西村賢太のレビュー一覧

  • 一私小説書きの日乗

    Posted by ブクログ

    ほぼ毎日仕事と晩酌を繰り返すだけの中年男性の私小説をなぜ飽きずに読んでしまうんだろうと自分でも不思議だが、すごく面白い。

    0
    2026年09月17日
  • 雨滴は続く

    Posted by ブクログ

    記者にこの口臭女ー!。風俗のおふうさんに、この商売女!笑たわ。性欲と情愛、剥き出し。これが私小説、西村賢太。わかる、わかるんだよ。俺も人には言えないけど。46迄、独身だった。おふうさんみたいな人に会ったよ。あわや世帯をもつかと考えたよ。賢太先生、生まれ年も同じだし。俺は中卒では無いが親父はめちゃくちゃ。TVでも拝見してシンパシー感じてた。亡くなってからしか読んでないんが悔やまれる。

    0
    2026年09月07日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    『苦役列車』を読んで、一番怖かったのは主人公ではなく自分だった

    『苦役列車』を読み終えたとき、最初に浮かんだ感想は「自分と似ている」だった。

    もちろん、主人公の貫多のような人生を歩んできたわけではない。家庭環境も、仕事も、人間関係も違う。それでも彼の感情だけは妙に理解できてしまった。

    特に、要領がよく、爽やかで、人に好かれる友人へ向ける嫉妬だ。

    最初は「友人が羨ましい」という単純な話だと思っていた。しかし読み返すうちに、貫多が欲しかったのは友人そのものではなく、「自分より豊かな人間が存在する」という事実に耐えられなかったのではないかと思うようになった。

    そう考えたとき、急に他人事ではなくなった。

    私は昔から偏差値を気にして高校を選び、大学を選び、社会人になってからも就職偏差値のようなものを見てしまう。「自分は世間のどこにいるのか」を確認し続けてきた。

    それは誰かに勝ちたいからではなく、自分が下ではないことを確認して安心したいからだ。

    結婚し、子どもができたとき、「これでようやく他人と比較しなくて済むのではないか」と思ったことがある。

    しかし、それは幻想だった。

    子どもが生まれると、今度は他人の子どもが気になる。目の大きさ、着ている服、成長の早さ。比較の対象が自分から子どもへ移っただけだった。

    このとき気づいた。

    比較する相手が問題なのではない。比較しなければ安心できない自分の心の構造が問題なのだと。

    『苦役列車』は、社会の底辺を描いた小説として紹介されることが多い。

    しかし私には、貧しさや労働よりも、「他人との比較でしか自分の価値を測れない人間」の物語として読めた。

    そして、一番怖かったのは、その構造が主人公だけのものではなかったことだ。

    本を閉じたあと、主人公から距離を置くことはできなかった。

    鏡を見せられたような気分だった。

    0
    2026年08月31日
  • 人もいない春

    Posted by ブクログ

    普段見慣れない言葉遣いが多用されているのにこんなに読みやすいのはどう考えてもおかしい!!
    歳を重ねての主人公の変容が、違和感一切なく綴られている。実在する人間を本当にそのまま描いたかのような。これが私小説の醍醐味か。

    0
    2026年08月05日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

    Posted by ブクログ

    貫太の暴言にいちいちセンスを感じる
    最後の方の「何かすがれるものが一つでもあれば、、」というのを読んで後の藤澤清造と出会った西村賢太を想起せざるを得なかった

    0
    2026年08月04日
  • 小銭をかぞえる

    Posted by ブクログ

    本当に笑った。
    正直、秋恵への不快感やそれに対する行動などに共感できるし、自分自身思い当たるような出来事が想起て少し危機感を覚えた。
    しかしここで終わらないのが西村賢太で、物語が終盤に差し掛かるにつれ本当にあり得ない暴言暴挙が次々出てくるので本当にすごかった。
    蹴り殺されのベルのシーンが最低でお気に入り。

    0
    2026年07月22日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    生涯ベスト本
    これほどまでに共感できて笑える本は他にない。そもそも小説を読んでちゃんと笑った記憶がそこまでない。
    物語の最後の方、貫太が歯止めが効かなくなって暴走するシーン、胃もたれするほどの西村賢太節を浴びせられた。
    気になる子を前にモジモジしたりあからさまに不自然なイキりを見せたり、自分を見ているようで抱きしめたくなる。

    0
    2026年07月22日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    どうしようもないがプライドが高く、性欲もあり、イラチな若輩男が主人公。若輩者のペラペラな意思や勢いだけで突破しようとする愚かさは、きっと誰しも身に覚えがある。

