有栖川有栖のレビュー一覧

  • スウェーデン館の謎

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    ネタバレ

    雪に閉ざされたペンションでの密室殺人となると、いかにも新本格モノが好きそうなテーマだが、 本作の場合はとにかく文体が飄々としているためか、あまり凄惨な事件だという気がしない。 そもそもこういったテーマが新本格モノでよく使われるのは、 雪に閉ざされてしまうクローズドサークルの中で次々と殺人が起こってしまうというモチーフがいかにも謎解きに向いているからだ。

    ところが本書の場合は、主人公たちも含めて自由に外に出かけることが出来るので、まず緊迫感というものがほとんどない。何せ探偵役である火村からして、有栖川に呼ばれて福島県まで来るという設定なので、出入り云々は問題にすらならないのだ。

    またこういった作品では連続殺人が起こるというのは一つの定石のようなものなのだが、本作の場合は被害者が実質的には1名(もう1名は未遂)ということで、どちらかというとテレビの2時間ドラマものっぽい雰囲気が溢れている。

    ただし本作の場合は、謎解きについてはフェアかつ本格的なもので、そこに関しては流石に有栖川有栖というところだろう。「離れで人が殺されたが、足跡は残っておらず実質的な密室殺人だった」という古典的なテーマに対して、ちゃんと独創的な解を提示している。(ネタバレになってしまうが) 作者がちゃんと綿密にこの謎を計算しているのは、 登場人物の外見や特徴ということを考慮に入れると、犯人は論理的に一人に絞られるというところからも明らかだ。

    同期となる部分に関してはやや弱いというか、もう少し違う書き方があったのではないかという気もするのだが、そこも含めて飄々としたミステリーであるという評価を得るものだとすれば、全体として統一感がある書き方であったと思う。

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    2025年07月07日
  • 慄く 最恐の書き下ろしアンソロジー

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    豪華作家陣による多様なホラー短編集で、「最大級の恐怖」というテーマをミステリや心理、怪談、幻想など多彩なアプローチで表現している。
    日常に潜む不気味さや人間の闇を掘り下げられていた。
    特にミステリ好きに響く作品が多いような気がして、ホラーもミステリも好きな自分のような読者には、どんぴしゃで刺さる作品だった。
    全体的に新鮮で読み応えのある一冊。

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    2025年06月29日
  • 孤島パズル

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    88点:「だけどどうして今そんなこと言うの?恋のメッセンジャーが仕事を思い出したの?」

    マリアが登場したことで青春小説としての魅力がアップしている。
    探偵役と犯人の最後のやりとりがストーリーとして納得感あり、ただそれが周囲を更に傷つける衝撃となってしまうことも納得できる。
    小説としての完成度がめちゃ高い。

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    2025年06月29日
  • 江神二郎の洞察

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    江神シリーズあるいは学生アリスシリーズもしくはEMCの初めての短編集。
    予定ではあと長編1冊と短編集1冊で終わるらしいこのシリーズ。
    学生アリスたち読んでると火村とアリスの学生時代も気になってくるな。江神さんたちよりは平和な学生時代送ってそう。

    「瑠璃荘事件」
    アリス、江神さんと出会う。
    私も高校生のときに『虚無への供物』読んだな。
    学生らしいノート盗難事件。

    「ハードロック・ラバーズ・オンリー」
    登場人物みんな優しい掌編。

    「やけた線路の上の死体」
    有栖川有栖のデビュー短編。
    振り子特急の出始めだったんだな。昭和末期という感じのトリック。
    望月の実家にみんなでいく話。仲良し。

    「桜川のオフィーリア」
    EMC創設者の石黒が登場。
    『女王国の城』にも係わってくる話。
    わりとしんみりな内容。

    「四分間では短すぎる」
    みんなでアリスを励ます回。もしくは江神さんの握ったおにぎりを食べる回。
    江神シリーズは事件のたびにみんなちゃんと傷ついてるのいいよね。あんまり本格ミステリで見ない。

    「開かずの間の怪」
    幽霊屋敷で一晩過ごす回。
    お約束って感じでいい。学生時代を満喫してる感じもいい。

    「二十世紀的誘拐」
    教授の家から盗まれた絵画の話。
    みんなで京都タワーに登る。

    「除夜を歩く」
    江神さんと年越しする話。
    京都の大晦日の雰囲気がよい。
    望月の書いたミステリを読むことになるとは。
    江神さんの言うミステリのジレンマは色々読んでると思うことあるよね。
    昭和生まれだけど、昭和最後の頃の空気は記憶にないが、元号当てに勤しむ推理研見てると水ダウ思いだしちゃう。改元となると毎回あるんだな。元号当て。

