伊坂幸太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作品はそれぞれ別々の媒体で別々の時期に書かれた物語を少し加筆してゆるく繋げたものだったという風に解説で説明されていました。
連作短編集は大好きなジャンルなのですが、このゆるい繋がりを想像の余地があって面白いと思うよりは、もう少しバシッと謎や人物が回収される方が好みではありました。
ただ、それぞれの作品を単体でみたときの完成度はその分めちゃくちゃ高かったです!
『僕の舟』は別の短編集で読んだ時も好きになったし、『相談役の話』はゾワっとして見事でした。『合コンの話』もラストに拍手でしたし。
書き出してみると、繋がりの薄かった作品たちに意外と惹かれたことが自分でも驚きました。
やはり繋がるとした -
Posted by ブクログ
装丁の美しさと伊坂幸太郎/著に惹かれ、手に取った。
特殊な能力を持つ三瑚嬢(さんごじょう)蝶八傀(ちょうはっかい)五十九彦(ごじゅくひこ)の三人。
大停電と感染症と大地震が世界中の「世の終わり」を引き起こしかけている。その暴走を引き起こしたと思われる人工知能『天軸(てんじく)』を開発した〈先生〉を探す旅を始める。
アダムとイブの『楽園』やら『山椒魚』やら、
もちろん風刺も散りばめられている。
「AIではなくてNI?」
「人間の大好きなもの?何だよそれ」「ほら」三瑚嬢は答えた。「物語(ストーリー)だよ」
97頁でストーリーを完結させる素晴らしさ!いつもながらお見事です!
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Posted by ブクログ
ネタバレ伊坂幸太郎の『オーデュボンの祈り』を読み終えて、不思議な浮遊感に包まれた。現実と幻想の境目が曖昧で、読み進めるほどに自分も荻島に足を踏み入れているような感覚になる物語だった。
もし自分がこの島に来て、桜のような存在が当たり前に暮らしていたら、安心するどころか怖くなって外に出られなくなると思う。狭い島という閉ざされた空間だからこそ、異質な存在はより強く浮かび上がり、逃げ場のない不安を生むのだと感じた。
作中で語られる「この島には音楽が欠けている」という言葉には強く納得した。音楽は時間の流れや感情の起伏を実感させるものだ。もし自分が荻島にいて音楽を聴いたとしたら、そこで初めて「時が刻まれている