鷲田清一のレビュー一覧

  • 〈弱さ〉のちから ホスピタブルな光景

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    様々なケアの現場の方への取材と、その後の考察が紹介されています。

    人と人とが接する場面について、一冊の本の中でこれほど多角的に考察されたものとの出会いは私自身初めてで、興味深く読みました。

    模擬患者と医師との面談についての部分については、対人援助職に就く身として、ひやりとするような、はっとするようなものがありました。

    相互性を常に意識して携わっていくことの重要性を、この本から学びました。
    読む度に気にかかる場所が変化していく、私にとってそんな一冊になりそうです。

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    2018年01月04日
  • だれのための仕事 労働vs余暇を超えて

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    近代において成立した労働と余暇の二項対立を乗り越え、他者とのつながりのなかで生きる自己のあり方に注目しながら、「働くこと」の意義について考察している本です。

    フランクリンに代表される近代人は、勤勉・勤労に何よりも大きな価値を認めました。一方、1960年代以降に青年たちを中心に広がったカウンター・カルチャーのムーヴメントでは、「モーレツからビューティフルへ」ということばに象徴されるように、「労働」よりも「余暇」に大きな価値を見ようとしました。しかし著者は、こうした「労働」と「余暇」の二項対立そのものが問題だと考えます。

    勤勉・勤労に価値を置く近代においては、つねに前方を見つづける「前のめり」

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    2017年11月30日
  • わかりやすいはわかりにくい? ――臨床哲学講座

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    旅のお供の一冊。
    さくさく読める本でした。
    「ネガティブ・ケイパビリティ」につながる内容だったので、今の私にぴったりでした。

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    2017年09月16日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    もうこういった言説にほとんど共感を感じなくなってしまったなー。「現状は危機的だ」「政府はこんなにあくどい」みたいなのって、「ほんとにそうなの?それを示す証拠は?」とまず思ってしまう。

    まあ内田センセイの七色のロジックを楽しめるという点では面白い。

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    2017年09月08日
  • 大人のいない国

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    大人のいない国

    内田樹22冊目(鷲田清一との共著)
    ・教養についての考察が面白かった。なぜ自分はこのことを知らずにきたのか、知ることを拒んできたのかという、自分の無知の構造に目を向けられた瞬間に教養が起動するということや、教養とは自分のわかっていないことについてわかるということということがうなずけた。自分の経験から照らしてみても、さらに、この人ならこのことについて知っているかもしれないという風なセンサーが働いて、お願いできれば、たいていのことは何とかなるとも思う。
    ・人がそのかけがえのなさに気づかず、ないがしろにしているものに対して注意を促して、その隠された価値を再認識させる言葉の働きを「祝

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    2017年09月09日
  • 「自由」のすきま

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    同時期に読んだ本とけっこう内容がかぶる。
    基本的には面白い論考が並んでいる印象。キャッチ―な表現たちも健在。

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    2017年08月29日
  • しんがりの思想 反リーダーシップ論

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    各論には反対、というかとうていついていけないようなところがあるけれど、現在の市民はあらゆることに「おまかせ」になっているという批判については同意。
    最近の著者は、だから草の根でも何かやろうよ、という立場で、実際にそれを実践していたりするのね。

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    2017年08月15日
  • 哲学の使い方

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    うーん、まあ、「エンゲージド・ブッディズム」みたいなもんかなあと思いながら読んだ。
    世代を超えた人たちが、ある問題について真剣に話し合うことは素晴らしいことだと思うけれど、一方で、過去の議論の積み重ねを知らずに、単に自分(たち)の中だけでの思いつきを思考することと勘違いする危険性も感じる。
    いや基本的にはいいことだと思うんだよ。

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    2017年08月15日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    ネタバレ

    これからを生きていく人へ贈るメッセージ。

    日本の現状に危機感を抱いた内田樹が,中高生へとメッセージを送るために様々な人へ文章を書いてくれるよう依頼をした。統一感はあるような,ないような。しかし,皆,日本の現状に(というか,現政権に)危機感を覚えている人たちである。出版されたのは2016年7月なので,書かれたのはその少し前とすると,その後,イギリスEU離脱が国民投票で決まり,トランプ大統領が誕生し,また日本は重要法案を急いで通そうとしている。危機は加速しているのでは。

    戦後の,戦後すぐの平和主義がそろそろ機能しなくなっている,そう感じる。軍隊を持たない,平和を守る国でありたい,でも,他国に攻

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    2017年05月28日
  • 悲鳴をあげる身体

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    現代において、身体を自分のものとして、コントロールしようとする行き過ぎたダイエットや整形といった問題の構造を分析したり、身体に対しての考え方、命に対しての考え方の変化がなぜ起きてきたのかといったことに関して筆者なりの分析で記されている。全てが納得いくものではなかったが、これを元に、自分で考えてみるのもよいと思う。

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    2017年05月24日
  • 素手のふるまい アートがさぐる<未知の社会性>

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    私にとっては、少々難解であった。
    社会性。人間性とアート。技術としてのアート。
    社会にとってのアート。
    ここに書かれている、所謂アーティスト達の考え方
    生きざまについては、非常にあこがれる部分が多くあります。
    昔はこういう人間になりたかったなあという思いがあります。
    いまになって、現実として社会からはぐれること。斜めに
    なることはなかなか困難であります。

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    2017年02月28日
  • 語りきれないこと 危機と傷みの哲学

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    「臨床哲学」を提唱する著者が、震災以後の問題について論じた本です。

