伊坂幸太郎のレビュー一覧
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伊坂先生の作品の中では異色かも。
主要人物達が学童だなんて初めてかもしれない。初めてみたい。
...時間を経て大人になっていくお話もあるが。
「いやな奴」が出てくる。
小学生にいがちな「いやな奴」。
そして、作中にうちの子供と同じ名前の子が出てきて
またその性格もうちの子と似ているのだ。
幸い「いやな奴」ではなくフィクションといえホッとした。
子供世界は狭い。
ものすごく狭い。
クラスが世界の全てのような世界。
その中でうまく立ち振る舞いながら社会性を身に着けていく(と思ってる)
ただ、幼さゆえの根拠なき迫害や異質な物を排除しようとする事が起きる。
(まぁそれは大人になってもなくならないの -
Posted by ブクログ
ネタバレ3人の相容れなかった殺し屋(1人は?)が、1人の男を追っていく中で、徐々にそれぞれが結びついていき、衝突していく展開が疾走感溢れて面白い。
特に、どんなに力が強い相手でも心の弱味につけ込んで自殺に追い込んでしまう鯨と、いとも簡単にナイフで相手を切り裂いてしまう蝉との対決は、どんな展開でどちらに軍配が上がるのかとハラハラして読み進めて行った。
そして、ラストにかけては思いもよらぬ展開へと進んでいき、一気に読み終えてしまう程没入感に浸ってしまった。
それにしても、こんなに中身がギッシリ詰まった展開なのに、たった1日での出来事かと思うと、とても中身の濃い1日だったんだなと改めて思った。
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伊坂幸太郎さんらしいファニーでファンキーなお話。とてもいい感じ。
猪苗代湖畔で行われる音楽とアートのフェスティバルで配られるリーフレットに載せる話として書かれ、1回こっきりのはずが毎年書き重ねられることになったそうだが、何年か前に書いた話の設定やエピソードが後半の話でしっかり活かされている筋書きや仕掛けに感心した。
ロックバンドの楽曲の歌詞がいい具合に物語に絡んでいて、〈あの頃に戻りたいって そうゆうコト言わない/あの頃に戻りたいって それじゃ今日に失礼〉とか〈生きてるあいだは 不死身だ/一度も 死なないんだ〉なんて、特に刺さった。
伊坂さんの多くの物語に根底にある「ただ生きていることへの肯 -
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読書録「グラスホッパー」4
著者 伊坂幸太郎
出版 角川文庫
p66より引用
“台詞は少ないがそれでも、彼が世の中で
もっとも軽蔑しているのが、新聞屋の店主で
あることは歴然としていた。青年を扱き使う
だけで、労働にいそしむことなく、怠惰に生
活している、肥満の店主だ。”
妻の復讐を誓った男やその他の、常人が関
わってはいけない人達が生きる様を描いた、
長編群像劇。同社刊行作加筆修正文庫版。
夜になっても明るく騒がしい街を眺めて、
学生の頃を思い出す一人の男。虫と人間の類
似性についての思い出と共に、頭に浮かんで
きたのは、亡くなった妻の発した言葉だっ
た…。
上記の引用は、フラ -
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読書録「あるキング」4
著者 伊坂幸太郎
出版 徳間書店
p9より引用
“ さて、そのような仙醍キングスであるか
ら、仙醍市に住むからといって、誰もが仙醍
キングスのファンとはならない。むしろ地元
の汚点、と憎んでいる者も少なくなかっ
た。が、それでもファンはいる。地味な昆虫
や味の薄い香辛料にも、どんなものにもファ
ンはいるものなのだ。”
目次より抜粋引用
“〇歳
三歳
十歳
十二歳
十三歳”
一人の天才の生涯を描いた、現代ファンタ
ジー長編小説。同社刊行作加筆修正文庫版。
地方の万年Bクラスプロ野球球団に、その
チームにはもったいない程の能力を持つ選手
が在籍していた。 -
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読書録「チルドレン」4
著者 伊坂幸太郎
出版 講談社文庫
p77より引用
“小山内さんの言葉を借りれば、「家裁の調
査官がサラリーマンよりも多く経験できるの
は、裏切られること」らしい。”
目次より抜粋引用
“バンク
チルドレン
レトリーバー
チルドレンⅡ
イン”
ごく普通に生きる人達の日常に起きる、少
し厄介な揉め事を描いた、短編連作小説。
同社刊行作文庫版。
銀行強盗の人質になってしまった大学生の
鴨居と陣内。巻き込まれる原因となった陣内
の行動から、出会った時のことを思い出さざ
るを得ない鴨居だったが…。
上記の引用は、家庭裁判所のお世話になっ
た人物が、同じ罪 -
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人は「ストーリー」を求める。確かにそうだと思う。
嫌なこと、理解できないこと、うらやましさ、感動ーー、そのたびに、私たちは勝手に物語を作り、原因や理由を探す。
「自然にまかせてみよう」と思っても、その“まかせる理由”さえ物語にしてしまう。 人がストーリーを求めてしまうことは、もう解明できない本能のようなものなのかもしれない。世の中にあふれるあらゆるものは、結局この性質に行き着く気がする。
環境破壊、人類の絶滅。
私たちはなんでも説明したがるけれど、もしそれらが“地球が生きるためのただの動き”だとしたら、人間も虫も植物も同じ存在にすぎない。
物語が好きで読書をしている私にとって、この発想 -
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最期まで物語を求めた異物の物語。
NIに組み込まれているものは物語をもたないのだろうか?
物語をもつからヒトは異物なんだろうか?
ヒトは植物や虫や動物などの様に ただ生きて死ぬことができない。
生きること死ぬことに意味や理由を必要とする。物語を必要とする。だから異物なのか?
それとも最初はただ異質なだけだったのが年月をかけて異物になってしまったのか?
ヒトが紡ぐあまりにもヒト本位の物語にNIが愛想を尽かしてしまったのか?
考えてみるとヒトは生まれて名を得た時から もう何らかの物語に組み込まれているような気もするけれど…。
読むのはあっという間だったが読後の思考の揺れ動きが激しい。考