【感想・ネタバレ】夜更けの川に落葉は流れてのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年07月20日

 中卒、免許なし、北町貫多の20歳過ぎから50歳位までの人生、アルバイトでの飲酒での失敗、彼女との別れ、食事の際の性癖を描いた連作3話です。寿司乞食、夜更けの川に落葉は流れ、青痰麺。西村賢太「夜更けの川に落葉は流れ」、2018.1発行。食事中、我慢できないことの性癖を鮮やかに?描ききった第3話、青痰...続きを読む麺に大拍手です!

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Posted by ブクログ 2018年06月16日

西村賢太お得意の私小説、北町貫多シリーズ。3作品が収録されている。

気が弱いくせに相変わらずの愚行を繰り返し、着実に破滅に向かう寛多の生き様は、寛多ファンにとっては清々しい。心の底では平穏を望んでいるのに、どうやっても破滅に向かってしまう寛多の運命を傍観するのが、ファン心理だ。悪代官が水戸黄門の印...続きを読む籠にひれ伏すのを待つようなものだ。

そんな主人公の破滅への道は3作品それぞれ。新たな職場の初日の歓迎会で飲みつぶれ、翌日から無断欠勤。恋人を殴りつけて、その父親に土下座謝り。店主の態度が気に入らず、出されたラーメンにゴミを打ち込んで店から逃走。これぞ、北町貫多で、何者でもなかった若き著者。

と、過去の何者でもない著者の話ばかりだと思っていたら、小説家として大成した著者は今でも変わることなく、破滅に向かう。そんな衝撃的なラストが展開される。

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Posted by ブクログ 2018年12月06日

この人の小説を読むと非常に憂鬱な気分になる。読後の胸糞悪さは計り知れない。主人公貫多の病的な性格はまるでコント。あまりの不憫さに笑けてくるほど。まあいつものこと。
でも何故か、不思議とこの作者の作品を読むのはこれで11作目。読後のあの胸糞悪さを求めて、作品にまた手を伸ばしている。そんな私はもはや西村...続きを読む賢太作品の中毒者なのかもしれない。

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Posted by ブクログ 2018年03月21日

クリスマスイブの華やかな店内。見渡せばほとんどが若いカップル。その只中、四人掛けのテーブルに揃いの作業着姿の男が6人。女に一切縁がなくテーブルには一様にミックスグリルとライスの大盛り。皆一様に押し黙り、ただひらすらに箸やフォークをカチャカチャ動かしている。その座のそれぞれが虚しさと寂寥を漂わせている...続きを読む。短気さえ起こしていなければこんな場所にいなくてもよかった。加えて意想外な方向からワリカンと知らされる。自分で払うのなら吉野家で良かった。悔恨の波が次から次へと押し寄せる。
普段はえらく大人しく小心者が、何かを契機にスイッチが入ってしまうと、人が変わり暴言が暴力に発展し破滅へとまっしぐらに落ちてゆく。水戸黄門ばりのワンパターンだが、物語は初から終わりまで引き締まっており一寸の隙もない。終始唸らされながら読まされた。二度読み三度読みしてよい傑作。凄すぎる。

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