西村賢太のレビュー一覧

  • 一私小説書きの日乗 不屈の章

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    シリーズ五作目となるが、相変わらず何時に起き、何を食い、酒をどれほど飲んだかなどがメインではあるものの、時折挟み込まれる感情丸出しの悪口や、ちょっとした事で涙が出るほど嬉しがったりしているところに惹かれてしまい、何故か飽きることなく読ませる筆力に感心する。

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    2025年02月05日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    劣等感に溺れた男の物語。
    自己や他人を顧みず嫉妬や承認欲求を暴走させて周りに悪態をつき勝手に一人になっていく。
    人間が誰もがもってる本性を包み隠さず曝け出して生きていく過程を生々しく書いた小説だった。

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    2025年01月19日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    汚いし、腹立つし、みっともないし…なんだけど、私の中にもある同じようなものが刺激される。
    例えば日下部と美奈子に悪態をつく場面。私はそんな素直に言わないけど、結局頭の中ではいろんな人に悪態ついてる。口に出すか出さないかは大きな違いかも知れないけど、結局同じ。本を読んでそれに気づいちゃって苦い気分を味わった。

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    2025年01月17日
  • 一私小説書きの日乗 野性の章

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    何時に起きて何を食ってどれだけ酒を飲んだかだけの日もあるが、それでも読ませる文章構成力は流石だ。私小説や対談、その他の作品も順に読んでいるので裏話的に面白い。

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    2025年01月13日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    人生で初めて読みました"私小説"。
    意外と面白いジャンルですね!
    その人の生きてきた道程や経験などが知れます。

    作者の西村先生がどんな人間だったのか?
    "素直さ"と"正直さ"どちらも似た意味かもしれないが
    嘘を付いてない所と捻くれてない所と表そうか(笑)
    文章で殴り書きされているので、なんか新鮮だった。
    フィクションを交えてるのかなぁ~?
    俺には全て事実にしか見えなかったです(笑)

    僕的には、すっごい捻くれてるなぁ~って
    感じがしました(笑)
    読んでいて笑えましたし、なんか憎めないというか
    近くにいたら「まぁまぁ」と宥める自分が想

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    2024年12月26日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    いわゆる単なる日記のこのシリーズだが、ビートたけし氏との初対面を書いた十二月二十三日(日)だけでもファンにとっては読み応えのある一冊。とはいえあくまで"ファンにとっては"である。没後に書かれた玉袋筋太郎氏の解説もなんだか切ない。

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    2024年12月04日
  • 瓦礫の死角

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    ネタバレ

    瓦礫の死角 50
    家族は呪いにもなり得る。その家族が犯罪者であるならなおさら閉塞感の割増は確定する。どこで狂い始めたのか?

    病院裏に埋める 40
    瓦礫の死角からの続きみたいな。新しいアルバイト先で知り合った中年男性から言い寄られそうになるはなし。

    四冊目の『根津権現裏』 55
    歿後弟子としての思いが垣間見える。ただ、その思いに酔狂さや滑稽さもただよう。新川さんはいい人なんだとわかる。

    崩折れるにはまだ早い 65
    歿後弟子としての矜持が垣間見える。

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    2024年11月09日
  • 芝公園六角堂跡 狂える藤澤清造の残影

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    これまでの作品と比べるとクズな貫多が出てこない異質の一冊。一人称の場面が多く、北町貫多というよりも西村賢太寄りの印象を受ける。とはいえもはやこの人のファンになってしまえば、何が書かれていようが彼の書いた文章というだけでそれなりに興味を持って読めてしまう。

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    2024年10月27日
  • 一私小説書きの日乗

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    西村賢太の作品が私小説であるが故に、この単なる日記も同じ主人公であり、こういう日常を面白おかしく膨らませて私小説が書かれているとおもうと面白い。でも何より解説にもあるが、文章のリズムの良さが飽きさせずに読み進めさせるのだろう。

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    2024年10月16日
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

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    西村賢太作品を読み進める一環で読んでみた 初出は昭和十五年のオリンポスの果実以外はいずれも二十三年か二十四年とほぼ同じ時期だけど、最後の二作が特に読みやすく感じたのは読む側が慣れたからだろうか 「さようなら」を読むと戦争に行った人間かどうかで死生観は丸切り違うのだろうと想像させられるし、彼は今の時代に照らせば酷いが、しかし今の時代に生きていたらあんな風にはなっていなかった気もして、当時の人間の赤裸々な価値観がみられて面白い

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    2024年10月11日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    2011年第144回芥川龍之介賞
    2012年 映画化 公開時のキャッチは
         「友ナシ、金ナシ、女ナシ
         この愛すべき、ろくでナシ」

    そして西村賢太さんは、2022年2月心停止、54歳で亡くなりました

    主人公の名前は、北町貫多
    西村賢太のもじりだとも
    私小説部分が多いらしい

    父親の性犯罪により 両親は離婚
    引越しを繰り返しながら 中学卒業と同時に
    家を飛び出し 東京の片隅で苦役のその日暮らし

    酒と女が大好きで
    仕事は金が底をついたら仕方なく

    卑屈であさましく、自分の現状に怒りを持ちながら 自堕落
    プライドは 山のごとく
    劣等感は 海のごとく
    読みながらダメっぷりに辟易し

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    2024年10月03日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    体調不良になるとなぜか読みたくなる西村賢太作品。お決まりのパターンで、相変わらずのクズっぷりだが、新しい職場に馴染み始めて、新生活に希望を持つ姿にはどこか応援したくなる気持ちも感じさせる。

