伊坂幸太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ内容は暗く重くて爽やかじゃないんだけど、春の達観した心情と兄の弟を思う気持ち、そして父と母の家族を愛する気持ちが、物語を少しだけ明るく照らしてるような感じだった。
親子とは何で決まるのか。血のつながりや遺伝子か、それとも心のつながりや共に過ごした時間か。この難問に正面から向き合い、自分達の答えを出してきた家族の心境を考えてしまう。
「赤の他人が父親面するんじゃねぇよ」
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
この辺のセリフがもうなんとも言えない。
ジメジメとした事件の裏で、ささやかに、それでも力強い家族というつながりを感じた。
作中で死んだけど、葛城はあと5回ぐらい死ねまじで。 -
Posted by ブクログ
仙台で発生した人質立てこもり事件。
SITが出動し警察官が犯人と交渉するも、事態は思わぬ方向に転がっていく…。
あらすじから想像したお話とは全く違いました。
今作は語り手が特徴的で、神(作者)視点からの注釈によって都度状況を整理しつつ読者を翻弄してきます。
「ここであの仕掛けに気付きましたよね?」「一方こちらでは〇〇していました」と導かれるまま素直に読み続け、華麗なトリックに落ちたのが私です。恐るべし伊坂マジック…。
時間のズレと視点のズレ、小説だからこそのミスリードは本作を「籠城もの、人質立てこもり事件の決定版にしたい」という言葉通りの説得力がありました。
これまでの作品とは一味違うけれど、後半一気に加速していく展開と相変わらずたくましい女性の登場に伊坂イズムを感じて嬉しいです。(綿子ちゃんかっこよかった!)
「はい、生まれました。はい、死にました」の間にある「いろいろ」に、無駄な回り道とよんどころない事情があって、人生の価値が詰まっている。
自分では経験できない「いろいろ」を何度でも追体験させてくれる読書は本当に凄い。
今を必死に生きる主人公が多いのも、伊坂作品の魅力のひとつなのかなあと思いました。