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Posted by ブクログ
苦役列車を読んで二作目。
私小説なので主人公は変わらず、過去の出来事が物語になっている。
彼の考え方や物事の捉え方自体がコンテンツであり、なるほど彼のような「怠惰」な人格が出来上がる過程や行動の理由がよくわかるのが、西村さんの私小説の良さだと思う。
苦役列車に比べ⭐︎一つ減らしたのは、苦役列車に出てくる短大生と彼の対比がとても素晴らしく、彼のキャラクターや生き様を際立たせていたのでむしろ向こうに感動したことが大きな理由です。
なので、この小説もとても面白かったし、定期的にいろんな作品を読んで彼の言葉や思考に触れたいと思ってしまう不思議な魅力があると思う。
Posted by ブクログ
西村賢太にどハマりしています。
3月から「人もいない春」「小銭を数える」と立て続けに読み、本作が3冊目。
手に入れられる著作は全て集め、年内には読破したいところです。
ただ、西村さんの著作は絶版になっているものも多く、それが心配。
再出版してほしいものです。
さて、本作も西村賢太の分身である「北町貫多」が主人公。
西村さんは、「貫多」シリーズを50作以上書いています。
短編4編を収めた本作は、貫多が16~25歳の話です。
なぜ、年齢がそんなに正確に分かるのかというと、「本の雑誌」(6月号)が西村賢太特集を組み、その中に「北町貫多クロニクル」と題して、貫多の年表が収録されているのです。
これはファンにはたまらないでしょう。
なかなか本題に入れません。
本作で貫多は、中卒の日雇い人夫として相変わらず明日の見えない生活を送っています。
「貧窶の沼」は、そんな17歳の貫多が上野赤札堂前でナンパした佐久間悠美江と付き合い、やっと見つけた居酒屋でアルバイトする日々を描きます。
4度目の逢瀬で悠美江と肌を重ねることになりますが、あることが原因で貫多は悠美江に幻滅します。
卑猥過ぎて、ここにその原因は書けませんが、あくまで身勝手な貫多は、こう考えて悠美江と付き合い続けます。
「これから自分には、心底から本当に愛しく思える、可愛い恋人といくらでも出会えるチャンスもあるだろうから、その日まではこの小汚い悠美江を一種の『練習台』として、いろんなことを試してやろう、とも考えたのであった」
「春は青いバスに乗って」は、25歳の貫多がバイト先の先輩をカッとなって暴行し、警察に捕まって留置所で過ごす日々を描いたもの。
「潰走」は、16歳の貫多が高齢の大家を相手に家賃を踏み倒す話です。
「腋臭風呂」は、18歳の貫多が空いている銭湯を見つけてくつろいで入浴していたら、腋臭の男が入ってきたという話(しょーもない笑)。
その後、月日を経てて39歳の貫多がホテルに呼び出したデリヘル嬢が腋臭だったため往生し、銭湯の一件を懐旧するという展開となっています。
常識って何だろう、普通って何だろう。
西村さんの小説を読みながら、48歳のぼくはいつも考えています。
それから、「金輪際、きれいごとは口にすまい」と心に誓うのであります。
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