西村賢太のレビュー一覧
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墓前生活 70
16p(略)元来、人の二倍も三倍も分別をわきまえ、絶対に良識や良俗を踏み出せない性格でありながら、何かどこかが社会一般のあらゆるものとかみ合わない。(略)そうなればもうそれを逆手にとってやり、諦めを強いた自らの心を抱きしめながら、孤独なパフォームを演じてゆく他ない(略)
藤澤清造と西村賢太の普遍的な関係性を感じてしまいます。
藤澤清造あっての西村賢太であると同時に、西村賢太があっての藤澤清造なのだと思いました。(解説から)
コロッケあっての美川憲一であるのと同時に、美川憲一あってのコロッケみたいな笑
どうで死ぬ身のひと踊り 75
藤澤清造のことでうまくいくとがあると、一方 -
Posted by ブクログ
私小説への印象を変えてくれた1冊です。
読む以前は、「私小説=不幸自慢」という印象がやはり少しばかりありました。
ですが本作品は、恥辱や怨望のような人間誰しもが抱いてしまう上に、他者には中々吐露しにくい心情を正直に・誠実に描くことで、このような感情をある種の美しさにまで昇華することを実現していると感じます。
これを可能にしたのは、作者自身が身をもって苦難を体験していたことに由来しているのではないでしょうか。それによって、石原慎太郎さんが仰っていたような、「現代の作品にはあまりみられない作家の心身性やリアリティ」を孕むことに成功しているのだと思います。
また、少々くどい文体も、それ自体が主人 -
Posted by ブクログ
今年の新潮文庫の100冊に入っていたので、読んでみました。
あまりの凄さに西村賢太さんについてイロイロと調べてしまいました。
この作品は2011年の芥川賞受賞作なんですね。
受賞して10年以上経っているとは、時代の流れは速いものです。
文庫本で170ページ弱。
この薄い本の中には人間の本能がこれでもか!っていうほど詰まっています。
主人公・貫多はホント歪んでいて、人間のネガティブな面(本能)がむき出しなのです。
ここでいう人間のネガティブな面とは、人間誰しも持っている、エゴ・見栄・どうでもいいプライドを言ってます。
普段私たちは本能を薄ーーーーい皮(それを理性と言うのだと思う)でどうにか