伊坂幸太郎のレビュー一覧
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伊坂幸太郎による、小学生を主人公にした五つの物語。
一話目の『逆ソクラテス』には、こんな一節があります。
「中学、高校での思い出は、よくも悪くも、思春期特有の恥ずかしい出来事が多いからか、実態を伴っている。が、小学生の頃のこととなると、ぼんやりとしたものだ。小学六年生のあの数カ月のことも、大事な記憶であるにもかかわらず、思い出そうとすれば、どこか他人の冒険譚を読むような気持ちになった」
まさにこの一冊には、そんな五つの素敵な『冒険譚』が詰まってました。
冒険譚とはいえ、伊坂幸太郎特有の、とんでもなく非現実的な大事件に巻き込まれる派手さはないんです。(アンスポーツマンライク』はちょっと違 -
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グラスホッパー、マリアビートルに次ぐ伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ第3作目「AX」
マリアビートルのコメディ感や爽快感が好きで、続編購入を決定。
今回のシリーズは、家庭(妻と息子)を持つ普通のサラリーマンである主人公が、実は殺し屋としての裏の顔を持っており、その二重生活を描いている。
相変わらずクスッと笑える文体で序盤はゆったり楽しめる。
中盤過ぎたあたりの衝撃展開からは読む手を止められず、あっという間に完読。
前作とは少し空気感が異なるが、十分に楽しめた。とりあえずマリアビートルを再読し、機会があれば第1作目のグラスホッパーも手に取ろうと思う。 -
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ネタバレ内容は暗く重くて爽やかじゃないんだけど、春の達観した心情と兄の弟を思う気持ち、そして父と母の家族を愛する気持ちが、物語を少しだけ明るく照らしてるような感じだった。
親子とは何で決まるのか。血のつながりや遺伝子か、それとも心のつながりや共に過ごした時間か。この難問に正面から向き合い、自分達の答えを出してきた家族の心境を考えてしまう。
「赤の他人が父親面するんじゃねぇよ」
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
この辺のセリフがもうなんとも言えない。
ジメジメとした事件の裏で、ささやかに、それでも力強い家族というつながりを感じた。
作中で死んだけど、葛城はあと5回ぐらい死ねまじで。 -
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仙台で発生した人質立てこもり事件。
SITが出動し警察官が犯人と交渉するも、事態は思わぬ方向に転がっていく…。
あらすじから想像したお話とは全く違いました。
今作は語り手が特徴的で、神(作者)視点からの注釈によって都度状況を整理しつつ読者を翻弄してきます。
「ここであの仕掛けに気付きましたよね?」「一方こちらでは〇〇していました」と導かれるまま素直に読み続け、華麗なトリックに落ちたのが私です。恐るべし伊坂マジック…。
時間のズレと視点のズレ、小説だからこそのミスリードは本作を「籠城もの、人質立てこもり事件の決定版にしたい」という言葉通りの説得力がありました。
これまでの作品とは一味違うけれ