伊坂幸太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ人質籠城事件をメインに、人質誘拐グループの暗躍を重ねながらユーモアたっぷり、それでいてジンとくるシーンも織り交ぜた快作。籠城して警察に包囲された状況からどうやって人質となった新妻を探し出し解放するのか。ほぼ不可能を思われる難題を奇抜なトリックで鮮やかに成し遂げる。作者ならではのユニークな言い回し、レ・ミゼラブルに相当傾倒し、色々な場面で活用される。神目線で状況を解説するところもそう。作者自身もあとがきで不安がっているが、トリックが複雑で一読では掴みきれないほど深い。
たくさんの作品を紡いできた作者にはアイディアの枯渇はないのか、と考えるほど今回もふるってます。終わり方がさりげなくかっこよかった -
Posted by ブクログ
夏之目課長の娘さんのセリフがとても印象に残っている。
レミゼラブルのパリの下水道事情を1章つかって説明するということを知った夏之目課長が娘に問いかける。「ストーリー以外のところなんて必要なのか?」
それに対し、
「そういう無駄なところが、物語を豊かにするんだから。」
無駄が物語を豊かにする一方、無駄を楽しめる人間は豊かなんだとも思う。
妻と娘を失い、仕事に没頭していないと悲しみで押しつぶさそうになっていた夏之目課長は最後に無駄(本来の仕事から外れ、黒澤についていったシーン)を楽しんで豊かさを取り戻したんだろうな。
30代半ば、効率重視だけではなく、無駄を楽しみ、豊かな人生を歩もう。 -
Posted by ブクログ
犯罪と片棒を担ぐことが嫌な主人公椎名と河崎と名乗る謎の男の物語と外国人ドルジと日本人女性の琴美の物語がどのように交わるのかここが見どころだと思います。
初めから中盤にかけては話が交錯している感覚があり、少し関連付けにくいですが、徐々に近くなっていきます。
主人公椎名は春に上京してきたのだが、お隣に挨拶をする時に「本屋を襲わないか?」という持ちかけを謎の男(河崎)から持ちかけられるという意味のわからないところからスタートする現在と動物をすごく大事にする2人の男女が正反対の動物殺しを暇つぶしのように楽しんでいる3人組と接触するところから始まる過去の物語が交錯して描かれていきます。
印象に残ったとこ -
Posted by ブクログ
今後サスペンス小説のおすすめを聞かれたら自信を持ってモダンタイムスと答えるだろう。
それくらい終始ハラハラドキドキの連続だった。
上下巻合わせて700ページ超という長編小説だったが退屈することなく最後まで読むことができた。
上巻で散りばめられた安藤商会や株式会社ゴッシユの正体、播磨崎中学校事件の真相や検索の仕組みなどありとあらゆる伏線がどんどんと回収されていき、読み進める手が止まらなかった。
中でもホテルで緒方と兎の男と対峙する場面がドキドキした。
もうダメかと思う度に超能力が解放したり思わぬ人物が助けに来たりと胸熱な展開に何度歓喜したことか。
SEとしてPC上のシステムを制作する渡辺 -
Posted by ブクログ
動物園のエンジン、サクリファイス、フィッシュストーリー、ポテチの4篇を収録。いつもながら、タイトルからは全く内容がわからない。読んだ後でも何だこれ。そういうところも伊坂幸太郎ワールド。人を喰ったような話の展開、とぼけているのか、天然なのか、意味不明な行動をする登場人物も他編と繋がりがあるのも、もうすっかり伊坂ワールドにハマっている自分には楽しい。
煙に巻かれたような、翻弄されているような、登場人物たちだけでなく、読者も一緒にフワフワできるのが楽しいのか。黒澤は今回も活躍するけど。ロックバンドでメジャーで夢見る話、作家で賞を取れたらいいなとか思って書いたのかしら。仙台の野球チームはどう思っている -
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎の作品には毎作品驚かされる展開があることがわかっているのに、勘付いたことが一度もなく、今回もまたまんまと騙されてしまった。
ただ、今まで読んだ作品の中でも特に、正しさが幸せと繋がっているわけではない、というような、正しいものが報われない、というような、やりきれないような気持ちにさせられた。美しかったものが奪われた今、それが美しかったことを何とか証明するように、道理が通っているようであべこべな決断や行動をしていく彼の姿が、そうするしかなかった彼の美しさを表しているようで、その点でも、正しさとの矛盾を感じて虚しい気持ちになる。
非常に純度が高く、感想とは真逆なことを言っているようだが、私