緒にため息をついてやりたくなる作。
    「羅針盤は壊れても」
    貫太が港湾人足にうんざりした一時の「転職」で味噌の押し売りをやる話。
    その味噌会社の面々がなんとも濃く、貫太は傍観者気味なのが新鮮だ。
    「廃疾抱えて」
    再読。冷酒を飲んで暴力に向けてギラつくラストはやはりいいな
    「廃疾旅行」
    再読。やはり地味な作。

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    2025年07月30日
  • 瘡瘢旅行

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    三篇収録。どれも同棲していた秋恵とのお話。以前読んだ『どうで死ぬ身のひと踊り』で秋恵に「便座上げとけ!!」って言ってDVしたりと理不尽を超えに超える理不尽さが現実離れ?してるんだけど、今回はもう単純に貫太の酷さがただ滲み出てるだけで読むのが辛かった。好きな「根が◯◯」もややキレがなかった。それもそのはずで西村賢太はあとがきで「興の乗りきらぬまま些か前のめり気味で仕上げた」と言ってるのだからそういう作品になってしまったのかもしれない。

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    2025年07月23日
  • 下手(したて)に居丈高

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    アサ芸に連載していたエッセーをまとめたもの。
    紙幅があまりない連載だったからか、西村賢太によくある偽悪的な言葉遊びが少なく、率直に素朴に氏の生活が描かれているのがちょっと珍しくて面白い。

    相変わらず悪態の多い内容なのだが、それでもなんだか親しみやすく感じる不思議なエッセー。

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    2025年07月13日
  • 下手(したて)に居丈高

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    エッセイ集。1つが4ページくらいなのでスキマ時間に軽く面白く読める。面白かったのは彼の執筆環境や、お気に入りのボールペンや、下書きするときのこだわりや、寝るときは常に尿瓶を側に置くとかなど。根がロマンチストで駄々っ子で寂しがり屋の西村賢太の素が垣間見える。
    西村賢太作品は絶版状態になっているものも多く、物理本で入手しようにもプレミア値になってるものも多くなかなか手が出ない(こんなことを言うと、そんな読者は読まなくて結構と西村氏が言いそうだけど)。反面、その絶版の多くが電子書籍化しているのはとても助かる。

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    2025年06月28日
  • 瓦礫の死角

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    3.8/5.0

    自分の好きな文学には、その作家の実生活や主張が作品に介入しているものが多く、それでこそ文学の魅力だとも考えているが、作品のほぼ全てが自分自身の実体験である私小説という文学のジャンルのそのナルシシズムに少し距離を感じるというのが今の自分の正直な感想。でもこれは今後変わっていくかもしれない。

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    2025年05月31日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    西村賢太の代表作にして、芥川賞受賞作。

    北町貫多は、中学を卒業後、高校もいかずに実家を飛び出し、当面の生活費をまかなうために港湾での日雇い人足として働いていた。

    日当5,500円で過酷な労働に勤しんでは、その金を安酒と安風俗に使い込んでしまう。
    貫多は、そんな何も積み上がらない日常に危機感を持ちながら、自分の不運を嘆き、社会の不公平さを呪い、自らの自堕落さを嫌うのだが、相も変わらず同じ日常を繰り返すのだった。

    そんなある日の港湾での勤務で、大学生の日下部に出会う。
    日下部は貫多と同じ歳ながら、スポーツで鍛えた身体と端麗な容姿を持つ青年だった。
    貫多は日下部に好意を寄せ、親交を深める。日下

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    2025年04月09日
  • 棺に跨がる

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    最後の「秋恵」モノ。別れちまったわけだから。藤澤清造の墓に額づいているうちに。サヨナラ。一切は彼の傍若無人な打擲による、恋人の当然の報い。相反する形容が彼の顔には並ぶ。「誇り高い」↔「甘ったれ」。ここに私小説としての、書き手としての西村賢太がある。エッセイではない。すきま風が吹き込む。僕が彼の新しい小説を手に取ることは、もうないのだとおもうと、秋恵との別れであり、西村賢太、私小説の主人公である北町貫多との別れでもあると思うと感慨深い。

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    2025年03月24日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    卑屈を絵に描いたような男の話であるが、憎めないところもあり、どこかシンパシーも感じる。
    この男が底辺から抜け出せない境遇は、自ら招いた所が大きいと思う。

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    2025年03月19日
  • 一私小説書きの日乗 新起の章