    「蕩尽に関する一考察」
    マリアが入部することになるきっかけの話。
    部長が名探偵してる。
    マリアとアリスは可愛いなあ。

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    2025年06月15日
  • 神様の罠

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    6人の作家の短編アンソロジー。
    巻頭作品、乾くるみさんの「夫の余命」にはやられました。騙されたと言っても良いかな。
    「イニシエイション・ラブ」、「セカンド・ラブ」と騙され続けたのにまたまた。
    本作を読みながら乾さんの作品って時系列を追いながらってパターンが多いなあとそちらに気が入っていたのもあって罠にはまった。
    「イニシエイション・ラブ」の時、「必ずもう一度読み返したくなる」というコピーが貼られてあったが今回の作品も読み返してしまった。

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    2025年06月15日
  • 砂男

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    単行本未収録作品を集めた短編集だという事だが、古いものがある。
    「海より深い川」と「砂男」がそれ。
    どちらも、法令や社会情勢が変わったり、発表時期を逸するうち、他の作品にアイデアを流用してしまったもの。
    そういう背景をお伝えした上で読んでいただくことにしたということ。
    あとがきに作者も「『砂男』は、いかにも有栖川有栖が書きそうな話!」と書いているが、私もそう思う、満足な読後感でした。

    【女か猫か】江神二郎シリーズ
    有馬麻里亜(ありま まりあ)が持ち込んだ謎。友達のガールズバンド内の、一人の男性をめぐる、あれこれ。
    【推理研vsパズル研】江神二郎シリーズ 
    アンソロジー『神様の罠』で既読。でもいまだに青い目と緑の目のパズルの説明がよく理解できない・・・

    【ミステリ作家とその弟子】
    ・刑部慶之助(おさかべ けいのすけ)59歳、ベテラン作家。最近スランプ気味
    ・御堂清雅(みどう せいが)25歳。今時珍しい内弟子。1年前に、どうしても、と押しかけてきた。小遣いをもらう程度で、今まで刑部の妻・萌子がやっていた雑用も一手に引き受けた。萌子は楽になり、刑部も重宝しているが・・・
    御伽噺の分析が面白かった。

    【海より深い川】火村英生、作家アリス
    大阪湾で発見された2体の死体を「海より深い川」という言葉が結びつける。
    【砂男】火村英生、作家アリス
    「砂男」という都市伝説が子供たちの間で広まっている。
    眠ったきり目が覚めないというのは、子供心にもとても怖いに違いない。

    【小さな謎、解きます】
    樋間直人(ひま なおと)28歳。定職につかずブラブラしていたが、祖母が占いの館を引退するにあたり、後の借り手がつかなかったため、何でもいいから商売をしなさい、と物件を託したのだ。
    直人はそこに『街角探偵社』を開く。お客が来ないので、「小さな謎、解きます。お気軽にご相談ください」と書き足した。

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    2025年06月10日
  • 本からはじまる物語

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    著名な作家達による「本」がテーマのアンソロジー。
    甘酸っぱい恋の話しやちょっとゾクッとする話、不思議なお話など本というテーマ1つでも色んなお話が書けるんだなぁと楽しく読ませてもらえました。
    中でも本が飛んでいったり、飛んできたり、飛んでる本をつかまえたり…といった本が飛ぶ話がいくつかあり、作家さんには本が飛ぶという発想があるんだなぁ〜と思いました。
    どれも良かったですが、本多孝好さんの「十一月の約束」が好きです。

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    2025年06月10日
  • ダリの繭

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    ネタバレ

    鳥羽が出てくると聞いて、鳥羽旅行前に読みました。火村達が歩いた観光地の聖地巡礼が楽しかったです。ただ、話としてはとても物悲しくて、登場人物のその後が気になります。

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    2025年06月09日
  • 朱色の研究

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    犯人の動機が切ないと表していいのかわからないけど寂しくなった
    想い人を通じて、「どんな結果でもよしとする」気持ちが見えた
    火村先生推せます(私の想像では色男)

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    2025年06月08日
  • 狩人の悪夢

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    表紙は見たことあるのに読んだ記憶がない。そう思い購入して読んでみると、あれ?これ読んだかも?と、デジャヴ。しかし最後のことは思い出せないので、しっかり読まなかったのかな?で終わり。
    しかし、作中で火村の悪夢を払うようにアリスが気遣う。これだけでも再読して新しい進展があったな、と、年齢を取らない2人に年月を感じさせられた。

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    2025年06月06日
  • マレー鉄道の謎

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    作家アリス、国名シリーズの第六弾。初の海外が舞台の長編ミステリィでした。
    『』は英語のターン「」は日本語のターンと分かれていて、ややこしくはなかったです。
    今回のトリックは好みでした。動機の移ろいも楽しめました。

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    2025年06月05日
  • 女王国の城 下

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    新興宗教団体からの脱出というアクションパートもあったり、意外な侵入者があったりとエンタメ性も高い下巻。
    警察の捜査がない分、純粋な論理だけで謎解きしなければならないことが多いこのシリーズ。今回もロジカルな本格ミステリが楽しめました。
    そもそもなんでここに江神さんがきたのか忘れかけてた。

    学生アリスも次で完結しそうで寂しいような江神部長の卒業見送ってあげたいような。

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    2025年06月01日
  • 濱地健三郎の呪える事件簿

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    4-ってところかなぁ…
    やはり特殊設定(?)は自分にはってところがある。シリーズもののようなので一作目から読んでいればまた違ったか?

