伊坂幸太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ初めての伊坂幸太朗さん作品でした。暴力を振るってきた夫を殺害してしまうという導入がミステリーの幕開けを思わせる一方、読み進めると「ジャバウォック」なる寄生存在を巡るSF染みた物語に変容していく。
序盤、所々で量子の記憶が途切れ途切れになり、思い返しながら状況を説明する描写があった点と、宿主が死ぬ・死んだと思わせるとジャバウォックが別の生体に移り住むという話から、てっきり量子にジャバウォックが憑いていて、意識が飛んだり戻ったりしているんだと思っていたら、終盤でまさかの種明かし。水槽の中の脳などの哲学的な要素を持ち出すことで、量子が抱く不安感の正体がうまく誤魔化されていたのだと気づく。
印象に -
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎さんのお話では珍しく、恋愛小説が集まった短編集。
個人的に、全部の登場人物が程よく関わり合って進む短編集が大好物なので、とっても美味しかった。
あとがきを読んで納得したが、書かれた経歴からして、恋愛小説でありながらも“友愛”を描いているのがとても人間らしくて素敵。結局人には情け無い所もどうしようもない所もいっぱいあって、もがきつつも、なんとなく寄りかかったり寄りかかられたり時には馬鹿なことを言い合いながら生きている。それが総じて友愛であり、そのベン図の中にきっと恋愛も含まれているよ、そんなスタンス。きっかけ一つでくよくよしたりちょっと勇気が出たり、そんなくだらなくて情け無い人