伊坂幸太郎のレビュー一覧
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「一緒に本屋を襲わないか」
冒頭数ページのこの言葉に込められた意図や感情を読み解きたい一心で必死にページを捲っていたと言っても過言ではないくらいスルスルと物語の世界観に没頭していった。
「宗教もレッサーパンダも存在しない国に住む必要があるのか」
日本は優しくない。
日本語を流暢に喋れない外国人は舐めれる。
人種差別はダメだと思っていても潜在的に外国人を面倒くさいと思ってしまうのは共感する部分だった。
ブータンには因果応報の考え(善い行いには幸せが訪れ、悪い行いには災いが降りかかる)はあるものの、日本と異なり、"生まれ変わり"を信じる宗教が生まれながらにしてそばにある。 -
Posted by ブクログ
読み進めながら、早く先を知りたいけど読み終わりたくないって気持ちがせめぎ合っていた。
作中に出てきた「リレー」が物語の構成に繋がってくるとも思うんだけど、それだけだとなんだか足りない気がする。
リレーは次の人にバトンを渡したらその人の出番は終わりだけど、人生はそうじゃない。
ここに出てくる登場人物の行動や言動一つ一つが重なり合って、良くも悪くも影響し合って、波のようなうねりが生まれたんだと思う。
人間の嫌な部分、愚かな部分、哀れな部分が随所に出てきて、すごく応援したくなるような人がいるわけでもないのに、でも読み終わった後は全く嫌な感じがしないのは、伊坂さんの文才なんだろうな。 -
Posted by ブクログ
小学生が主人公で物語が展開する短編集の本書は、普段見ることができない伊坂幸太郎さんの物語が楽しめるようになっています。
なので初めて伊坂幸太郎を知る方やにも手を取りやすいのではないかなと思う。
ただ普段の伊坂幸太郎の長編が好きな方には物足りなく感じる部分があるかもしれない。
私が本書を読んだタイミングが江戸川乱歩の少年探偵団のようなものを見た後に見たのもあってタイミングとして良かったなと思う。同じように小学生が主役だし…
個人的にはやはり最初の物語の逆ソクラテスの話が1番心に残っている。
流されやすい自分にとって物語に出てくる言葉「僕はそうは思わない」この一言に自分の大切な価 -
Posted by ブクログ
泥棒の家に空き巣に入る。強盗現場に強盗に入る。妻の殺害と愛人の殺害のダブルブッキング。偽の犯人にされてる途中で別事件の犯人に。エッシャーの騙し絵のように、気づいた時にはいつの間にか形勢が逆転している構図が面白い。昇ってるのか降ってるのか、立場が上なのか下なのか、騙してるのか騙されてるのか。
作中の言葉にあるように、リレーのバトンみたく今日という日の主人公が受け継がれていく群像劇。分かりやすくバトン役を担う野良の芝犬。首輪を与えられ、宝くじを付けられ、鋏でバラバラにされかけ、無職のおじさんに拾われ喧嘩に巻き込まれ、大金との交換を持ちかけられる。お互いの人生や修羅場など全く知らない他人同士の共通 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人の弱みにつけ込み、大人をからかいもて遊ぶ王子には終始イライラさせられたが、最後に木村も渉も救われてほっとした。
登場人物は皆クセが強く、それぞれ軽妙な会話を交わしながらも、ピンチに陥ると必死に思考を巡らせ、駆け引きと心理戦を繰り広げていく。派手なアクションシーンは多くないが、次の一手を考えるスピード感や緊張感があり、読んでいて疾走感を感じた。
「人は直感に従って行動するものだ」と言って人の心を読んでいるつもりでいた王子が、その本性を最後は理屈ではなく直感で木村父に見破られるところが痛快だった。頭脳や言葉で人を操ろうとする者が、最後はもっと根源的な人の勘に敗れる。この逆転が強く印象に残った