西村賢太のレビュー一覧

  • 苦役列車(新潮文庫)

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    『苦役列車』を読んで、一番怖かったのは主人公ではなく自分だった

    『苦役列車』を読み終えたとき、最初に浮かんだ感想は「自分と似ている」だった。

    もちろん、主人公の貫多のような人生を歩んできたわけではない。家庭環境も、仕事も、人間関係も違う。それでも彼の感情だけは妙に理解できてしまった。

    特に、要領がよく、爽やかで、人に好かれる友人へ向ける嫉妬だ。

    最初は「友人が羨ましい」という単純な話だと思っていた。しかし読み返すうちに、貫多が欲しかったのは友人そのものではなく、「自分より豊かな人間が存在する」という事実に耐えられなかったのではないかと思うようになった。

    そう考えたとき、急に他人事では

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    2026年08月31日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    ネタバレ

    「ぶったがどうした。おまえが言うに事欠いて変態なぞと嘗めたことを言うからだ。ぼくは心から謝ってるじゃねえか、もう許してくれってんだよ。それに全てはおまえが好きでたまらねえ余りからしたことなんだしよ、折角仲直りできたのに、こんな情けないことでまた喧嘩するのは嫌だよ。でもおまえがそこまで嫌がるようなことをしたのと、今、引っぱたいたことは悪いと思ってるよっ」

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    2026年08月16日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    個人的に少しブームが来ている、私小説
    私小説で芥川賞受賞か…と思い読んでみる

    私小説らしい、ダメなボクを吐露する系だけど、舞台が現代で生々しい
    どこからどう見てもダメでも、それを噛み締め続けると小説を書けるのか

    下には下がいる、と思って読めばいいのか
    ただ、受け止めればいいのか
    感想書きづらい
    でも、なぜか読後感は暗くない
    他の本も読んでみる

    まだ私小説ブームは続きそうです

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    2026年08月14日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    人より強い妬む心と尊敬する心を持ち合わせた人間である語り手だった。そして、妬む心を持ちやすい生活を送り続けていた。彼の幼少期には横溝正史の文庫本があって、苦役の従事を続ける彼には藤澤清造がいた事が、彼を掬い上げることになるのだろうな。
    本書が私小説であるということは、私に対しケツを蹴り上げるような痛みを感じさせる。自身を文字に起こす覚悟を有した著者がいる、という事実があるからだ。語り手よろしく、私も小心者であるがため、本書は私の感情を嫌にでも面前に突きつけ、それが痛く醜い姿である事を自覚せざるを得ない。

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    2026年08月13日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    ネタバレ

    藤沢清造の弟子と自称する主人公は、藤沢の全集を完成させるために彼の資料を収集したり、彼の墓が立つ石川県にある寺に向かうなど、師のために情熱を傾ける。その一方で、特に仕事をすることなく、現在付き合っている女性と些細なことで衝突して暴力を振るう、というようにまともな生活を送れない破滅的な男を開けっ広げに描写する。

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    2026年08月02日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    西村賢太の師への傾倒っぷりは本当にすごい。これほど何かに情熱的になれる人は本当にいないと思う。しかも見返りも何もなしに。感心したのも束の間二つ目の話ではいつもの西村賢太で笑った

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    2026年07月22日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    たいへん面白くて、一晩で一気読みした。

    主人公の北町貫多(=西村賢太自身を投影した人物)は、坂口安吾の「堕落論」を地で行くような人だと思う。クズ大爆発。欲望むき出しで、堕ちるところまで堕ちながら、なんやかんやでたくましく生きている。
    そんな自分の醜さや情けなさまで、私小説として曝け出してしまうところがすごい。読んでいるうちに、「こういう部分、自分の中にもあるよなぁ……」と思わされる瞬間がある。

    あと、何かしらのコンプレックスの裏返しなのか知らんけど、妙に衒学的な雰囲気も感じた。
    「曩時」「後架」「畢竟」など、難読漢字や独特な言い回しがやたら多く、そこは少し読みにくかった。

    ……というボヤ

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    2026年07月19日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    私小説というのを初めて呼んだ。もともとノンフィクション小説が好きなので、実体験を大いに脚色させて書けるこのジャンルはかなり楽しいと感じた。
    濱口竜介の映画『急に具合が悪くなる』を観たばかりなので、特に強調されて外部の存在を意識するが、そのような鳥瞰的視点ではなく、圧倒的な当事者としての視点から迫力ある書かれ方をされているのが特徴であり面白さだと思った。

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    2026年06月22日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    自分の醜い部分をあまりにも赤裸々に描いていて、逆に美しいなと感じた。特に印象的だったのは、貫太が、お昼休憩中にドラマの撮影の邪魔になるからとあっさりどいてしまったことに対して、どいた後にネチネチ文句を言っているところだ。誰しもが感じるモヤっとした感情を、何倍にも強度を高めて描いてくれることに気持ちよさを感じた。

