西村賢太のレビュー一覧

  • 苦役列車(新潮文庫)

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    たいへん面白くて、一晩で一気読みした。

    主人公の北町貫多(=西村賢太自身を投影した人物)は、坂口安吾の「堕落論」を地で行くような人だと思う。クズ大爆発。欲望むき出しで、堕ちるところまで堕ちながら、なんやかんやでたくましく生きている。
    そんな自分の醜さや情けなさまで、私小説として曝け出してしまうところがすごい。読んでいるうちに、「こういう部分、自分の中にもあるよなぁ……」と思わされる瞬間がある。

    あと、何かしらのコンプレックスの裏返しなのか知らんけど、妙に衒学的な雰囲気も感じた。
    「曩時」「後架」「畢竟」など、難読漢字や独特な言い回しがやたら多く、そこは少し読みにくかった。

    ……というボヤ

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    2026年07月19日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    私小説というのを初めて呼んだ。もともとノンフィクション小説が好きなので、実体験を大いに脚色させて書けるこのジャンルはかなり楽しいと感じた。
    濱口竜介の映画『急に具合が悪くなる』を観たばかりなので、特に強調されて外部の存在を意識するが、そのような鳥瞰的視点ではなく、圧倒的な当事者としての視点から迫力ある書かれ方をされているのが特徴であり面白さだと思った。

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    2026年06月22日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    自分の醜い部分をあまりにも赤裸々に描いていて、逆に美しいなと感じた。特に印象的だったのは、貫太が、お昼休憩中にドラマの撮影の邪魔になるからとあっさりどいてしまったことに対して、どいた後にネチネチ文句を言っているところだ。誰しもが感じるモヤっとした感情を、何倍にも強度を高めて描いてくれることに気持ちよさを感じた。

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    2026年06月03日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    初っ端からお下劣な言葉が飛び込んできて、貫多の破茶滅茶な生き様が包み隠すことなく描写されていて面白かった。
    筆致にも内容にも独自性があって良かった。
    昔の言葉遣いなのかは不明だが、難しい言葉が頻出するのでグーグル先生に助けてもらいながら読み進めた。
    貫多の境遇には、自分自身にも重なる部分が多数あったので共感できるものがあった。
    それと同時に、こんなに出鱈目で自由奔放に生きていても、人生なんとかなるもんなんだなと変に勇気付けられたりもした。
    私小説というものだから驚かされる。
    最終的には小説家として成功しているし、学歴が無くてもこんな作品を生み出せるんだと……。
    自分も私小説を書きたくなった(書

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    2026年05月26日
  • 小銭をかぞえる

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    ネタバレ

    両作品とも著者の実体験をベースとしたもので、破滅的な内容となる。主人公は金銭面でだらしなく性格に難がある人物で、それゆえに人間関係でトラブルが発生する。二作品とも形は違えど、人間が内包する醜さを描いており、現実にはこのような人間が実在することが本作を通して実感できる。

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    2026年05月03日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    主人公の生き方や人間関係が、『PERFECT DAYS』と対照的だと思った。

    苦役↔︎PERFECT
    列車↔︎DAYS

    タイトルもきれいに対比している、面白い。

    「列車」というメタファーは、貫多が陰のレールを進む業から逃れられないことを示しているのだろうか。

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    2026年05月02日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    苦役列車のタイトルから、ドン底で這い上がれない、希望もない絶望と怨恨のストーリーを想像していましたが、意外にも主人公が若いためか爽やかな印象でした。流れるような読みやすい文体で一気読み。亡くなられた著者のファンの聖地である鶯谷の信濃路に行ってみたい。

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    2026年04月29日
  • 羅針盤は壊れても

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    表題作が最高。半年で高校中退してバイトしていた身としては共感できるとこが多数。そして未だに「まだ大丈夫なはず」と思い続けている。
    (貫多に言わせれば中卒と高校中退は全く違うものだが)
    既に読んだ2篇も再読して再度面白い。全然積読してないけど、何回読んでも面白い。

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    2026年04月24日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

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    今までと同じような貫多なんだけど、書き方が変わった感じがする。それがとても好き。
    夜更けの川に落ち葉は流れて、秋恵と会う前の最後の彼女との話し。面白すぎる。
    青痰麺も最高。

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    2026年03月31日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    スマホもSNSもない、しかし現代的な社会は完成しつつある時代の底辺から、人間存在の核心的一部分を捉えるような作品だと思った。嫌らしさや卑しさ、粗雑さ、体液と埃に塗れた汚らしさとともに描かれる主人公の尊大さは情けなく居た堪れないが、不思議なエネルギーがあり、それが難読漢字や古臭い表現を取り入れた文章とともに迫ってくる。

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    2026年03月27日
  • 痴者の食卓

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    畜生の反省が好きすぎる。
    「ちなみに、三人のご豚児のことは?」
    「えっ、ごとんじ?」
    めっちゃ笑った。
    全編好き。

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    2026年02月26日
  • 瓦礫の死角

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    私小説?
    いや、もはや
    娯楽小説!

