【感想・ネタバレ】どうで死ぬ身の一踊りのレビュー

あらすじ

賛否両極の問題作!
デビュー15年、第一創作集、3度目の復刊!


不遇に果てた大正期の私小説家・藤澤清造。その負の存在に心の支えを見出し“歿後弟子”を目指す男の捨て身の日々。“師”に明け暮れ墓守りを行い、資料探しに奔走して全集作りに注力する情熱は、自らの人生を完全に賭した、不屈で強靱な意志と同義のものであった。同人誌発表の処女作「墓前生活」、商業誌第一作の「一夜」を併録。現在に至るも極端な好悪、明確な賞賛と顰蹙を呼び続ける問題の第一創作集、3度目の復刊。

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Posted by ブクログ

墓前生活 70
16p(略)元来、人の二倍も三倍も分別をわきまえ、絶対に良識や良俗を踏み出せない性格でありながら、何かどこかが社会一般のあらゆるものとかみ合わない。(略)そうなればもうそれを逆手にとってやり、諦めを強いた自らの心を抱きしめながら、孤独なパフォームを演じてゆく他ない(略)
藤澤清造と西村賢太の普遍的な関係性を感じてしまいます。

藤澤清造あっての西村賢太であると同時に、西村賢太があっての藤澤清造なのだと思いました。(解説から)

コロッケあっての美川憲一であるのと同時に、美川憲一あってのコロッケみたいな笑

どうで死ぬ身のひと踊り 75
藤澤清造のことでうまくいくとがあると、一方では秋恵に対して暴君のように振る舞っていまう。
そこに相関性があるのか因果性があるのか、本人も困惑しているみたいです。

一夜 90
かなり好き。
人間の喜怒哀楽をここまで網羅できてる短編はそうはない。

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2025年07月11日

Posted by ブクログ

西村賢太さんの存在に興味を持ち拝読。

「どうで死ぬ身の一踊り」という言葉通り、諦観しているからこその、人並外れた執念や執着が描かれていた。

DVのシーンは軽快で酷くて、この表現は良くないかも知れないが、読むのが面白かった。

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2025年06月12日

Posted by ブクログ

風格ある文体もあいまって、古くマイナーな作家をひとり熱心に研究しているだなんてずいぶんと高尚なと思いきや、急にはさまれる頽廃美などとはほど遠いだらしなさに意表をつかれるとともににやりとしてしまい、当初そういう惨めさとの懸隔を演出するかに思われた文学的な情熱もどんどん(清造の墓が汚ないアパートに持ち運ばれたかのごとく)その最低な暮らしぶりになんじでいって、もうなにもかもがどうしようもない、なのに女が出ていったのちにおのれの醜態を緻密に振りかえるそのいじらしさのようなものになんだか泣きそうになる、ほんとに最低なのだが。

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2024年03月06日

Posted by ブクログ

藤澤清造愛に溢れている私小説。読んでいてあまりいい気分はしないDVの場面はあるけれども、なぜか読み進めてしまいたくなるほど不思議な小説だ。それを解説がわかりやすく書いてくれていた。
『藤澤清造に少しでも近づけることを求めながら、自らは小説家になることを目指していなかった西村賢太の私小説にその種(作家になることを目指し私小説というジャンルを選び、自分を美化して描くこと)の美化はない。なるほど彼の小説に登場する「私」は常に愚者である。すれはすがすがしくも本当の愚者である。だから西村賢太の小説は不思議にあと味が悪くない。』

それにしても、「根は◯◯なので~」が好きだ。
この小説内では彼の根はわがまま/未練にできている/ペシミスト/虫のつくほど青臭い文学青年/テレクラ嫌い/姑息/狡猾/甘ったれ/苦労性 らしい。
「便座あげとけって言ってんだろがっ!」と怒鳴る場面の理不尽さは笑ってしまった。

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2024年02月02日

Posted by ブクログ

「どうで死ぬ身の一踊り。これで最後の一踊り。それでもダメとなれば、その時はそう深刻ぶるがものはない。脳をマヒさせた上でこの人を追い、芝公園に行けばいいだけのことではないか、と考えたら急に心が楽になった。」

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2020年08月02日

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