西村賢太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2013年5月21日から2014年6月19日までの日記。前作でずいぶんひどい人がいたものだと思ったが、その露悪的なところが病みつきになるところがあって、日記なので時間をおいてはまずいだろうと読んでしまう。
今回はよく仕事をしていて、喧嘩も少ない。玉袋さんと取っ組み合いのケンカをしても仲直りしている。編集者とは二人くらいともめてるけど騒動にはなっていない。
体調的には親知らずの抜歯と後半痛風と頸椎症性神経根症がダブルで押し寄せてきてる。
食べたものをベースに買淫がアクセントになりつつ快調に読めるのが魅力的。自分も少し真似て日記を書いている。
たまにおススメの作家なども出てくる。今回は藤野 -
Posted by ブクログ
中卒・酒飲み・貧乏でDVばかりの文学愛好家、西村賢太の私小説。
もうこの人の小説の凄さは『暗渠の宿』を読んですっかりあてられてしまって、もう少しこの人の人生を覗きたくなって手にとった。
彼の藤澤淸造への信仰が伺える「墓前生活」とこれでもかと西村賢太節が味わえる「どうで死ぬ身の一踊り」。
『暗渠の宿』でも書いたが、こんな人物を紙面を通じて知り、彼の立場に立つというのは、本当に面白い体験だと思う。
虚栄心、偏執狂、即物主義、傲慢・・・男の持つ欠点をとことんデフォルメしたような著者の私小説を読むことは、不思議とスカっとするし、でもやっぱり身につまされる。 -
Posted by ブクログ
中卒で家を飛びだして以来、流転の日々を送る北町貫多。一時の交情、関係を築きつつも必ず最後はメチャクチャに破綻してしまう彼の孤独な姿はそのまま自分自身の裡にあるのではないかと思い、彼の作品を読んでます。
ここには短編集がいくつか納められていて、そのうち、『悪夢―或いは「閉鎖されたレストランの話」』以外はすべて自分自身の体験から生まれた私小説です。『人もいない春』では印刷会社の職工に些細なことで絡んで悪態をつき、雇用の契約が延長されずに解雇され、タクシーの運転手にまで当り散らし、『二十三夜』では男女のことでトラブルを起こし、大喧嘩の末に店を追い出されたり、『乞食の糧途』では同棲する秋恵との危うい