【感想・ネタバレ】哲学の使い方のレビュー

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Posted by ブクログ 2023年12月31日

哲学とはなんだろうか。
哲学を使うということはどういうことだろうか。
この本を買ったときに思いました。
読み終えた後もこの疑問に対する答えが得られたとは言えません。
けれども、なんとなく、哲学というのは考えに考えて考え抜くことなんじゃないかと思えました。
当たり前のことを当たり前で済まさないで、もう...続きを読むちょっと先まで考える、そんな思考の行為を習慣にすることが哲学を使うということかな、と感じています。

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Posted by ブクログ 2021年01月04日

哲学は何か深遠な問題と出会った時に頼りたくなるような、そんな学問だと思っていた。今日まで書かれてきた夥しい哲学書を繙けばそこに正しい答えが書かれているような気がする。しかしそれは否だ。問題解決の手がかりがあるだけだ。哲学するとは部屋に閉じこもって膨大な文献を読み、書かれた言葉を精査し研究するだけにあ...続きを読むらず。さまざまな言説や理論が交わされる場所、立ち上がる場所にこそが哲学の居場所だと著者は説く。他者と対等な立場で対話を重ねながら問題の所在を探ること、問いが書き換えられてゆくプロセスそのものをシェアすることが哲学の議論であり、哲学的対話が目指すのは合意ではない。そして今ひとつ大切なことは、わからないもの、正解がないものに、わからないまま、正解がないまま、いかに正確に処するかということだ。解らないでいることの耐性、すぐに結論を出さず、また解りやすい説明や論理、物語にすぐ飛びつこうとしないこと。安易な、短絡的な思考は考えることの放棄だ。社会には不条理が溢れ、そう簡単に答えが出ない難問が山積している。寧ろ答えが容易に出る問題の方が遥かに少ない。そこで求められるのは哲学することだ。多角的に問題を捉えること、他者の言葉にじっくり耳を傾けること。自分とは異なる価値観や異文化、興味のない事柄にも普段から関心を持つこと。私が思うのはSNSがこれだけ発達し、色々な人と、世界と繋がれるようになったけれど、結局繋がっているのは自分の興味関心があるもの、自分と共通点があるものが大半で、自分の関心が低いものは弾かれているのではないか、ということだ。勿論、人との繋がりはネット上のSNSだけではないれけど。哲学するのいうこと、思考し続けるには一箇所に留まっていてはいけないのだなと思った。本書で紹介されている哲学カフェがとても楽しそう。参加してみたい。

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Posted by ブクログ 2015年03月09日

哲学に対して抱かれている世間の認識が、哲学かを敬遠するものになってしまっていて、しかし人が活動するうえで哲学は欠かすことが出来ないものでもあります。その哲学というものに対してどのように接していけばよいのか。そもそも哲学とは何なのか。そういう疑問に対して、哲学の正体、使い方、付き合い方、という語り口で...続きを読む書かれています。
哲学の難解な書き方や言葉にはそれなりの理由があるし、またそれと対局に位置する対話などの方法も必須だということを、その全てに丁寧に説明をされていて、本書を読むと、自然と哲学するようになるのではないかと思えてしまいました。
哲学を勉強できる(そういう意味で入門書)という内容ではありません。哲学を使えるようにするための本です。そういう意味で非常に重要な本だと思います。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年10月21日

日本人の書く哲学入門書というのは、とかく、西洋の哲学のおおざっぱな解説に終わりがち。
本書は哲学は学問のみに終わらず、人間や世界のあらゆる問いを立てるという活動すべてが哲学になる、その対象領域は科学,倫理、芸術、政治、経済さまざまに及ぶ。哲学が近寄りがたいのは、ときに一般人をけむに巻く難解な言術のせ...続きを読むいであるが、社会生活を営むうえで欠かせないものである。

臨床哲学者というだけであって、社会のさまざまな身近な事象やときには村上龍のようなエンタメ文学からも素材をとり、哲学への入口へと誘う。

すべてをまったく理解するのは難しいが、この著者には読者を難解な用語で遠ざけるよな俯瞰的な思考が感じられず、読みあたりがよい。こんな哲学書に出会いたかった。

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Posted by ブクログ 2021年09月24日

とてもおもしろい。
哲学に興味があり、本を読む中でもともとおもしろい哲学者だと思っていた。一つ一つの話は短いが、説明がわかりやすく、それでいておもしろいと思う。

当たり前だと思っていた常識、生活などについて鋭く切り込んでおり、疑問を投げかけたり、矛盾点を洗い出したりしていた。そのため、ハッとされら...続きを読むれた話がいくつもあった。世界の見方が変わった。
違いの章は仕事について考えされられ、この章の話は、考えさせられた。専門性の罠、悲しい目、水筒、うなぎが良かった。

