伊坂幸太郎のレビュー一覧
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主人公は殺し屋としては相当な腕前なのに、
家では最恐の奥さんに全く頭が上がらない。
夜遅く帰るときは、奥さんを起こさないように気を配り、おにぎりの袋を破る音すらアウトという徹底ぶり。
あれほど強いのに家庭では人権なくて、
そのギャップに変な親近感を覚えた。
全体はコミカルだけど、
ときどきモラハラっぽく見える場面もある。
でも、主人公が本気で奥さんを大切にしているのが伝わるから、奥さんもそれに甘えているんだなと愛を感じる。
息子との掛け合いも好きで、
息子目線の家族の形も面白い。
ただ、家族の場面は楽しく読めた一方、それ以外のパートは文字が滑ってしまい、読むのに時間がかかった。
でも -
Posted by ブクログ
非常に「ちょうどよい」エンターテイメント小説であった。
この、伊坂氏の現代版おとぎ話とでも言うべき小説の何がちょうどよいかと言えば、その「爽快さ」である。
いつぞやのニュースや、どこか最近見かけたような「悪」がいる。それらと対峙する分かりやすい「正義」が悪戦苦闘する。現実世の中がそう単純なものではなく、「悪」は跳梁跋扈するばかりであるが、小説の中で繰り広げられる、悪く言えば単純な、良く言えば、そうあって欲しい理想的なエンターテイメントが繰り広げられ、日常で溜まった脳や心の澱が流されていくような気持がする。
その中にあって、「悪」に対する復讐を試みる「悪」が登場し、我々の心の水面に石を投じ -
Posted by ブクログ
天道虫こと七尾による殺し屋シリーズ
いつものように簡単な仕事が不運により複雑化する「七尾」
逃し屋おばちゃん「ココ」
一度見たもの聞いたものを絶対に忘れることのない「紙野」
紙野が記憶した情報を追うのは狂気の男「乾」
吹き矢殺し屋集団「6人組」
炭酸殺し屋コンビ「コーラとソーダ」
ホテル専門の殺し屋「マクラとモウフ」
ホテルを舞台に運命が交差するエンタメ小説。
テンポが良く非常に読みやすい。さらに描写にほとんど無駄がないと言っていいほど綺麗。安定感がありすぎて新鮮さはないかも?120点を読みたい人にはおすすめできないけど85点を読みたい人にはぜひおすすめしたい作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2人の先輩から薦めていただいたにも関わらず、2年も積読してしまった本をようやく読み終えた。
購入したままこれまで読んでいなかった自分を、なんで読まないんだと問いただしたいくらいにおもしろかった。
小説に限らず様々な作品に触れていると、なんとなく展開を予想してしまう。
本書についても例外ではなかったが、うっすら予想しているものとそれほど外れてはいないのに、真実が明らかになるのと同時に少しの衝撃が心を揺さぶる。
この感覚は、放火犯を追い続ける中で弟と向き合うことになる「私」の心情を追体験していた証拠だと思う。それくらい、見事な描写だった。
だからこそ、
「おまえは俺に似て、嘘が下手だ」
終盤で -
Posted by ブクログ
各国で大停電が起き
強毒性ウィルスが蔓延し
巨大地震が頻繁し
飛行機が墜落し
放射能漏れに怯える人々が大移動する…
これはそんな世界の話
特殊能力を持った3人の登場人物がこの世界状況を打破すべく不思議な旅をする
3人しか登場人物がいない本
挿絵がとてつもなく美しい本
AI社会
アダムとイブの伝説の樹木
いつもストーリーを求めるヒトの脳
キャベツの話
そしてNI(nature Intelligence)=自然界が持つ意思
ファンタジックかつ壮大な映画のような風景と哲学的思想の中にいつの間にか自分も迷い込んだ気持ちになる
もし本当にNI(自然界に意思)があり、それによってヒトが淘汰されるの