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    2024年07月15日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    この人は、
    私小説家として生きる道しかなかったのだろう。
    根っからの臆病者が恐れていたように、
    たった一人で死んで、
    腐乱した体で発見されるということが、
    避けられた現時点から読むと、
    良かったねとすら思う。

    私小説家というものは、
    限りない自己批判性と客観性を持ち合わせて、
    幾ばくかの真実と、幾ばくかの誇張と、
    大いなる主観を言語化する能力を研ぎ澄ませているのだろう。

    この貧困の中を生き抜いた貫多。
    心身がむさ苦しく、臭い、貫多。
    おそらく憐れみなど全力で拒むだろう。
    でも思うのだ。
    芥川賞を取れて、よかったね。
    生きていて、よかったね。

    ただ一方で西村賢太に物足りなさを感じたのは、

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    2024年08月05日
  • 小銭をかぞえる

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    大人になった貫太の恋人との同棲編。今までの不遇だった性欲への不満が解消された惚気話のようだがタイトルの『焼却炉行き』という不穏さがこの人の破滅性を示す。
    子どもを産ませないよう予防線を張り代替えのぬいぐるみ及び女性に精神的肉体的経済的に虐待を働くとんでもない男であるが誰しもが持つ屑部分(幼児性)を曝け出しているところが共感を呼ぶのかもしれぬ。
    現実の作者はどうだったか分からないけど私小説という事は日常を切り取っている訳でもし作者が逝去しなかった場合どのような展開を迎えていったか夢想してしまう。

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    2024年05月10日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    貫多住み込み編にして長編。
    家賃未払いと性欲と口が達者な尊大な心持ちは他の話と変わらず。始めは超自我で抑制しているのが無理が祟って欲動が噴き出すのも同様である。
    17歳という青春のボーナスタイムを空費した事、人が嫌がる様な自身の内面を透徹した描写は心に残った。
    差別でもないが父親が性犯罪をしなかった場合の違う世界線の貫多はどの様な性格になったか気になるところではある。

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    2024年04月30日
  • 痴者の食卓

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    秋恵に対して爆発するまでの貫太の心の動きがよく分かる。秋恵からしたら貫太の怒りは理不尽でしかないということを、貫太自身理解したうえで、なお感情を抑えられない、そのこと自体を仕方のない事と諦めているところに、秋恵との破局の時がそう遠くないことを予感させる。

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    2024年02月18日
  • 寒灯

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    クズ沼⁡
    ⁡⁡
    ⁡ってな事で、西村賢太の『寒灯』⁡
    ⁡⁡
    ⁡陰雲晴れぬ⁡
    ⁡肩先に花の香りを残す人⁡
    ⁡寒灯⁡
    ⁡腐泥の果実⁡
    ⁡⁡
    ⁡の連続短編集。⁡
    ⁡⁡
    ⁡じゅんこに貰った『暗渠の宿』の続編になるんかな…
    ⁡⁡
    ⁡北町貫多と名を変えた著者の自伝となる内容じゃが、暗渠の宿より更にクズっぷりな歪んだ性格に、己に辟易しながらもどうにも直せない性格とセルフコントロール。⁡
    ⁡⁡
    ⁡こんなにも自分の恥部を晒す小説を世に出せる、度胸と言うのか…

    感動の念すら覚えて西村賢太クズ沼にズブズブとハマっていっている自分…
    ⁡⁡
    ⁡貫多の怒りの沸点が、何故そんなことでっ⁉️や⁡、喧嘩の言い返しの我儘で鬼の様

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    2024年02月03日
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

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    私が女だからだろうか、主人公(英光だろう人)の身勝手さに読んでいてムカっときてしまう。

    「あなたは、いったい、ぼくが好きだったのでしょうか」

    じゃねーよ。自分の気持ちは?

    他の作品も、妻子がいながら好きな女性と暮らしたり、その女性と喧嘩すると妻子のもとへ帰るがまた、女性のことが恋しくなって行ってしまう。

    なんて勝手なんだ!

    西村さんがハマっていた作家さんじゃなかったら、チラッと読んでリタイアしてたかも。

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    2024年01月05日
  • 小銭をかぞえる

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    ネタバレ

    10年ぶりにできた恋人との生活を書いた二篇。
    傍から見ると健気で可愛い彼女なのだけれど、とことん酷い扱いをされる。
    前半の「焼却炉行き赤ん坊」はタイトルはギョッとするものの、まだ惚気話にも解釈できて微笑ましい場面もいくらかあった。
    でも後半の「小銭をかぞえる」は本当にどうしようもない話で、彼女側からしたら金を搾り取られているのと同じだった。
    人間のクズと言っていいような主人公が、どこまでも独りよがりに周囲の人間と付き合っているさまが読める。
    これが冷静に書かれた私小説であり、癖があるのにとても読みやすい文章で構成されていることが、二重に複雑な気持ちにさせる。
    思い切り怒りをぶちまけたあと必ず不

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    2023年11月25日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

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    故・西村賢太の長編。
    西村自身をモチーフにした北町貫多が19歳の頃。西村自身が生きたのと同じ時代という設定なので、もはや40年近くも前。
    携帯電話などほとんど普及しておらず、少子化も今ほど深刻ではなく、サラリーマンの夫と専業主婦の妻という夫婦に二人以上の子どもというのが「家族」のイメージとして成立していた時代。そうした時代に、多くの人たちとは異なるところで生きることを余儀なくされた貫多。もはや、これは時代小説と言えるだろうか。

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    2023年10月10日