    0
    2026年07月12日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    北町貫多が作家北町貫多になる前、北町貫多になる気配で終わる苦役列車中編と売れない作家北町貫多の頃の2篇。

    0
    2026年07月07日
  • 田中英光傑作選 オリンポスの果実/さようなら 他

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    田中秀光作品のなかで特に優れた作品を収録された本。代表作『オリンポスの果実』は、元ボート選手だったときの田中の経験が反映された作品。何十年も前の小説だが、体育会系ならではのノリや雰囲気は、現代とそれほど変わらない。また田中は同じく小説家の太宰治に私淑しており、彼の影響を受けたと思われる「さようなら」や、共産主義に傾倒した時期に書いた作品が収録されている。本作の作品を一読することで、田中秀光という人物像を立体的に捉えることができる。

    0
    2026年07月04日
  • 随筆集 一私小説書きの独語

    Posted by ブクログ

    初めて文章読んだけど、とても読みやすく面白い内容だった。
    結構批判しててそれも面白く感じた。
    校閲した人をめちゃくちゃ批判したり、映画の事もめちゃくちゃ怒ってて申し訳ないが、その率直な意見が面白く感じた。

    0
    2026年06月22日
  • 二度はゆけぬ町の地図

    Posted by ブクログ

    家賃の滞納、初彼女、留置所など、貫多の性悪さが詰まったオリジンとも言える話。

    やっぱ、貫多の逆ギレ時の言動が堪らんね。

    0
    2026年05月17日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    西村賢太の作品を立て続けに2冊読んだので、すぐにピンときた!
    小銭をかぞえるの山志名と、苦役列車の日下部、同じ奴がモデルじゃん!!
    日雇いのバイト先で出会った九州出身のスポーツマンで学生結婚して郵便局員になった男!名前は違うけど設定が全く同じだ!!

    めっちゃ面白いんだけど、なんと私小説らしいので、本当にこんな出来事が起こったと思うとより面白い。

    短編の「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」も面白かった。
    ギックリ腰の中、受賞するかしないかの連絡を待つ話。変にジンクスやゲン担ぎにこだわり始めてしまうところとか、ギックリ腰でケツが拭けなくて困る話とか、あるあるで面白かった。

    苦役列車は肉体労働の日雇い労働者の話なんですけど、小説家が想像で書く貧乏な底辺の男、ではなくて、実体験だからめちゃくちゃ解像度が高くて、本当に面白かった。
    私も日雇いのバイトをしてた時があったので、体験した人にしか書けないような文章がリアルだし面白かった!

    西村賢太さん憧れの石原慎太郎さんが解説を書いてくれてるところもなんだか嬉しくなりました。

    他の作品も読んでみたいな〜

    0
    2026年05月05日
  • やまいだれの歌(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    無頼で尊大、だが小心者変に繊細、本当にどうしようもない、しかしやたらと愛おしい北町貫多の、十代最後の半年ほどを描いた私小説的な作品。自己を投影するべくもない、同じ職場にいれば唾棄したくなるような人間でありながら、なぜか十代の頃の自分を重ねてしまうところに、西村賢太の筆の良さを感じる。

    0
    2026年05月03日
  • 雨滴は続く

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    北町貫多が小説家として認知されるまでの期間(芥川賞候補になるまで)が描かれています。

    中年に差し掛かった北町貫多自身の小説家としての仕事や才能に対する期待と不安が、事あるごとにオセロのように逆転していく心情風景と、子持ちの風俗嬢と女性新聞記者への一方的に岡惚れする心情風景とが相まって、歪んだ四重奏みたいになっていて飽きさせません。
    この「歪んだ」というのが西村賢太の持ち味であることは言うまでもありません。

    西村賢太の作品でも個人的に「一夜」は好きな作品であったので、その誕生秘話?みたいな描写はとても興味深いものでした。

    「雨滴は続く」は特に顕著だったと思うのですが、西村賢太の私小説がなぜこんなに面白いのか?中毒的に人を惹きつけるのか?
    ちょっと分かった気がします。
    北町貫多の物語にはマズローの欲求段階説が埋め込まれているような気がします。人間の清濁併せ持った欲が詰め込まれているんです。
    お下劣なまでの生理的欲求から、精神的な自己実現欲求までこの作品には詰まっています。
    それをここまで嫌味にならずに高尚に書き上げるのは、作者の才覚の賜物だと思っています。

    西村賢太の最高傑作だと思います。

    しかし、新川さんはどこまでお人好しなんだろう。

    0
    2026年05月04日
  • 小銭をかぞえる

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    あーーーおもしろかった!今までの人生で読んだ本の中で一番最低な本なんだけど本当に面白かった!

