伊坂幸太郎のレビュー一覧
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泥棒の家に空き巣に入る。強盗現場に強盗に入る。妻の殺害と愛人の殺害のダブルブッキング。偽の犯人にされてる途中で別事件の犯人に。エッシャーの騙し絵のように、気づいた時にはいつの間にか形勢が逆転している構図が面白い。昇ってるのか降ってるのか、立場が上なのか下なのか、騙してるのか騙されてるのか。
作中の言葉にあるように、リレーのバトンみたく今日という日の主人公が受け継がれていく群像劇。分かりやすくバトン役を担う野良の芝犬。首輪を与えられ、宝くじを付けられ、鋏でバラバラにされかけ、無職のおじさんに拾われ喧嘩に巻き込まれ、大金との交換を持ちかけられる。お互いの人生や修羅場など全く知らない他人同士の共通 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人の弱みにつけ込み、大人をからかいもて遊ぶ王子には終始イライラさせられたが、最後に木村も渉も救われてほっとした。
登場人物は皆クセが強く、それぞれ軽妙な会話を交わしながらも、ピンチに陥ると必死に思考を巡らせ、駆け引きと心理戦を繰り広げていく。派手なアクションシーンは多くないが、次の一手を考えるスピード感や緊張感があり、読んでいて疾走感を感じた。
「人は直感に従って行動するものだ」と言って人の心を読んでいるつもりでいた王子が、その本性を最後は理屈ではなく直感で木村父に見破られるところが痛快だった。頭脳や言葉で人を操ろうとする者が、最後はもっと根源的な人の勘に敗れる。この逆転が強く印象に残った -
Posted by ブクログ
・「ペッパーズ・ゴースト」の暗喩する存在。幾度もの不条理に巻き込まれながらも最後は希望を託して世間から姿を消すことを選択した有志たち。彼らへ思いを馳せるラストのフレーズは、どんな困難が続いたとしても、一筋の希望を見出す後押しをしてくれる。
・随所に引用されたニーチェの言葉とそれに添えられた著者の解釈が登場人物の心情描写と絶妙にマッチング。
ー一つでも魂の震えるほどの幸福があれば!
人生で魂が震えるほどの幸福があったなら、それだけで、そのために永遠の人生が必要だったんだと感じることができる。
これが生きるってことだったのか?よし!じゃあ、もう一度!
ーこの世の嘆きは深い
喜びのほうが、深い