伊坂幸太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
伊坂幸太郎のデビュー25周年記念として書き下ろされた長編ミステリ。夫の暴力をきっかけに夫を殺してしまった量子は、大学時代の知人・桂の助けで死体を隠す。そこから、馴染みのないことを話す不思議な夫婦や、亀を使った奇妙な儀式など、現実離れした出来事に巻き込まれていく。
本作の軸は、正体の見えない「ジャバウォック」との戦いだ。ルイス・キャロルの詩に出てくる怪物は「よくわからないもの」の象徴であり、何と戦っているのかすら判然としないまま進む不穏さが、軽妙な会話のなかでも緊張感を保ち続ける。
そして見事なのが、記憶を軸にした叙述トリックである。読者が当然だと思っていた前提が後半で一気に崩れ、読み終えると最初から確かめ直したくなる。 -
Posted by ブクログ
千葉というキャラクターがとにかく強烈で、彼(死神に性別はあるのか?)と人間の掛け合いを呼んでいるだけで笑ってしまうような箇所が多くとても好きな一作だった。
連作短編の方式で、最後には伏線回収もあり設定と構成の巧みさに驚かされることとなった。
ただ私が本作で一番語りたいのは、読後感の良さである。私はこの本を晴れた日の昼間に読み終わったのだが読み終わった瞬間自然に晴れた空を眺めていた。
この読後感の良さは他の伊坂幸太郎作品と比べても頭一つ抜けたものがあると感じる。
まだ読んでいない人にはぜひ最後の話は晴れた日の昼間に読んで欲しいと強く願う。私と同じように晴れた空を眺めることになるだろう。
それで言うと秋晴れの多いこの読書の秋にピッタリな一冊かもしれない。 -
Posted by ブクログ
2人の男を軸に別々のストーリーが語られ交差する、私の大好きな構成。色んな物事が後に繋がるの好き。西遊記ネタをちょこちょこ散りばめたストーリーだったので、詳しい人はさらに楽しめたんだろうなと思う。
『完全な善人』や『完全な悪人』は居ないという考えはわりとよく聞くし納得もしていたけれど、「猿の話」編の田中徹を、『この男の中には、「繊細な男」と「図太い男」の二人がいて、失敗を反省するのはいつだって繊細な男のほうだけ、図太い奴は図太いまま、そういう具合なのだ』って書いてる部分でほぉー!と。反省は確かにしてるけど、平気で繰り返してしまうのをめちゃくちゃ上手く表現してると感じた!
人の内面の情景を見れるなんて絶対すごい才能なんだから、遠藤二郎(真)くんが今後絵を描いていく未来があるのなら見てみたいと思った!