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    2026年06月03日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    初っ端からお下劣な言葉が飛び込んできて、貫多の破茶滅茶な生き様が包み隠すことなく描写されていて面白かった。
    筆致にも内容にも独自性があって良かった。
    昔の言葉遣いなのかは不明だが、難しい言葉が頻出するのでグーグル先生に助けてもらいながら読み進めた。
    貫多の境遇には、自分自身にも重なる部分が多数あったので共感できるものがあった。
    それと同時に、こんなに出鱈目で自由奔放に生きていても、人生なんとかなるもんなんだなと変に勇気付けられたりもした。
    私小説というものだから驚かされる。
    最終的には小説家として成功しているし、学歴が無くてもこんな作品を生み出せるんだと……。
    自分も私小説を書きたくなった(書

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    2026年05月26日
  • 小銭をかぞえる

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    ネタバレ

    両作品とも著者の実体験をベースとしたもので、破滅的な内容となる。主人公は金銭面でだらしなく性格に難がある人物で、それゆえに人間関係でトラブルが発生する。二作品とも形は違えど、人間が内包する醜さを描いており、現実にはこのような人間が実在することが本作を通して実感できる。

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    2026年05月03日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    主人公の生き方や人間関係が、『PERFECT DAYS』と対照的だと思った。

    苦役↔︎PERFECT
    列車↔︎DAYS

    タイトルもきれいに対比している、面白い。

    「列車」というメタファーは、貫多が陰のレールを進む業から逃れられないことを示しているのだろうか。

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    2026年05月02日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    苦役列車のタイトルから、ドン底で這い上がれない、希望もない絶望と怨恨のストーリーを想像していましたが、意外にも主人公が若いためか爽やかな印象でした。流れるような読みやすい文体で一気読み。亡くなられた著者のファンの聖地である鶯谷の信濃路に行ってみたい。

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    2026年04月29日
  • 羅針盤は壊れても

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    表題作が最高。半年で高校中退してバイトしていた身としては共感できるとこが多数。そして未だに「まだ大丈夫なはず」と思い続けている。
    (貫多に言わせれば中卒と高校中退は全く違うものだが)
    既に読んだ2篇も再読して再度面白い。全然積読してないけど、何回読んでも面白い。

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    2026年04月24日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

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    今までと同じような貫多なんだけど、書き方が変わった感じがする。それがとても好き。
    夜更けの川に落ち葉は流れて、秋恵と会う前の最後の彼女との話し。面白すぎる。
    青痰麺も最高。

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    2026年03月31日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    スマホもSNSもない、しかし現代的な社会は完成しつつある時代の底辺から、人間存在の核心的一部分を捉えるような作品だと思った。嫌らしさや卑しさ、粗雑さ、体液と埃に塗れた汚らしさとともに描かれる主人公の尊大さは情けなく居た堪れないが、不思議なエネルギーがあり、それが難読漢字や古臭い表現を取り入れた文章とともに迫ってくる。

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    2026年03月27日
  • 痴者の食卓

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    畜生の反省が好きすぎる。
    「ちなみに、三人のご豚児のことは?」
    「えっ、ごとんじ?」
    めっちゃ笑った。
    全編好き。

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    2026年02月26日
  • 瓦礫の死角

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    私小説?
    いや、もはや
    娯楽小説!

    全身エンターテイナー
    西村賢太、ここに極まれり!
    ーー真梨幸子氏
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    私が以前勤めていた会社で仲良かった人が、
    西村賢太をよく読むと言っていて
    ずっと気になっていました。

    本屋でたまたま見つけて、
    薄めの本だったので、
    これなら挑戦できるかもと!

    結構重たそうなイメージがありましたが。

    なんか…面白い。
    なにこれ、不思議な感覚です。
    すごく暗いし、すごく嫌な感じなのに、
    なんか面白い空気というか、
    開き直っている感じ

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    2026年02月23日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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     著者が芥川賞受賞後に連載を開始した「一私小説書きの日乗」が「本の雑誌」で連載されるようになった時、初めて著者の文章に触れました。そして、今この時代にこんな無頼な作家がいることに驚くとともに、なんだか嬉しくなりました。
     その彼が急逝した時、さもありなんと思ったのはその通りです。苦役列車の主人公、北町貫多は多分そうなるはずの生き方をしています。劣等感に苛まれ、人間関係もうまく作れず、日雇い仕事の日給は酒とタバコと風俗に消費され、月1万円の家賃さえも毎度毎度踏み倒して、最後は母親に無心する、というより強奪していきます。

     私小説ですが、昭和の時代までの青年たちは、多かれ少なかれ北町貫多のような

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    2026年02月17日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    とんでもねえゴミカスだと思ったらまさかの私小説とは…
    描写も細かく、繊細な文体と難しい単語が目立つ。
    それであって喋りとのギャップがまた面白い。
    あまりにも底の底すぎるが、
    自分もまたこうなる可能性があったと思うと、
    戦後日本の平和を享受できるのも、
    限られた人間にのみ許されたもので、
    全ての人間がそうではないんだと思わされたり。

    性格があまりにも自分の暗い部分に似ていた。
    こういう側面って誰にでもあって、
    環境によってそれが主になってしまう、
    ということもあるのだと思う。

    しかしあっこから小説家になるとは…
    いやはや何が起こるか人生とは分かったもんじゃあないな。

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    2026年02月16日