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    2025年05月30日
  • 新装版 46番目の密室

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    久々に火村先生とアリスに会いたくなって、読んじゃった。
    こういう、人間模様があまり描かれない純粋な推理小説もいいね。
    火村先生とアリスの掛け合いが好き。

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    2025年05月18日
  • 猫が見ていた

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    柚月裕子さんが入っているのと、表紙に惹かれて。

    柚月さん、北村さん、井上さん、加納さんの作品が良かったのと、最後の「オールタイム猫小説傑作選」もよく、猫好きの方におすすめ。

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    2025年05月15日
  • 双頭の悪魔

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    学生アリスシリーズの第三弾。
    あまりの分厚さに驚愕しました。
    第一、第二と読み進めてからの第三弾だったので、なぜマリアが傷心なのかも、すんなり理解できました。
    この第三弾だけでも読めるのだけど、特に第二の『孤島パズル』を読んでからの方が分かりやすいと思います。
    とにかく、タイトルが秀逸と思ったこの内容。
    今回は、一人称がアリスだけではなく、マリアと交互に訪れ、殺人事件もそうだし、まさに双頭でした。
    名探偵江神先輩の論理的な推理と、アリス達ただのミステリー好きの凡人達が紆余曲折しながらも真実に近付く推理の違いが興味深いです。
    そして、やはり最後は再び登場の江神先輩の名推理による鮮やかな幕引きは、全てが氷解する爽快さです。
    マリアはね、単に個人的に好きなタイプでは無いので、最初はあまり共感出来なかったんだけど、最後にはやはり推理研を形作るピースの一つなんだなぁと、思うに至りました。
    第一弾の『月光ゲーム』の時には、青春してる青臭いアリス達があまり好きではなかったけど、第三弾まで読んで、学生アリスには学生アリスなりの色と味が感じられるようになった気がします。

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    2025年05月14日
  • 英国庭園の謎

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    初めての有栖川有栖さん〜♪
    大阪出身だそうで、身近な地名がたくさん出てきて楽しかった〜♪私も四天王寺夕陽ヶ丘あたりに住みたい〜(そうですか)

    ここ最近はミステリーはあんまり読んでいなくて、読んでいても叙述もの?なんや、文章で脳みそが騙される系のものばっかりだったので、短編やしちょっと物足りないな〜って最初は思ってたんですけど。そういうのに頼らずに物理(?)の謎解きがあるのが本格ミステリなんやな〜と思うと、短編でお話もおもしろくてそこに謎解き要素も入れるなんて本当にすごいなって。コナン見てるみたいやった。笑 コナン見てても解けへんし。笑

    作中にちょいちょいある悪口がツボで。
    「胃袋よりも少し下のところの欲望が渦巻く街、曽根崎」とか、仲の良い兄妹を見て「近親相姦してそうなくらいベタベタしてる」など、見つけるたびニヤりとしてしまいました。

    あ〜おもしろかった!お風呂入ろ。



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    2025年05月10日
  • ブラジル蝶の謎

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    長編かと思ったら短編集だった!相変わらず火村がいい子…おばあちゃんのお見舞いばっかいってるやないか…。あとアリスと仲良いな…。いいな、ずっと仲良くしててほしい。

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    2025年05月09日
  • 捜査線上の夕映え

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    89点「小説というのはアドリブで書くのではないことを理解してもらいたい。大喜利ではないのだ。と思いつつ、私は即興のトリックを口走る。」
    火村と有栖川が仲良くイチャイチャしている場面を数多く堪能できるだけで楽しい。特殊設定ミステリにありがちなトンデモ展開はないよ、ということを随所にちりばめていて、事件の推理も常識的に犯人はそういう行動はとらないということをちゃんと吟味する。小説の登場人物が自分と地続きにある思考をしてくれるので、事件がどう展開しても、納得感が高くなる。ちゃんと人が生きているミステリ。

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    2025年05月04日
  • 禁断の罠

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    期待以上でちょっとびっくり。
    期待値がそもそも低かったかもしれないが。

    「大代行時代」と「妻貝朋希を誰も知らない」がよかった。

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    2025年05月03日