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    過去五作に比べ、社交的に飲みに出かける頻度は高く、心情を書かれることも増えている印象。前から思っていたが、度々の微熱時にはサウナでの強制発汗で治していて、荒療治に感じるが、その一方で案外効果的にも見え、真似てみたくなる。

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    2025年02月16日
  • 人もいない春

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    時代の異なる、いくつかの短編集。相変わらずの北町貫多だが、『東京者がたり』の新宿での暮らしなどを知った上で読んだので、繋がりが見えて楽しめた。

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    2025年02月09日
  • 人もいない春

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    最初から最後まで、北町貫多の自己中かつ自堕落なキャラが際立っていた。
    こういう人物は個人的に大嫌いだから、現実にいれば間違いなく初見で遠ざけてしまうが、幸いにもそれらが物語の中だから粘り強く付き合い続けられる。
    それに、一見ダメ男でしかない彼だけど、好いてくれる女がいたり、中卒という学歴を容認し雇ってくれる会社があったりと、内面に負を抱えながらもどうにかこうにか生きていけるところも、物語として大変面白く見所だと思った。
    しかもこれが実体験を元にした私小説というのだから、著者は若い頃から刺激的な世界で生きてきたのかが分かる。

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    2025年02月07日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    いわゆる単なる日記のこのシリーズだが、ビートたけし氏との初対面を書いた十二月二十三日(日)だけでもファンにとっては読み応えのある一冊。とはいえあくまで"ファンにとっては"である。没後に書かれた玉袋筋太郎氏の解説もなんだか切ない。

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    2024年12月04日
  • 瓦礫の死角

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    ネタバレ

    瓦礫の死角 50
    家族は呪いにもなり得る。その家族が犯罪者であるならなおさら閉塞感の割増は確定する。どこで狂い始めたのか?

    病院裏に埋める 40
    瓦礫の死角からの続きみたいな。新しいアルバイト先で知り合った中年男性から言い寄られそうになるはなし。

    四冊目の『根津権現裏』 55
    歿後弟子としての思いが垣間見える。ただ、その思いに酔狂さや滑稽さもただよう。新川さんはいい人なんだとわかる。

    崩折れるにはまだ早い 65
    歿後弟子としての矜持が垣間見える。

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    2024年11月09日
  • 芝公園六角堂跡 狂える藤澤清造の残影

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    これまでの作品と比べるとクズな貫多が出てこない異質の一冊。一人称の場面が多く、北町貫多というよりも西村賢太寄りの印象を受ける。とはいえもはやこの人のファンになってしまえば、何が書かれていようが彼の書いた文章というだけでそれなりに興味を持って読めてしまう。

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    2024年10月27日
  • 一私小説書きの日乗

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    西村賢太の作品が私小説であるが故に、この単なる日記も同じ主人公であり、こういう日常を面白おかしく膨らませて私小説が書かれているとおもうと面白い。でも何より解説にもあるが、文章のリズムの良さが飽きさせずに読み進めさせるのだろう。

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    2024年10月16日
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

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    西村賢太作品を読み進める一環で読んでみた 初出は昭和十五年のオリンポスの果実以外はいずれも二十三年か二十四年とほぼ同じ時期だけど、最後の二作が特に読みやすく感じたのは読む側が慣れたからだろうか 「さようなら」を読むと戦争に行った人間かどうかで死生観は丸切り違うのだろうと想像させられるし、彼は今の時代に照らせば酷いが、しかし今の時代に生きていたらあんな風にはなっていなかった気もして、当時の人間の赤裸々な価値観がみられて面白い

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    2024年10月11日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    体調不良になるとなぜか読みたくなる西村賢太作品。お決まりのパターンで、相変わらずのクズっぷりだが、新しい職場に馴染み始めて、新生活に希望を持つ姿にはどこか応援したくなる気持ちも感じさせる。

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    2024年07月15日
  • 小銭をかぞえる

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    大人になった貫太の恋人との同棲編。今までの不遇だった性欲への不満が解消された惚気話のようだがタイトルの『焼却炉行き』という不穏さがこの人の破滅性を示す。
    子どもを産ませないよう予防線を張り代替えのぬいぐるみ及び女性に精神的肉体的経済的に虐待を働くとんでもない男であるが誰しもが持つ屑部分(幼児性)を曝け出しているところが共感を呼ぶのかもしれぬ。
    現実の作者はどうだったか分からないけど私小説という事は日常を切り取っている訳でもし作者が逝去しなかった場合どのような展開を迎えていったか夢想してしまう。

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    2024年05月10日