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Posted by ブクログ 2017年11月29日

著者が「臨床哲学」を提唱していることは以前から聞き及んでいたのですが、本書を読んで、ようやくその概要を知ることができたような気がします。

著者が主催する「哲学カフェ」の具体的なエピソードも紹介されており、〈現場〉から紡ぎ出される知恵に耳を傾けようとする繊細な知性の息吹を、ほんの少しですが、垣間見た...続きを読むように思いました。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2015年04月07日

哲学界のたこ八郎、鷲田先生による言葉の拾遺集が朝日新聞の連載で始まったのは、この春の喜びである。まだ一週間ほどだけど、八面六臂の参照先は、先生らしくもあり、意外にも感じられたり、とにかく行く末が楽しみです。

確か東北震災後のことだったと思うが、あるシンポジウムで科学者が集まるなか、鷲田先生ひとり人...続きを読む文系として出席されていて、議論が科学者の専門家としてのありかたというようなあたりに及んださい、先生が発言されたことがいまでも強く印象にのこる。
「何でも答えてくれる人というのはあまり信用がおけないわけです。自分の持ってる知識の範囲内で言ってるだけだろうと思うから。思考の限界まで考えに考えてる人は、あっさりと、わからないことはわからないと言う。こういう人は信用できる」

この言葉はそのまま本書のエッセンスである。哲学者も全く同じである。先生が長く取り組まれている、一般市民による哲学カフェに至る道は、臨床というキーワードの周辺にいるあらゆる人びとに参照してもらいたいものだ。

パスカルの系列は現代にこのように生きている。

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Posted by ブクログ 2015年02月12日

  「ほしいものが、ほしいわ」。糸井重里が西武百貨店のために制作した広告コピー、哲学者の鷲田清一さんによると、時代の根源語と云う点で哲学と相通じるものがあるのだと云う。時代の大きな変容、しかし感触としてはあっても何なのか判らない、そのもやもやを一瞬にして結晶させるもの、それが哲学の言葉であり、広告の...続きを読むコピーと云えるのだ、と。
  確かに、この「ほしいものが、ほしいわ」のコピー、これは単純に「欲しいものが欲しい」というただの反復語ではない。今、この刹那に欲しいと思うものが欲しいのであって、翌日にはもう欲しいと思っているとは限らない。例えば、女子学生がルイヴィトンのバッグを欲しいと思うその瞬間が欲しいときであって、では六ヶ月アルバイトをして買うかと云えば、まずNoに違いあるまい。モノが飽和状態にあるこの現代で、目まぐるしく刺激を受けながら人間の欲望自体もその刹那に変化するという事実。これらの根源はいったい何なのか。
  鷲田清一「哲学の使い方」。現代の哲学の恐るべき閉鎖性の反省に立ち、哲学はどうあるべきなのかを優しく説く。とかく難解な言葉を駆使してメタフィジカルの壁の中の世界だけに停滞する今の哲学の世界だが、実際にはこの世の本当の真実とは何なのか、世の中の現場に降りて時代の中で哲学するとはどういうことなのか。提唱されている「哲学カフェ」とは・・・!? 哲学を哲学する学問に閉じ込めず、世間のフィールドで生じている出来事を一歩振り返って本当の意味を問う、曖昧に流されがちな意味の根源の真実を問う。そうすることで人間として本当のあるべき姿が見えてくるのではないか、との強い思い。日本の哲学者にもこんな人がいるのかというなかなかに興味深い本。勿論、難しい言葉も多く、やや四苦八苦しながらではあったが、哲学の何たるかを示す覚醒の本と云えるのではなかろうか。

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Posted by ブクログ 2014年12月21日

非常に難解。特に中盤あたりはとりわけ難解で
理解するのが一苦労でした。まだ全部がわかったわけ
ではないと思いますが。また哲学の本質的な書物を
読みたいと思います。
”答えがすぐにでない、あるいは答えが複数ありうる、
いや答えがあるかどうかもよくわからない、
そんな問題群が私たちの人生や社会生活を
...続きを読むり巻いている。そんなとき大切なのことは、答えが
まだ出ていないという無呼吸の状態にできるだけ
長く持ち耐えられるような知的耐久性を身につけること”
このことは非常にいい文章だと思います。が。。
本の中で哲学的殺し文句として紹介されている文書
『自己とは何であるか?自己とは自己自身に関係する
ところの関係である、すなわち関係ということには関係
が自己自身に関係するものなることが
含まれている。』(キュルケゴール『死に至る病』)
最初に読んだ時はさっぱり何のことやらでしたが。
最後にもう一度読むと少し(少しだけ)わかる気が
きがしました。

