西村賢太のレビュー一覧
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『一私小説書きの日乗』がとてもよかったので手にとってみると、あまりにその延長線上にあるので驚いた。私小説とはそんなものなのかもしれないが、”貫太”と”賢太”の距離は想像以上に近かった。
『日乗』と相も変わらず、貫太の鬱屈とした日々がたんたんと綴られるだけではあるが、短編としての完成度の高さにこれまた驚かされた。私小説というからには順番に読まなければいけないのではと不安だったが、まったく問題なく、だらだらと続いていく人生のうちのほんの一場面をこんなにも上手く切り取れるものかと衝撃を受けた。またその構成もよく練られており、展開が気になるようなトピックを提示しておきつつ、最後にはそれに絡めたカタルシ -
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西村賢太11冊目
序盤、某作品は横光利一の作品をもじったとの記述があり、期せずして答え合わせができて嬉しくなる
貫多が商業誌に掲載される駆け出しの作家になるまで、内容はクズ男の日常といつも通りなのだが半分は恋愛要素となっており、しかもWヒロインの三角関係(良く言えば
背表紙には巻末には片方の女性が文章を寄せていると書いてあったがそれは盛大なネタバレじゃないか!
しかもその方、口臭とかクチクサとか書かれてますよ何回も
なぞ思いながら残りページ数が減ってきてあれ?となる
やられた!これはもはや叙述トリック!傑作
他の作品を読んだぶんだけキッチリハマるやつ!
終盤の「根は〇〇でできている -
Posted by ブクログ
墓前生活 70
16p(略)元来、人の二倍も三倍も分別をわきまえ、絶対に良識や良俗を踏み出せない性格でありながら、何かどこかが社会一般のあらゆるものとかみ合わない。(略)そうなればもうそれを逆手にとってやり、諦めを強いた自らの心を抱きしめながら、孤独なパフォームを演じてゆく他ない(略)
藤澤清造と西村賢太の普遍的な関係性を感じてしまいます。
藤澤清造あっての西村賢太であると同時に、西村賢太があっての藤澤清造なのだと思いました。(解説から)
コロッケあっての美川憲一であるのと同時に、美川憲一あってのコロッケみたいな笑
どうで死ぬ身のひと踊り 75
藤澤清造のことでうまくいくとがあると、一方 -
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私小説への印象を変えてくれた1冊です。
読む以前は、「私小説=不幸自慢」という印象がやはり少しばかりありました。
ですが本作品は、恥辱や怨望のような人間誰しもが抱いてしまう上に、他者には中々吐露しにくい心情を正直に・誠実に描くことで、このような感情をある種の美しさにまで昇華することを実現していると感じます。
これを可能にしたのは、作者自身が身をもって苦難を体験していたことに由来しているのではないでしょうか。それによって、石原慎太郎さんが仰っていたような、「現代の作品にはあまりみられない作家の心身性やリアリティ」を孕むことに成功しているのだと思います。
また、少々くどい文体も、それ自体が主人