西村賢太のレビュー一覧
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父親の犯罪から歪んでしまった主人公・貫多が中学卒業後、肉体労働を経て日々を過ごしていく。
この小説は私小説、つまり西村さんの人生なわけだが、鬱屈とした性格?やグレていた頃、肉体労働の経験、自己責任とはいえ人生がどうにも崩壊していってしまう模様、そのどれもが私のことではないかと思い、読んでいるのが辛くなってしまった。
とはいえ、西村さんもとい貫多は実家がもともと裕福で金を無心しがちなクズである一面もあり、そこは腹が立った。私も中退して肉体労働をしていたので、この人生が『苦役列車』なんて言うなら、私はさらに悲惨であろう。
このことについては石原慎太郎も解説で触れていたが "どんな人 -
Posted by ブクログ
自身の存在意義を確立できていない人間にとっての、この社会での生きづらさや不安要素、感情の動きが事細かに表現されていて、いい意味で不快感がすごかった。だけども実際そんな人間が考える妬み嫉み他責は、全部自信の無さから派生している感情だろうから目に見える実績を求めるのだろうな〜という思考回路がよく分かるお話だった。
私自身にも重なる部分が多々あって耳が痛いような気分になりました。ここまで赤裸々に人間臭さを表現してくれるなんて、仲間を見つけたようでなんだか嬉しい。それでも何もしなくても居心地のいいところなんて大体成長がないんだから長居するのは良くないね。 -
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「人工降雨」
秋恵もの。DVの謝罪からはじまり、一瞬のハネムーンののちにあっという間に貫太がイライラして暴力が飛ぶ。
もはやDVの様式美と言えるテンポの良さと流れの完成度はコントや落語の域である。
ここまでオーソドックスでストロングなDVを描く西村賢太はもはやDVの大家と言える。
「下水に流した感傷」
これも秋恵。結句、貫太の短絡と暴力の話ではあるのだが、今作の本筋でもある観賞魚を飼おうとして四苦八苦しているくだりがなかなか面白い。
「夢魔去りぬ」
西村賢太にとっては歯を食いしばりながらのマイルストーンであるのだろうなと感じられる作だが、エンタメ的な私小説としてはケレンみが薄い。
後世の西村賢 -
Posted by ブクログ
「寿司乞食」
念願の築地勤めのバイトをつかみ、場所柄の気風の良い歓待を受けて調子に乗りまくる北街貫太の話。
いつも通りそんな理想環境もあっさりぶち壊すのだが、築地の人たちが良い人すぎて醜悪な破滅にはならないのがなんだか面白い。
「夜更けの川に落葉は流れて」
表題作。バイト先で出会った女性との甘い時間と貫太らしい身勝手さによるぶち壊し。
今回は珍しく甘やかな時間もそれなりにあるので、年らしく青春している貫太への西村賢太の面映いような目線も感じる。
しかし、ぶち壊しに行く顛末はひたすらに醜い自己完結でありさすが北街貫太といったところ。
「青痰麺」
病的な癇癪と奇行の話。作家となった今まで繋がる話で