伊坂幸太郎のレビュー一覧
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ネタバレ本の終わりまで長く感じましたが、最後まで読むと驚きがあり、読み終えて良かったと思える本でした。
小説を読みたいなと思って本屋に行き、これまで伊坂幸太郎さんの本を読んだことがなかったのでたまたま目に止まったこの本を買いました。
個人的にかなり分量があるなと感じ、読み切るまでにかなりの期間をかけて読みました。途中でこの先の結末は何なんだろうと読み切るのをやめようかと思いましたが、最終的に読み終えて良かったと感じます。特に構成について驚かされました。自分が思っていた時間軸とは違うことに最後に気付かされ、読み切ったあとに再度思い返すと確かにそう言われればそうかもと感心しました。北村たちの大学4年間を守ることができていたんだと嬉しくなりました。 -
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ネタバレ殺し屋シリーズ第1作。妻を殺した者への復讐を狙う鈴木、自殺専門の殺し屋鯨、ナイフ使いの蝉、それぞれ3人の視点から物語が語られる。冒頭は全く関わりのない存在だったが、押し屋と呼ばれる殺し屋をそれぞれの思惑の元に追い始めることで交わり合っていくいうあらすじ。3人の関係が交わっていく過程が非常に面白かった。
この物語は、どこまでが現実でどこからが鈴木の幻覚なのかわからない作りになっているのかなと個人的に考えた。作中で、幻覚に悩まされる鯨に対して、田中という男が、信号や列車は幻覚のきっかけになりやすい。信号が見始めの契機で、列車が目覚めの合図だと述べている。これをふまえると、寺原が車に轢かれた場面は信号のある交差点であり、そして物語の最後は、鈴木が回送電車はまだ通過している。と述べるところで終わっている。この幻覚から覚めたことで、鈴木が妻を殺害した者への復讐心のみで生きていた人生から解放され、前を向いて生きていくことを決心した心境を示しているのではないかと個人的に考えた。
非常に読みやすく、特に蝉のパートは会話のテンポの良さや、蝉の殺しに対する考えのイカれ具合が感じ取れて面白かった。本作以外にもシリーズ作品は3冊あるので、読んでみようと思う。 -
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読んでいる間、こんなに気持ちが上がったり下がったりした本も珍しい。
「平和警察」という名のもと、街中の監視カメラ、密告、公開処刑。無実の人間さえ疑われれば容赦なく追い詰められていく世界。
特に序盤の理不尽でサディスティックな描写は辛く、「もう読むのをやめようかな」と本気で思った。
そんな中、ようやく正義感のある人たちが現れてホッとしたと思えば、また絶望。今度こそ本物の正義の味方が現れた!と喜んだり、怪しい人物を勝手にヒーローだと予想したり……。とにかく作者に気持ちを振り回されっぱなしだった。
やがて明らかになる「正義の味方」の姿もよかった。特別な能力を持ったスーパーヒーローではなく、怖がり、迷い、葛藤する普通の人間。その人物がなぜ立ち上がったのかが丁寧に描かれていて、とてもリアルに感じた。
そして終盤。
あれほど「この人、大嫌い!」と思っていた人物に、最後の最後で完全にやられた。
まさか、そう来るとは。
途中で何度も出てくる「擬態」という言葉も、読み終わってから振り返ると印象が変わる。
また、宝くじに当たったことから人生が思わぬ方向へ転がっていくエピソードも妙に心に残った。いつか宝くじが当たる前提で生きている私としては(笑)、高額当選しても絶対に誰にも言わない!と改めて心に誓った。
怖くなったり、腹が立ったり、絶望したり、ホッとしたり、痛快だったり。感情が忙しい一冊だったけれど、最後まで読んでよかった。
「平和」のためなら、どこまで許されるのか。「正義」を決めるのはいったい誰なのか。
読み終わった今はただ一つ。
日本に「平和警察」が誕生しませんように。 -
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伊坂幸太郎による、小学生を主人公にした五つの物語。
一話目の『逆ソクラテス』には、こんな一節があります。
「中学、高校での思い出は、よくも悪くも、思春期特有の恥ずかしい出来事が多いからか、実態を伴っている。が、小学生の頃のこととなると、ぼんやりとしたものだ。小学六年生のあの数カ月のことも、大事な記憶であるにもかかわらず、思い出そうとすれば、どこか他人の冒険譚を読むような気持ちになった」
まさにこの一冊には、そんな五つの素敵な『冒険譚』が詰まってました。
冒険譚とはいえ、伊坂幸太郎特有の、とんでもなく非現実的な大事件に巻き込まれる派手さはないんです。(アンスポーツマンライク』はちょっと違うかもしれないけれど)描かれるのは、あくまで小学生たちの日常。
とはいえ、伊坂幸太郎ワールド全開。
「敵は先入観だよ」と言い放つ小学生がいれば、『ゴッドファーザー』のドン・コルレオーネごっこをしている小学生もいて、ワシントンと桜の木の逸話から、正直に生きることの大切さを学ぼうとする小学生もいる。なかなか、とんでもない小学生。現実に居たら生意気かもしれない。
それでも巻き込まれる「事件」は、カンニング、リレーの選手決め、ミニバスのラスト一分、友達の不登校、授業参観と、どれも小学生の世界にあるものばかり。
個人的に一番好きだったのは、『非オプティマス』で、
小生意気な小学生を相手に、普段はおとなしい先生が、授業参観でしっかりと「最高の授業」を届ける。そして、その先には思わずスカッとするオチまで待っている。
五篇すべて好きだったけれど、『非オプティマス』だけは、何度も読み返すと思う。 -
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グラスホッパー、マリアビートルに次ぐ伊坂幸太郎の殺し屋シリーズ第3作目「AX」
マリアビートルのコメディ感や爽快感が好きで、続編購入を決定。
今回のシリーズは、家庭(妻と息子)を持つ普通のサラリーマンである主人公が、実は殺し屋としての裏の顔を持っており、その二重生活を描いている。
相変わらずクスッと笑える文体で序盤はゆったり楽しめる。
中盤過ぎたあたりの衝撃展開からは読む手を止められず、あっという間に完読。
前作とは少し空気感が異なるが、十分に楽しめた。とりあえずマリアビートルを再読し、機会があれば第1作目のグラスホッパーも手に取ろうと思う。