西村賢太のレビュー一覧
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ネタバレ西村氏の私小説的作品。貫多が自己投影のキャラクターであるからか、語り部が一人称的にも三人称的にも映る。それ故に、貫多のクズっぷりを内省的にフォローする形で話が進むので助かる。
途中で出会う同い年の専門学生、日下部と親しくなるものの、徐々に貫多と"普通"の同級生とのズレが顕著に表れて虚しい。家庭環境から翻って日常生活、人や金の豊かさ、それ故の距離感や怜悧さの違いがもたらす羨望が卑屈さに変わり、相手を侮蔑することでプライドを保つ虚しさと成長の無さは共感性羞恥をもたらす。ただ、厭世的な雰囲気はあるものの、悲愴感こそ感じさせない主人公である貫多のメンタルもあって、読むのが苦痛になる -
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私小説とは自身をピエロに仕立て小説として売るものだろう。そこに虚飾があってもよいが、コンプレックスも何もかも丸出しにして人間の底の底が描けていなければ、丸裸の人間がここにいると思われなければ、読者の共感は得られない。よく「どんな人にも一冊は小説が書ける」と言われるが、それはそれで厳しい話だ。
ほぼ実録私小説のように読める本書は、まず父親の犯した性犯罪が学歴や怠惰な性格といった主人公(著者)の劣等感の根本的出どころとして描かれる。これは本人には責任がなく世の中の不条理ではあるのだが、そこに反発はあるにせよ概ね世間目線を受け入れる代わりに、怠惰で無軌道な自己を社会に当てつけているフシがある。これが -
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父親の犯罪から歪んでしまった主人公・貫多が中学卒業後、肉体労働を経て日々を過ごしていく。
この小説は私小説、つまり西村さんの人生なわけだが、鬱屈とした性格?やグレていた頃、肉体労働の経験、自己責任とはいえ人生がどうにも崩壊していってしまう模様、そのどれもが私のことではないかと思い、読んでいるのが辛くなってしまった。
とはいえ、西村さんもとい貫多は実家がもともと裕福で金を無心しがちなクズである一面もあり、そこは腹が立った。私も中退して肉体労働をしていたので、この人生が『苦役列車』なんて言うなら、私はさらに悲惨であろう。
このことについては石原慎太郎も解説で触れていたが "どんな人 -
Posted by ブクログ
自身の存在意義を確立できていない人間にとっての、この社会での生きづらさや不安要素、感情の動きが事細かに表現されていて、いい意味で不快感がすごかった。だけども実際そんな人間が考える妬み嫉み他責は、全部自信の無さから派生している感情だろうから目に見える実績を求めるのだろうな〜という思考回路がよく分かるお話だった。
私自身にも重なる部分が多々あって耳が痛いような気分になりました。ここまで赤裸々に人間臭さを表現してくれるなんて、仲間を見つけたようでなんだか嬉しい。それでも何もしなくても居心地のいいところなんて大体成長がないんだから長居するのは良くないね。