西村賢太のレビュー一覧

  • 人もいない春

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    相変わらずの貫多である。社会の最底辺を這いつくばる労働者の心理描写にはゾクゾクさせられる。酔っ払ってこのあと人を殺してしまうとか、恋人をボコボコに殴るのではとか身構えてしまうのだが、小心者の貫多のこと、そこまでの事件は起こらない。最後の秋恵との物語は貫多の振る舞いに嫌気がさすが、最後はうまくまとまった。ネズミの物語は唐突だが、これも面白かった。なぜこの順番に作品を並べたのか。

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    2022年05月13日
  • 人もいない春

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    「今日はここまで」と、本を閉じるたびに、満ち足りた気持ちになりました。
    小説を読む悦びを、西村賢太さんの作品は十二分に味わわせてくれます。
    でも、何故なんだろう、と考える。
    だって、物語らしい物語があるわけではありません。
    アルバイト先での人間関係、同棲相手とのいざこざ、挙句、レストランにいるネズミの話。
    おおよそ「どうでもいい」話が、西村さんの手にかかると、激烈に面白い。
    1つは、著者その人である主人公「北町貫多」のキャラクターにあるのは言を俟ちません。
    猜疑心と執着心が強く、妬み深くて小心と、人としての欠点がほぼ全てそろっている人物。
    と、ここまで書いていて、世間が「好ましい」とする人物像

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    2022年04月22日
  • 小銭をかぞえる

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    生きる生臭さが、漂っている。短絡的な思考回路に至り私小説を著した著者の生きざまにもっと触れてみたくなった。西村賢太さんはきっと人たらしです。

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    2022年02月06日
  • 蠕動で渉れ、汚泥の川を

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    びっくりするぐらい非モテダメ男の青春奮闘記

    「彼は見た目は野良犬ながらも 、その根は余りにも貴族気質にでき過ぎてしまっていた 。そしてまた 、見た目は若きお菰風ながらも 、その根は余りにも坊っちゃん気質にでき過ぎてしまっていた 。」という文から伺えるように、主人公はとにかくプライドが高くて、被害者意識の塊。バイト先の人間とか割とふらっとに見ているはずなのに、自分は馬鹿にされてる、疎まれてると思い込み暴虐な限りを尽くす。もう少し自己肯定感が高くて、他者に歩みよれば普通の関係性を築けるのにと思いながら読み進めていた。

    でも、こういう北町貫多的な卑屈性は自分の中にも心辺りあるなと思い、深淵を覗い

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    2021年03月02日
  • 小銭をかぞえる

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    ほんとにクズだ。クズ男の話だった。
    しかもこれが私小説だって言うんだからこの作者なんなの?読んでて胸くそ悪くてどうしょうもなかったけどそれを最後まで一気に読ませる作者の文章力は流石としか言いようがない。
    でもこのなんだか健気な女の人はなぜこんな男と一緒にいるんだろう。

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    2021年01月01日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    これまで読んだ西村賢太作品の中で、1番面白かった。留置所の話を始めとして動きが比較的多いからか、あっという間に読み終えました。

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    2020年10月10日
  • 小銭をかぞえる

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    夫が「こんなのを買った」というのをちょいと横取り、あっという間に読んでしまった文庫本

    この文庫、短い間に版も重ねて売れているらしい、この作家さん知らなかった
    芥川賞を受賞した時にもヘンな言動で話題になったらしいが、それもスルーしていたらしい

    ま、わたしの読書好きも偏っているから

    それで
    面白く読んだというか引き込まれたしまったわけはその文面の率直さにある
    飾っていない傍若無人(風な)私小説である

    私小説はつまらないもの(つまらなくても今は好きなのだが、 それだからこそ好きになったのだが)という概念をぶちこわしてくれる

    私小説ってこういかなくっちゃ、という清さがある

    表題作のほか「

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    2020年07月18日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    この前に読んだ『人もいない春』の方が若干すき。

    『春は青いバスに乗って』がよかった。
    警察に捕まって拘留された話で、いままで読んだことない分野でおもしろい。
    『腋臭風呂』の「洗面器とタイルがぶつかりあう、聞き覚えのある音」っていうので、あのポンッて音が聞こえた気がして、銭湯行きたくなった。

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    2020年05月23日
  • 人もいない春

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    数か月前に芸人のサスペンダーズ古川さんのnoteで日雇い日記を読んでたことを思い出して、読みたくなった西村さんの私小説。
    貫太の不器用ですぐ怒ったりするだめなところ、そしてそれをすぐ後悔するところ、それでもうまくできないところ、自分じゃないけど自分みたいでちょっと苦しくなった。最後、秋恵、ありがとうってなる。

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    2020年05月21日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    中卒で社会に出て日雇い労働で生きる主人公が、酒を飲んだり女を買ったり暴力を振るって刑務所に入ったりする短編集。これは私小説なので作家の経験に基づいているのかなあと思うと、よくこんなふうに生きながら本を出したな、と思う。女を求める男の欲望と虚しさや、イキがる自分とそれを省みる自分とのギャップには、等身大の人の姿があって、作家の人生を覗き見た気持ちになった。

