伊坂幸太郎のレビュー一覧
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平凡な主人公が、首相暗殺という身に覚えのない罪を着せられ、暴力も辞さない追手から必死に逃げ続ける物語である。
主人公の逃走を助けるのは、昔の友人や恋人、職場の人たちだ。彼らは主人公が犯人ではないと信じ、自分の身の危険を顧みずに手を差し伸べる。もし自分が主人公と同じ立場に立たされたとき、果たしてどれほどの人が信じて助けてくれるだろうか、と考えさせられた。助けることが難しい立場であったとしても、せめて「信じてもらえる人間性」でありたいと思った。
主人公には、日常的に連絡を取り合う友人や恋人がいるわけではない。それでも多くの人が彼を助ける。その姿を見て、たとえ孤独を感じる瞬間があったとしても、信 -
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・「ペッパーズ・ゴースト」の暗喩する存在。幾度もの不条理に巻き込まれながらも最後は希望を託して世間から姿を消すことを選択した有志たち。彼らへ思いを馳せるラストのフレーズは、どんな困難が続いたとしても、一筋の希望を見出す後押しをしてくれる。
・随所に引用されたニーチェの言葉とそれに添えられた著者の解釈が登場人物の心情描写と絶妙にマッチング。
ー一つでも魂の震えるほどの幸福があれば!
人生で魂が震えるほどの幸福があったなら、それだけで、そのために永遠の人生が必要だったんだと感じることができる。
これが生きるってことだったのか?よし!じゃあ、もう一度!
ーこの世の嘆きは深い
喜びのほうが、深い -
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短編シリーズでありながら、一話一話の完成度が非常に高く、とても引き込まれる作品だった。淡々とした語り口の中にユーモアと温かさがあり、読み進めるほどに物語の世界観に惹かれていった。
特に死神・千葉のキャラクターが印象的で、感情を持たない存在でありながら、音楽を好むという人間的な一面に強く共感した。その少しズレた感性が、かえって人間社会を鋭く映し出しているように感じられた。最後の話では、「生きること」や「運命とは何か」を静かに問いかけられ、読後もしばらく考えさせられる余韻が残った。短編でここまで深いテーマを描ける点に感心し、次は長編作品も読んでみたいです。 -
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85点。
まあ良かったね。けれど、ぼくはあまりここからいつもの伊坂を感じなかった。たまに、あ、伊坂らしい書きぶりだなと思うことがあっても、伊坂の傑作で良くある一貫したユーモラスな部分がなかったように感じる。途中までは、伊坂の書く純文学というような印象を受けた。あまり純文は読まないから、的外れで怒られるかもしれないけど。
けれど終盤の伏線回収具合はやっぱり伊坂だなと。あの時のあれー!ってなる。それが「すっごい緻密な伏線で完成度が高くて!」という調子ではなくて、「あ、あの時のやつね笑 うわーいいねー」のノリで読んでいけるのが伊坂だと思っている。それが今作でも遺憾なく発揮されていた。
ミステリと -
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ネタバレ阿部和重さんと伊坂幸太郎さんの合作の小説です。2人で思ったよりきちんと文書や話を推敲しあって作った長編小説のようです。
相葉時之はかつて少年野球のピッチャーを務めていた男でした。性格は行動力がある反面、あまり深くものごとを考えないため、いつも失敗してしまいます。後輩の女性を助けようとした結果、代わりに多額の借金を背負うことになります。この借金返済のため、心の拠り所だった実家を母から売却されてしまい、相葉は家を買い戻すための資金を必死で探していました。
井ノ原悠は、相葉とバッテリーを組んでいたキャッチャーで、常識な社会人です。小さい子供がいますが、原因不明の皮膚病院を患い治療費が嵩み、借金