    全身エンターテイナー
    西村賢太、ここに極まれり!
    ーー真梨幸子氏
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    私が以前勤めていた会社で仲良かった人が、
    西村賢太をよく読むと言っていて
    ずっと気になっていました。

    本屋でたまたま見つけて、
    薄めの本だったので、
    これなら挑戦できるかもと!

    結構重たそうなイメージがありましたが。

    なんか…面白い。
    なにこれ、不思議な感覚です。
    すごく暗いし、すごく嫌な感じなのに、
    なんか面白い空気というか、
    開き直っている感じ

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    2026年02月23日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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     著者が芥川賞受賞後に連載を開始した「一私小説書きの日乗」が「本の雑誌」で連載されるようになった時、初めて著者の文章に触れました。そして、今この時代にこんな無頼な作家がいることに驚くとともに、なんだか嬉しくなりました。
     その彼が急逝した時、さもありなんと思ったのはその通りです。苦役列車の主人公、北町貫多は多分そうなるはずの生き方をしています。劣等感に苛まれ、人間関係もうまく作れず、日雇い仕事の日給は酒とタバコと風俗に消費され、月1万円の家賃さえも毎度毎度踏み倒して、最後は母親に無心する、というより強奪していきます。

     私小説ですが、昭和の時代までの青年たちは、多かれ少なかれ北町貫多のような

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    2026年02月17日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    とんでもねえゴミカスだと思ったらまさかの私小説とは…
    描写も細かく、繊細な文体と難しい単語が目立つ。
    それであって喋りとのギャップがまた面白い。
    あまりにも底の底すぎるが、
    自分もまたこうなる可能性があったと思うと、
    戦後日本の平和を享受できるのも、
    限られた人間にのみ許されたもので、
    全ての人間がそうではないんだと思わされたり。

    性格があまりにも自分の暗い部分に似ていた。
    こういう側面って誰にでもあって、
    環境によってそれが主になってしまう、
    ということもあるのだと思う。

    しかしあっこから小説家になるとは…
    いやはや何が起こるか人生とは分かったもんじゃあないな。

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    2026年02月16日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    私小説。正直にいうと私小説というものがわからない。最初に随筆のように読んでしまって、違うなと気づいた。自身の体験や感情をもとに書いているのだろうけど、客観視してるというか分裂してる視線を感じる。
    主人公のように、劣等感に振り回され感情にまかせその時のみを生きているだけなら、この文章は書けないんだろう。シニカルなユーモアや主人公の愛嬌を巧みにふりかけていて、上手いなぁと思う。
    ご本人はどんな人だったんだろうか。興味がでて、会ってみたかったと思った。

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    2026年02月15日
  • 一私小説書きの日乗 憤怒の章

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    他人の私生活を覗き見た感覚。

    連夜の暴飲暴食(カルピスサワーは意外)。
    描けぬ原稿。
    仲違いと仲直りを繰り返す編集者。
    思わぬ出会い。

    そんな「日常」が淡々と綴られているだけなのに面白い

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    2026年02月09日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    退廃した自分を書いた私小説。これだけの文章が書けるのだから、元々頭の良い人で子供のころの環境が悪かったから、自堕落になってしまったのだろうな。

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    2026年02月07日
  • 小銭をかぞえる

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    ネタバレ

    女性のことをずっと女って言ってて良かった。
    主役が性格悪くて不細工な時点で面白くないわけないと思う。多分。

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    2026年02月05日
  • 苦役列車(新潮文庫)

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    ネタバレ

    西村氏の私小説的作品。貫多が自己投影のキャラクターであるからか、語り部が一人称的にも三人称的にも映る。それ故に、貫多のクズっぷりを内省的にフォローする形で話が進むので助かる。
    途中で出会う同い年の専門学生、日下部と親しくなるものの、徐々に貫多と"普通"の同級生とのズレが顕著に表れて虚しい。家庭環境から翻って日常生活、人や金の豊かさ、それ故の距離感や怜悧さの違いがもたらす羨望が卑屈さに変わり、相手を侮蔑することでプライドを保つ虚しさと成長の無さは共感性羞恥をもたらす。ただ、厭世的な雰囲気はあるものの、悲愴感こそ感じさせない主人公である貫多のメンタルもあって、読むのが苦痛になる

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    2026年01月06日
  • 小銭をかぞえる

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    西村賢太13冊目?

    安定の面白さ
    今回は読者のメンタルを抉ってくる度合いは高め

    西村賢太ファンにはお馴染みのヒロイン
    裏切り?の末に貫多の元から去るという未来を幾度となく提示し、その下で思う存分にドクズ男を描写している

    どちらのタイトルも効いている

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    2026年01月05日