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Posted by ブクログ 2014年11月20日

鷲田さん、書下ろしなんて久しぶりじゃないのか。
大好きな著者なので、読んでみた。でも、ちょっと読んでみてこれはむずかしそうだと思ったので、それから少し間を空けての再チャレンジ。
結果、わかったりわからなかったりの部分があって、理解できたのはたぶん全体の二割くらい。
でも、それでも、このひとにくらいつ...続きを読むいていけば何かが見えてくるんじゃないか、と、そんなふうに思える数少ないひとです。
いつかまた読みます。すばらしい文章を、ありがとうございます。

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Posted by ブクログ 2014年10月02日

受験生にはぴったりの本です。タームが少し高校生には難しいですが。鷲田エッセイの組み立て方などを書いてあるので、哲学的思考のエッセイを読む上では、役に立ちます。
特に実社会と孤立しがちな哲学について、社会との対話を重視するスタンスはおもしろいです。一枚剥ぐと、通俗になりそうなところが、うまく締めている...続きを読むと思い、すごいです。
西洋哲学の人にこういうことを言っても、無駄とは思うのですが、現代哲学をやると二項対立はだいたいメルロ・ポンティか、その辺り。これにはいつも東洋人の私には違和感を覚えます。おまえだって使っているではないかと言われそうですが、漢文の「対」の概念の方がしっくりきます。「対」については西洋哲学どころか、昨今の日本文学でさえスルーなので、仕方ないか。
臨床哲学はおもしろかったです。これもキリスト教で行われている「分かち合い」に似ています。むしろ西洋人には、こちらのベースがあると思います。
いや、こういうベースをとやかくいうと、新書では説明しきれないのは確かですが

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年04月18日


後半はよくわからなかった為、第一章のみまとめ

哲学とは「〇〇である。」ではなく、「哲学とは何か。」という問いから始まる。例えるならばスタートラインに立った時、ここは本当にスタートラインだろうかと問うことこそ哲学なのだろう。カントの「哲学を学ぶことはできない、人はただ哲学することを学びうるのみだ。...続きを読む」という言葉はまさに的を得ている。
人が哲学に焦がれるのは直面している困難をうまく解決できないときだ。そしてそういった困難は正解でないことがある。それに対し我々が紡ぐべき思考というのは、わからないけど大事だということをわからないまま正確に対処することだ。ここで重要なのはわからない問題に対して安直な理論で片付けないことだ。たとえわからない問題が出ても問題が立体的に見えるまで耐え忍ぶことが重要。
わからない問題を正確に対処するためにはあらゆる方向から問題を見る必要がある。つまり多くの視点が必要だ。人は都合の良い視点で世界を捉えているため、
その視点のままでは正確に対処できない。
自分の知らない真逆からの視点や思いもつかない視点から見なければならない。そういった自らの視点を自らの関心の「外」の視点とをつなぐことで理解している枠組みを解体し組み変えることができる。

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Posted by ブクログ 2017年08月15日

うーん、まあ、「エンゲージド・ブッディズム」みたいなもんかなあと思いながら読んだ。
世代を超えた人たちが、ある問題について真剣に話し合うことは素晴らしいことだと思うけれど、一方で、過去の議論の積み重ねを知らずに、単に自分(たち)の中だけでの思いつきを思考することと勘違いする危険性も感じる。
いや基本...続きを読む的にはいいことだと思うんだよ。

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Posted by ブクログ 2016年06月08日

この本さえ読めば素人でも哲学の使い方、仕方がわかると
いうようなハウツー本、マニュアル本ではないので要注意。

この現代という時において哲学とはどのような役割を果たす
べきか、どのようにあるべきか、そもそも哲学は意味ある
ものとして存在しうるのかどうか。哲学者が哲学者として
哲学と向き合う上で発せざ...続きを読むるを得ない「悲痛な叫び」として
私はこの本を受け止めたのだが、さほど間違ってはいないと
思っている。

日本の教育には宗教教育(ある一つの宗教の教義を教え込む
のではなく、人間として宗教というものとどう向き合うか
を教える教育)が欠けているのが大問題であるのと同様、
哲学教育も欠けているのは大問題である、と思う。

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Posted by ブクログ 2015年01月07日

読むのに凄く時間がかかりました。内容を飲み込めた自信は全くないですが、エッセンスはなんとなくわかったかなぁと…。

忙しい暮らしをしていると早急に結論を求めがちというか、結論がなきゃダメという雰囲気に流されてしまいがちですが、問いを考えて考え抜くことで問題を解体するということも大切だと再認識させられ...続きを読むました。本当の意味で「聴く」というのとも、やっぱり大事。
哲学は学者や大学のものではなくて、みんなのものです。

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Posted by ブクログ 2014年10月19日

臨床哲学と名付けられた哲学を知る必要はある。
哲学とはモノローグではなく、ダイアローグなんですね。
哲学をわかりやすく解説してくれる鷲田清一。それほどに哲学を愛されている雰囲気が伝わってきます。

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