伊坂幸太郎のレビュー一覧
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ネタバレとっても良かったです。陣内くん、魅力的な人物でした。口が悪くてぶっきらぼうな上に、無鉄砲で破天荒。だけど芯が通っていて、繊細な音楽を奏でる男。一度関わってしまうと惹き付けられてしまうような魅力があるキャラクターでした。私も彼の音楽を聞いてみたくなりました!
一つ一つのお話も完成度が高くて、面白かったです。全体を通して読んだ後は、なんだかドラマの最終話を見終わった時のような満足感がありました。
伊坂さんの物話に出てくるセリフには、何歳になってもハッとさせられることがあります。今回の陣内くんのセリフもそうでした。「俺たちは奇跡を起こすんだ」あそこであんな風に言ってのけてしまうのは、矢張りどうしたってカッコイイものですね。
面白かったです!
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ネタバレ妻を会社社長の息子に轢き殺され復讐のためにその会社に入った鈴木、目を見ただけで人を自殺に向かわせる殺し屋の鯨、子供も女性も分け隔てなく殺すことに躊躇のない蝉、とそれぞれの視点で進むお話です。
人を殺すことを仕事にしてるなんてまともじゃないと思いますが、彼らもちゃんと罪悪感があったんです。
幻覚幻聴として自分が殺した人間が出てきてみたり、自分は自由を雇用主に奪われているんだと思いつつ、雇用主が死んだと知れば、一気にこれまで殺した罪の重さを実感し、雇用主の存在に依存して罪悪感をごまかしていたのかな、という弱い部分も見せてくれます。
社長息子を車に轢き殺させた押し屋の槿ですが、蝉の運転する車から鈴木を助けた後の彼の言動の描写に、私はスパダリ感を感じてドキドキしてしまいました。
そんな人の奥さんカタギじゃないな、と思っていたら、まあなんと、そもそも家族じゃなかった〜。奥さんも子供たちも劇団の人でした。
そしてまた子供たちが可愛い。癒しです。きっと深い事情があって劇団にいるのでしょうね。
最後のシーン、まさか鈴木、または子供たちが、列車に押されたりしないよね?とドキドキしながら読みました。
え?押されてないよね? -
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仙台へ旅行するにあたり、仙台関連の本をと思い手に取った。以前読んだ「重力ピエロ」の作者だということぐらいしか、彼に関する情報はなかったので、タイトルから仙台出身なのかと思ったが違った。
前半と後半で、その様相が全然違った。前半は仙台をあまり感じられず、後半は仙台を大いに感じられた。と、すごく陳腐な言い方だが、ひと言でまとめると以上である。そもそもこの本を手に取ったのは、仙台についてちょっと知りたいと思ったからである。だから上記の感想なのである。
でも、本書を読んで一番感じたのは、エッセイっていいなということ。著者によると、虚実混ざっているようだが、大体が事実とのこと。その緩い内容や、心配性で優しい彼の文章を読んでいると、なんだかこちらまで優しい気持ちになり、癒される。ここのところ、小説やエッセイの類は(大好きだけれど)全然読んでいなかった。が、充足感を味わえた。
後半は、東日本大震災当時の話が書かれている。仙台は他の被災地に比べ、被害が少なかったけれども、それでも多くの影響を受けた。仙台に居た彼だからこその視点が、新たな気付きをくれた。
とても謙虚で、気さくでユーモラスな彼の人柄を知ることも出来た。特に、映画の原作者である自分を、野球部を作った高校球児に例えているあたりは、謙虚さの塊だと思った。彼が例えた高校球児と映画の原作者の例えは、「そうじゃないだろ!」と突っ込みたくなるほど、次元の違う話に思えた。言いたいことも分かるのだけれど(笑)
そんな著者と、仙台の喫茶店でばったりと遭遇しないかな。
最後に小説も収録されていて、お得感満載。 -
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ネタバレ最初の30ページくらい訳もわからず進んでいって、日常的な不思議な住人河崎とのだらだらとしたストーリーが続いていくのかなと思って一瞬読むのをやめそうになった。でも、次の琴美の章が始まって、どんどん物語のスピードも上がっていって面白くなっていった。
気付いたら最後まで夢中で読んでた。
ペット殺しの犯人、それに狙われる琴美、書店を強盗したいという風変わりな隣人の河崎。
主人公も読者も何が何だかわからないまま巻き込まれていって、どんどん話が繋がっていく感じがとてもよかった。
特に河崎がドルジだったのにはびっくりした。
でも、その正体の違いは大きくストーリーに影響を与えないかもなと思った。
あとは、この話は決してハッピーエンドではなかった。河崎はなぜ犯人を懲らしめる計画を立てたのに実行する前に死んでしまったのか、ドルジはあのまま自主するのか、どうしてダックスを返しにきた女性がペットショップで店員をしているのか、色々わからないこと、ぼやかされていることもあって、気になった。 -
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伊坂氏作品、再読3冊目。
怖かった。一般人が要人の暗殺事件の犯人に仕立て上げられ、その背景にある組織のデカさや、周到な計画性になす術がありません。なぜそうなったのか分からない、対抗しようもない巨大なものから逃げなければならない、暴力にあったり、知り合いにまで被害が出てくる、そんな状況での逃亡劇。その恐怖にはとても耐えられませんね。
日本だけど大統領選があったり、仙台が監視都市になってたり、フィクションなお話だけどリアルに感じて、緊張感のある場面がずっと続きます。
友人の決死の言葉によって逃げ続ける主人公。
学生時代の仲間との交流が、二度と戻れない時代の思い出として描かれ、ポール・マッカートニーさながらあの頃に戻りたいという想いもまた、仲間がなんとかしてくれるか?と、うっすらと希望を醸す気がしてました。
大人になって社会に出て、大小はあるにしろ、みんなにっちもさっちも行かない状況になることもあって、そんなときやっぱりあの頃に戻りたいなあ、って思ったりしますよね。読んでて改めて戻ってみたいなあと思いました。
また、組織や権力の言いなりに職務を遂行する人たちが皆、無表情でつまらなそうにしてる描写が印象的でした。
自分の仕事で生じる影響に覚悟を持つ。仕事との向き合い方にも改めて振り返りました。
戻れなくても、これからも楽しいことがあるだろし、そう、自分の仕事で関係するみんなに対し責任感と覚悟を持って、ポジティブに頑張っていきたいです。
一般人と言ったけど、主人公は過去の出来事で少々有名になったことがあり、そのことで目をつけられたとすると、有名になるのも良し悪しです。
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ネタバレ伊坂幸太郎が初めて政治色を出したと言われる魔王に続く、50年後の物語。
上巻では「安藤」というワードが悪事のトリガーとして紹介されつつも詳細は明かされなかったから、下巻で安藤潤也(魔王にて、十分の一イコール一という超能力によって莫大なお金を得た、お金によって勇気を買えると信じた弟)が怪しげな宗教団体の教祖として機能するようになっていた、みたいな展開かと思っちゃった。今考えればこんな展開はないか。
結末はいい意味であっけなかった。「何もなかった。そういうことになっている。」
システム化されたこの世の中で、人間はもっと小さな目的のために生きているというメッセージが伝わった。