    ところどころに著者らしい繊細な精神のきらめきが見られますが、意外にも紋切り型の意見が多く目につくように感じました。とりわけコミュニティの崩壊について論じている個所は、少なくとも表面的には、保守派の懐旧と重なってしまいます。

    確かに、「語りきれないこと」というタイトルが表わしている問題は、どこまでも重く受けとられるべきでしょう。著者自身、震災からの復興のプランを声高に語るメディアや評論家を批判しながら、みずからの言葉が「語ることができない者に代わって語る」という身振りを反復していることを自覚していないはずはないと思います。そ

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    2017年11月29日
  • わかりやすいはわかりにくい? ――臨床哲学講座

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    NHKラジオ『こころをよむ』の講義テキストを加筆訂正した本です。「意味について」「ふるまいについて」「人格について」など、13のテーマをめぐって議論がなされています。

    「臨床哲学講座」というサブタイトルが示すように、われわれの生活に密着したところから著者らしいしなやかな知性が静かに歩みを進めていきます。哲学的エッセイですが、池田晶子のような力みは感じられません。そこに、少しもの足りなさを覚えてしまうこともあります。

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    2017年11月29日
  • 転換期を生きるきみたちへ

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    目もくらむようなスーパー秀才エリートだった人たちが、声をそろえてもはや反対することができない空気があったと言っている。ドイツ語で日記を書けるような、言葉を自由自在にあやつることができるエリートたちが、一億人の運命を左右するような決めごとを、最後には言葉でなく空気を読んで身を委ねたと語っている。

    福島の原発事故直後の危機を回避するための政府首脳の重大会議、40年以上も続いた政府の憲法解釈を内閣の形式的合議だけで大きく変えてしまった経緯、いずれも議事録が残っていない。それが僕たちの国の致命的な欠陥だ。これはもう病気と呼んでもさしつかえないと思う。かつて有名な政治学者はこれを壮大なる無責任体制と呼

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    2016年10月11日
  • 哲学の使い方

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    この本さえ読めば素人でも哲学の使い方、仕方がわかると
    いうようなハウツー本、マニュアル本ではないので要注意。

    この現代という時において哲学とはどのような役割を果たす
    べきか、どのようにあるべきか、そもそも哲学は意味ある
    ものとして存在しうるのかどうか。哲学者が哲学者として
    哲学と向き合う上で発せざるを得ない「悲痛な叫び」として
    私はこの本を受け止めたのだが、さほど間違ってはいないと
    思っている。

    日本の教育には宗教教育(ある一つの宗教の教義を教え込む
    のではなく、人間として宗教というものとどう向き合うか
    を教える教育)が欠けているのが大問題であるのと同様、
    哲学教育も欠けているのは大問題で

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    2016年06月08日
  • 京都の平熱 哲学者の都市案内

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    面白いタイトル。
    サブタイトル「哲学者の都市案内」とあるように、京都をぽつぽつとカメラのように辿りながら、そこから「まち」とは何かという考察に昇華する。
    すうっと一本道を歩いていたかと思いきや、深い思索の世界に飛んでいく、不思議な文章である。

    暮らしをビジネスに破壊された町並みを空襲と例え、どこも均質化していく都市を非難する。
    舞妓と坊主、三奇人、隙間、孔。
    そういったきわもの、場末が確立しているからこそ、その中で人は学び移ろい、生きることが出来る。

    なんでも平等主義、見え透いた善だけを頼りにしている人たちが読めば、なかなかのショックを受けるのではないか。
    都市の孔は、そんな人たちによって

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    2016年04月24日
  • 京都の平熱 哲学者の都市案内

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    京都に住んで6年、あと2ヶ月弱で離れる。やはり京都は自分の地元だとは思えず、わからないことが多い。この本を読めば、それも当然かなと思う。

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    2016年02月08日
  • しんがりの思想 反リーダーシップ論

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    縁の下の力持ちの重要性について論じた本。誰もがその役割を担うことを心がけるべきだというのが本書の主張。
    この主張には納得できる部分もあるが、フォロワーシップとリーダーシップはバランスをとることが重要だと個人的には思う。どっちが消えてもダメ。

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    2015年07月17日
  • 大人のいない国

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    ともに柔軟な哲学的思考の実践者として有名な、内田樹と鷲田清一の対談と、二人の論考を収録している本です。

    内田も鷲田も、身体感覚と他者感覚を重視する点では同じような立場に立っていると言えるでしょうが、内田に比べると鷲田の議論には制度論的な視角が目立たないような気がします。その意味では、「大人のいない国」という表題は、どちらかと言えば内田がこれまであつかってきたテーマに寄っている印象を受けます。

    ただそのことは、内田の立場の優れているところであると同時に、他者感覚の重視が共同体論へとスムーズにつながってしまう彼の議論の危うさを含んでいるのではないかという気がしないでもありません。

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    2015年04月22日
  • 臨床とことば

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    河合先生の対談本は何冊か読んでますけど、だいたい対談の相手がカウンセリングを受けてるみたいになってるんですよね(笑)。
    ついつい話が弾んでいく様子がよくわかります。

    で、今回のお相手の鷲田先生の提唱されている臨床哲学の考え方は日々臨床に携わる上での参考になります。

    エビデンスの重要性が盛んに言われますが、実際のところは諸問題を未然に防ぐための方便の要素の方が強いのが実情ではないですかね。
    現代人は因果律で考えることが大好きなので、原因と結果で説明された方が納得しやすい。
    しかし現実は偶然の積み重ねや、様々なめぐり合わせで事態が好転することが多いのは臨床家なら経験していることでしょう。

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    2015年07月11日