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    2020年04月19日
  • 人もいない春

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    西村賢太による貫多と秋恵モノが好きな人にはオススメ。西村賢太の独特なリアリティ、言い回しが溜まらない。こうした生き様そのものが作家であるタイプは日本には少ない気がするが、それではやはり説得力がないのだ。筆力には、作家の人生分、その重みが増すのだろう。

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    2022年03月03日
  • どうで死ぬ身の一踊り

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    再読。芥川賞を受賞した『苦役列車』よりこの『どうで死ぬ身の一踊り』のほうが文学性は高いように思う。美しく端正な日本語を操り純文学の香りを持ちながらも、内容はお下劣極まりない。東大卒のサラブレット作家には醸し出せない、余所行きの一張羅を誰よりも綺麗に着こなす下民といったところか。(すべて誉め言葉)

    主人公寛多は、所謂無敵の人で、無職のくせに借金を重ね大酒飲みで恋人に暴力を振るう最低な人物だ。不快な設定なのに面白おかしく読めるのは寛多が徹底して屑で、そのくせ文章に品があり且つ藤澤清造への熱意は物凄く純粋だからであろう。

    好き嫌いが相当別れる作家だが中毒性ある作家だ。

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    2020年03月09日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    短編小説。
    中には情景がぼんやりしたまま終幕になったものもあるが、大半は程よく心地良い作品。
    日本には暦のほかにこんなにも豊かな四季の表現があると温かさも得た。

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    2020年02月09日
  • 二度はゆけぬ町の地図

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    西村賢太の自伝小説。

    読むのは3冊目くらい?


    この魅力は独特で相変わらず面白い。


    普通では体験できない最低最悪な人生模様を、

    垣間見れるから、まぁ他人事で面白いんだろう。


    日雇いの人足仕事で口に糊する日々、

    少したまった金は酒と女に使いきる。


    どうもうまく行かない人間関係

    周囲の好意を裏切り続けるだらしなさ。


    酒に酔っては喧嘩して、時には警察のお世話になり、

    または転がり込んだ家の家賃が払えず大家と揉める


    中卒で社会に飛び出して底辺を這いずり回る主人公の人生。普通は絶対関わりたくない人間だけど、何というかホントはうまくやりたいのに、うまくできない主人公の気持ち

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    2020年01月27日
  • 羅針盤は壊れても

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    どうしようもないダメ男が主人公。
    ものすごくリアリティを
    もって書かれていて自分が体験しているような気分を
    味わえる。これぞ小説の醍醐味。

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    2019年12月21日
  • 夢魔去りぬ

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    相変わらず面白い。
    本作では主人公の理不尽な怒りがエスカレートして、頻繁にツバを吐いたりするのがすごい。
    狂ってるー。
    期待を裏切らないいつも通り感。
    鍋を買って喧嘩とかせせこましくて面白いし、魚の一件は秋江が逃げてしまうことの暗示のようでおもわせぶりでよきよき。
    主人公の他人を評する際の嫌な感じも楽しいし、せせこましい人間のくせに喧嘩の時の啖呵だけ立派なのも楽しいし、一切退屈しない。言葉への並々ならぬこだわりが、倦怠を拒絶する。読んでいるだけで快楽。

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    2019年12月11日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    12名の著名な作家の短編が72候の解説と一緒に読める、ある意味で贅沢な本だ.重松清の鷹乃学習(たかすなわちがくしゅうす)は父親としての最後の旅行で息子の翔太を見つめる親心がうまく描写されている.筒井康隆の蒙霧升降(ふかききりまとう)は戦後の風物詩を散りばめた彼独特の文章でしっかり意見を述べているのが良い.堀江敏幸の熊蟄穴(くまあなにこもる)は菱山の取材活動のなかで村の古老たちとの奇妙な会話が面白かった.

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    2019年12月08日
  • 掌篇歳時記 秋冬

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    物語ではなく、読書そのものと、日本の繊細な四季の移ろいを味わう一冊。初めて読む作家さんもいて楽しかった。

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    2019年12月05日
  • 人もいない春

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    著者と同世代の人たちはバブルの真っ只中で青春を過ごしているはず。その世代における底辺の日常は実はいつの時代にもある。70年代の松本零士の「男おいどん」の世界も然り。人の生き方、生活は一様ではない。正解も理想もない。それぞれの世界でのやり方、生き方がある。

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    2019年05月08日
  • 夜更けの川に落葉は流れて

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    この人の小説を読むと非常に憂鬱な気分になる。読後の胸糞悪さは計り知れない。主人公貫多の病的な性格はまるでコント。あまりの不憫さに笑けてくるほど。まあいつものこと。
    でも何故か、不思議とこの作者の作品を読むのはこれで11作目。読後のあの胸糞悪さを求めて、作品にまた手を伸ばしている。そんな私はもはや西村賢太作品の中毒者なのかもしれない。

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    2018年12月06日