西村賢太のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
クリスマスイブの華やかな店内。見渡せばほとんどが若いカップル。その只中、四人掛けのテーブルに揃いの作業着姿の男が6人。女に一切縁がなくテーブルには一様にミックスグリルとライスの大盛り。皆一様に押し黙り、ただひらすらに箸やフォークをカチャカチャ動かしている。その座のそれぞれが虚しさと寂寥を漂わせている。短気さえ起こしていなければこんな場所にいなくてもよかった。加えて意想外な方向からワリカンと知らされる。自分で払うのなら吉野家で良かった。悔恨の波が次から次へと押し寄せる。
普段はえらく大人しく小心者が、何かを契機にスイッチが入ってしまうと、人が変わり暴言が暴力に発展し破滅へとまっしぐらに落ちてゆく -
Posted by ブクログ
中卒・酒飲み・貧乏でDVばかりの文学愛好家、西村賢太の私小説。
もうこの人の小説の凄さは『暗渠の宿』を読んですっかりあてられてしまって、もう少しこの人の人生を覗きたくなって手にとった。
彼の藤澤淸造への信仰が伺える「墓前生活」とこれでもかと西村賢太節が味わえる「どうで死ぬ身の一踊り」。
『暗渠の宿』でも書いたが、こんな人物を紙面を通じて知り、彼の立場に立つというのは、本当に面白い体験だと思う。
虚栄心、偏執狂、即物主義、傲慢・・・男の持つ欠点をとことんデフォルメしたような著者の私小説を読むことは、不思議とスカっとするし、でもやっぱり身につまされる。