    金もなく、モテない、借金だらけだが悪びれもせず風俗に行って寿司の出前も頼むような最底辺の男の小説。
    おまけにやっとできた従順で慎ましい彼女に罵声を浴びせて暴力を振るってみたり、何もかも最悪すぎ(笑)

    でも、途中からうちの父親にそっくりだと気づいた(笑)だから楽しめたのかもしれない。

    借金してるのにお金が増えた感覚になって人を喜ばせたくなって外食してみたり、でもお金ないじゃん!って指摘されると、せっかくお前を喜ばせてやろうと思ったのに!と言って逆ギレする。
    理論が破綻してるのに妙に大真面目に言っている。思考回路がうちの父親にそっくりすぎて面白くなってしまった。

    そして解説が面白かった〜。

    「それは、貧しい男女の悲惨で不幸な話を描き、読者に、疼痛のような、小便を我慢しているような悲しみを感じさせながら、同時にひどく愉快な気持ちにもさせる、という奇蹟にも関係する。」
    p191

    ↑例えが最悪すぎるけど的確(笑)
    さすがですw

    0
    2026年05月01日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    主人公が限界社会人(10代)であるため、下品な表現や描写が多いが、それが男のリアルという感じで面白い。自分の浪人生時代を思い出した。(主人公は中卒で働いているので、自分の浪人生時代とは違うのだが、日々劣等感を持ちながら生き、友人の些細な発言が自分を馬鹿にしているのではないかと思ってしまうあたりに共感できた)

    0
    2026年04月15日
  • 芝公園六角堂跡 狂える藤澤清造の残影

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     西村賢太は世界で唯一のそして最も純度の高い「藤澤清造原理主義者」である、ということを表明したような4編が収まっています。

     主人公の北町貫多は、名のある新人文学賞を受賞し、アルバイトと称したテレビ出演などといったメディアにも呼ばれ、顔も広がり交友関係にも華やかさが出てきています。
     ある著名なミュージシャンのライブに特等席で招待され、ライブ打ち上げにも参加するような人生が、彼を待っていたなんてあのクソみたいな日常を送っていたころの貫多には想像できていなかったでしょう。
     著者曰く、本連作は読者へのサービス精神は一切捨てたと言っています。たしかに、きっぷの良い暴言や理不尽なバイオレンスは出てきていません。出てきませんが、おもしろい。

     西村賢太が書く北町貫多の物語は、私小説でもあると同時にそれは西村賢太のパラレルワールドでもあります。
     その物語の中で、北町貫多が昔の心情を述懐するさまはパラレルワールド内での劇中作を見ているかのようで、読んでいる側を軽く混乱させある種の歪みに誘われ、没入感を体験してしまいます。

    しかし、どうなんでしょう。
    この連作短編集がおもしろいと感じるのは、私が西村賢太のファンであるからなのだろうか?

    0
    2026年03月17日
  • どうで死ぬ身の一踊り

    Posted by ブクログ

    なぜこの文章が私小説として読めるのか。
    女になんども手をあげる男がなぜこんな面白い文章を書けるのか。

    "いつものことだがこのとき私は、頼むからおまえも謝まってくれ、と祈りたい気持ちになる。今、謝まってくれればまだ間に合うんだから、と。しかし、今夜もその祈りが女に届くことはなかった。"

    弱さを暴力に変え、その事実を小説に変える。
    藤澤清造への異常たる執着は西村賢太作品2作目にして興味しかなくなった。
    手に入れられるものは一つだけと言わんばかりの人生はRPGのようだ。

    0
    2026年03月03日
  • 苦役列車(新潮文庫)

    Posted by ブクログ

    芥川賞を獲った作品を読み進めていて、手に取る。

    19歳の人夫が、日雇い生活を汲々としながら過ごす日々が私小説的に綴られる。
    酒を呑んで現実を誤魔化し、風俗で性欲を誤魔化し、人に嫌味を言って自分を誤魔化す。

    出自に同情する部分はあるが、それをもって尚、「こいつはクズだ」と吐いて捨てることができてしまう。
    そんな全く好感を持てない主人公だが、息遣いをリアルに感じる物語。

    0
    2026年03月01日